No.94848

雛里ちゃん甘えん坊度100%!

もけもけさん

皆さんお久しぶりで~す。二ヵ月半ぶりの投稿となります。もけもけどぇーす。

今回もやってまいりました。蜀の少数派キャラ、個人的にはあんまり見ない「雛里」メインのお話です。大体は朱里と絡んでのお話とかなら見るんですが、単独って見ねぇよなってんで、一刀×雛里のみでのお話です。

しばらく書かなかったせいで甘さは愛紗編、白蓮編に比べ、3割増です。

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2009-09-11 18:40:24 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:12357   閲覧ユーザー数:9860

 

「はぁ~・・・。」

もう何度目になるかわからない溜息を吐いた。その理由はとてもとても子どもじみた理由だが・・・。処理すべき案件が多すぎる!

 そんなことかとお思いの人もいるかもしれないが良く考えて欲しい。一国の太守が処理する案件の量といったら、それはラッキョウの皮を1枚剥いたようなもので終わりなんて見えやしない。終わりが見えてきたと思ったら追加の案件がまたどっさりと机の上に並べられるのだ。流石に溜息の1つでも出ようというもの。

 しかし、学のない俺のためにわざわざ朱里や雛里が全て目を通しこっちに寄越しているらしい。以前にサボったのがバレて、愛紗に説教された時にそう聞いた。流石の俺でも申し訳なく思いサボらずにここまで頑張ってはいるのだが・・・。

「それにしたって限度ってものがあるよなぁ。はぁぁぁぁ~。」

 そしてまた何度目になるかわからない溜息を吐く、ちょっとしたループ状態に陥っているのが今の現状なわけだ。溜息を吐いた数だけ案件が消えればいいのになぁ。なんかこうふぅっとついたらポワンってな感じでさ~。

「・・・・・・・。」

 馬鹿なこと言ってないで仕事に戻るか、気づいたらさっきから全然減ってないや。

「・・・・・・・ご主人様よろしいでしょうか。」

「ん、どうぞー。」

 とは言って見たものの全然どうぞーっていう状況じゃないよなぁ。全然終わってないのに追加のラッキョウ・・・もとい案件がどさどさと積まれる様を想像すると暗澹たる気分になってしまうのはしょうがないと思う。

「・・すいま・・せん・・・っとと、あ、あけてもらってもよろしいですか?」

 どうやら今回の刺客は雛里らしい、声の様子からして足取りをふらふらさせながら喋ってるんだろうな、少し微笑ましくはあるが同時にそれだけの案件を持ってこっちに来ていると思うと複雑な気分だ。

「・・・ご、ご主人様ぁ~。いらっしゃるんですよね、開けてくださいぃぃ~。」

「え?ああ、悪い悪い。今開けるよ。」

 現実から目をそらしたいがために戸を開けるのを躊躇ってしまった。でも、あれだ。今ごろ雛里は手とかプルプルさせながら俺が戸を開けるのを健気にも待ってるんだろうか・・・萌えるな。この後きっと、あわわ~、は、はやく開けてくだしゃい~、も、もう限界ですぅ~。なんてもっと萌える言葉を言ってくれるに違いない。ヒャッホゥ、流石は雛里さんだ半端ネェぜ!

「い、意地悪しないでくださぃぃぃ~、はやくはやく~、も、もう限界ですぅ~。」

 うおおお、予想以上になんかエロいぜ、雛里さんよ!?どんだけおねだりさんだよ、俺も限界だ!開け、俺の桃源郷よ!!

 そして戸を開けた俺を待っていたのは微笑ましい雛里・・・・・・の姿ではなく彼女の背丈の倍はあるであろう案件の山盛り、現実なんてこんなもんだよな。わかってたけどさ!

 知ってか知らずか、案件さん達なんてこっちに雪崩れかかって来てるぜ。早く私たちを片付けてくれってか?・・・え?雪崩れて?

