No.954873

ビーストテイマー・ナタ93

リュートさん

昔、書いていたオリジナル小説の第93話です。

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2018-06-03 16:22:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:77   閲覧ユーザー数:77

アークは教会の上空を旋回しながら、騎士団の者がいないか見張っていました。フラウは森まで子供たちを送ると、獣人化して猛スピードで丘を駆け上がり、次の班を案内します。森から洞穴まではフォンが護衛して、洞穴の前でゲイザーが子供たちを任され、マルヴェールへ案内しました。マルヴェールの中に入るとサラが待機していて、子供たちの為に大鍋で炊き出しした料理を配っています。

 

「お代わりもたくさんありますよ?」

 

「サラお姉さん、僕もお代わりー!」

 

最後の班まで無事にマルヴェールに避難を終えました。

 

「何事もなく終わりましたね。拍子抜けしてしまいます…」

 

「敵の軍師に私の手を読める者がいなくてホッとしました」

 

「優秀な部下がいても、次々に首をはねていては、ロクな軍師は残らなかったのでしょう…」

 

「部下を大事にしない者には、いずれ己の身にもそのツケが返って来ると言うのに…。今回の件は国王の無能さが救いでした。私が軍師ならこの程度の事は先読み出来ます」

 

「オズワルド様がそうですね。私はオズワルド様が首を締め上げられている時、助ける事が出来たにも関わらず、わざと何もせず見ていましたから」

 

「あの時、呪いの魔法の詠唱は止まっていましたからね。それにしてもあの激痛は…思い出すだけで寒気がします…」

 

「オズワルド様を助けたいと思う気持ちが、あの時の私には僅か一片たりとも起こりませんでした…」

 

「部下との信頼関係が築けていない者は、いずれ部下に見放されます」

 

「ナターシャ様がピンチの時は例えこの命を懸けてでも、お救いする所存ですが…」

 

「ナタの為にアークが死んじゃやだー。ちゃんと生きててね?」

 

「ナターシャ様が死ぬまで、私は死にません。天使の方が人間より寿命は長いですから」

 

「アークは何歳なの?」

 

「二千歳ほどでしょうか…。天使には歳を数える癖がないもので」

 

「そんなにお年寄りだったの?」

 

「いえ、天使の二千歳は人間の二十歳くらいですよ?」

 

「すごーい!百倍長生きするんだね」

 

「ドラゴンはもっと長生きですよ?」

 

「あのドラゴンのお爺さんは何歳なんだろ?」

 

「あとで聞いてみてはいかがでしょう?」

 

「今、召喚して聞いてみるー!」

 

ナタはレッドドラゴンを召喚しました。子供たちがそれを見て驚いて声をあげます。

 

「ドラゴンだー!カッコいい…」

 

「わしに何の用だ?子供よ」

 

「えっとね、お爺さんは何歳なの?」

 

「ん?歳など忘れてしまった…」

 

「アークみたいに大体で良いよー?」

 

「わしは何億年も前から生きておる」

 

「えーっ!じゃあアークの十倍くらい?」

 

「この世界が誕生してすぐ、人間がまだ猿だった頃も生きておった…」

 

「人間は昔、お猿さんだったのー?」

 

「猿が人間に進化しおって、面白いからずっと見ておったが戦争ばかりしおるな。愚かな猿どもだ…」

 

…つづく


 
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