No.912793 英雄伝説~光と闇の軌跡~エレボニアカオスルートsoranoさん 2017-07-04 21:04:29 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:2175 閲覧ユーザー数:1923 |
~パンダグリュエル・パーティーホール~
「―――了解しました。わたしはアルティナ。アルティナ・オライオン特尉。コードネームは”黒兎(ブラックラビット)”。そしてこの子は―――”クラウ=ソラス”。」
「―――――」
レンに促されたアルティナは自己紹介をした後自分の背後に漆黒の人形―――クラウ=ソラスを現させた。
「へ………オ、”オライオン”……?」
「し、しかもあの人形って……!」
「ミリアム君の”アガートラム”とかなり似ているな……」
「”黒兎(ブラックラビット)”―――それに”オライオン”……!何故貴女がメンフィルに……!?」
アルティナの自己紹介を聞いたエリオットは呆けた声を出した後ミリアムに視線を向け、ある事に気づいたアリサは驚き、ジョルジュは不安そうな表情で呟き、クレア大尉は信じられない表情でアルティナを見つめた。
「あはは、君と繋がっているその子はクーちゃんって名前なんだ!だったらこっちも負けてられないよ~!――――ガーちゃん!」
「――――――」
「ちょっ!?ここは重要な会議の場なのに、意味不明な対抗心でアガートラムを出すんじゃない!」
ミリアムは無邪気な笑顔を浮かべてアガートラムを呼び出し、その様子にその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中マキアスが疲れた表情で指摘し
「――――?」
「……”クラウ=ソラス”を混乱させないでください。」
ミリアムのある言葉を聞いて困惑しているクラウ=ソラスの様子を見たアルティナはジト目でミリアムを見つめて指摘した。
「!?ちょっと待て!何でその少女―――アルティナが”特務部隊”の一員なんだ!?」
「トヴァルさんは彼女の事を知っているのか?」
一方アルティナを見て血相を変えて声を上げたトヴァルの様子が気になったガイウスはトヴァルに訊ねた。
「知っているもなにも、アルティナがユミルが襲撃された時のどさくさに紛れてアルフィン皇女殿下を拉致してカイエン公の下へと連れて行った張本人で、その後にリィン達がユミルに戻って来た時にルシア夫人も拉致しようとしたが、”英雄王”達によって捕えられてメンフィルに連行されたんだぞ!?」
「何ですってっ!?」
「そなたが皇女殿下を………」
「しかもリウイ陛下達に捕われて、メンフィル帝国に連行されたとの事なのに、何故その人物が”特務部隊”の一員に……」
トヴァルの説明を聞いたサラは血相を変えて声を上げ、アルゼイド子爵は真剣な表情でアルティナを見つめ、エマは困惑の表情でアルティナを見つめていた。
「そう言えば先程レン皇女殿下のお話ではリウイ陛下がユミルで”貴族連合軍”の”裏の協力者”の一人を捕縛した人物は”黒の工房”に所属していたとの事ですが……まさかその方がアルティナ様で、所属している”黒の工房”がメンフィルによって制圧された為、所属先を失ったアルティナ様をメンフィルに寝返らせたのでしょうか?」
「うふふ、さすが”執行者”の一人だけあって中々鋭いわね♪シャロンお姉さんの推測通り、”貴族連合軍”の”裏の協力者”であったアルティナをメンフィルへと寝返らせたのよ♪」
「……………」
「ええっ!?き、貴族連合軍の関係者をメンフィルに寝返らせるって……!」
「め、滅茶苦茶だ……!」
シャロンの推測を肯定して説明を続けたレンの話に否定する部分はないかのようにアルティナは静かな表情で黙り込み、エリオットとマキアスは驚きの声を上げた。
「フン、要するに所属している組織が潰されて行き場を失ったその娘の弱みに付け込んで、メンフィルに所属させたって事じゃない。子供相手にそんな大人げない事をするなんて、”ゼムリア大陸真の覇者”と恐れられている国の癖に、やる事は随分と姑息で悪辣ね。」
「おい、サラ!さすがに言い過ぎだぞ!?」
鼻を鳴らして厳しい表情でレンを見つめて呟いたサラの言葉を聞いたトヴァルは焦りの表情で指摘し
