No.954977

ビーストテイマー・ナタ95

リュートさん

昔、書いていたオリジナル小説の第95話です。

登録タグはありません

2018-06-04 05:27:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:104   閲覧ユーザー数:104

その晩、アラヴェスタ襲撃計画は実行に移されました。見張りがドラゴンを見て大声を張り上げます。

 

「敵襲!南南西からレッドドラゴンが現れました!!」

 

ドラゴンは火を吹き、宝物庫の屋根を吹き飛ばします。アークが屋根の上に開いた穴から中に入って、軽くて価値のありそうな宝石を何個か持ち去りました。

 

「ド、ドラゴンが攻めて来ただと?」

 

「騎士団全軍招集!ドラゴンの襲撃を食い止めろ!!」

 

玉座の間で国王は狼狽えていました。神父の周りに大勢いた見張りも、ほとんど出払ってしまいます。

 

「神父様!お救いに参りました」

 

「ああ、我らの神はまだ私を見放していなかったか…」

 

ゲイザーは神父の縄を解いて抱き上げました。

 

「おいたわしや…。早くマルヴェールで手当てをしなくては!」

 

「マルヴェールの者だったのか?本当に獣人の国はあったのか…。まさか獣人が私を救いに来るとは思わなかった…」

 

「シスターと孤児の子供たちは既に救出済みです。皆、マルヴェールで神父様の帰りを待っています」

 

「随分と手際が良いな…。獣人がこれほど知能の高い生き物だったとは思いもしなかった…」

 

ゲイザーが神父を連れて逃げようとしたのを騎士団の者が発見します。

 

「獣人がいたぞ!誰か来てくれ!!」

 

「まさか…あのドラゴンも獣人の仲間なのか?そんな話、俺は聞いてないぞ!」

 

ゲイザーに斬りかかろうとした騎士団の者を、フォンが間に入って遮りました。

 

「貴様の相手はこのわしがしてやろう?」

 

「ヒィーッ!化け物…」

 

ゲイザーよりも一回り身体の大きなフォンは、バキバキに割れた腹筋をわざと見せるような、前の開いた服を着ています。フォンと少しやり合うと恐れて逃げ出す騎士団の者を見て、フォンは怒り狂って雄叫びを上げました。

 

「久々の戦だと言うのに、逃げるとは何事か?もっとわしを楽しませろ!」

 

フォンには騎士団の者が五人がかりで襲いかかっても、あっさり薙ぎ払われてしまいます。城壁からドラゴンに攻撃を仕掛けていた弓兵も、ドラゴンに睨まれると逃げ出しました。国王はそれを見て激怒します。

 

「逃げるな!戦わぬ者は首をはねるぞ?」

 

「弓を撃て!国王陛下をお守りしろ」

 

「ああ、余の大事な宝物庫が…」

 

「報告します!ゲイザーの奴が神父を連れ去りました」

 

「何?これはゲイザーの仕業だったのか」

 

「現在、城門前で交戦中ですが、敵が強く押されています」

 

「おのれ、ゲイザーめ!許すまじ…」

 

…つづく


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択