外史終結編~後編~
―――Side 一刀―――
一刀「でけぇ・・・」
一刀は、泰山の頂上にある神殿のような場所に着いた 山道のいたるところに白装束がいたが自分が、狂骨たちのように強くない事を理解していた一刀は、狂骨たちからもらった黄燐弾や濃硫酸を使い、必要最低限の敵しか相手にしていなかった
一刀「扉が・・・」
一刀が神殿の前に立つと扉がひとりでに開いた
一刀「来いってことか」
一刀は、腰にさしている二振りの刀を握り締め神殿の中に入っていった
―――Side 刑天―――
刑天「ふん!」
餓虎を一薙ぎすると一気に、数十人の白装束が吹き飛ぶ
刑天「しかし・・・キリが無いな・・・」
すでに、日は高く上り数時間以上は戦っている刑天 刑天でなければすでに死んでいてもおかしくない状況だった
刑天「泣き言を言っていてもはじまらん!俺にできる事は、山道の入り口を死守する事のみ!」
―――Side 狂骨―――
狂骨「シッ!」
左慈「はあ!」
すでに打ち合いを始めてから数時間、互いに疲れが見え始めたがそれでも、止めない お互いに譲れないものがあるから
狂骨「お前らの境遇にも同情する!しかし、あの一刀には関係ないだろう!」
左慈「分かっている!しかし、貴様に分かるか!?同じ歴史を繰り返すものの気持ちが!逆恨みと分かっていてもこうしなければ、納得できない気持ちが!」
狂骨には、分からなかった かつて、人間「仙石雅樹」として生きていた自分には左慈の苦しみは分からなかった しかし、だからといって親友でもある一刀をみすみす危険にさらすわけにもいかなかった
狂骨「分からんさ・・・しかし、こちらにはどうしても譲れないものがある・・・お前の全てを・・・踏みにじる!」
―――Side 一刀―――
神殿の中を走っていた一刀は、開けた部屋の中に出た
一刀「ここは・・・」
于吉「お待ちしておりましたよ?北郷一刀」
目の前の玉座に立っているのは、于吉だった そして、その後ろには銅鏡が―――
于吉「この銅鏡はこの外史を継続させるための楔 ですが、どうでもいい事です あなたを殺せればそれでいいのですから」
于吉は銅鏡を台座においてこちらに歩いてきた
于吉「では・・・死んでもらいましょうか?」
于吉が手を振ると白装束が現れた
一刀「・・・どれだけやれるか分からない でも、ここで負けるわけにはいかないんだ!」
天龍を抜き、そう叫んだ一刀は白装束に向かっていった
―――Side 刑天―――
刑天「ちっ・・・抑えきれんか」
刑天は圧されていた いくら、不死とはいえ一人で山道を死守する事は無理なのだ そして、とうとう山道を抜けた白装束がいた
刑天「しまった!」
一人抜ければどんどん抜けようとしている さらに―――
刑天「ぬっ!?」
刑天を殺す事が不可能と考えた白装束は、数十人がかりで刑天にしがみつきその動きを止めた そして、どんどん白装束が自分を通り過ぎていく
刑天「くそがぁ!」
しかし―――
紫苑「弓隊・・・てぇー!」
その言葉と共に、上空から弓が豪雨のように降ってきた
刑天「な!?」
そして、刑天を抜けていった白装束たちをどんどん射抜いていく
聖「旦那様、ご無事ですか!?」
涼「兄さん!」
翠「まったく、無茶をするなよ!」
桔梗「月たちも怒っていたぞ?」
白装束を、斬ってやってきたのは三国の武将たち
刑天「お前ら・・・」
雪蓮「まったく、自分たちだけでやろうと思っていたの?」
華琳「こういうところ、男ってバカよね」
そして、山道の入り口の守備に回る
