一刀が日課の鍛錬をこなし、日陰で寝そべっているときだった。
華琳「なにをしているのかしら?」
頭の上から声がした。
一刀「日課の鍛錬が終わったから休んでるんだけど・・・(白か・・・)」
華琳「天の国では人と話すときには寝そべるものなのね」
一刀「うっ・・・、すまん」
体を起こし、そのまま胡坐をかくと目の前に華琳の白いふとももがあり、
目を奪われてしまう。
一刀「・・・(おお!!/////)」
華琳「・・・」
華琳「人の下着をみて、さらに足を凝視するような不届きものは首を刎ねても構わないわよね?」
華琳が笑顔で愛鎌"絶"を手にする。
一刀「!! す、すみません(今どっからだしたんだ?)」
<シュバッ!>
華琳の怒気に怯えて見事な速さで正座する。
華琳「はぁ、まぁいいわ。 で何をしていたの」
一刀「ん。 鍛錬後の休憩だったんだけど」
華琳「鍛錬ねぇ・・・、役に立つの?」
華琳の馬鹿にしたような言葉に一刀が少し反発して応える。
一刀「別にいいだろ、鍛錬ぐらい」
華琳「・・・、はぁ・・・」
華琳は呆れたように深くため息をつく。
華琳「もう一度聞くわ。 北郷、その鍛錬"この私"の役に立つの?」
一刀「えっ・・・?」
華琳「あなたのその武は、私の覇道の役に立つのか聞いているの」
一刀「(華琳の覇道・・・、今の俺にはそんな力はない)」
一刀「今はまだ・・・、でもそのうち必ずっ!!」
華琳「そのいつ来るかもわからない時を待てというの?」
一刀「・・・」
華琳「あなたは"いつ"私の役にたってくれるというの?」
一刀「!!」
華琳の言葉で一刀が華琳の真意に気付く。
一刀「できることからやれってことか・・・」
悩み始めた一刀を残し、華琳は立ち去ろうとする。
一刀「あっ! 華琳」
華琳「?」
振り返り首を傾げる華琳に、一刀が笑顔で言う。
一刀「ありがとうな」
華琳「//////」
華琳「ふ、ふんっ! せいぜい頑張りなさい!」
華琳は頬を真っ赤にしながらその場を立ち去っていった。
一刀「よしっ! 何か俺にもできることがないか誰かに聞いてみよう」
華琳「ばか/// あんな笑顔見せられたら・・・」
柱の影で真っ赤な顔を誰にも見られないようにしながら、華琳が呟いていた。
数日後~~~~~~~~~~
華琳「そういえば・・・」
華琳「ねぇ、秋蘭。 北郷が何か言って来なかったかしら」
秋蘭「・・・、数日前に何か仕事がないか聞かれましたが」
秋蘭「文字が読めぬとのことでしたので仕事よりもそちらを覚えるのが先かと思ったのですが・・・」
言いよどむ秋蘭を怪訝に思い問いかける。
華琳「なにかあったの? (なにか忘れているような…)・・・あっ!!」
華琳が元の歴史のときのことを思い出し声を上げる。
秋蘭「? どうされましたか?」
華琳「い、いいえ。 なんでもないわ」
華琳「それで?」
秋蘭「それが…」
華琳「アイツはっ・・・! なんでっ!」
華琳「なんでアイツは・・・、"違う"のにっ! "同じ"なのよっ!!」
秋蘭の話を聞いた華琳は記憶はないハズなのに、
元の歴史と同じ行動をする一刀に苛立ちながら書庫へ向かっていった。
一刀が倉庫の手伝いをしていると、
倉庫に曹操の声が響く。
華琳「かーずーとーーーーーっ!!!!」
一刀「どわぁぁぁぁぁっ!!」
<ドタタタツ!!>
書簡を運んでいた一刀が驚いて床にぶちまける。
華琳「北郷一刀はいるわね!!」
文官「曹操様!」
文官「いかがなさいましたか!?」
床を踏み鳴らす足音とともに華琳が姿を現す。
一刀「あちゃー…、って華琳じゃないか。 どうしたんだ?」
華琳「ちょっと来なさい!」
一刀「いやでも、俺、書庫の整理の手伝いを…」
華琳「良いから来なさい!」
そう言って一刀の耳を引っ張って外に連れ出す。
一刀「痛っ! 痛いって! あ、マジで耳が取れるっ!? 取れるって! 華琳様っ!!」
連れられてきたのは街が見渡せる城壁の上。
華琳「何が見える?」
一刀「…、街と……、人…」
華琳「それを狙って、戦が起きる」
一刀「…」
華琳「豊かな街があり、そこを制する力があれば、制した者は一生楽に暮らせるでしょうね」
一刀「…、そうだよな。 この時代は"そう"なんだよな…」
あらためて元の世界…、いや自分の周りがどれだけ平和だったのか考える。
一刀「でもこの街は人が笑って暮らしてる」
華琳「何故か分かる?」
一刀「華琳が王として、国を守っているから…だろう?」
華琳「民とは弱いものよ。 国とはそこで暮らす民の盾となり矛となるべきもの」
華琳「代わりに労働力や資金を提供してもらって国は存在する」
一刀「税か…」
華琳「私の服も、食事も、この城さえも彼らの血と命で成り立っているのよ」
華琳「もちろんそれは、あなたも同じ」
一刀「っ!!」
華琳「私が怒る理由がわかったかしら?」
一刀「ああっ…!!」
華琳「あなたは、何故書庫の整理を手伝おうと思ったの?」
