No.93972

真・恋姫無双 季流√ 第4話 害虫跋扈

雨傘さん

華琳様の元へ来た一刀。
街は大変繁栄していたが……
いつも、応援ありがとうございます。

2009-09-06 21:49:28 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:39847   閲覧ユーザー数:24959

 

「凄いな、これは……」

 

一刀達は陳留に付くと、自分達に用意された部屋に案内された。

 

やたらと広い部屋である。

 

大型ベッドに、机、棚、生活に必要なものは全て揃っている。

 

客室……ということではないだろう、これは。

 

恐らく一刀達が街に着く前に急いで準備させたのだろう、手際がいいことだ。

 

実際一刀は自分の荷物といっても大したものはないので、簡単に片づけを終えてしまうと、ふと机の上に、書簡と呼ばれる紙の代用品が置いてあった。

 

「げっ、漢字はまぁ読めるけど、正確には……か、漢文かな?」

 

__なんとなくなら、わかるところもあるんだけど……

 

「授業ではそこまでやらなかったからなぁ、別に嫌いじゃなかったんだけど……会話の方で問題なかったから気にしなかったけど、こりゃあ拙いか」

 

どうにかわかる単語を拾ってみると、要約するにこの世界での常識がまとめてかかれているようだ。

 

「天の御遣いだから気を付かせてくれたんだろうけど……まぁいいか。

 後で誰かにでも聞こう」

 

そう言って机に書簡を置くと、突然扉が勢いよく開かれた。

 

「兄様~」

 

「兄ちゃん~、準備終わった?」

 

季衣と流琉が部屋に入ってくる。

 

これから街を歩こうかと話していたのだ、案内役として秋蘭がかってでてくれている。

 

そして4人で街にでると、賑やかな街並みが広がっていた。

 

「へぇ、これはデカイなぁ……それに賑やかだ」

 

陳留の街は、一刀がこちらの世界に来て以来、初めて健康的な街に見えた。

 

「そうだろう? これほどの大きさと活気は、大陸広しと言えどそうはない」

 

誇らしげに語る秋蘭に同意して一刀も頷く。

 

「兄ちゃん! あっちに美味しそうな肉まん屋があるよ!」

 

はしゃぐ季衣が、一刀の手を掴んで走りだす。

 

「ちょっと季衣! もう、私達はお金をもってないでしょ」

 

呆れる流琉の言葉を聞いた秋蘭が、懐から財布を取り出すと、3人に見せる。

 

「私が出そう、華琳様からお前達の買い物代は預かっていてな。

 必要なものを買うといい」

 

「そ……そうなのか? それは有難い」

 

華琳に心から感謝をした一刀達は街中を練り歩いた。

 

そこで替えの服とか、最低限必要と思われる物を買って回る。

 

それで余ったお金は、おいしそうなお店を見つけては入っていく季衣の注文へと消えていった。

 

「街っておいしいものが多いねぇ!」

 

季衣が新たに買った点心入りの袋を抱えて、機嫌良く歩いていく。

 

「北郷……」

 

「すまん秋蘭。

 見てもわかるとおり、季衣はよく……よく食べるんだ」

 

「いやぁ、見ててこちらが気持ちいいほどだよ。

 実に幸せそうで私も満足さ。

 まぁ……華琳様が多めにお金を用意していただいて、そこは正直助かったがな?

 まさか姉者よりも食べるとは、些か驚いたよ」

 

そう言いながら秋蘭が苦笑している。

 

一刀も苦笑いしか返せないようで、流琉と手を繋ぎながら楽しそうな季衣の後をついていった。

 

「そういえば、そろそろ昼時になるな。

北郷や流琉達もどうだ? 私のお勧めの屋台が近くにあるが」

 

秋蘭に勧められた一刀たちは、秋蘭の言葉に甘えることにして屋台に入った。

 

季衣や流琉は直に注文をするが、一刀は中々決まらない。

 

__わかるメニューなんて、ほとんどないんだもの。

 

「……チャーハンを頼む」

 

「はいよ!」

 

仕方がないので、どうにか読める炒飯を注文した一刀だが、しばらくして出てきたチャーハンはマジで旨そうだった。

 

「「「うまい!!!」」」

 

日本のチャーハンとは違う味付けだが、食材の味がしっかりと出ている。

 

入っている海老なんて……ここから海は遠いのに、この新鮮さはなんなのだろうか。

 

季衣も流琉も味に満足しながら食べていると、背後の大通りが騒がしくなった。

 

「キャー!!」

 

突如、後ろの通りから女性の悲鳴が響いた。

 

「なんだ!?」

 

「……強盗だぞ!」

 

「こっちに来る!」

 

屋台の暖簾を手で上げて、声があがる方を見てみると……まだ距離はあるが、こちらに走ってくる2人組が見えた。

 

「北郷、ちょっと待っていろ」

 

視線を鋭くした秋蘭が席を立ち上がり、店を出ようとする。

 

季衣と流琉もついていくようだ。

 

「この街って、警備の仕組みはどうなっているんだ?」

 

