No.900259 英雄伝説~光と闇の軌跡~エレボニアカオスルートsoranoさん 2017-04-06 23:02:48 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:2652 閲覧ユーザー数:2095 |
~パンダグリュエル・格納庫~
「………………(オズ………閣下……………少し気になるな。後で陛下達に報告するか。)――――貴族連合軍”総参謀”ルーファス・アルバレア、メンフィル帝国軍リフィア皇女親衛隊所属にしてユミル領主の息子、リィン・シュバルツァーが討ち取った!」
戦闘終了後ルーファスが最後に呟いたある言葉が気になったリィンはすぐに気を取り直し、元の姿に戻って太刀を掲げて宣言した。
「な、なななななな……っ!?て、”帝国解放戦線”の幹部達どころかルーファス・アルバレアが……!」
「そ、そんな…………ルーファスさんが………」
アイドスとの戦いによって戦闘不能になっていたデュバリィは混乱した様子でルーファス達の死体を見回し、リィン達の戦いを見守っていたアルフィン皇女は表情を青褪めさせて身体を震わせ
「おのれ―――――ッ!よくもルーファス様を……ッ!貴様だけは絶対に許さん!」
アルフィン皇女を護衛していた貴族連合軍の兵士は激昂して銃剣の銃口をリィンに向け、貴族連合軍の兵士の行動に気づいたリィン達は身構えた。
「させるかよっ!」
「ガッ!?」
しかしその時、何ともう一人の貴族連合軍の兵士が突然銃剣でリィンに銃口を向けていた兵士の喉元を銃剣で貫いた!
「ええっ!?」
「あら。」
突然の貴族連合軍の兵士の行動にセレーネは驚き、レンは目を丸くした。
「き、貴様、一体……何……を……………」
喉元を貫かれた事によって地面に倒れた兵士は信じられない表情で自分の喉元を貫いた貴族連合軍の兵士を見つめながら絶命した!
「クク、可愛い後輩達の大勝利に水を差すんじゃねぇよ。」
「え…………まさか、貴方は……!」
貴族連合軍の兵士の死体を見つめながら呟いたもう一人の貴族連合軍の兵士の声に聞き覚えがあったリィンが信じられない表情で兵士を見つめたその時兵士が被っていた兜を脱ぐと軽そうな雰囲気を纏わせる金髪の青年の顔が現れた!
「よっ、リィン、ステラ。久しぶりだな。」
「フォルデ先輩!?」
「フフ、ルーファス・アルバレア達が追い詰められている中一人だけ笑っていらしてましたから貴族連合軍に潜入しているメンフィル軍の誰かとは思っていましたけど、まさかフォルデ先輩だったなんて驚きました。」
青年に声をかけられたリィンは信じられない表情で声を上げ、ステラは苦笑しながら青年を見つめていた。
「えっと……あの方はお二人のお知り合いなのですか?」
青年と顔見知りの様子のリィンとステラが気になったセレーネはエリゼに訊ねた。
「ええ。――――フォルデ・ヴィント。兄様とステラさんが訓練兵だった頃、直接お二人を指導していたメンフィル帝国軍の正規兵の方よ。―――お久しぶりです、フォルデさん。」
セレーネの疑問にエリゼは青年―――フォルデの事を簡単に説明した後フォルデに会釈した。
「エリゼちゃんも久しぶりだな。そう言えば聞いたぜ、リィン~?エリゼちゃんどころか複数の女の子達を侍らしているそうだな~?いや~、メイド達や同期の女性訓練兵達の熱い視線にも気付かず、娼館に誘ってもエリゼちゃんを理由にして絶対に誘いに乗らなかった奴が成長したね~。もしかしてその娘達が噂のお前の女達か?」
「ちょっ、この非常時に昔の話を持ち出さないで下さい、先輩!それに今はそんな私事に答えている余裕はありません!」
「あらあら、これは良い事を聞いたわね♪」
「ふふふ、やはり昔から天然かつ鈍感だったようですね。」
「ア、アハハ……その方達は幸運と言うべきか、不運と言うべきか、どちらでしょうね……?」
(アハハ……少なくてもエリゼお姉様はご存知だったでしょうね………)
「………………やっぱり、娼館に誘われていたのですね。」
「え、えっと……フォルデ先輩も仰っていたようにリィンさんはエリゼさんの為に一度も誘いにはのらなかったですよ?」
「フフ………」
からかいの表情で口元をニヤニヤして自分を見つめるフォルデの言葉を聞いたリィンは慌てて指摘し、フォルデの話を聞いたベルフェゴールとリザイラは興味ありげな様子を見せ、メサイアと共に苦笑していたセレーネはジト目でリィンを見つめていたエリゼに視線を向けて、ステラはリィンのフォローの為にエリゼにある事を伝え、リィン達の様子をアイドスは微笑ましそうに見守っていた。