刑天「・・・説教なら後でいくらでも聞いてやる こちらには、ある程度残して先に進めおそらく、狂骨たちも苦戦しているはずだ!」
全員「「「「応!」」」」
そして、聖たちと呉の将がここに残った
聖「・・・旦那様に刃を向けた報いは受けてもらいます」
涼「お前ら全員倒してやる!」
翠「西涼の錦馬超・・・いっくぜぇ!」
桔梗「さて・・・行くか!」
雪蓮「私たちも負けていられないわね・・・行くぞ!」
全員「「「「応!」」」」
そう叫び、白装束に向かう武将たち
刑天「まったく・・・やはり、仙人になっても適わんものはある、ということか?」
そう苦笑する刑天 そして―――
刑天「白装束よ・・・黄泉路への案内を不肖この刑天が仕る・・・いざ、参る!」
―――Side 狂骨―――
左慈「死ねぇ!」
左慈の猛攻を防いでいた狂骨 そして、左慈の攻撃が、狂骨を貫いた
左慈「とった!」
しかし―――
狂骨「甘い!」
腹を貫かれた狂骨だったが、左慈の動きが止まった一瞬をつき、左慈に氣を流し込んだ
左慈「な!?」
体に氣を大量に流され、ひるんだ左慈に追撃を仕掛ける狂骨
狂骨「この切っ先・・・触れれば切れるぞ!」
拳に氣を纏いそれを打ち出し、左慈がひるむと一気に距離をつめ拳による連撃を叩き込む
左慈「グ・・・クソがぁ!」
肘から氣を放出し刃を形作る そして―――
狂骨「奥義・・・麒麟!」
アッパーを食らわせ肘に形作った刃で左慈を斬る
左慈「くそ・・・終わり・・・か」
狂骨「眠れ・・・」
そして、左慈の体は消えていった しかし―――
狂骨「ご苦労だな?」
どこからか現れた白装束が狂骨を囲んでいた
狂骨「万全とは言いがたいが・・・ここで、倒れるわけにはいかん・・・」
すでに、満身創痍 動きも確実に鈍くなっている しかし、ここで退くわけにはいかない まだ、一刀たちがいる だから、負けるわけにはいかない 狂骨は白装束に向かっていった
狂骨「くっ!」
しかし、いくら仙人とはいえ刑天とは違い、怪我を負えば反応も鈍くなる 不老不死とはいえ傷を負わないではない 重傷を負えば、意識不明になる事だってあるのだ
狂骨「それでも・・・負けるわけには・・・」
白装束が捨て身で体当たりをしてきたが、すでに左慈との死闘で満身創痍となっていた狂骨はかわす事ができずに、壁に吹き飛ばされてしまう
狂骨「不覚!」
白装束が迫ってくる ここで、終わりか そう思った瞬間
星「はあぁ!」
横から現れた星の一撃により迫っていた白装束は吹き飛ばされた
狂骨「星!?」
桃香「私たちもいます!」
華琳「刑天がいた山道の入り口は聖たちや雪蓮たちが抑えているわ」
雛里「ご主人様!」
白連「ひどい怪我だな・・・大丈夫か!?」
華雄「早く治療を!」
そういって駆け寄る武将たち
狂骨「この程度たいしたことはない・・・それより、早く先へ進め・・・一刀が心配だ」
華琳「なら、ここは私たちが引き受けましょう あなたに、借りも返さないといけないし」
華雄「もちろん、私たちもだ!」
桃香「じゃあ、私たちは先に行きます!」
桃香たちは走り出した そして、ここに残るものは白装束に向かう
白連「ここじゃ・・・騎馬隊使えない・・・」
華雄「フッ・・・別に、一人で全て倒す必要は無い」
星「とりあえず、向かってきた敵だけを斬ればいいのでは?」
蒲公英「とにかく、いっくぞぉー!」
雛里「とりあえず、包帯だけでも」
華琳「さて・・・行きましょうか?」
全員「「「御意!」」」
白装束に向かうは、確固たる信念を持つ武将たち
狂骨「くっ・・・負けてはいられんな・・・ぬぅ」
雛里「ご主人様!?」
秋蘭「無茶をするな」
流々「危険です!」