一刀は気になったことを聞いてみたが、渋い返事が秋蘭から返ってくる。

 

「まだ、来ていないようだ。

 全く……少々たるみ過ぎだな」

 

そう一つため息をついて、賊が通るであろう方に向かって行ってしまった。

 

「なぁ兄ちゃん、あれは夏候淵将軍だな?」

 

1人になった一刀に、店主が身を乗りだして話しかけてくる。

 

 

「あぁ、そうだよ。

 ところでおやっさん、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ……」

 

 

 

「止まれ!」

 

秋蘭の威圧が含まれた声が辺りに響きわたる。

 

武人の気迫の篭った声にビビったのか、強盗達の足が止まった。

 

「なんだこのアマ! どきやがれ!」

 

強盗は相手が女だとわかると、振り切れると考えたのか秋蘭へ1人が殴りかかった。

 

だが、たかが毛の生えた素人の動きである。

 

「……フッ!」

 

いくら秋蘭が無手とはいえ、そこらの人間が一流の武人に敵うわけがない。

 

滑らかな動きで相手の攻撃を叩き落すと、強盗の腹に膝を入れ一撃で気絶させる。

 

あっさりと崩れ落ちる仲間に、もう一人から明らかに動揺が見て取れた。

 

その動揺を逃さず秋蘭は一気に走り寄ると、もう一人は慌てて奪ったものであろう荷物を投げつける。

 

「っむ!」

 

秋蘭がそれを落ち着いて横に飛んで避けるが、そこで一手の遅れが生じてしまった。

 

投げつけた男は周りの野次馬の中に飛び込もうとする。

 

「とりゃああ~~!」

 

「せい!!」

 

すると野次馬の中から飛び出した季衣と流琉が男に殴りかかり、すぐさま拘束した。

 

「……ふぅ。

よくやった季衣、流琉」

 

緊張を解いた秋蘭が2人を褒めて労う。

 

「えへへ」

 

「当然で”やめて!”!?」

 

3人とも安心したとき、野次馬の中から叫び声と泣き声が響いた。

 

「うわぁぁあ~~~ん! 痛い! 離ちてよ~!!」

 

まだ、言葉がろくに離せない子が突然の事態に泣き叫ぶ。

 

「私の子を放して!」

 

子供をとられた母親が男に縋るが、蹴り飛ばされていしまう。

 

「黙りやがれババァ! オメェもだよ、ガキ!」

 

「ヒィッ!」

 

容赦のない男の怒声に、子供が恐怖に凍りつく。

 

どうやらもう1人仲間がいたようだ。

 

「ちぃ! 油断した!」

 

秋蘭が直に動こうとするが、男の手が子供の首にかかる。

 

「近寄るんじゃねぇ! こいつがどうなってもいいのか!?」

 

「貴様ぁ!」

 

怒りで睨みつける秋蘭だが、その場に留まることしかできない。

 

「そうだぁ、そこから動くんじゃねぇぞ! ……おい! さっさと起きろ!」

 

男は子供を抱えたまま、倒れている男達に軽く蹴りを入れる。

 

「う、いてて。

 このくそアマが、邪魔しやがって……」

 

腹を抱えて起き上がる盗賊達。

 

「ったく、ほらさっさと拾え」

 

子供を抱えた男の言葉にせかされた男達が、散らばった盗品を拾い上げる。

 

散らばった盗品を見てみると、お金の他にも装飾品が多い、どうやら装飾店を襲った連中のようだ。

 

3人は子供を盾にしながら、殺気を放つ秋蘭から距離をとるようにじりじりとこの場を去ろうとしたが、ここで漸く街の警邏隊が到着した。

 

「動くな! 貴様らは既に包囲されているんだぞ! おとなしく投降しろ!」

 

警邏隊の責任者だろう壮年の男が声をあげる。

 

周りを見渡すと、街の警邏隊員が盗賊達を囲んでいた。

 

子供を人質にとった男達が、囲まれて身動きがとれないことに気づいて焦りだす。

 

ここで一つ当たり前のことを確認すると、人質を掴んでいる人間を追い込んではいけない。

 

「ちい! お前らこのガキが見えねえのか!」

 

男はいつの間にか刃物を掴んでおり、子供のか細い首に押し付けていた。

 

秋蘭は警邏隊に道を明けるよう指示すると、野次馬の一角が開いていく。

 

「へへ……追ってくんじゃねえぞ?!」

 

「……くそ」

 

秋蘭がその男達を睨むが、今はどうにもならない。

 

__せめて、一瞬でも隙ができれば……

 

3人は下卑た笑いを浮かべながら、この場を去ろうとするが、野次馬の中を縫うように何かが飛来する。

 

ヒュッ!

