~真・恋姫✝無双 魏after to after~三国に咲く、笑顔の花 序章
――とある場所にて。
「・・・・・・」
「どうしたのだ――」
「行くわよ」
彼女は突然そう言った。こういったことには慣れているとはいえ、唐突にこんなことを言われてしまったら、反応してしまうのは仕方がない。
「いきなり何を言ってるの?」
「だから、洛陽に・・・魏に遊びに行くって言ってるの!――も行きたいでしょ?」
「ふむ、・・・そうじゃな」
「でしょ♪」
「今度は何を考えてるの、――?」
「別に大したことじゃないわよ?ただ、御遣い君に会って話がしてみたいの」
「ああ、そういうことじゃったか。――殿が何故儂を誘ったのか合点がいったの・・・――、駄目かの?」
「・・・・・・――様、如何でしょうか?」
話題を振られた少女は、ため息交じりでそれを肯定する。
「お姉様の目がああなったら・・・――、貴女は止められる?」
「不可能ですね。わかりました、人選は私がしておきます。――」
「はわっ、何でしょうか?」
「今から旨を書くから、それを洛陽に届けに行ってくれないか?」
「了解しました!」
――騒がしくも、賑やかな花を咲かせる嵐の種が蒔かれた。
――時を同じくして。
「――ちゃん私、華琳さんのとこに遊びに行きたいな♪」
「――様、何を突然仰られるのですか!?」
「――よ、私は――様に賛成だ。一刀殿にも会いたいしな」
一刀の名前に一人の少女がピクンと反応する。
「――、――も行く」
「――殿!?」
「――様、ワシも是非」
「はい、皆で行きましょう!」
「あわわ、流石にそれは無理です。――ちゃんと――さんと相談してこちらで人選いたしましゅ・・・あう、噛みました」
「はわ、お任せ下さい」
「そっか・・・仕方ないよね。うん、お願いするね――ちゃん♪」
「――様ぁ・・・」
一人の少女ががくんと項垂れる。それを慰めるかのように、一人の女性が肩に手を置く。
「――ちゃん、――様がああなったら誰にも止められないわ」
暗に諦めるしかないという副音声が、少女には聞こえた気がしていた。
――もう一つの種が地に蒔かれた。
――同日、夜
場所は洛陽の城壁。
「・・・貴女達がここに来たということは、〝彼ら〟が動き始めたのね」
「正確に言うなら、〝彼一人〟よん」
「あやつは、渋々といったところかのう」
「どちらでも関係ないわ。――の命を奪おうというなら、殺すだけよ」
「変わったわね、――ちゃん」
「そうじゃな、外史の否定者であったお主がこうなるとは・・・考えてもおらんかったわ」
「――やこの国の皆が変えてくれたの・・・・・・二人とも、教えてくれてありがとう」
「何か変化があったらまた知らせるわん♥」
「ではこれにて」
そう言った後、城壁には彼女以外の誰の姿もなかった。
「――は守る。この私を、あんなにも愛してくれた・・・ただ一人のお方なのだがら。・・・・・・でも、私の事を知ったら、嫌われるでしょうね・・・。やだな・・・」
雲に隠れた月が少女を照らす。
月明かりに照らせれたその顔は――。
――こことは違う、どこか遠く・・・そして近い場所。
「――・・・・・・ようやく貴様を殺すことが出来る。このふざけた外史も、ようやく終わらせられる」
「――、この外史は・・・既に正史とは切り離され、――を始末したとしても、意味はありませんよ。〝あの方〟が、あの外史を肯定されてる以上は・・・」
「奴を殺したところで終端には至らない・・・か?――よ、正直を言うのであればな・・・終端を迎えることなど、最早どうでもいいのだ。――を殺す・・・俺に残されたのは、それだけなのだからな」
言って、青年はその場から姿を消した。残されたもう一人の青年の方はというと、憂いの表情を浮かべている。
「――の傍には、彼女がいる。かつて、貴方と同じ否定者であった彼女が・・・」
青年が手をかざすと、一人の少女がとある青年の隣で笑顔を浮かべている。
それは、彼女をよく知る彼でさえ知らない、幸せに満ちた笑顔をしていた。
「・・・・・・終わりに至るべき外史に、彼は自身のいた世界と繋がりを断ってまで命を・・・未来を吹き込んだ」
「あらん?浮かない顔をしてるわねん」
「貴女でしたか・・・――は、幾らなんでも彼に囚われすぎだと、私は思うのです。ですが、言ったところで彼が言うことを聞く筈もない」
「確かに・・・・・・でもねん、ご主人様なら何とかしてくれるわよん」
「流石に、一時期とはいえ――の傍にいて彼を見てきただけの事はありますね・・・・・・」
「行くの?」
「私はあくまでも――の味方なので」
青年もまた姿を消す。
残されたのは、三つ編みの暑苦しい筋肉達磨ただ一人。
――だったはずなのだが、気配は未だに二つあった。
「今の彼の縁を断つことなど、出来はしまい、――もいるのだからな」
「ここにくるなんて珍しいわね?」
「・・・・・・――、万が一の時は――と共にあの二人を止めなさい」
「わかってるわよ・・・それじゃあね、許子将ちゃん」
マッチョもその場から姿を消す。
残ったのは、一刀をあの外史に再び導いた許子将だけ。
ただ一人、静かな空間の中である映像を見つめる。
――彼女が見たものが何なのかはわからない。だけど、その表情はとても優しかった。
~あとがき~
ええっと・・・この物語、一応続きます。恋姫ファンの皆様には、名前を伏せて置くことにあまり意味はないかもしれませんが、物語の演出というか作者である私の好みというか・・・
話しは変わって、本編ですが・・・ええ、〝あの二人〟をだします。ですが、あのホモは今回乗り気ではありません・・・・というよりも、もう一人の方の完全な独断です。
・・・不安がたくさんあるのですが、皆さんのコメントなどを励みにして頑張りますので変わらず読んで頂けると嬉しい限りです。
現在、違う作品(こちらは、このシリーズより長編になる予定なのですが)を書いています。
そちらも並行して投稿しようかと思っていますがまだまだそちらの方は未定です。
では、一先ずこの辺で失礼を――。
Kanadeでした。
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この作品、名前が伏せられてばかりで読み辛いかもしれませんが、ご容赦ください。
感想、コメントおよび誤字報告、待ってます
それではどうぞ