No.91947

天の御使いと守護者~閑話10~

鴉丸さん

最後の閑話です


・・・まあ、見てやってください^^;

2009-08-27 22:49:07 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:3420   閲覧ユーザー数:2847

 

「華雄の思い」

 

 

狂骨「ほ~・・・たかが盗賊と思っていたが、なかなか数が多いな」

 

 

華雄「ああ・・・付近の規模の小さい盗賊も抱きこんでいるらしい」

 

 

今、二人は部隊を率いて蜀の北方の荒野で盗賊の大規模な討伐を行っていた そして、それに危機感を持った盗賊は結託して蜀に対抗していた

 

 

兵「狂骨将軍、華雄将軍!盗賊たちは、近くの廃村に立てこもっているようです!」

 

 

華雄「そうか・・・どうする?」

 

 

狂骨「・・・時間も遅い 夜襲か、朝駆けか・・・」

 

 

華雄「しかし、どちらも被害が大きくなるぞ?奴らだって馬鹿ではない」

 

 

実際、討伐は現時点で2日目だ 意外にも、夜襲に対応しているので被害も少なくなかった

 

 

狂骨「闇にまぎれても無駄か」

 

 

華雄「せめて、もっと分かりやすく身を隠せれば・・・」

 

 

そして、ふと付近の地図を見た狂骨はある事に気づいた

 

 

狂骨「ん?・・・なあ、華雄」

 

 

華雄「どうした?」

 

 

そして、狂骨は『ある事』を聞いた―――

 

 

 

―――Side 盗賊―――

 

 

頭「お前ら、蜀軍の様子はどうだ?」

 

 

盗賊1「へい!とりあえずは、睨み合いでさ」

 

 

盗賊たちは、とにかく防御を固めた 実力では、適わないからとにかく防御して疲労したところを、という作戦に出ていた 

 

 

頭「とりあえず、注意しておけよ!」

 

 

盗賊1「へい!」

 

 

しかし、相手は様々な戦場を駆け抜けてきた歴戦の猛者たち 

 

 

盗賊2「ん?霧が出てきたな」

 

 

盗賊3「おかしいな・・・昨日までは、出てなかったのに「ドス」へ?」

 

 

盗賊4「敵襲だー!」

 

 

いくら、腕が立つといえ自分たちより弱いものしか相手にしてこなかった盗賊たちとは経験も実力も違うのだ

 

 

頭「てめえら、落ち着け!」

 

 

頭は、必死で抑えようとするが霧で視界がきかないうえに―――

 

 

盗賊2「うわー!ど、どこだよ!」

 

 

先ほどから、霧の中から悲鳴や爆発音が聞こえており盗賊たちはパニックに陥った 

 

 

頭「くそ・・・「そこまでだ!」あ!?」

 

 

頭の後ろには華雄が立っており自らの武器を構えていた

 

 

華雄「貴様らの負けだ・・・観念しろ!」

 

 

頭「うるせえ!」

 

 

そういって、斬りかかるが猛将華雄に適うわけもなくあっけなく首を斬られた

 

 

華雄「ふう・・・狂骨の策は、ときどき雛里たちをも超えるな・・・」

 

 

狂骨が出した策とは、「近くの湖から、朝方霧が出る事を利用して霧の中、少数の兵を盗賊の陣に潜入させ爆弾や、敵を斬りつけ混乱させ一斉攻撃をかける」というものだった 『一番恐ろしいのは見えない事ではなく見えづらい事であり、周りの状況が理解できず隣にいた仲間が斬られていれば混乱するのは道理』とは、狂骨の弁 雛里たちと比べると現場での小さな策 しかし、現場の状況で策を変えることができるので条件次第では、雛里たちを超えるのだ え?刑天?あれは、別ですよ 不死身だから、策とか正面から潰すしw

 

 

狂骨「お疲れだ、華雄」

 

 

華雄「ああ」

 

 

狂骨は、華雄に怪我等はないかを聞き、華雄が問題ないことを知ると撤収の準備を始めさせた

 

 

華雄「(これで、今回の任務も終わりか・・・でも―――)」

 

 

狂骨「ん?どうした?」

 