 

 

「うわあああああああああああ。」

「も、もう限界って言ったのにぃ・・・。くすん。」

 こ、これが天罰って奴ですかね。あんだけ頑張ってるんだしちょっとくらい意地悪したっていいじゃないですかね、神様のいけず。

「あわわ。だ、大丈夫ですか?ご主人様。」

「・・・・・・・。」

 心配されるほど大げさってわけでもないが反応ないフリしてみる。書簡だったら心配されることもないんだろうけど、これ竹簡なんですよ、はい。紙は貴重品なんです、実は地味にオデコの辺りとか痛かったりします。・・・・・・・・虚しい、さっさと起きるか。

「あ、わわわわわわ。ご、ご主人様の意識がありません、どどどどうしよう!?」

 流石は雛里さんだ。俺のボケにリアクションをしてくれるとはな、あわわ軍師たるものこうでなくてはな!他のメンツならさっさと起きろと追い討ちされたり、ここぞとばかりに悪戯されたり、こんな微笑ましいことが出来るのは雛里だけだぜ!ついでだから悪ノリしてみよう。え?天罰だって?バッカこれは天罰じゃなくて神様のご褒美だったんだよ。

というわけで、天啓にのっとって天の御遣いによる悪戯開始だ。

「う~ん・・・・・・・。」

 わざとらしい寝返りを打って、起き上がる。意識があることをアピール。

「あ、気がついたんですね、良かったですぅ・・・。」

「・・・君は?」

 賢明な方は気づいたことであろう、そう実はこれ記憶喪失ごっこだ。こんな悪戯が出来るのも騙されやすい雛里だからこそ。それにしてもこの俺ノリノリである。

「あ、頭でも打たれたんですか?雛里です。ご主人様に御仕えしている家臣ですよ。・・・・お、お慕いもしてますけど・・・はぅぅ。」

 一瞬、お持ち帰りしたい衝動に駆られたぜ、まぁこれから先のことを考えればGOOD堪えられるってなもんだが。

「え?何のこと?よくわからないな。君ところで朱里を知らないか?この案件について相談したいのだが・・・。」

「え・・・。わ、わたしのこと忘れてしまわれたんですかぁ!?」

 そんな都合の良い記憶喪失なんてあるわけないだろ・・・。騙されやすいとはいえここまでくると軍師としてどうなんだろう・・・面白いからいいか。まぁ、やりすぎるのも可哀想だしここでネタ晴らしと行きますか。

「なーんて「ヒッ・・・グス・・。」

 やばっ、泣かせた!?。

「ぐすッ。・・・ご主人様に忘れられ、城・・・追い出され・・・攫われて・・・売られ・・・。」 

本当に雛里はそれにこだわるよなぁ・・・。。

「だ、大丈夫だよ、雛里。落ち着いて、な。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 聞こえてないみたいだけど、何だか様子が・・・・・・・。

「ふ、ふえええええええええ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん。」

ぎゃあああああ。耳が耳があああああああ。

 

 

「どうしたんですか、何事ですか!」

「なんだなんだ、どうしたどうした。」

 やばい、人が集まりだした。ど、どうにかしなくちゃ。

「な、なんでもない。なんでも。」

 とりあえず、集まりだした人は追い返そう。これ以上カオスになったらもうどうにもならん。

「そうですよー、なんでもないですから気にしないで下さい。」

 おお、いいぞ。誰か知らないがグッジョブだ。地獄に仏だ、助かった。皆も渋々去ってくれたことだし、どれ仏様を御拝顔させていただこう。

「でも、ご主人様、私にはちゃぁんと理由を聞かせていただきますからね?」

 地獄にいるのはやはり閻魔様でした。朱里さん怖いです。

 それから少し経って、今は朱里と2人きり。これから2人で嬉し恥ずかしドキドキタイム・・・・が始まるはずもなく床の上に正座させられ説教を受けてる真っ最中。ちなみに雛里は泣き疲れて俺の寝床で眠っている。