「弱みに付け込んだなんて、失礼ね~。元々アルティナは”黒の工房”を潰した後はイーリュン教が経営している孤児院に預ける予定だったのよ?」
「え……で、でも現に彼女は”特務部隊”―――メンフィル軍の一員として、メンフィル帝国に所属していますが……」
レンの話を聞いたトワは困惑の表情で指摘した。
「私の身柄はマスター―――リィン・シュバルツァー様に引き取られました。ですからマスターが”特務部隊”に配属された以上、マスターの使用人である私とクラウ=ソラスもマスターを補佐する為に”特務部隊”に配属されるのは当然の流れかと思われます。」
「――――――」
トワの疑問に対してアルティナは淡々と答え、アルティナの意見に同意するかのようにクラウ=ソラスは機械音を出し、その様子にその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「リィン特務准将が彼女を引き取ったって……一体どういう事なんですか?」
「今回の戦争で最も手柄をあげたリィンお兄さんは特別にリィンお兄さんが望む”褒美”は3つになってね。一つ目はさっきみんなに話した通り、今回の両帝国の戦争を”和解”という形で終結させる事。そして二つ目はその娘――――アルティナをリィンお兄さん達”シュバルツァー家”が引き取って、今後の彼女の処遇については”シュバルツァー家”に一任してもらう事だったのよ。」
「ええっ!?」
「何でそんな理解不能な事を望んだのよ?確か話によると、その娘がアンタの母親を拉致しようとした張本人なんでしょう?寝首をかかれる可能性を考えなかったかのかしら?」
「セリーヌ!」
ジョルジュの質問に答えたレンの説明を聞いたアリサは驚き、セリーヌは不思議そうな表情でリィンを見つめて問いかけ、セリーヌの歯に衣を着せない質問の仕方にエマは声を上げてセリーヌを睨んだ。
「……アルティナを引き取る事にした理由は色々あるが、一番の理由はカシウス准将の教えによるものだ。」
「へ……」
「カ、”カシウス准将”って、まさか……!」
「”百日戦役”で圧倒的な戦力を覆して、エレボニア帝国軍を撃退したリベールの”英雄”――――”剣聖”カシウス・ブライトか!?」
リィンの口から出た予想外の人物の名前を聞いたトヴァルは呆けた声を出し、ある事に気づいたエリオットとマキアスは信じられない表情をした。
「ああ。それにしてもまさかリィン君もリシャール大佐やユリア准佐達のようにカシウスさんの後継者の一人だったとはね………」
「確かにカシウス准将は俺にとって”師”に当たる方でもありますが、実際に指導してもらった期間は極僅かな期間でしたから、俺はリシャール殿達のような”剣聖の後継者”ではありません。」
苦笑しているオリヴァルト皇子の言葉に対してリィンは謙遜した様子で答え
「……先程そなたは、カシウス卿の教えによって彼女―――アルティナを引き取る事にしたと言っていたが、カシウス卿は一体どういう事をそなたに教えたのだ?」
アルゼイド子爵はリィンに続きを言うように促した。
「……かつてカシウス准将から指導して頂いた時剣以外に”絆”について教えて貰いました。『人は様々なものに影響を受けながら生きていく存在だ。逆に生きているだけで様々なものに影響を与えていく。それこそが『縁』であり―――『縁』は深まれば『絆』となる。そして、一度結ばれた『絆』は決して途切れることがないものだ。遠く離れようと、立場を違(たが)えようと何らかの形で存在し続ける……』、と。だから彼女―――アルティナ・オライオンの件も俺の”縁”と思い、彼女を引き取ろうと思い、褒美に彼女を引き取る事を望んだのです。」
「カシウス卿がそのような教えを………」
「ハハ……あの人らしい教えだな。」
「ええ………」
リィンの答えを聞いたラウラは驚き、苦笑しているトヴァルの言葉にサラは口元に笑みを浮かべて同意し
「”縁”に”絆”………わたし達”Ⅶ組”にとっても他人事じゃないね。」
「ああ………今この場にはいないユーシスもそうだが、クロウもオレ達にとっては決して途切れる事のない”絆”だな。」
「そうだね……君達だけでなく、僕達にとってもクロウとは決して途切れる事のない”絆”だね。」
「うん……そしてその中には学院を停学する事になったアンちゃんもその一人だよね……」
静かな表情で呟いたフィーの意見にガイウスは答え、ガイウスの言葉にジョルジュとトワはそれぞれ頷いた。