 

その飛来物は子供を掴む腕に突き刺さった。

 

「なん?! ぃいてええ!!」

 

痛みに叫ぶ音は、思わず子供を抱えていた手を離してしまう。

 

「あ! 馬鹿! ガキを放すんじゃ……」

 

男達がその事態に慌てるが、既に子供は男の手から離れて地に落ちており、飛び込んできた警邏隊に保護されている。

 

子供を諦めて男達は走りだそうとするが、もう遅過ぎる。

 

冷たく凍るような無表情故に機嫌の悪さがよくわかる秋蘭と、怒っているんだぞっていうのが丸わかりの季衣と流琉。

 

3人の男達は人相が変わるほどにボッコボコにされて御用となった。

 

顔の原型を失った男達を縛りあげ、連行していく警邏隊。

 

それを見届けた秋蘭たちは、ようやく屋台に戻ってこれた。

 

「待たせたな、北郷」

 

「お待たせ~、兄ちゃん」

 

「兄様、もう食べ終わっちゃいました?」

 

3人が元いた席に着いた。

 

「3人ともご苦労様。

 見事な捕物帳だったね」

 

「いや、油断をして人質を取られているのだから、むしろ情けないところを見せてしまったよ。

 ……そういえば先ほど男の手に刺さっていた小刀、いったい誰だったのだろうか?」

 

思い出したかのように疑問を口にした秋蘭に、恰幅のいい店の主人が反応する。

 

「あ、そりゃ将軍。

 この兄さんですよ」

 

店主が笑いながら北郷を菜箸で差す。

 

「……何?」

 

意味がわからず訝しがる秋蘭に、店主はさらに続ける。

 

「いやぁ、この兄さんが店にあった使い古しの小刀、貸してくれってんでお貸ししたんですが、野次馬で碌に見えないここから、いきなり小刀を投げたんでさぁ。

 あっしはいきなりのことで驚いたんですがね?

 こっからじゃ野次馬が壁のようでしたし……

 ですが何やら聞くところによると、それが人質にされた子供を放させたっていうじゃないですか~。

 いやぁ~! 見事なもの見させてもらいやしたぜ!」

 

かっかっかと笑う店主の言葉を耳に入れながら、秋蘭達が驚いた顔で北郷を凝視していた。

 

「兄様、凄いです!」

 

「兄ちゃんすご~い!」

 

「ありがとう」

 

言われた当の本人は困ったように頭を掻いているが……

 

___信じられん。

 

店主はこう軽く言っているが……弓を扱う者として、だ。

 

自分でも、弓があれば人ごみを縫って盗賊の腕に矢を当てることはできる。

 

だが手投げ用に重心を調節もしていない小刀で、人ごみを縫って同じことができるか?と問われると……上手くいくこともあるだろう、だが……

 

秋蘭は、隣でチャーハンの皿を片付ける青年の横顔を見る。

 

平然としながら食後のお茶を飲んでいるその姿はただの青年だ。

 

「……助かったぞ、北郷」

 

「いや、大したことはしていないよ。

 ……ところでさ、コレ食べたらもうちょっと街を案内してくれないか?

 後、城に帰ったらこの街の地図を見せて欲しいんだけど」

 

「? ……わかった。

 それ位ならば帰って直ぐに用意させよう」

 

そうして秋蘭達はもう冷めてしまったご飯に手を付け直そうとする、だが目の前がいきなり湯気に満たされた。

 

「ヘイ! お待ち!」

 

店主がごつい両腕を見せながら、秋蘭達に注文したものと同じメニューを新しく出してきた。

 

勿論、熱々だ。

 

「店主?」

 

秋蘭が上目で店主を見上げると、またかっかっかと快活な笑い声を上げた店主は気持ちのいいくらいの笑顔だ。

 

「この街が平和なのも将軍様たちがいてこそでさぁ! 是非受け取って下せえ!」

 

__店主……漢だぜ。

 

秋蘭達は店主に礼を述べると、あったかいご飯を受け取って大変満足する昼食の時間を過ごすことができた。

 

ちなみに、冷えたご飯は残さず季衣が食べたことは言うまでもない。

 

その後、城下町を一通り眺めた4人は城に戻り、各自の部屋に戻っていくのであった。

 

 

「ふぅ……結構疲れたなぁ」

 

ただ歩くくらいならば一刀が疲れることなどそうはないだろう。

 

だが今回はお金の価値や物価の確認、街の様子や、商人達からも色々な話を聞いていたため、少し気が疲れてしまったようだった。

 

用意された大型ベッドに、バフっと横たわって1つ間の抜けたあくびをする。

 

「ちょっと……寝ちゃおうか……」

 

__今日はもう用はないし、な。

 

明……日は……どうし、よう……か……

 

ボンヤリとし始めたそ頭の中で、取り留めのないことを考えながら、北郷一刀は眠るのだった。

 

 

 

 

 

 

そして、小一時間ほど経ったであろうか。

 

閉じられている扉が、静かに開いていく。

 

ギィ

 

「兄ちゃん? いる~?」

 

珍しく大人しめに季衣が扉を開けると、部屋の中には誰もいない。

 

「ん?」

 

季衣はてくてくと部屋に入っていくと、ベッドに沈むように一刀が寝ていることに気がついた。

 

「なぁんだ、もう寝ちゃったんだ~……ちぇ、これから遊ぼうと思ったのに……」

 

やすらかに寝ている一刀の寝顔を、体勢を乗り出して覗き見る。

 

「////……? どうしたんだろう、顔が熱いや」

 

わけがわからないと思いながら、しばらく一刀の寝顔を見ていた季衣だが……

 

ふと、何を思ったのだろうか?