止血もしていないのに、立ち上がる狂骨を止める面々
狂骨「見ているだけは嫌なんでな」
そういい、手のひらに作った火球で腹を焼き血を無理やり止める狂骨
季衣「ちょっと!?」
桂花「あんた・・・」
その行動に、驚く将 護衛にまわっていた三羽烏や華琳も目を見開く しかし―――
狂骨「負けられんのさ・・・四肢がある・・・命がある・・・生きている限り歩みを止める事はできん!」
顔色は悪かったが、力強く、瞳に確かな意思を宿してそういった狂骨に顔が赤くなる面々
狂骨「どんなに、敵が強かろうと・・・多かろうと・・・叩き潰すのみ!」
そういい、走り出す狂骨を見て
華琳「男って本当にバカよね・・・凪」
凪「はっ!」
華琳「三人であの男の援護をしてやりなさい」
三羽烏「「「御意!」」」
雛里「ご主人様・・・頑張ってください」
そう祈る雛里を見て華琳は「美しい」と思った
華琳「(狂骨、か・・・欲しかったわね)」
―――Side 一刀―――
于吉「どうしました?動きが鈍いですよ?」
一刀「よく、言う、な」
斬っても斬っても減ることがない白装束を相手にしながら一刀は、戦っていた
一刀「(あいつらに、訓練つけてもらってなければここまで戦えなかったな)」
于吉が明らかに自分に止めをさすつもりは無く絶望させてから、殺すつもりなのは分かっていた それに、怒りがわいてこないわけではないが―――
一刀「(あいつらが言っていたっけ?『相手が舐めているなら、それにつけこめ』って だったら、あいつらが来るまで時間を稼ぐ!)」
一刀は、自分だけではこの人数に勝てない事は分かっていた だから、狂骨たちが来るまで何とか時間を稼ごうとしていた しかし―――
一刀「え?」
いくら、防御に専念していたとしても疲労はたまっていたのか 膝が急に落ちた
一刀「な!?」
さらに、白装束が振り下ろした剣を受け止めようと天龍を体の前に出したら、天龍が折られた
一刀「くそ!」
折れた天龍を投げ捨て急いで、地龍を抜く一刀
于吉「終わりです」
そして、白装束が一刀を斬ろうとすると
愛紗「させるかぁ!」
鈴々「てりゃー!」
恋「・・・死ね」
愛紗たちが、白装束たちを切り捨てた
一刀「みんな!」
桃香「ご主人様、無事ですか!?」
朱里「お待たせしました!」
紫苑「無茶したら駄目ですよ?」
焔耶「桃香様に心配をかけないでください!」
そういって、一刀の援護にまわる将たち
一刀「ごめん・・・桃香たちがここにいるってことは?」
桃香「刑天さんのところには、聖ちゃんや呉の皆 狂骨さんのところには雛里ちゃんや魏の皆がいます!」
桃香から、状況を聞き理解した一刀は―――
一刀「皆、俺が于吉との決着をつける・・・援護を頼む!」
全員「「「「御意!」」」」
于吉のところに走り出す一刀 それを止めようとする白装束
愛紗「どけ!ご主人様の歩みを止める事はこの関雲長が許さん!」
鈴々「いっくのだ~!」
紫苑「あらあら・・・援護が一苦労だわ♪」
恋「・・・どけ!」
桃香「焔耶ちゃん 援護よろしく!」
焔耶「お任せください!」
朱里「狂骨様が作ってくれた、小型の弩で私も戦えます!」
于吉「馬鹿な・・・」
一刀「どこ見ているんだ!」
于吉が状況を理解できずにいると、すぐ傍まで迫っていた一刀に腕を斬られた
于吉「くっ!・・・やはり、あなたは危険だ」
一刀「それは、お前の理屈だろ!俺には、守りたい奴らがいる・・・だから、そう簡単に負けるわけにはいかないんだ!」
それは、ただ刀を振り下ろすだけの、愛紗や鈴々たちが出す一撃とは比べ物にならないほどの弱い一撃 しかし―――