「なるほどね~。それにしてもここでもカシウス・ブライトが関わってくるなんてね~。カシウス・ブライトの脅威度ランクをもう一つか、二つ上げた方がいいかもしれないね~。」
「ミリアムちゃん!」
「頼むからそういう事は僕達のいない所で言ってくれ………」
そしてその場の空気をぶち壊すかのように答えたミリアムの発言内容にその場にいる全員が表情を引き攣らせている中、クレア大尉は声を上げてミリアムを睨み、マキアスは疲れた表情で指摘した。
「え、えっと……それよりもアルティナさんはミリアムちゃんと同じファミリーネームである”オライオン”を名乗っていましたが……」
「まさかアンタも”人造人間(ホムンクルス)”なのかしら?」
すぐに空気を変える為にエマはアルティナを見つめて声をかけ、セリーヌは真剣な表情でアルティナに問いかけた。
「はい。私の形式番号はOz74です。」
「あ、ボクの方が1コ上だから、ボクは君のお姉さんだね~♪」
「何故形式番号が貴女の方が上だという理由で、貴女が私の姉になるのか、理解不能です。」
アルティナの答えを聞いて無邪気な笑顔を浮かべてとんでもない発言をしたミリアムの言葉を聞いたその場にいる全員が再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中アルティナはジト目でミリアムに指摘した。
「―――さてと。これでレン達”特務部隊”の自己紹介は一通り終わったから、Ⅶ組のみんなは”特務部隊”の指揮下に入るか、入らないのかの判断をこの場で決めてくれないかしら?」
「ええっ!?今この場で決めるんですか!?」
レンに答えを促された事にアリサは驚いてレンに訊ね
「当たり前よ。メンフィルとしてもエレボニアに”和解条約”を実行してもらう為にエレボニアの内戦を1日でも早く終わらせるつもりなのだから、この後レン達は”カレイジャス”に乗り込んで内戦終結に向けて活動するつもりよ。」
「要するにメンフィルはさっさと和解条約で贈与してもらう事になっているエレボニアの領地を得たいから、内戦を1日でも早く終結させたいだけじゃない。」
「ハハ………だけど、それが内戦で苦しんでいるエレボニアの民達の誰もが一番望んでいる事だから、私達は文句を言えないね………」
「……………」
レンの説明を聞いたサラは厳しい表情でレンを睨み、オリヴァルト皇子は疲れた表情で呟き、アリサ達エレボニア帝国の関係者達はそれぞれ複雑そうな表情や辛そうな表情で黙り込んでいた。
「―――レン皇女殿下。差し出がましいかもしれませんが、一つ提案をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「ええ、勿論いいわよ。それでどんな提案かしら、セシリアお姉さん?」
「彼らは”特務部隊”の指揮下に入るか入らないかの判断に迷っているようですから、”判断材料”として特務部隊の指揮下に入る際に発生するメリットとデメリット、そして指揮下に入らなかった際のメリットとデメリットをそれぞれ説明して差し上げればどうでしょうか?」
「あら、それはとってもいい案ね♪―――それじゃ、セシリアお姉さんが言ったように、Ⅶ組のみんなが特務部隊の指揮下に入った時と入らなかった時のメリットとデメリットを今から説明してもいいかしら?セシリアお姉さんが言っていたように、それぞれのメリットとデメリットがわかっていたら、今後どうするかの判断がしやすいでしょう?」
「それは…………みんな、レン皇女殿下のご厚意を受けて、それぞれのメリットとデメリットを説明してもらってもいい?」
「―――はいっ!」
セシリアの意見を取り入れたレンの問いかけに対してトワは複雑そうな表情で答えを濁した後すぐに決意の表情になってアリサ達に確認し、アリサ達は少しの間考え込んだがすぐにそれぞれの顔を見合わせて頷いて返事をした。
ようやくリィン達の自己紹介は終わりました……が、実はまだ終わっていません(オイッ!)自己紹介をしていないキャラ達は後で自己紹介する事になっていますので、そのキャラ達の”正体”を知ったⅦ組の反応はもう少し後になりますww
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第43話