 

季衣は一刀に寄り添おうと、柔らかな布団を捲って中に入っていく。

 

ちゃんと一刀の腕に抱き込まれるように調整した季衣は、一刀の胸に頭をぐいぐいと押し付けた。

 

一刀の匂いと温かさに包まれる季衣。

 

「///へへ~、兄~ちゃん」

 

 

とても幸せそうにはにかむ季衣は、久方ぶりの安心感に身を委ながら寝てしまうのだった。

 

 

 

その日の晩、秋蘭は華琳の部屋を訪れ、昼間に起きた事件を報告していた。

 

「……そう、そんなことがあったの」

 

「はい、華琳様」

 

華琳様が楽しそうに笑う。

 

「ねぇ秋蘭。

 私ね……管路の占いなんて信じていないの。

 貴方ならわかるでしょう?」

 

「そうですね。

 ですから、華琳様が落ちた流星を確認しにいくといった時は、正直驚きました」

 

「そうよね、実に私らしくないわ。

 ……でもね……」

 

「?」

 

不意に言葉を切った華琳が、眉根を寄せて思いつめたような表情に変わる。

 

「夢をね、見たの……」

 

「夢……ですか?」

 

秋蘭は彼女らしくない、なんとも要領を得ない声色で返す。

 

華琳は、曹孟徳は占いなど不確実なものを信じない。

 

それは夢だって同じはずだ。

 

何故?

 

「……橋玄様が、現われたの」

 

「きょ、橋玄様が!?」

 

驚く秋蘭を尻目に、華琳は言葉を続けていく。

 

「いつもの余裕な笑みをたたえて私にこう言うのよ。

 私のことを信じてくれるのなら、明日の流星を追いなさい、と。

 妙に現実感のある夢だったわ……

 でも、例えそれだって信じる私ではないでしょう?

 だけどね……次の日のまだ陽が上る少し前のこと、何故か目が覚めてしまった私は、窓の向こうが眩い光で明るくなったのを見て驚いたわ。

 ……本当に流星が落ちてくるのだもの」

 

「………………」

 

秋蘭は独白する華琳を見ながらも何も言えない。

 

「丁度、盗賊の報告も入っていたことだし、ついでに探しに行く程度ならばいいでしょう?」

 

「そう……ですね」

 

「そして、向かった村には彼等が居た。

 いきなり季衣に攻撃されたのには驚いたけれど……今思えば、それのおかげね。

 私達は彼等に気づけたのだもの」

 

確かに、村人は北郷一刀を庇い、隠している節があった。

 

「素晴らしい武を持つ季衣に流琉……そして北郷一刀……

 一刀は言ったわ、忠誠を得たいならば、それだけの器を見せろと」

 

「北郷は、そうは言っては……」

 

「言ったのよ、間違いなく。

 ”私”にね?

 この私にそんなことを言う人間がいるなんて思いもしなかった。

 正直、面白いと思ったわ。

 普段ならば頸を刎ねていてもおかしくないのにね」

 

そういうものなのか、恐らく2人にしか伝わらない事なのだろう。

 

「一刀はまだ……何かを隠しているわ」

 

「? ……それは一体どういう……」

 

「私の勘よ……証拠も疑惑も何もないわ。

 ただ、一刀はまだ何かがある、それを何故か確信してしまっているのよ。

 ふぅ……こんなことを言うようになるなんて、私はどうかしてしまったのかしら?」

 

ため息をつく華琳だが、静かに聞いている秋蘭はそう思えない、何故ならば……

 

「そのようなことはないでしょう」

 

「あら、どうして?」

 

「華琳様……笑っていますよ。

 少しだけ昔のように」

 

ハッとした華琳は隣の窓を覗き見る。

 

遠い月が朧雲にかかって綺麗だ。

 

「秋蘭……天下を獲るわよ」

 

「はい、華琳様」

 

そして秋蘭は華琳に手招かれて、閨の奥に入っていく。

 

 

__どうやら今日は、激しいことになりそうだ。

 

 

 

「兄様~! 起きてください!」

 

明朝、早起きが習慣であるしっかりものの流琉が、楽しそうに鼻歌を歌いながら一刀を起こすために部屋に入る。

 

するとそこには……

 

ガタンッ

 

「ん? その声は、流琉か?」

 

元気な声に目を覚ました一刀が、机に何かが当たったような物音を不審に思い、目をこすりながら体を起こそうとするが、何かが左腕にしがみついているようで極めて起き上げにくい。

 

まだ寝ぼけている頭を動かして左腕の方へ視線を向けると、結わいていない柔らかな桃色の髪が散らばっており、その中に埋もれている季衣の幸せそうな寝顔は、気持ちよさそうな寝息を立てていた。

 

__ん?

 

……季衣が…………俺と一緒に?