「ご主人様!聞いてるんですか!何をしたかわかってるんですか?」

「ああ、勿論聞いてるぞ。本当に悪いことをしたと思ってる。」

「聞いてるぞ?思ってる?」

「大変申し訳ないことをしたと思っております。平に平にご容赦くださいませ、朱里様ぁ。」

「は、はわわ、そんな急にかしこまらないでくださいご主人様。」

 だって、怖かったんだもん・・・。

「コホン、ともかくどうしてこんなことをしたんですか、ご主人様。いつもはお優しいご主人様がこんな暴挙を・・・。」

 暴挙とは失礼な、言うならば雛里の可愛さの再確認をだな・・・。何て言おうものなら全裸で槍衾の中に突貫するようなもの流石の俺もそこまで馬鹿じゃない。ここで俺の取る選択肢はこうだ!蜀の全武将を攻略した俺のチョイスを見るがいい!

「そ、それは・・・だな。」

「それは?」

「ご、ごめん。やっぱり言えない!」

「ど、どうしてですか!?ご主人様。」

「どんな理由でも驚かず許してくれるか。きっととんでもない事言っちゃうよ、俺。」

「・・・理由によります。」

 良し、ここまで計画通り。あくまで俺を立てる傾向にある朱里だ。こういったところで妥協してしまうのは詰めが甘いぜ。ここで次に切るカードはこれだ!

「その・・・だな。雛里ともっとイチャイチャしたいなぁ・・・なんて、もちっと構ってもらえたらなーと思って意地悪しちゃいました。ごめんなさい。」

 計画というか欲望のままに行動したから説明しろといわれたらこうなるわなぁ、ただそれを言ったんじゃ許してもらえそうにないから前フリをしたまでで、雛里を想う朱里ならここで渋々許してくれるはずだ。完璧・・・。

「こ、この重要な時期に一体何を考えておられるんですか!ご主人様ああああ!」

 じゃなかった!というかより怖くなってませんか、朱里さん!?

 それから、より過激さを増した朱里さんのお説教は続いた。もう日が暮れそうだぜ。

 

「これからは、このような事が無いようにしてくださいね、ご主人様。」

「は、はい、そりゃもう!肝に銘じて!」

「良い返事です、ではこれで。」

「え?」

「まだなにか?」

まだ若干、キレ気味で対応される。どうやらさっきのチョイスで逆鱗に触れてしまったらしい。

「あの・・・ですね。お仕事を手伝ってもらえるとヒッジョーに助かったりしちゃんですが・・・。」

「ご主人様ぁ~。そんなご謙遜なさらないでください~。」

 謙遜?俺のセリフをどう捉えたらそう聞こえるんだろう。

「ご主人様はぁ、本当はこの程度のお仕事余裕なんですよね。そうでなければ女の子とイチャイチャしたり意地悪なんかしたりしませんよぉ~。」

 キレ気味どころか大噴火中だった・・・。

「もういってもいいですか?」

「は、はひ!お引止め申し訳ございませんでした!」

援軍なしとなると急いでやらねば朝になるぞ、ひえ~。

「まったく、・・・・・・私だってご主人様をお慕いしてるのになぁ。」

 朱里がまだ何か言ってるらしい、怖い怖い。逆鱗にまた触れて二の舞だけは勘弁だ。今自分の出来ることをきちんとしておこう。

「・・・・・・・。」

 ひぃ!にらんでらっしゃる!見てないフリ、見てないフリ・・・。

「!!!」

 すごい勢いで戸を閉められた。怖いよぉ。

「ご主人様の馬鹿・・・・。」

 まだ、なんか言ってるし・・・、こんなことしてる場合じゃないな、仕事仕事。

 

 

「終わるわきゃねぇだろおおおおおおおお。」

 と全力で叫んだ頃には、夜も更けていた。お腹がすくはずだ。流石にメシ抜きで仕事は辛いな。そうと決まれば厨房にGOだ。上手くすれば誰かから手伝ってもらえるかもしれないし。