 

突然、腕を組んできた華雄に少し驚く狂骨

 

 

華雄「気にするな」

 

 

顔を赤くしている華雄を見て「ま、いいか」とその顔を堪能する事に決めた

 

 

華雄「(城に帰れば、あいつらが来る 別に、いやじゃないけど・・・『今』は私だけの場所だ)」

 

 

 

 

「一歩前へ」

 

 

桃香「そういえば、愛紗ちゃんはご主人様に告白したの?」

 

 

愛紗「へ!?」

 

 

例のごとく、乙女のお茶会が城の一室で催されていた そして、桃香の言葉に愛紗さんパニックw

 

 

朱里「そういえば、愛紗さんのそういうお話聞きませんね」

 

 

実は、愛紗以外の面子はすでに自分の気持ちを伝えていたりする まあ、恋に先を越されたからなりふり構っていられないといったのが主だが 

 

 

愛紗「し、しかし・・・」

 

 

愛紗はどうやら、他の面子のように踏み出せなかったようである

 

 

星「しかし、何故?」

 

 

愛紗「私みたいな人間が・・・恋など」

 

 

星「そういうが・・・あの華雄と翠でさえ告白しているのだぞ?」

 

 

華雄・翠「「ちょっと待て!どういうことだ!」」

 

 

星「それに・・・今のままでは、いずれ駄目になるぞ?」

 

 

星の言葉に全員がうなずく さらに、星の説得(?)は続く

 

 

星「気持ちを伝えて、受け入れてくれたときの狂おしいほどの歓喜はとても、気持ちいいぞ?それこそ、極上のメンマを食べたときに匹敵する」

 

 

愛紗「いや・・・それはどうかと・・・」

 

 

星は、力説するが同意は得られない そりゃ、そ~だ メンマと比べればなんか一気にショボいように思えてくるから不思議である

 

 

星「ゴホン・・・とにかく、気持ちを伝えてみろ 私も、狂骨殿に伝えて夜を共にしたときは―――」

 

 

紫苑「星ちゃんの生々しい言葉は置いておいて・・・素直になったらいいと思うわよ?」

 

 

愛紗「だが・・・『恋など軟弱』といっていた私が・・・」

 

 

愛紗の懸念はそこだった 一刀と恋人になりたいという気持ちは確かにある しかし、以前愛紗は『恋など軟弱』といっていたのだ そのときの言葉が足を止めている

 

 

桔梗「別に、気にするな 『愛紗』という少女は成長したのだ だから、『あの時』のことなど忘れてしまえ」

 

 

桃香「そうだよ それに、愛紗ちゃんが悩んでいる姿なんてみんな見たくないんだよ」

 

 

愛紗「みんな・・・」

 

 

親身になって接してくれる仲間を見て愛紗は一歩踏み出そうとしていた

 

 

雛里「今から、気持ちを伝えてきてください」

 

 

聖「恋とは、女を強くするものです」

 

 

そして―――

 

 

愛紗「よし!行ってくる!」

 

 

全員「「「頑張れ!」」」

 

 

そして、愛紗は踏み出した 愛する主と生きていくために

 

 

星「それで、その時私は―――」

 

 

朱里・月・詠・恋・蒲公英・涼・ねね「「「「「ゴク」」」」」

 

 

白連「こいつらどーする?」

 

 

桔梗「放っておけ」

 

 

 

 

―――Side 一刀―――

 

 

刑天「どうした!?動きが遅くなっているぞ?」

 

 

狂骨「目を閉じるな!」

 

 

一刀は、刑天をサンドバックにして戦闘訓練をしていた そして、狂骨からの檄が飛ぶ中必死に剣を振っていた

 

 

刑天「いいか?無理に頭を狙うな 狙うなら、胴体や足を狙え」

 

 

狂骨「相手の動きをしっかりと見ろ 状況とは流転する・・・有利、不利それは、一瞬で変わる だから、目を閉じるな」

 

 

一刀「ああ!」

 

 

一刀は、自分にできる事を必死に探していた そして、政務の事だけでなく、こうして自分の身だけでも守れるようになれば仲間たちに心配をかけないと思い、二人に訓練を申し出たのだ 