 

「……ぃさ……ま……」

 

掠れる声を聞いた一刀はハッとして頭を上げると、口を両手で覆う流琉が、顔を青くして震えていた。

 

「兄、さ……ま? うそ……ぐす、うわあああああああぁぁぁぁん!!!」

 

「待て流琉! 誤解だ! 俺は何もしていな……」

 

「ん~? 兄ちゃん? うるさいようぅぅ」

 

ようやく目をこすって起きだした季衣に、一刀は慌てて腕を離させる。

 

「よしっ! 目ぇ覚めたな! さ~ぁ季衣! 事情をだな! わかりやすく、簡潔に流琉に伝えてくれ!」

 

「ん~? ……にゃぁ?」

 

どうやら季衣もまだ寝起きで頭が働いていないようだ。

 

すると、外の廊下から地響きのような低く思い音が聞こえてくる。

 

ドドドド……

 

「何があった!? 北郷!」

 

慌てる春蘭が、大声をあげ勢いそのまま部屋へ乱入してくる。

 

__ちょ、ちょっと待ってぇぇぇええええ! 今入られると!!?

 

飛び込むように部屋に入ってきた春蘭は、ポカンとした表情でその惨状を目の当たりにすると、しばらくは呆然としていたが……みるみると顔が赤くなっていく。

 

照れなどではない、怒りによる紅潮だ。

 

「北郷……私はお前をかっていたのだがな……」

 

俯き沈む春蘭は腹の底から引き出した重い声で、黒く大きな大剣をスラリと取り出す。

 

__っどこから剣が?! 俺丸腰なんですけど!? せめて申し開きを!

 

どうにかして言葉を紡ごうとする一刀だったが、春蘭の猛獣の如き瞳と目が合うと、身が竦んでしまう。

 

「……残念だ」

 

__駄目? 駄目なのか! あ……駄目だね。

 

既に鬼の形相で大剣を振りかぶっている体勢の春蘭を見て、一刀は和解を諦めた。

 

「おわああああぁぁぁああああぁぁぁ!!!」

 

 

一刀の叫び声で起きた城の人間は、3割を超えました。

 

 

 

「全く、朝早くから随分と騒がしてくれたわね?」

 

朝議に呼ばれた一刀達は開口一番に華琳から怒られた。

 

「スマン……」

 

「申し訳ありませんでした、華琳様」

 

殴りながらもようやく誤解が解けた春蘭とタンコブが出来た一刀は、2人で仲良く頭を下げて謝っていた。

 

「まぁいいでしょう。

 それじゃあ、朝議に行くわよ? 一刀はこれに着替えてからついてきて頂戴」

 

華琳から手渡されたのはいわゆる親衛隊の戦闘服で、鎧に合わせて人相を隠すように兜も用意されていた。

 

そして大勢の文官武官が揃った朝議が始まる。

 

華琳が仕切る朝議は、実に速やかに且つ整然と行われた。

 

なんとか自分の手柄をほのめかそうと話し出す文官達の言葉を上手く遮り、実質的な情報を揃えていく。

 

朝から清清しいほどの凛とした声に、場が無理矢理に引き締まっていくのがわかった。

 

「もう他に議案はないわね。

 さて、疑問に思っているものも少なくないでしょう?

2人とも前に出なさい、皆に紹介するわ」

 

呼ばれた季衣と流琉は緊張しながら華琳が座る方へ、つまり上座へと移動し、親衛隊が立っている前で立ち止まる。

 

「この者達は、今度から私達の陣営に加わることになった者達よ。

 そして、この2名を曹孟徳の親衛隊隊長に任命するわ!」

 

これは異例の大抜擢ともいえるだろう、いきなりの幹部職、更には自身の身辺警護なのだ。

 

「曹操様、いきなりで親衛隊の隊長に任ずるというのですか?

 しかもそのような子供を……」

 

1人の厳つい武官が意義を申し立てる。

 

「それは大丈夫だ」

 

それに関しては秋蘭が反論をした。

 

「彼女達の力は私や姉者が保障しよう。

 2人ともまだまだ荒削りなところはあるが、まず間違いなく私達の隊の者でも、彼女達に勝てるものはいない」

 

「……そう、ですか。

お二方がそうおっしゃるのであれば……」

 

武官は秋蘭からそう言われると渋々と席につく。

 

すると、今度はいかにも文官の風貌しているのだが、やたら卑屈そうな顔をした男が意見を述べる。

 

「ですが、いきなり幹部職を与えるのですか?」

 

「そうよ、私がそれだけの能力を持っていると判断した、それに親衛隊ならば私の一存のはずよ。

 彼女達にもし至らないところがあるならば、それは全てこの曹孟徳の任命責任に値することである。

 ……その際は私に報告せよ」

 

「そ、そうでございますか。

 いえ、曹操様がそれほどおっしゃるようであれば、私は何も言うことはありませぬ」

 

そういってその文官もおずおずと引き下がった。

 

「もう意見はないか? それではこれにて解散、としたいところだが、私から諸君らに一つだけ問いたい事がある。

 この中に管路という占い師の噂を知っている者はいるか? 天の御遣いについての話だ。

 ……卿らはどう思う?」

 

華琳の問いに、先ほどよりも断然大きなざわめきが起きた。

 

「あのような事を信じておられるのですか?