一刀「秋蘭に言われて気付いたんだけど、俺読み書きができなくってさ」
華琳「そのようね」
一刀「誰か教えてくれる人を探そうと思ったときに書庫の整理で人手がいるって聞いたから」
一刀「手伝う代わりに仕事が終わったら読み書きを教えてもらう約束をしたんだ」
一刀「読み書きができるようになれば、華琳や秋蘭の手伝いも少しはできると思って」
華琳「…その心がけに免じてもう一つ理由を教えてあげるわ」
一刀「もう一つ?」
華琳「先日、他国の役人をしていた一団が、この国に入って来たと報告があったわ」
華琳「彼らを働かせてみて使えるようならそのまま文官にしようと思っていたの」
一刀「!! じゃあ、俺もしかしてその人達の仕事を…」
華琳「奪ったことになるわね」
華琳「さらにこの国に優秀な文官が入る可能性も潰したことになる」
一刀「!!」
一刀「俺、大変なことしちゃったんだな…」
落ち込む一刀を見て華琳が付け加える。
華琳「まぁ、文官の件は秋蘭が別の手段を講じてくれているから、安心なさい」
一刀「そ、そうなのか? よかった…」
一刀「秋蘭は俺が手伝った後のことを考えてくれたんだな」
華琳「当然よ。 秋蘭だもの」
一刀「(秋蘭は本当に華琳に信頼されてるんだな…)」
一刀「(秋蘭レベルにならないと華琳の役には立てないって事か)」
華琳「見なさい、北郷」
華琳「国とは民。 民とは宝。 私たちが守り、慈しむべき大切な宝」
一刀「ああ」
華琳「その宝を守るためにはどうしたらいいかしら?」
一刀「強い国になる。 飢饉にも、盗賊にも、他国の侵略だろうと負けない国に」
華琳「ええ。 戦う相手がいなくなるまで戦えば怯えることはなくなる」
華琳「優秀な者が揃えば、飢饉だって防ぐこともできるでしょう」
一刀「戦わずみんな仲良く…、なんてできないよな」
一刀「できるなら強くなる必要なんてない」
華琳「そう。 そんな綺麗事の理想で生きていけるなら」
華琳「この世はさぞかし平和でしょうね」
一刀「…」
華琳「強い国を作るためにはどうしたらいいかしら?」
一刀「優秀な指導者…、武器、食料、資金…」
一刀「それを集めるための豊かな国…」
華琳「豊かな国とは?」
一刀「人が多くなって土地が豊かになれば食料とか資金とかが手に入る」
一刀「その人を増やすためには…」
華琳「…」
華琳は黙って悩む一刀を見つめる。
一刀「安心して住める平和な国になれば他の土地からも人が来る!」
華琳「血税とは民衆の祈りよ。 豊かで大きく平和な国を…と」
華琳「その祈りに生かされている私たちに歩みを止めることなど許されない」
一刀「ああっ!」
華琳「書庫の整理とかその程度の仕事で満足するようならこの城から放りだすわよ」
一刀「ああ。 期待に答えてみせるさ! 華琳とみんなの」
華琳「では書庫の整理は…」
一刀「最後までやらせてくれっ!」
一刀「引き受けちゃったし、やっぱり読み書きできなきゃ話にならない」
華琳「あたりまえよ」
一刀「じゃあ、行って来る!」
そう言うと一刀は書庫に向かって走り出す。
が、ふと振り返り笑顔で華琳に叫ぶ。
一刀「俺、華琳に拾ってもらえて良かったよ。 ありがとな!」
一刀が去ったあと、華琳は1人城壁に立ち物思いに耽っていた。
華琳「そういえば、この間頭痛がおきていたようだけど」
華琳「以前の一刀は不調になると数日意識を失っていたハズ・・・」
華琳「もしかして、"アレ"とは別なのかしら…」
華琳「っ! くくくっ」
無意識に一刀を心配する自分に気付き、
普段は絶対にしないような自嘲気味た笑いを溢す。
華琳「私の一刀じゃない・・・、そう思っていたのに」
華琳「私はアイツが消えることを心配してる・・・」
華琳「一刀・・・・・・、私は・・・」
あとがき的な
おおお…orz
なんちゅう更新の遅さっ!!!
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
やっとRe:TAKE 第7-3話 でした。
いろいろありました…orz
書いても気に入らなかったり、
書く気も起きなかったり、
書く時間もなかったり…。
そんなこんなでやっと投稿にこぎつけられました。
華琳様の拠点ですが…、デレなしっ!!!
あはは(゚∀゚)
第7話にしても春蘭と秋蘭もデレなかったし。
しかも秋蘭はなんか腹黒というか…(笑)
更新しなかった間、
いろんな人の作品を読ませてもらいましたが、
もっと文章力というか、表現豊かになりたいな切実に思います。
言葉にできないのは歯痒いものがありますな~(´・ω・`)
次は、盗賊退治です。
今回のように更新期間が空かないよう頑張りますので、
また読んで頂ければうれしいです。
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Re:TAKE 第7-3話です。
今回は華琳様です。
読んで頂ければ幸いです。