一刀「大事なのは、一撃にどれだけの思いを乗せられるか、だ!」
于吉にはよける事はできなかった
于吉「負け・・・ですか」
于吉は、どこか他人事のように呟き、その体を地龍の一撃が切り裂いた
―――Side 刑天―――
思春「ん?白装束が・・・」
桔梗「消えていく?」
刑天「やったか、北郷・・・いや、『一刀』」
―――Side 狂骨―――
華雄「消えていく・・・」
春蘭「何が・・・」
狂骨「終わったか・・・」
―――Side 一刀―――
一刀「終わった・・・勝ったんだ・・・俺たちは、勝ったんだ!」
そう叫び、桃香たちに駆け寄る一刀
愛紗「これで・・・乱世が終わったのですか?」
桃香「そうだよ・・・皆のところに行こう!」
そして、外に出ると―――
華雄に肩を借りて歩いてくる狂骨たち そして、刑天たちがいた
狂骨「倒したようだな・・・」
一刀「ああ・・・お前のほうは大丈夫なのか?」
狂骨が血だらけなのを心配するが、本人が問題ないといっているので胸をなでおろす一刀 白連とかが華雄を恨めしそうな顔で見ており、華雄が得意げにしていたのが気になった(狂骨が高いので、華雄ぐらいしかバランスが取れるのがいなかったからである)
刑天「おめでとう・・・一刀」
一刀「ああ・・・って、『一刀』?」
いつも、苗字で読んでいた刑天が名前で呼んだことに思わず聞き返す一刀
刑天「まあ・・・いつまでも、苗字ってのもな 信頼の証さ」
そう笑いながら言う刑天に、嬉しさを感じて笑顔で礼をいう一刀
一刀「みんな・・・乱世は終わったけど、俺たちの戦いはまだ終わっていない この大陸を平和にするために、皆の力を貸してくれ!」
華琳「ま、負けたわけだし従うわよ?」
雪蓮「平和になれば、酒も飲めるしね~」
冥琳「雪蓮の言葉は無視で」
そして、乱世は集結した 傷はまだ治らないが、いずれ癒えていく
そして、数年後―――
一刀「行くのか?」
城の一室で、一刀は二人にそう問いかけた
狂骨「ああ・・・悪いと思うが、な」
刑天「時間が少なくなってきているらしい」
一刀「そっか・・・雛里たちは?」
狂骨「時期を見て太公望が連れて来るそうだ」
一刀「分かった・・・んじゃ、やるか」
そして、三人は持ってきていた酒を注いだ
一刀「我らは、同じ志を持ちし者!」
それは、どこかで見たような光景
狂骨「我ら、次に会うときまで死ぬ事はない!」
それは、誓いの言葉 次に会うための
刑天「同じ日に生まれずとも、この命尽きるまで共に戦い続ける事をここに誓う!」
三人「「「我ら、兄弟 外史を守る盾と成らん!」」」
そして、三人は酒を飲み干した
一刀「よし・・・行って来い!」
狂骨「ああ・・・またな!」
刑天「三人そろったときは、大暴れしてやろうぜ!」
そして、二人は光に包まれ消えた
一刀「ああ・・・またな、親友」
一刀は、次に会うときまで、その歩みを止める事はない 次会う時に、二人と肩を並べて進めるように強くなる事を決めた
最終話ですw今日が日曜ということをすっかり忘れていましたw長い休みは、感覚麻痺しますねw
とりあえず、どうだったでしょうか・・・ん?最後、男だけじゃん?・・・仕様ですよ!スミマセン スミマ
セン カチョウカメンサマヲヨバナイデ とにかく、次は、狂骨が魏、刑天が呉に行きます(劇中でそれとなく分か
る感じでしたが では、又お会いしましょうw
PS.「一刀を管理者に~」「一刀を神仙に~」とか予想した方々・・・エスパーですか!?
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