No.954858

ビーストテイマー・ナタ92

リュートさん

昔、書いていたオリジナル小説の第92話です。

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2018-06-03 15:11:46 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:83   閲覧ユーザー数:83

アークたちが到着して、教会のドアを開けると子供たちが年老いたシスターと寄り添って、ガタガタ震えています。フラウを見て孤児の子供が、駆け寄って来ると言いました。

 

「シスター・フラウ!神父様が…。騎士団に連れて行かれちゃった…」

 

「ええ、わかっています。神父様は必ず救出しますから安心してください」

 

「子供たちはもうずっと何も食べていないのです。最近、寄付金が全く集まらなくて…」

 

年老いたシスターが、子供たちを抱き締めながら言いました。

 

「マルヴェールに来てください。みんな美味しいご飯をいっぱい食べられます」

 

「マルヴェールって獣人の国?」

 

「はい、そうです。私はマルヴェール女王に即位しました。マルヴェールの掟を変えて、人間も住める国になったのです」

 

「僕たち獣人に食べられちゃったりしない?」

 

「大丈夫よ?他にもスラム街の子供たちがいるけど、みんな仲良く遊んでるわ。獣人の子供も少ないけどいますよ?」

 

「治らない病気だった子だよね?獣人の国に行って治ったの?」

 

「はい、獣人になれば人間より身体が丈夫になるからです」

 

「そのマルヴェールと言う国は一体、どこにあるのです?」

 

「人数が多いので歩いて行きましょう。案内しますので付いて来てください。人目に付かないように、何班かに分けて行動します」

 

森の中に入るとナタがフォンも召喚しました。子供たちが驚いて叫び声をあげます。

 

「うわぁーっ!ライオンの獣人だ…」

 

「この獣人は護衛の為に来てくれました。私の育ての親でもあります」

 

「わしのことが怖いか?子供たちよ」

 

「ううん、超カッコいい!」

 

「めっちゃ、強そうー」

 

「アラヴェスタの騎士どもが来たら薙ぎ払ってくれるわ!」

 

子供たちはフォンのフワフワのたてがみを触ったり、硬い力こぶを触ったりしています。

 

「みんな、フォン様が怖くないの?」

 

「だって、シスターは言ってたよね?獣人は攻撃しなければ反撃して来ないって!」

 

「その通りだ。わしは攻撃して来ない者には何もせん」

 

フォンは意外にも子供たちの人気者になってしまいました。

 

「やれやれ、孫が一気に出来た気分だ…」

 

…つづく


 
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