 

 

狂骨「よし・・・少し休憩だ」

 

 

一刀「だ~!疲れたぁ・・・」

 

 

刑天「ほれ、水だ」

 

 

一刀「サンキュ でも、まだまだだな」

 

 

狂骨「あせるな お前は確実に成長している というか、早すぎる気もしないでもないが」

 

 

実際、一刀の成長は早かった もともと、剣術をかじっていたのもあるが本人のやる気がものすごい事だからなしえた事でもある

 

 

一刀「まあ、俺にできる速さで・・・だろ?」

 

 

狂骨「ああ」

 

 

刑天「ま、今ならそこらへんの盗賊よりは強いな」

 

 

一刀「そっか・・・「ご主人様」・・・ん?」

 

 

声に振り向くと愛紗がいた 

 

 

一刀「愛紗か・・・どうした?」

 

 

狂骨「(もしや)」

 

 

刑天「(ふむ・・・)」

 

 

愛紗「少し、お時間よろしいでしょうか?」

 

 

一刀「え?・・・でも「構わん 今日は終わりだ」え?」

 

 

訓練があるからと言おうとした一刀を狂骨が止めた

 

 

刑天「愛紗・・・頑張れよ?」

 

 

愛紗「・・・ああ!」

 

 

そういって、二人は去っていった

 

 

 

 

一刀「えっと・・・」

 

 

愛紗「ご主人様・・・わたしは、ご主人様が好きです!」

 

 

一刀「・・・」

 

 

愛紗の様子に大体予想していたとはいえ実際に聞くと少し驚いた

 

 

愛紗「ご主人様が、桃香様たちとも恋人になっているのは知っています でも、それでも私はこの気持ちをあきらめたくはありません」

 

 

一刀「そっか・・・分かった 俺だって、愛紗の気持ちにこたえたい・・・これから、一緒に来てくれるか?」

 

 

愛紗「はい!」

 

 

そして、二人は去っていった そして―――

 

 

狂骨「しかし、愛紗がここまでするとは」

 

 

刑天「まあ、聖たちが焚きつけたかも知れんな」

 

 

狂骨「まあ、これでいいか・・・とりあえず、乾杯~」

 

 

刑天「乾杯~」

 

 

すぐ傍では、狂骨と刑天が酒を飲んでいた

 

 

 

「詠の思い」

 

 

刑天「フッ!」

 

 

狂骨「ハアァ!」

 

 

訓練場では、武将同士の模擬訓練が行われていた

 

 

星「しかし、あの二人は相変わらず凄いな」

 

 

桔梗「我らとは違い、体全てを武器としているな」

 

 

訓練が終わった将は狂骨と刑天の戦闘を見ていた

 

 

一刀「あいつらは、体が仙人だから~とかじゃなく、その瞬間で最も効率のいい攻撃をしているに過ぎないらしいよ」

 

 

一刀は二人に訓練をつけてもらっているので二人の戦い方を理解していた 狂骨の戦い方は、火薬や火を様々に応用して戦い、刑天は敵の攻撃を受ける事前提で斬られても動きを止めずに、戦う究極の受身戦闘だ さらに二人は、自分の武器を刀や大剣に限定せず、時には手刀、肘や足、状況に応じては敵に噛み付いたりする 全ては、「勝つため」に 

 

 

一刀「二人は、『卑怯』とか『正々堂々』とかには興味はないらしい 勝たなければそんなこともいえないから・・・だって」

 

 

星「う~む・・・納得できるところもあるが・・・」

 

 

一刀「二人に言わせれば、みんな・・・俺もらしいけど潔癖すぎるらしい」

 

 

翠「う~ん」

 

 

他の面子は納得できていないところもあるらしい だが狂骨と刑天は例え、卑怯と蔑まれようと仲間を守るためなら手段を選ばない 守れなければ終わりなのだ

 

 

狂骨「そこ!」

 

 

狂骨が、天龍を投げ刑天がよけた隙に落ちていた折れた剣に火薬を付着させそれを投擲し爆発させた

 

 

桔梗「な!?」

 

 

見ていた面子は驚く 武器を投げるのは、今の時代考えられない事だから

 