「クスクス、”その娘達”と言う事はまさかレンもリィンお兄さんのハーレムの一員に見られているのかしら?―――あら?こちら、レン。あら、パパじゃない。もしかしてそっちも――――」
一方リィン達の様子を面白そうに見ていたレンは通信機の音に気づくと通信を開始し
「ま、お前の事は後で教えてもらうから話を一端置いておいて……敵が後一人残っているのを忘れていないか?」
「!」
「そう言えばすっかり忘れていましたわね……」
「アイドス様との戦闘でかなり疲弊している上この戦力差なら、討ち取るにしても捕えるにしても何の問題もないわ。」
フォルデの指摘に我に返ったリィンはデュバリィを見つめ、セレーネは苦笑し、エリゼは静かな表情で呟いた。
「ググググググ……ッ!敵である私を目の前に呑気に雑談したどころか私の存在を忘れ、”鉄機隊”の筆頭隊士であるこの私相手を『何の問題もない』と言い切る程見下すなんて、絶対に許しませんわ……!」
デュバリィは唇を噛みしめてリィン達を睨み
「そいつをどうするかはお前達に任せるぜ。―――その代わりアルフィン皇女の捕縛の手柄は俺がもらうがな。」
「………ッ!」
リィン達にデュバリィの処遇を任せたフォルデは銃剣をアルフィン皇女に突き付け、銃剣を突き付けられたアルフィン皇女は息を呑んだ。
「ハハ……一本取られました。」
「ふふっ、相手を油断させて裏をかく所も相変わらずですね。」
フォルデの行動にリィンとステラは苦笑し
「クスクス、厄介な相手をレン達に任せてさりげなく手柄をかっさらうなんて、やるじゃない♪――――さてと。”神速”さんだったかしら?貴女達”結社”にとって更に悪い知らせを教えてあげる。さっきパパ達から連絡があってね……”劫炎のマクバーン”、”怪盗紳士ブルブラン”共にパパ達が全員無事で討ち取ったわ。しかも、苦戦せずに二人とも殺したそうよ♪」
通信を終えたレンは感心した様子でフォルデを見つめた後凶悪な笑みを浮かべてデュバリィに凶報を伝えた。
「な、なななななななっ!?No,Ⅹどころか唯一マスターと互角の強さの可能性があったと言われているNo.Ⅰを苦戦せずに討ち取ったなんて……!?」
「うふふ、これでこの艦内で残っている面倒な存在は貴女だけになったわ。―――今の話とさっきの戦いでルーファス・アルバレア達が殺された事で貴女に勝ち目は0、1%もない事は理解したでしょう?大人しく投降する?それとも一矢は報いる覚悟でレン達に無謀にも挑むつもりなのかしら?」
混乱している様子のデュバリィにレンは凶悪な笑みを浮かべて問いかけ
「グググググググ………ッ!」
レンの問いかけに歯を食いしばって自分の絶体絶命な状況を何とかする為に必死に考えていたデュバリィはアイドスとの戦いによって空いた艦内の穴に気づき
「……口惜しいですが、ここは退かせて頂きますわ。今回の戦いによって貴女達メンフィルから受けた敗北と屈辱、必ずや倍にして返してやりますわ!おおおおおおおおお……っ!」
すぐに状況を打開する方法を思いついたデュバリィは冷静な様子で立ち上がってリィン達を睨んで宣言した後穴に飛び込んで戦艦から脱出し
「なっ!?」
「―――逃がしません!」
逃げ場のない空へと脱出したデュバリィの行動にリィンが驚いている中ステラがデュバリィ目がけて銃撃した。
「グッ!?……くっ………」
ステラの追撃によって肩や足を撃ち抜かれたデュバリィは呻き声を上げた後転移装置を使って空から落下しながら消えた。
「まさか空に逃げるなんて……」
「………止めは刺せませんでしたか。」
「ごめんなさい………彼女を逃したのは彼女に止めを刺さなかった上撤退できる場所を作ってしまった私のせいだわ。」
「うふふ、むしろ生かして逃がした方がよかったから、問題ないわ。」
デュバリィが撤退するとセレーネは信じられない表情で呟き、僅かに悔しそうにしているステラと申し訳なさそうな表情をしているアイドスにレンは口元に笑みを浮かべて指摘した。
「?それは何故でしょうか。」
