店から出る前にナタはアークを召喚しました。
「私の値段はいくらでしたか?」
「んーとね、五千万か八千万って言ってたー」
「と言うことは売値は一億以上になりますね」
「一億以上?そんな高いカード見たことない」
「普通の店には売りに出ませんよ?闇で売買されるのでしょう」
「アークはウルトラレアカードの中でも、レア中のレアなんだねー!」
「ゲイザー様のお値段も気になりますね」
「おじさんはいくらなんだろ?」
「今はお忙しいでしょうけど、いつか来られた際に鑑定されてはいかがでしょう?」
「普通のワーウルフのカードは一千万だったけど、おじさんは勇者だからもっと高いと思う」
「カードに封印されたら、戦闘力などもわかるのですか?」
「うん、ここに指を置いて…。ほら、数字が浮かび出て来たでしょ?」
「ケルベロスが一番戦闘力は高いですね。その次がグリフォンで、ウェアラットは戦闘力は低めのようですが…」
「ピーターはすっごい役に立つよ!なんで五百万なんだろ?」
「値段の基準は人間が決めますからね…。私にはわかりかねます」
「五百万って事は一千万で売られるの?」
「大体、売値は半額以下にされますので、ゲイザー様の指輪も二十万以上で買われたのだと思います」
「ナタの魔導書、三十万だったのー」
「ゲイザー様は太っ腹ですね!」
「おじさん、普段はケチなんだけど、たまにすごく高いもの買うんだよ!」
「安物買いは愚か者のする事です。利口者は高くても良い物を買うんですよ?」
「ふーん、そうなんだー?ナタも大人になったら、そうしよっと」
「なぜ愚かなのか…。例えば安いシーツを買ったとします。シーツはすぐに擦り切れて二ヶ月で使えなくなり、新しく安いシーツを買えば、一年で六倍の値段がかかる事になります」
「うん、それでどうなるのー?」
「高いシーツを買えば丈夫で長持ちするので、一年以上擦り切れることがありません。五倍の値段でも高いシーツを買う方が結果的にお得なのです」
「すごい!わかりやすーい」
「簡単な経済学のお話をしましょう。例えば一個二百の値段のリンゴと、五個で八百の値段のリンゴがあります。ナターシャ様はどちらを買いますか?」
「五個で八百のリンゴー!」
「しかしリンゴは三個しか食べられず、残りの二個は腐ってしまいました」
「うわー、もったいない…」
「一個二百のリンゴならば、無駄にならずに済みますが、結果的に腐らせると二百損してしまったのです」
「さっきカードは五枚セットで買ったよね?」
「カードは腐りませんからね。物事は多角的に広い視野で見て臨機応変な考え方をしなさいと言う事です」
「ナタ、リンゴは一個だけ買うようにするー」
「リンゴを全て使う計画を立てられるならば購入しても構いません。例えばアップルパイを作るとか」
「アップルパイ大好きー!」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第78話です。