 

刑天「甘い!」

 

 

刑天は傷つくのを承知で踏み込み、懐に隠しておいた薬品を投げた そして、互いの首筋に刀を当てたところで終わった

 

 

狂骨「ふむ・・・また、引き分けか」

 

 

刑天「まあ、仕方ない」

 

 

一刀「二人とも凄いな・・・」

 

 

終わったので、二人に駆け寄る将兵

 

 

翠「でも、いくらなんでも・・・」

 

 

翠が全員の気持ちを代弁するように問いかけた

 

 

刑天「・・・『考えていなかった』『そんなのは卑怯だ』と言っている暇はないぞ?」

 

 

狂骨「俺たちだって、人質をとるとかはしない・・・でも、手段を選べるほど『戦争』は優しくないぞ?」

 

 

その言葉に全員が口を閉じた 確かに、戦争というものは何が起こるかわからない 

 

 

刑天「お前らも、覚えておけ・・・『力を持つものは、より強い力を持つものに蹂躙される義務を負う』」

 

 

狂骨「では、より強い力を持つものに対抗するためには?それは、自分にできるあらゆる策や戦闘方法を試す事だ・・・『卑怯』とか、『それは、可哀想』とかは命取りだ」

 

 

一見すると厳しい言葉 だが、二人が言いたい事は理解できた だから、全員苦笑しつつ皆で、食堂に向かった

 

 

 

 

―――Side 詠―――

 

 

ボクは最近、自分の気持ちが分からなくなってきた 原因はあいつ―――

 

 

刑天「というか、北郷・・・お前、今日は誰かに勝てたか?」

 

 

一刀「え!?・・・え~と、ギリギリ華雄に勝った」

 

 

狂骨「ほう?」

 

 

華雄「ひたすら防御に徹して、私が隙を見せたところに・・・」

 

 

狂骨「まあ、お前らしい戦い方だな」

 

 

あそこで、話をしている「刑天」という男 あいつは、私や月の家族を殺した男・・・でも、この前私たちを暴漢から守ってくれた 聖たちは、あれが本当の刑天といっていたけど、ボクはまだ洛陽のときの姿が頭から抜けきらない いい奴になったってことは分かっている でも―――

 

 

詠「(なんで、あいつの事でこんなに悩まなければいけないのよ!)」

 

 

月「詠ちゃん?どうしたの?」

 

 

詠「え!?ううん、なんでもない」

 

 

月がいる事忘れてた・・・本当にどうしたんだろう

 

 

―――Side 刑天―――

 

 

刑天「(なんか、さっきから視線を感じるような・・・)」

 

 

刑天は食堂で誰からか視線を向けられているのを感じていた 刑天は、その「致命傷でも、すぐに回復する」能力により、殺気などを察知する力が弱い 警戒をしているときならともかく日常ではせいぜい「なんか見られている気がする」ぐらいなのだ

 

 

刑天「(まあ、大丈夫か)」

 

 

そして―――

 

 

刑天「ふう~」

 

 

狂骨「ほれ、茶だ」

 

 

一刀「隣座るぞ~」

 

 

刑天「ああ」

 

 

いつもの如く、男三人で雑談をする だが、今回は離れたところに観客が一人いた

 

 

詠「なんで、こんな事やってるんだろ・・・」

 

 

狂骨「(ん?この温度は・・・詠か?)」

 

 

詠の存在に気づいた狂骨 実は、狂骨は火を操るかどうかは分からないが一種のサーモグラフィーのように視界を変えることができる それにより、体温による個人の識別が可能となっている

 

 

狂骨「(大方、刑天のことが気になるってところか?・・・ふむ)」

 

 

一計を案じた狂骨

 

 

狂骨「なあ、刑天・・・詠や月をどう思う?」

 

 

刑天「ん?」

 

 

一刀「お?」

 

 

詠「な!?」

 

 

せっかくだから、いろいろ聞き出そうとする狂骨

 

 

一刀「それいいな・・・いつも俺ばかり被害が来ているからな~」

 

 

刑天「どう思っているか、か・・・例えば?」

 

 