 天下に平和をもたらすなどと……」

 

慌てて聞きなおす者もいるが、他の何人かの文官達も”天の御遣いとはなんだ?””曹操様は一体どうしたのだ””なんのお考えで……“と、様々な意見が口々に述べられていく。

 

その中で、一刀達が一際気になる言葉が紛れていた。

 

「世が乱れてもいないのに、天の御遣いもなにもなかろう」

 

一刀は顔を動かさず、目線だけをそちらへと動かした。

 

一見平凡そうな文官だ。

 

だが、その一言は聞き捨てならない。

 

よく聞いていると、この場の3分の1ほどのものが同じようなことを話していた。

 

一刀は華琳達の後ろに控えているのでよくは見えないのだが、曹操から平然とした表情の中に激情が伺える。

 

型と首の筋組織が僅かだが、硬直しているのがわかった。

 

更に視線をずらしていくと、連中の談義に春蘭が今にもキレそうになっている、どうやら秋蘭によって机の下で止められているようだ。

 

視界にも入れたくないという桂花のその態度には、実に賛成したい。

 

ッギリ

 

先ほど紹介された季衣と流琉は、いつの間にか一刀の後ろにそっと回して隠している。

 

後ろから聞こえる歯軋り音から察するに、かなりご機嫌斜めの御様子だ。

 

「そこまで! 諸君らの意見はよくわかったわ。

 これにて朝議を解散する……皆、御苦労であった」

 

華琳の鶴の一声でその場はあっという間に治まり、議場からぞろぞろと武官文官が出て行く。

 

そして場に残ったのは一刀達と華琳達だけとなった。

 

「……見苦しいところを見せたわね」

 

椅子に深く腰をかける華琳から虚しい声が響く。

 

「色々と苦労が多いんだな」

 

「そういわないでくれ北郷、あの中の大半を華琳様は信用してなどおらん。

 ……互いにな」

 

秋蘭がため息をついて一刀へ近寄り、そっと説明する。

 

「兄ちゃん! あいつらムカつくよ!」

 

「兄様!!」

 

季衣と流琉がムッカ~~と頬を膨らまして一刀へ迫ってくる。

 

「まぁそう怒るな、2人とも」

 

困った一刀は2人の頭を撫でて落ち着かせていく。

 

どうやら多少は気が紛れたようだが、納得のいかない顔までは全くもってどうしようもない、一刀も腹が立っているのだから。

 

一刀は秋蘭に2人を預けると、不機嫌な睨みを利かせている桂花へ近寄る。

 

「……何よ。

 そこから一歩でも近寄らないでくれる?

 妊娠しちゃうでしょ?」

 

相変わらずな対応だが仕方がない、一刀はとにかく無視して話しかけることにした。

 

「ちょっと資料室まで、桂花についてきて欲しくてさ」

 

「はぁ!?

 なんで私があんたなんかと?!」

 

「桂花。

 ちょっと一刀と資料室にいって、街の資料を取ってきてもらえないかしら?

 必要な資料は一刀に伝えておいてあるから」

 

「か、華琳様! そんな!

 私こんなや”よろしく頼んだわよ?”……ハイ」

 

華琳に頼まれた桂花は諦めたのか、スクッと立ち上がり1人でそそくさと歩きだした。

 

一刀は置いていかれないように後についていって、気まずい儀場を後にした。

 

てくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてく

 

てくてくてくてくてくてく

 

てくてくてく

 

てく……

 

__沈黙が痛い、予想していたとはいえ……

 

汗を流しながら、一刀はどうにかコンタクトを取ろうと試みる。

 

「……桂花」

 

「何!? っていうか私の真名を呼ぶんじゃないわよ!」

 

思わず体を引いてしまいそうなほどな桂花の剣幕に、流石の一刀もしどろもどろになってしまう。

 

「え……あ、いや……」

 

「華琳様がいるところでは、し・か・た・な・く! 呼んでもいいけれど!

 他のところでなれなれしく呼ばれたらほんと迷惑だわ!」

 

怒り肩でズンズンと歩いていく桂花。

 

__男嫌いなんてもんじゃなくないか? コレ。

 

「……そういえば荀彧、朝に気になったんだけどさ。

 部屋に備え付けてある、窓の鈴は一体何なんだい?」

 

「そんなこともわからないの? 愚図ね。

 アレは夜間に侵入者が入ってきた時に気づくためにあるのよ」

 

「……へぇ、音色はどうなんだい?」

 

一刀の言葉を聞いて、怒った桂花が勢いよく振り向く。

 

「あんた何言ってんの?! そんなこと考えて……る、まあいいわ。

 華琳様に頼まれたんですもの、いちいち面倒だけれど答えてあげるわよ。

 音色はお世辞にもよくないわね、しかもちょっと鳴りすぎよ」

 

桂花は、一刀が何を言いたいのか気づいたのかまた元のように歩き出す。

 

「そうかぁ、その鈴の仕掛けはどの部屋もしてあるのか?」

 

「そうね、まぁ流石に全部の部屋って訳じゃないけれど、城の主要な人物の部屋にはたくさん付いているわ。

 ちゃんと季衣や流琉の部屋にもすぐに付けたわよ」

 

__ふ~ん、なるほど……ね。

 

「へえ、そういうのってどこで注文したらいいんだい?

