アークたちが到着して、教会のドアを開けると子供たちが年老いたシスターと寄り添って、ガタガタ震えています。フラウを見て孤児の子供が、駆け寄って来ると言いました。
「シスター・フラウ!神父様が…。騎士団に連れて行かれちゃった…」
「ええ、わかっています。神父様は必ず救出しますから安心してください」
「子供たちはもうずっと何も食べていないのです。最近、寄付金が全く集まらなくて…」
年老いたシスターが、子供たちを抱き締めながら言いました。
「マルヴェールに来てください。みんな美味しいご飯をいっぱい食べられます」
「マルヴェールって獣人の国?」
「はい、そうです。私はマルヴェール女王に即位しました。マルヴェールの掟を変えて、人間も住める国になったのです」
「僕たち獣人に食べられちゃったりしない?」
「大丈夫よ?他にもスラム街の子供たちがいるけど、みんな仲良く遊んでるわ。獣人の子供も少ないけどいますよ?」
「治らない病気だった子だよね?獣人の国に行って治ったの?」
「はい、獣人になれば人間より身体が丈夫になるからです」
「そのマルヴェールと言う国は一体、どこにあるのです?」
「人数が多いので歩いて行きましょう。案内しますので付いて来てください。人目に付かないように、何班かに分けて行動します」
森の中に入るとナタがフォンも召喚しました。子供たちが驚いて叫び声をあげます。
「うわぁーっ!ライオンの獣人だ…」
「この獣人は護衛の為に来てくれました。私の育ての親でもあります」
「わしのことが怖いか?子供たちよ」
「ううん、超カッコいい!」
「めっちゃ、強そうー」
「アラヴェスタの騎士どもが来たら薙ぎ払ってくれるわ!」
子供たちはフォンのフワフワのたてがみを触ったり、硬い力こぶを触ったりしています。
「みんな、フォン様が怖くないの?」
「だって、シスターは言ってたよね?獣人は攻撃しなければ反撃して来ないって!」
「その通りだ。わしは攻撃して来ない者には何もせん」
フォンは意外にも子供たちの人気者になってしまいました。
「やれやれ、孫が一気に出来た気分だ…」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第92話です。