とりあえず、一刀は無視して話を続けさせよとする刑天

 

 

狂骨「別に、なんでもいい・・・どういう感情を持っているか、だ」

 

 

刑天「そうだな・・・」

 

 

詠「(あいつ、ボクたちのことどう思っているのかしら・・・)」

 

 

思わず、食いつく詠

 

 

刑天「まあ、あいつらの家族を直接殺したのは俺だ・・・そんな俺が言えることではないのかもしれない・・・だが、それでも俺はあいつ等を守りたい あいつ等の生活を壊してしまったからこそ・・・今のこの生活を守ってやりたいんだ」

 

 

そういう刑天の瞳は揺るがない意思をもっていた

 

 

詠「(あいつ・・・)」

 

 

狂骨「そうか・・・(そろそろ、詠に出てきてもらうか?)」

 

 

刑天「ま、そんなところか?」

 

 

一刀「すげ~」

 

 

感心する一刀

 

 

狂骨「さて、それで?詠としては、どうなんだ?」

 

 

詠「へ!?」

 

 

突然、話を振られ驚く詠 ついでに、刑天と一刀

 

 

 

 

詠「き、気づいていたの?」

 

 

物陰から出てきて狂骨に尋ねる詠

 

 

狂骨「ま~な・・・さて、一刀 行くぞ?」

 

 

一刀「へ?・・・ああ~分かった」

 

 

狂骨に連れられて一刀が去り、二人きりになった木陰

 

 

詠「・・・」

 

 

刑天「・・・」

 

 

隣に座っているのに会話が続かない二人 しかし―――

 

 

刑天「・・・まあ、さっき言っていた事が俺の考えだ」

 

 

詠「・・・そう」

 

 

刑天が切り出すが、詠は生返事

 

 

詠「ねえ・・・あんたってなんで、あんなことしたの?」

 

 

数分後、詠が話を切り出した

 

 

刑天「・・・俺は、もう500年以上生きている お前も知っていると思うが俺は昔、守りたいものを守れなかった 守るためにこの力を手に入れたのに守れなかった・・・不老不死って言うのはいいものではない 共に、生きてくれる存在がいないと壊れる 最初の数十年は我慢できる・・・しかし、どのように強靭な精神を持っていてもいずれ壊れる 俺も、壊れた 俺は50年くらいで壊れた・・・もともと、守れなかったから捨て鉢になっていたからな」

 

 

独白を続ける刑天の言葉をしっかりと聞いている詠

 

 

刑天「お前らの両親を殺したのも、壊れていたから・・・としか言えない だが、壊れていたから許されるとは思っていない だから、お前らを守る」

 

 

詠「・・・そっか」

 

 

刑天の独白を聞き終わった詠は―――

 

 

詠「だったら、ずっと守りなさいよ・・・」

 

 

顔を少し赤らめてそういった

 

 

刑天「ん?」

 

 

詠「・・・だから、ずっと守れっていってんのよ!罪を償うって言うならずっと守りなさいよ!その・・・確か不老不死になる実を持っていたわよね!?だったら、それを食べてあげるわ・・・だから、ずっと守りなさいよ!」

 

 

一気に顔を赤くしてそう捲し上げる詠

 

 

刑天「・・・フッ 了解した・・・しかし、月もだろ?」

 

 

詠「え?」

 

 

月「詠ちゃん」

 

 

詠「わあ!」

 

 

いつの間にか後ろに立っていた月に驚く詠

 

 

月「ひどいよ~気づかないなんて~」

 

 

そういって頬を膨らませる月

 

 

詠「ご、ゴメン!」

 

 

月「でも、それなら私もお願いします・・・ず~っと守ってくださいね?」

 

 

そういって、刑天に抱きつく月

 

 

詠「ゆ、月?」

 

 

月「詠ちゃんもしないの?」

 

 

詠「・・・」

 

 

そういわれ、抱きつく詠

 

 

刑天「ふう・・・分かった・・・これから、ずっとお前らを守ろう だから、俺と来てくれるか?」

 

 

月・詠「「はい!/う・・・仕方ないわね・・・」」

 

 