 お城から頼んでいるんだから、腕がいい職人なんだろう?」

 

「そうでもないのよ。

 その職人はこの辺りで老舗ってだけでね、そこの棟梁は金物を作るより人付き合いでそこまできたようなものだし」

 

「人付き合いかぁ……でもそんなんでどうやって面子を保っているんだい?」

 

桂花は深い一つため息を吐く。

 

「あまり大きな声では言えないけれどね、人の手柄を自分のもののように表に出してるって話よ。

 弟子の方には、それはそれは素晴らしく腕の立つ人がいるの」

 

「それはひどいなぁ、弟子はなんで独り立ちしないんだい?」

 

「人付き合いが上手いっていったでしょ?

 そういう業界で取って代わるためには、大義名分がいるんじゃないのかしら?

 ……そういえば、春蘭の部屋の鈴は少しの風で、あんまりにも鳴りすぎて煩いって言っていたわ。

 今度付き返してやるんだって」

 

「はは、春蘭なら実際やっちゃいそうだな。

 そっかそっかぁ、でもその棟梁もそろそろ御年なんじゃないのかい?

 引退とかは考えてないの?」

 

「全然無いみたいね、だからその弟子がどうでるのかが、ホント楽しみ。

 ……さ、着いたわよ」

 

桂花が扉を開けると、そこは資料室だった。

 

2人は冷たい空気に触れる部屋へ入り、桂花に頼んでいくつか資料を出してもらった。

 

この間ずっと会話はなかったが、それでも桂花は頼んだものを手早く取り揃えてくれる。

 

「……これで何をするのよ?」

 

「ちょっと気になったことがあったんでね。

 調べてみようかと」

 

「まぁいいわ興味ないし、使った資料はちゃんと元の場所に戻しておきなさいよ」

 

桂花はもう一刀に用は無いというふうに、そそくさと部屋を出て行こうとする。

 

一刀は机の資料を捲りながら、最後に聞きたいことを問うた。

 

「そういえばさ、さっきの弟子はどうすると思う? やはり独立なのかな?」

 

「……近いうちよ」

 

 

バタン

 

 

 

「天の御遣いだと?」

 

「は、さようで。

 あの小娘も何を血迷っているのだか……」

 

淀んだ場から蔑んだ笑いが起きる。

 

「仮に、天下が乱れるときにこそ! 天が現れるというものだ、こんなにも我々に住みよい世の中だというのに、乱れているなどとはとんでもない噂でございますな」

 

「だが、愚民共はそんな事など関係無しに、崇めるかもしれませんなぁ」

 

「……もうよい、そのような些事は捨て置け。

 それよりあの金髪小娘が煩くなって来ておるのぅ、何かよい案はないものか?

 この間など隣の街にまでちょっかいを出しに行くとは、なんとも無作法じゃ。

 村の1つや2つ放っておけばいいものを……

 隣のやつに厄介なのを連れてくるなと、わしが言われてしもうたわ」

 

「全くもってその通りですな。

 わざわざ兵を使ってまでなどと、何を考えているのか……その上、賊はいなかったというではないか」

 

場の連中は次々に愚痴としかとれないようなことを、口汚く述べ合っていく。

 

「まあ良い、お主らはこれからもしっかりと見張っておくのじゃ。

 後、速めに腕を削ぐ準備だけはしておけ?

 あの姉妹は何かと厄介だ。

 ……ところで新しく入ったという2人はどうなんじゃ?」

 

「あの子達ですか?

 私はチラとみましたが……あれは子供ですよ、しかも女。

 曹そ……いえ、小娘も何を血迷っておるのだか、私には計りかねますな」

 

「ふむ、そうか、ならば良い。

 お主らは奴等を排斥できる案を考えよ。

 その暁には、あの小娘達を慰めてやるとよい……好きなようにな」

 

 

””””わっはっはっはっは””””

 

 

 

一刀は資料を部屋に持って帰り、机に腰掛けながらつらつらと眺めていると、部屋の中に誰かが入ってきた。

 

「……にいさま……」

 

「ん? 流琉か、どうしたの?」

 

流琉は顔を赤らめてもじもじしている、一体どうしたのか?