「今回の作戦で”怪盗紳士”どころか”鋼の聖女”と並ぶ”結社最強”の”執行者”を失った事で”蒼の深淵”が結社の計画を中止してエレボニアから手を引く事を考えるかもしれないでしょう?でも、逃がしてあげた”神速”からの仲間の無残な最後を聞いた”蒼の深淵”が大切にしている”蒼の騎士”――――”帝国解放戦線”のリーダーである”C”が聞けば、間違いなくメンフィルに対する復讐心で貴族連合軍から脱退するような事はしないでしょう?そして、自分の騎士であるCが貴族連合軍から抜けない以上”蒼の深淵”も貴族連合軍から脱退する事ができないでしょう?―――加えて”神速”はプライドが高そうに見えたわ。今回の作戦でレン達に相当な屈辱を受けたのだから、その受けた屈辱を返す為に”神速”も貴族連合軍から脱退しない事によって”鋼の聖女”から彼女を預かっている”蒼の深淵”は貴族連合軍から脱退したくてもできない状況になる可能性があるのよ♪」
エリゼの疑問に答えたレンの口から出たレンの悪辣な考えを知ったリィン達は大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「うふふ、幼い見た目とは裏腹に滅茶苦茶腹黒いわね、あの皇女♪」
「あの調子で成長すれば将来はルイーネ様やフェルアノ様のような女性になるかもしれませんわね……」
ベルフェゴールは興味ありげな表情でレンを見つめ、メサイアは表情を引き攣らせてレンの将来を想像し
「ふふふ、先程の戦いで滅してあげた方が逃亡した騎士や彼女の同胞達への”慈悲”になったのでは?」
「………私も本気でそんな気がしてきたわ………」
静かな笑みを浮かべているリザイラに話をふられたアイドスは頭を抱えて疲れた表情で呟いた。
「ま、何にしても今回の作戦の目的の大半を達成できたから今は自分達の手柄に素直に喜んでおけ。」
「フォルデお兄さんの言う通りね。後の事は他の人達に任せてレン達は一端”モルテニア”に戻りましょう?――――勿論アルフィン皇女も一緒にね?」
フォルデの言葉に頷いたレンはリィン達を促した後意味ありげな笑みを浮かべてアルフィン皇女を見つめ
「………メンフィル帝国はわたくしをどうするおつもりなのですか?」
レンに見つめられたアルフィン皇女は不安そうな表情でレンに問いかけた。
「クスクス、それを決めるのは現メンフィル皇帝であるシルヴァンお兄様よ。――――ま、少なくても処刑や拷問みたいな貴女に危害を加えるような事はしない事は現時点で決定しているし、戦争相手の国とはいえ貴女は皇族なのだから、貴族連合軍の待遇よりはマシな待遇で過ごしてもらうから、そんなに心配する必要はないわよ。」
「………わかりましたわ。メンフィル帝国の御慈悲に心から感謝致します。それとリィンさん……でしたわよね?貴方に一つだけお聞きしたい事があるのですが……」
レンの答えを聞いたアルフィン皇女はレンに会釈をした後リィンに視線を向けた。
「え………」
「?俺で答えられる事でしたら、答えさせて頂きますが……アルフィン殿下は何を知りたいのですか?」
アルフィン皇女の突然の質問にエリゼが呆けている中一瞬不思議そうな表情をしたリィンはすぐに気を取り直してアルフィン皇女に質問を促した。
「その……既にご存知かと思いますがアルバレア公がわたくしの身柄を狙って雇った猟兵達がユミルを襲撃した際に、領民達やわたくしを守る為に自ら剣を振るっていたシュバルツァー卿――――テオおじさまが猟兵に撃たれてしまったのですが………おじさまの具合はどのような状況なのでしょうか……?」
「あ…………」
「……………」
アルフィン皇女の質問の内容を知ったセレーネは呆け、エリゼは静かな表情でアルフィン皇女を見つめていた。
「――――幸い急所が外れていた事と、応急処置が早かったお陰で命に別状はなく、父さん―――シュバルツァー男爵は既に目覚めてユミルの領主として復帰しています。」
「!よかった……おじさまがご無事で………!それと……謝罪で済まない事であると理解していますが、それでも謝罪をさせてください。――――誠に申し訳ございません……!わたくしが郷にいなければあのような出来事は起こらなかったというのに……」
リィンの答えを聞いて目を見開いたアルフィン皇女は安堵の表情で涙を流した後リィンを見つめて頭を深く下げて謝罪した。
「皇女殿下………」
アルフィン皇女の行動をステラは目を丸くし