元気に返事をする月と顔を赤くしながらそう呟く詠 刑天は、自分の守るべきものを再確認した

 

 

刑天「(守るさ・・・こんな俺に好意を抱いてくれたこいつ等や聖たちを・・・絶対に)」

 

 

「オワリノハジマリ」

 

 

ここは、死者が眠る場所 しかし、その眠りを妨げるものたちが―――

 

 

??「頭蓋骨だけ持ち帰れば術は完成します」

 

 

男は、ある墓から一人の死者の頭蓋骨を掘り起こした そして、これが地獄の始まりだった

 

 

―――SIDE 刑天―――

 

 

・・・北郷たちが蜀に入って、もう半年が過ぎた・・・そろそろ、魏なり呉なりが動き出すはず・・・そして、奴らも

 

 

狂骨「さっき、城の前で占い師が『傀儡の王と生ける死者を統べる虎が動き出す』という予言をしたらしいぞ?」

 

 

・・・傀儡の王と生ける死者を統べる虎、か

 

 

狂骨「傀儡ってのは、奴らの傀儡兵か・・・もしくは―――」

 

 

刑天「―――奴らが、操る魏か呉・・・」

 

 

確か、奴らは以前魏の曹操を操ったと聞いていた・・・今回もそのパターンか?しかし・・・

 

 

―――玉座―――

 

 

一刀「じゃあ、次の議題・・・魏と呉のほうはどうなっているのかな?」

 

 

愛紗「はい 情報では、魏がこちらに仕掛ける準備をしているそうです」

 

 

朱里「呉のほうは、防御に徹すると思われます」

 

 

玉座にて、魏と呉の動向の報告が行われていた

 

 

星「まあ、注意するのは今のところ魏、といったところですかな?」

 

 

その言葉に、狂骨と刑天以外がうなずく

 

 

桔梗「ん?刑天、狂骨どうしたのだ?」

 

 

全員が二人を見るが、二人は目を伏せ何かを考えているようだった・・・

 

 

刑天「生ける死者、か・・・北郷」

 

 

刑天がそう呟き、顔を上げた

 

 

一刀「ん?なんだ?」

 

 

刑天「俺は、呉のほうに潜入してみようと思う」

 

 

その言葉に、狂骨以外が驚いた それは、そうだろう 刑天は、蜀の主力の一人だからだ その主力が呉のほうに潜入するといっているのだ この、魏との決戦が迫っているときに

 

 

翠「ど、どういうことだよ!?」

 

 

翠が慌てて、問いただす

 

 

刑天「・・・少し気になるところがあってな」

 

 

狂骨は、刑天が言っている意味が分かったようだ 刑天は、蜀の目が魏に向いている間に于吉たちが呉のほうに何かをすると読んでいる なぜなら、ただ魏を操るだけなら以前の外史と同じだからだ 

 

刑天「あまり、戦力を割く訳にもいかんだろう・・・俺ひとりで行く」

 

 

聖「だ、旦那様!?」

 

 

その言葉に、狂骨以外の将が驚く

 

 

桔梗「危険すぎるぞ!」

 

 

詠「気になる事ってそんなに重要なの?」

 

 

涼・月「「・・・」」

 

 

慌てて、刑天のハーレム要員が止めるが―――

 

 

刑天「もしかしたら、取り返しのつかない事態に陥る可能性が高い・・・下手を打てば・・・」

 

 

尻すぼみになった言葉の意味を正確に捉えたのは、狂骨だった 「下手を打てば、この外史が終焉を迎えるのが早まる」刑天はそう続けたかった 

 

 

狂骨「まあ、こいつなら大丈夫だろう 呉に潜入するといっても、城に潜入するわけじゃあない それに、危険を感じたらすぐに戻ってくるだろう?」

 

 

刑天「ああ(すまんな)」

 

 

狂骨「だったら、別にいいんじゃあないか?(気にするな)」

 

 

狂骨のフォローもあり、危険な事はしない・調べたい事が終わったら至急帰ってくるという条件で刑天の呉行きが許可された

 

 

 

 

―――刑天の部屋―――

 

 

狂骨「おそらく、これからが「オワリノハジマリ」ってやつだろうな」

 

 