 ・・そう思っていた時期が私にもありました。今の俺は孤立無援状態。八方塞りであります。

 厨房に赴いた時、俺を待っていたのは敵でも見るかのような冷たい目線の女性陣。成る程、朱里の奴。ここまで根回し済みとはどれだけ怒ってたんだろう・・・。話し掛けようものなら「忙しいので」とか「ごっこ遊びをするような趣味はございません」だの散々たるもの。気持ちを汲んでくれた名も無き男兵士Aからもらった握り飯のなんと美味いことかと涙しそうになった、そのまま手伝ってもらおうと思ったそのとき、俺は神隠しを見た。だってそうだろう。風が吹いたと思ったら次の瞬間・・・その兵士はいずこかに消え去ってしまったのだ。一瞬、黒髪がなびいたような気もしたが、これ以上探ってはいけない、ここにいてはいけないという本能に従い帰路に着き、現在に至る。

 兵糧は握り飯1個だけ、これはもうたいらげ実質兵糧なし。敵(案件)は山のよう、士気の低下著しく状況は最悪だ。机に突っ伏して餓えを凌ぐぐらいしか今の俺には出来そうもないぜ。

「・・・・・大丈夫ですか、ご主人様?」

 ふっ、幻聴まで聞こえてきやがった。もう俺を心配してくれるような人なんて居ないっていうのによ・・・。いよいよ駄目かもな。

「しっかりしてくださぃ~。ご主人様ぁぁ~。」

 ごめんよパトラッシュ、俺も今そっちに行くからさ。天国に行ったらあったかい食べ物食べような。

「あわわ。お気を確かにご主人様ぁ。・・・ちょっと待っててください。」

それからどれだけ経ったろうか。おいしそうな匂いにつられて俺の意識が次第にクリアになってきた。

「お、おおおおお。」

「さぁ、いっぱい食べてくださいね。ご主人様♪」

 こ、これは・・・TABEMONO!

 

 

 

 それから先のことは良く覚えていない。気が付いたときには全ての皿が空だった。

 

 

「おいしかったよ、ありがとう。雛里。」

 なんとか、最低限の礼だけは言う事が出来た。

「♪。どういたしまして・・・・・ってご主人様思い出したんですか!」

「え?あ、ああ・・・。」

 そういやあの後、泣き疲れて眠ってそのままだったっけか。

「そ、そのことなんだけどな、雛里・・・すまん!」

「ふぇ・・・。どうしたんですかいきなり・・・。もしや、わ、わたしはやっぱりお払い箱ですか!?」

 イカン、パターン入った。

「そ、そうじゃない、そうじゃない。記憶失ったわけでもないのに意地悪してごめんってことだ。」

「ヒッ・・グスン。本当?」

「本当、本当。雛里があまりに可愛いもんだから嘘ついちゃった。ごめんな。」

 言ってから気づいた。俺キモッ!どんなキャラだよ。ほら雛里も固まってるし。

「ご・・・ごしゅじんさまああああああ。」

「おっとっと、よしよし、ごめんな。雛里。」

 どっちにしろ泣くのな。雛里に抱きつかれながら頭を撫でてやる。今日1日の謝罪も兼ねて・・・。

 落ち着いてから、雛里に仕事を手伝ってもらうようお願いしたら、快諾してくれた。その後、山のようにあった案件が一瞬で無くなった。昼間は心の中で失礼なことを思ったが流石は鳳雛といったところか。わからないところがあれば懇切丁寧に教えてくれて、ある程度指針を示しながらも自分の意見を通そうとはせずあくまで自分を立ててくれる。ときどき世間話を挟み、中だるみを防ぎながら楽しい時間を過ごした。ついさっきまで一人で苦悩していた分だけあって、終わるころには名残惜しいとまで思ったぐらいだ。

「これで全部だな。ありがとう雛里。」

「・・・たいしたことでは、それより・・・夜も遅いです、寝ませんか?」

「あ、ああそうだな、おやすみ雛里。」

 そのまま、廊下まで見送ろうとしたら、あれ雛里さん何故に俺の布団に?