「………頭をお上げ下さい。俺自身はユミルが襲撃された件で殿下を非難するつもりはありません。あの件で非難されるべき人物達はユミルを襲撃した猟兵達と彼らの雇い主であるアルバレア公です。それに襲撃の後父さん達は殿下を非難するどころか、貴族連合軍の手の者によってこの戦艦へと連行された殿下の身を案じていた上、我が国とエレボニアが戦争状態に陥ってしまった事を知った時、殿下やユーゲント皇帝陛下達”アルノール皇家”に対する罪悪感で苦悩していました。ですから、ユミルの件はもう気になさらないでください。」
「……寛大なお心遣い、心から感謝致しますわ。このメンフィルとエレボニアの戦争によってわたくしがどうなるかわかりませんが………叶う事ならシュバルツァー家に対する償いをしたいと思っています。その際はわたくしでできる事なら何でも致しますわ。」
「”何でも”……ねぇ?クスクス、シュバルツァー家に対する償いなら何でもするというその言葉、本当に信じていいのかしら?」
リィンの心遣いに感謝した後に答えたアルフィン皇女の答えを聞いたレンは意味ありげな笑みを浮かべた後小悪魔な笑みを浮かべてアルフィン皇女に問いかけた。
「はい。現エレボニア皇帝ユーゲント・ライゼ・アルノールと皇妃プリシラ・ライゼ・アルノールの娘たるアルフィン・ライゼ・アルノールはシュバルツァー家に対する償いなら何でもする事をこの場で確約する事を宣言します。どうか、シルヴァン皇帝陛下を始めとしたメンフィル帝国政府の方々にもユミルが襲撃された件でシュバルツァー家の方々に対して償いをしたいというわたくしの意志をお伝えください。」
「うふふ、勿論伝えておくわ。―――”よかった”わね、リィンお兄さん♪」
「?は、はあ……?」
アルフィン皇女の嘆願に頷いたレンは小悪魔な笑みを浮かべてリィンを見つめ、突然話をふられたリィンは戸惑いの表情で答え
「…………ハア……………まさかこんな形で一人増えるなんて………しかもよりにもよってその人物がエレボニアの皇女殿下だなんて………」
「………え”。エ、エリゼお姉様。ま、まさかとは思いますけど………」
その様子を見守っていたエリゼはレンの意味ありげな答えの意味がわかっていた為ジト目でリィンとアルフィン皇女を見つめた後疲れた表情で溜息を吐いて頭を抱え、エリゼの言葉を聞いてある事を察したセレーネは表情を引き攣らせてリィンとアルフィン皇女を見比べた後エリゼに視線を向け
「……後で詳しい事情を教えてあげるわ。」
視線を向けられたエリゼは疲れた表情で答えた。
「うふふ、何だか面白い展開になりそうね♪」
「ふふふ、”なりそう”ではなく、もう”なっている”のでは?ご主人様ですし。」
「ア、アハハ………今までの事を考えると、間違いなく”私達の予想通りの展開になっている”でしょうね……」
「フフ、そしてその展開が彼女にとっての”不幸中の幸い”になるでしょうね。」
一方既に察していたベルフェゴールはからかいの表情になり、静かな笑みを浮かべてベルフェゴールに指摘したリザイラの指摘にメサイアは冷や汗をかいて苦笑しながら同意し、アイドスは微笑ましそうにアルフィン皇女とリィンを見つめていた。
こうして………”パンダグリュエル制圧作戦”は成功し、メンフィル軍は貴族連合軍の旗艦であるパンダグリュエルを占領し、自軍の所有物とした。また今回の戦いによってエレボニアの内戦の裏で暗躍する為に結社から派遣されていた”身喰らう蛇”の”執行者”である”劫炎のマクバーン”と”怪盗紳士ブルブラン”はリウイ達との戦いによって死亡し、貴族連合軍の”総参謀”であるルーファス・アルバレア並びに”帝国解放戦線”の幹部達はリィン達L小隊とレンに討ち取られ、貴族連合軍、結社共に大きな痛手を被ってしまった。そして今回の戦いによって貴族連合軍のナンバー2である”総参謀”と”帝国解放戦線”の幹部の一人を討ち取るという大手柄を立てる事ができたリィン達L小隊はバリアハートでの大手柄の件も含めてメンフィル・エレボニア戦争に派遣されているメンフィル軍の総指揮官であるリウイ直々から表彰される事となった――――――
今回の話で何故デュバリィだけ生かして逃がしたのか理由がわかったと思います(黒笑)レンちゃんの真っ黒な考えはカオスルートが一番活かせるでしょうね(ガタガタブルブル)そしてこのルートで一番悲惨なのはたった1~2話だけ登場して、戦闘の話もなく退場させられたマクバーンとブルブランでしょうねwwまあ、別の意味でもっと悲惨になる事を予定しているキャラ達もいるのですが(ぇ)
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第23話