刑天「ああ・・・ただ、予言が気になるな・・・傀儡の王とは、曹操の事だとして「生ける死者を統べる虎」・・・」

 

 

二人は、今後の于吉たちの動向を予測していた

 

 

狂骨「生ける死者ね~・・・中国風に言えばキョンシーか?」

 

 

狂骨が何気なく口にしたその言葉で刑天の気になっていた事が氷解した

 

 

刑天「キョンシー・・・生ける死者・・・そうか!」

 

 

狂骨「どうした?」

 

 

刑天「奴らは、呉の兵を全て殺してキョンシーを作る気だ・・・しかも、『反魂』も使って今まで死んでいった奴らを生き返らせて・・・」

 

 

その言葉に、狂骨は自分の脳裏に地獄絵図が広がるのを感じた

 

 

狂骨「ちょっと待て!?それじゃあ・・・」

 

 

刑天「ああ・・・死者の軍団でこの蜀を・・・いや、北郷や俺たちを殺す気だ・・・」

 

 

それは、まさに地獄 死者が生き返り生ける者を襲う・・・そして、襲われ死んだものもまた生き返り・・・その繰り返しの世界

 

 

刑天「反魂の法とキョンシーを作る術を組み合わせ、陣を作る そして、その陣の中で死んだものは―――」

 

 

狂骨「―――生き返る、か 奴らは、最初だけ手を加えればいい・・・後は、自動的に自分の兵が増えていく」

 

 

刑天「さらに、生き返った奴らは『この外史』の人間だから、于吉たちが手を下した事にはならない・・・まさに、奴らにとっては一石二鳥だ」

 

 

『神仙は、直接歴史に干渉する事ができない』その制約を無視するやり方 しかし、その方法は常軌を逸したやり方

 

 

刑天「壊れ始めているのかも知れんな・・・」

 

 

狂骨「なに?」

 

 

刑天「神仙といえど壊れる事もある・・・確か、以前の外史でも『自分の役目に疑問』を持っていたから、あのような事件を起こしたはずだ・・・」

 

 

狂骨「だが、こちらも譲れないものはある・・・あいつらの、境遇に同情するところはあるが・・・踏みにじる」

 

 

刑天「ああ・・・」

 

 

それは、例え幾万の敵を殺そうとも、世界を敵に回しても貫くべき『信念』をもった男たちの目

 

 

刑天「おそらく、この戦いがこの外史の『本来の最後の戦い』だ・・・やるぞ」

 

 

狂骨「ああ・・・一刀を、仲間を守る・・・それが、俺たちのやるべき事・・・」

 

 

一刀「あ、いた!」

 

 

二人が自分たちのなすべきことを確認していたときに一刀が部屋に入ってきた

 

 

狂骨「どうした?・・・大人の階段上ったか?」

 

 

一刀「はあ!?」

 

 

刑天「相手は・・・桃香か愛紗あたりか?」

 

 

一刀「いやいや・・・・今から、宴会っていうか・・・景気づけに会食をするからこいよ」

 

 

狂骨「・・・ああ」

 

 

刑天「あまり、飲みすぎるなよ?」

 

 

これから、始まるは地獄の茶番 しかし、負けるわけにはいかない 自分のため、仲間のため、愛するもののため、それらを守るための戦いなのだから

 

 

 

 

さて、どうだったでしょうか^^; 頑張ってみたつもりなのですが・・・難しいですね 精進で

 

す とりあえず、なるべくキャラの性格を変えないように頑張ってみたのですが・・・ヤメテ!イ

 

ワハイヤ~! 

 

気を取り直して、最後の話ですが・・・さて、どうなることか?作者もびっくりですw完全に、原

 

作無視ですね^^; とりあえず、皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります

 

次回から、しばらくシリアスです 最近、本格的なギャグ話とかは閑話で書こうかと考えています

 

(本編では、ちょっとしたギャグにとどめて) 

 

では、又お会いしましょう

 

PS:星はどこのハーレム所属?と聞かれましたが・・・一応狂骨なんです 描写少ないですね^

 

^; 最近、星動かしていなかったな~・・・おや?こんな時間に誰だ?


 
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