 

「その、今朝のこと……私、勘違いしちゃってごめんなさい」

 

不安気な表情で流琉は丁寧に頭を下げる。

 

一刀はいきなり頭を下げる流琉に、むしろ何事かと慌てて記憶を手繰る。

 

「今朝? ……あぁ! 別に気にしていないよ。

 ってか流琉、頭を上げてこっちにきな?」

 

すまなそうな表情の流琉を、おいでと手招きする。

 

「///ありがとうございます! ……兄様? あの、何をしているんですか?」

 

嬉しそうに流琉が一刀へ近寄ると、手に持っている書簡を覗き見る。

 

「あぁ、街の資料だよ。

 ただちょっと文字が読めなくてね、よくわからないところも多くて困ってたんだ」

 

「字ですか? 私出来ますよ?」

 

「え!? そうなの?」

 

この時代、言っては悪いが地方の村どころか、街でも識字率は高くないのではないだろうか?

 

「えぇ、季衣も読み書きならできますよ?」

 

「き、季衣もか? 意外だなぁ」

 

「………………」

 

一刀の驚きの言葉に、流琉が何か考え込んでしまった。

 

「どうした流琉?」

 

突然流琉が頭を上げると、一刀の胸に飛び込む。

 

「流琉?」

 

心配した一刀が呼んでも、胸に額をぎゅっと押し付けて離さない。

 

「兄様、今から言うことは、あまり人に言っては…………イヤ、ですよ?」

 

深刻な声に気づいた一刀は、流琉をそっと抱き上げる。

 

「私の父様と……母様……元々は漢王朝に仕えていた、役人だったんです……」

 

「……………………」

 

「季衣の父様と母様も……仕事仲間だったのだそうです。

 でも、私達の両親は都での、腐敗した人間関係に嫌気がさして、その……詳しくは知らないのですけれど色々あったみたいで、都から地方へと飛んだらしいのですが……父達を気に入らないと考えていた人達が、それを機に……始末しようと追手を差し向けたらしいんです」

 

崩れそうな流琉。

 

一刀は壊れ物を扱うよう気をつけて、でもしっかりと抱きしめた。

 

流琉の髪から優しい木々の匂いがする。

 

「それで、逃げるように辿り着いたのがあの村だったんです。

 ……村の人達も初めは戸惑ったそうなのですが、迎えいれて下さり、匿ってくれたんです」

 

流琉の細い肩が徐々に震えてきた。

 

「そこで……私達が、生まれたんです。

 私達、は……父、様達に……武術を教えられ……て、きび……グ……しく、ング……て、母……さ、まは、文字を……村、の……グス……ひ、と……おしえ……て、ング……」

 

「……もういいよ、流琉。

 村の人達が言っていた。

 流琉達が泣いたところは、見たことないんだって」

 

「ぐ……父様が、皆の……役に……立てる、ように…………って、だからっ!」

 

「もういい、ここには俺しか、いないから」

 

「んぐっ……に、い…………うわああぁぁあぁぁぁぁぁぁああああああん!!」

 

泣き叫ぶ流琉。

 

__流琉がこうまで感情的なのは、珍しい。

 

だが、これが普通のはずなんだ。

 

普通、なんだよな。

 

目を瞑った一刀は何も言わずにずっと……流琉が泣き止むまで、不規則に震える背を撫でながら抱き続けていた。

 

「寝ちゃったか……」

 

胸の中で泣きつかれた流琉が、スゥスゥと規則正しい寝息を立てながら、軽い体重を預けている。

 

机の資料を広げたまま、一刀は流琉を抱き上げて自分の布団へ寝かせようとするが……

 

「……う、ぅんん……う……」

 

一刀の服を掴んで放しそうにない流琉。

 

__かわいいんだけど、さ……ここでそうすると、な?

 

「兄……さ、まぁ……ぃ……」

 

__ええい! ままよ!! 明日の事は明日の俺に任した!

 

そうやって一刀は、ちと格好の悪い決意をして、一緒の布団で抱き合うようにして眠るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「北郷ぉぉぉおおおおおおお~~~~~~!!!!!」

 

「誤解なんだぁぁぁああああああ!!!!!!」

 

「…………フフ」

 

__これから、賑やかになるわね。

 

 

 

どうもamagasaです。

 

休日も終わるためちょっと長めの投稿です。(普段大体8000~1万を目指しています)

 

御支援・コメント・応援メッセージ、ありがとうございます!

 

もう~朝起きてパソコンを見るのが楽しみです(投稿してからはドキドキなんですが……)

 

 

 

今回は華琳様の現在の実情を踏まえた話になっています、わかりにくいですかね?(特に桂花との会話)

 

魏・呉・蜀が発足する以前の、組織の下準備の段階なのですが、はじめから下地が完成していると一刀君も活躍しにくいので、欠点があるように書いています。

 

そして次の話からですが、完全なオリ話になっています。

多分予想ではちょっと長くなります。

あまり重要ではないですがオリキャラ? も出ます。

 

あぁ、うまくまとまればいいなぁ。

 

 

 

何か作品に関して御意見・感想、御支援があればどのような方法でもかまいませんので、御寄せ下さい。

 

お待ちしております!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一言

 

今日のちび○子を見て、久方振りに幽○白書が読みたくなりました。

 

 


 
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