「雛・・・里さん?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 うわああ。その潤んだ瞳駄目ぇぇぇ。反則だろおおお。しかも布団から顔をちょこんとだけ出すところが尚駄目ぇぇぇ。

「・・・・・どうしたの?」

 どうにか、それだけ口から搾り出すことに成功した。

「忘れられたくない・・・・から、・・その、い、一緒に寝てくれない・・・と・・・怖っ。」

 うっ。流石に悪いことをしたな。悪いと思った、悪いと思うんだが・・・正直たまりません。

「じゃあ、一生忘れられないような夜にしようか・・・?」

 気づいたら、そのまま雛里に覆い被さり、そんなことを囁いていた。

「あわわ、それって・・・。」

「いい?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい。」

 真っ赤な顔もまた良し!いただきます!

 

 

「ん・・・。」

 朝の日差しの眩しさがうっとおしい・・・。逃げ場を求めるように寝返りを打ってみる。ふにっとなんだか柔らかい感触が返ってきた。

「んあ・・・。ふぅ・・。」

ん、そういや雛里と寝たんだった・・・。にしても雛里のって柔らかいんだなぁ、控えめながらもちゃんとした女性のそれがあるから堪能するには十分だ。

「・・・・・・・って、朝から変態か、俺は。」

 昨晩の余韻も手伝ってか、いきなりとんでも行為に及んでしまうところだった。

「ほら、雛里。朝だよ。起きて・・・。」

「ん・・・。あ、ご主人様だああ。えへへ~♪」

「あ、おい・・・。」

 やべぇ、可愛いんだけど!?そういえば雛里ってかなりの甘えん坊だったな、皆といる時はあまり見せないけど、俺や朱里だけの時は時々こうやって甘えてくる。いつだったか朱里と町の拡張工事の件で陣頭指揮に立った時、気づかないフリとかしてたら、膨れて抱きついてきた時もあったっけ。それが今は寝ボケ状態だから甘えん坊100%ってわけだ。こうなった状態の雛里に抵抗する術がない俺は雛里のいいようにじゃれつかれているのだった・・・。

「あわわ。ご、ご主人様、ごごごごめんなさいぃ。」

 寝ボケ状態から立ち直るや否や慌てふためき顔を真っ赤にしてそう言ってきた。

「堪能したか?俺は別に困るようなことはないからいいけど。」

「あう~。朝・・おき・た。ご主人様が横にいて、・・・嬉しくて・・・。」

「そうか、そうか。それじゃあ俺がした意地悪は結果的に良いことだったんだな、うん。」

「う~。それとこれとは話が違いますよぉ~。」

 ついつい嬉しくて調子に乗ってしまう。

「それに、わ、わたしはまだ許した覚えはありません。」

「え?マジで?」

「はい、冗談でも忘れたなんて言わせないように・・・。」

「ゴクッ。」

「い、1日中、一緒にいただちゃいましゅ。・・・ふえ~。噛んじゃったぁ~。」

 今、なんと・・・?

 

 

 

 そんなわけで、萌えポイントとこれでもかと見せ付けられ、無言の視線のアピールに根負けし、雛里は俺の膝の上でご機嫌だ。

「な、なぁ雛里・・・。」

「・・・・・・ご主人様。まさか、やっぱり私はいらない子なんですね・・・。」

「ち、違う、そうじゃないって。」

「じゃあ、なんですか?(うるうる)。」

「その・・・だな。」

負けるな、おれ。

「・・・・・・・・・(うるうる)。」

「腹減ったし、御飯にしようか・・・。」

 無理です。まぁ、いいか。外に出るとなれば、内気な雛里のことだから手を繋ぐとかが手一杯で膝の上ということはあるまい・・・。

「そうか・・・・。その手があったか。」

 俺の目の前には、おいしそうな食べ物がてんこもり、ただ問題なのは・・・。

「ご主人様、あーん・・・です。」

「あ・・・あ~ん。」

 ここは街中ではなく、俺の部屋だということ。町に出ようかという俺を留め、厨房へと姿を消し、どうしたものかと思考している間にあっというまに朝食を作って持ってきた。

そして、自分の椅子だといわんばかりに膝の上をキープし、食べさせあいっこをしている・・・。普段ならこんなことはまずしないんだろうが、昨日したこともあってか甘えん坊リミッター解除、フルスロットルだ。勿論、昨日のこともあるので俺に抵抗が許されるはずもない、下手に抵抗して、泣かれると思うと・・・。惚れてしまった弱みという奴だ。強く断れるはずもなく30分ぐらいかけて甘ぁい朝食を堪能した。

「ごちそうさま。おいしかったよ雛里。」

 いろんな意味でね・・・。

「・・・ありがとうございます。そう言っていだたけると腕をふるった甲斐があります。ちょっとお皿を片付けて来ますね。」

 雛里がパタパタと駆け出していくのを見送り、一息つく。流石に仕事中までってことはないよな。昨日、散々手伝ってもらっておきながらなんだが、もう甘甘空間は存分に堪能した、やっぱこういうのはバランスが大事だよな。いくら美味しい和菓子でも続けざまに出されると胸ヤケがしてくる。やっぱ間に抹茶でも挟まないとな。果たして、彼女にそれを伝えてどうにかなるものか・・・。仕事の合間にちょっと朱里に相談してみよう、取り合ってくれたら・・・・だけど。

 

 

「・・・・・・仲直りしているようですね、ご主人様。」

 思った矢先に朱里様じゃ、朱里様じゃああ。

「うおおお、朱里。俺が悪かった、悪かったからあああ。」

「はわわわわ。どうしたんですかご主人様。」

「実は・・・・かくかくしかじかで。」

「うーん。なんとかしてあげたいのは山々なんですが・・・違う意味で。」

「え?今なんて?」

 最後のほう良く聞き取れなかったんだけど。

「はわっ。そ、そんなことより雛里ちゃんのことなんですがご主人様が政務の間にお話してみます。ご主人様から言っては嫌われることを恐れて助長を促しかねません。丁度雛里ちゃんは今日非番のはずですから。」

「うん、そうしてくれると助かるかな。」

 我ながら、贅沢なことを言ってるとは思ってるけど・・・。24時間ベッタリは流石にな・・・。

「あ、朱里ちゃん、おはよう~。」

「雛里ちゃん、おはよう~。」

「うん、今日は私おやすみだからゆっくりさせてもらうけど、朱里ちゃん頑張ってね。」

「ありがとう、雛里ちゃんもゆっくりね。」

「さて、ご「ご主人様いきましょう。」

 朱里の言葉は遮られ、雛里に手を引かれる俺。アルェー。

「ちょちょちょっと、雛里ちゃん。ご主人様には片付けていただかなければ案件があるから・・・。」

 とりあえず、俺と雛里を引き離す作戦か。伏龍のお手並み拝見といくか。

「ああ、それなら大丈夫だよ。そこの机に今日片付けなければいけない案件とか並べておいてあるし、急ぎの案件は今日ないはずだよ?」

「え?そうなの?」

 全くもって初耳なんだけど、思わず雛里に聞き返してしまう。

「はい、実は今日のためにご主人様には悪いとは思いましたが今日の分が昨日のうちに終わるように仕事の量を計算してまわしてもらいました。」

 そうか、そういうことだったのか。どおりでいつまでたっても減らないわけだ。改めて思い知ったぜ。内気な甘えん坊さんである前に鳳雛であったな・・・。スイッチの入った雛里は強い・・・。

「で、でもぉ急な案件とかもあるかもしれないし、やはりご主人様には居ていただかないと・・・。」

「でも、それは起きた時でも十分だよね。それに、ご主人様じゃなくても桃香様もいらっしゃいますし。」

「うっ・・・・。それは・・・・。」

 朱里相手でもスイッチの入った雛里の前では無力なのか・・・。他の人だったら或いは・・・いや、こうなった雛里はもう誰も止められまい。朱里だから食い下がってるが他だと呆気に取られてそのままなきがする。

 結果だけいうと引き離すことには失敗したが、みんなの手前サボったというのは世間体としてよくないからとかでなんとか城内に留めることには成功した・・・が。

 すいません、朱里さん。外に出た方がマシだったかもしれません・・・。今、俺はありとあらゆる視線の前に死んでしまいそうです。

 

 

 まず、桃香、愛紗、鈴々、朱里、翠、月、斗詩。これでもかというほどの嫉妬の業火に焼かれてしまいそうです。後日の詰問を考えると・・・ガクガク。

 次、星、紫苑、桔梗、蒲公英、猪々子。面白いものを見つけたといわんばかり、目がランランと輝いてる。まるでねこじゃらしで遊ぶ猫の様。後日いじり倒されると思うとそりゃもう・・・ブルブル。

 次、恋、璃々ちゃん、孟獲あたりは不思議そうな目でこっちを見てる。そういうのが一番精神的にくるな・・・。

 最後に、焔耶、詠、白蓮、麗羽、音々音あたりは自分には関係ないみたいな顔をしながらちらちらとこっちを見ている。目が合うと明らかに憎悪の闇が宿ってる、どうしたらいいのさ!?

 視線の的となってる当の雛里はというと・・・。

「ご主人様ぁ~。」

 といった具合にアロンアルファも裸足で逃げ出すほどにベッタリだ。

「なぁ、雛里ぃ~。」

「・・・・・・・・・・・・まさかやっぱり!!!」

「いや、それはもういいって。わかってるんだろう?そんなことしないってことにさ。」

 流石に、こうも連発されればいかな俺でも気づく。

「・・本当に反省したみたいですね。」

「うん、本当にすまなかった。このとおりだ、許してくれ。もうしないからさ。」

「はい、わかりました。許してあげます。」

というと、あっさり俺の膝から降りた。

「もう、絶対あんな悲しい言わないで下さいね。冗談でも駄目です。」

「ああ、わかった、誓うよ。絶対しない。」

「♪。・・・・絶対です。」

 良かった一件落着だ・・・。無事落着したと思うと離れるのが寂しく感じるのはエゴだろうか。

「それはそうと、良かったのか。今日のためにわざわざ手回しくれたんだろう?もういいのか?」

 調子に乗ってこんなことを聞いてしまった。この後、これがとんでもない引き金になることを当時の俺は知らなかった。もし、知っていたら全力止めてやりたい。

「・・・・たっぷり堪能しました・・から。一晩中・・・・。まだ、少し眠いんです。もし、許されるならこのまま・・・・すぅ。」

 なななな、なんちゅうことを!?膝枕状態になって寝ちゃったし!

 

 

「ひ、一晩中だと!?」

「ぶぅ~、雛里ちゃんずるぅ~い。」

「どおりで雛里ちゃん・・・。帰って来ないはずですよね・・・。」

「エロエロ魔人エロエロ魔人エロエロ魔人。」

 ああ、折角やわらいだ空気がまたしても!雛里には悪いけど、そっと離れて・・・と。何故そうするかって?今にわかるさ。

「さて、諸君。いろいろ思うところがあるだろうが幸いにも主殿は今日は手が空いているらしい。」

「・・・正々堂々、勝負・・。」

「鈴々が絶対勝つのだぁぁ!」

 みんな、星の口車に乗っちゃ駄目だぁ!しかし、皆の気がそれている!今なら!

「っ!」

「あ~~!。ご主人様が逃げたぁぁぁ!」

 仕方ないだろ、桃香。ここで大人しくしてたら何されるか・・・。

「あらあら。ご主人様も往生際が悪いわねぇ。」

 紫苑さん、笑顔で矢を番えないで!?

「皆、一時休戦だ。ご主人様を捕えるぞ!」

 今まで、息巻いてた蜀の武将が連携を取っておっかけてきた・・・。

「た、助けてくれええええええええええええええええええええ。」

 その後、どうなったか誰も知るよしはない。ただ、明日になると妙にツヤツヤした蜀の面々がいたとかいなかったとか・・・。

 


 
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