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涼州戦記 ”天翔る龍騎兵” 第2章3話 運命を変える者

hiroyukiさん

第2章3話です。引越しの為少し更新が遅れました。
ネットがまだ繋がっていない為次回の更新も少し遅れるかもしれません。見捨てずまた見てください。

2009-08-02 12:32:24 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:11944   閲覧ユーザー数:8880

第2章.反董卓連合編 3話 運命を変える者

 

軍議から4日後、董卓、賈駆、陳宮、一刀で諸侯連合迎撃準備の確認をしている所へ馬超が駆け込んできた。

 

「おい、一刀!母様が着いたぞ。」

 

「お、着いたか。さて首尾はどうだったのかな?」

 

「うまくいったんじゃないか?それなりの数の軍といっしょだったからな。」

 

「そうか、これで役者がそろったな。」

 

「劉玄徳さんか、どんな人かな………あれっ、詠ちゃん劉玄徳さんって名、前に聞いたことなかったっけ?」

 

「えっ、初めて聞く……あれっ、そう言えばなんか聞いたことあるような?」

 

そこへ扉を開けて馬騰が入って来た。

 

「ひどいわね。戦友の名を忘れるなんて。月ちゃん、詠ちゃん、ねねちゃんもひさしぶり!」

 

「菖蒲さん、お疲れ様です。」

 

「菖蒲様、ということはあの義勇軍の……」

 

すると馬騰の後ろから4,5人の女性が出てきて口々に不平を漏らした。

 

「はい、あの節はどうもでした。でも忘れるなんて酷いです。」

 

「賈駆殿、我々を忘れるとは酷いではないか。」

 

「鈴々達を忘れるとは酷いのだー」

 

「はわわ。」

 

それを聞いた董卓と賈駆は苦笑いをしながら謝罪した。

 

「悪かったわよ。でも、あんた達だったのね。あの時は世話になったわ。」

 

「劉備さん、おひさしぶりです。ごめんなさい、忘れるなんて。」

 

 

女の子達で話が弾んでいたがなんとなく気後れした一刀は馬騰に声を掛けた。

 

「菖蒲さん、お疲れ様でした。うまくいってなによりです。」

 

「一刀君、意外と楽だったわよ。」

 

実は劉備達は黄巾賊討伐の時、董卓達と共同で戦ったことがあり董卓のことはよく知っていたのである。その為、檄文の内容に疑問を持ち詳細を調べるべく連合に参加しようとしていたが途中で馬騰と会い事実を知り董卓側に付くことにしたのである。

 

「事前に出会っていてくれて助かったわ。そうでなければこうも簡単にこっちに来てくれなかったでしょうからね。あっ、後、君の存在も大きかったみたいよ。」

 

「へっ、俺がですか?」

 

「ええ、彼女達弱小である自分達がなぜ誘われたのか不思議だったようで知りたがったのよ。」

 

「それで俺のことを話したと。」

 

「そういうこと!彼女達に紹介するわ。いらっしゃい。」

 

馬騰は一刀の背を押しながら劉備達のところへ連れて行った。

 

「はいはい、桃香ちゃん達。いいかな?逢いたがってた天の御遣いを紹介するわ。」

 

わいわいと騒いでいた劉備達であるが馬騰に促され一刀の方を向いた。

 

「はは、どうも北郷一刀と言います。字と真名はありません。天の御遣いということになってます。よろしく。」

 

馬騰に背を叩かれた一刀は苦笑いしながら前に出て挨拶する。

 

挨拶する一刀を見つめていた劉備達はそれを受け自分達もそれぞれ挨拶する。

 

「ほぇ~、あなたが天の御遣い様ですか。名は劉備、字は玄徳、真名は桃香といいます。」

 

「性は関、名は羽、字は雲長、真名は愛紗といいます。」

 

「鈴々は張飛、字は益徳、真名は鈴々というのだ。」

 

「名は諸葛亮、字は孔明、真名は朱里といいます。」

 

「名は公孫賛、字は伯珪、真名は白蓮だ。」

 

「(史実では劉備って耳が大きいってことだったけど、ここでは胸ですか。……!やばいっ)よろしく。いや~公孫賛殿も来てくれるとは、助かります!」

 

悲しいかな男の性、劉備の巨乳に目が行く一刀。しかしそれはこの場において非常に危険な行為であり、それに気付いた一刀は誤魔化そうとしたが遅かった。

 

「か~ず~と~、お前いい度胸だな。」

 

「ほ~ん~ご~う~ど~の」

 

「くすん、ペタの立場が……」

 

「一刀君、ここは自粛しないとね。」

 

文字通りの袋叩きであった。

 

 

「うー、ひどい目にあった。」

 

あの後、なんとか許してもらえた一刀は秘密兵器である鐙を試してもらう為、馬超、関羽、趙雲、公孫賛と連れ立って調練場へ向かっていた。

 

「自業自得だ!このエロエロ魔神。」

 

未だ覚めやらぬ調子で責める馬超と白い目で見る関羽であるが、公孫賛が中を取り持ちにくる。

 

「まあまあ、翠もそろそろ機嫌を直せよ。一刀も十分反省しているようだし、なっ!一刀」

 

しかし趙雲がちゃちゃを入れる。

 

「しかし、白蓮殿。男が女の胸に目が行くのは自然の摂理というもの。多少は仕方ないのではないか?ところで北郷殿、桃香様には負けるが愛紗や翠、私の胸も中々のものだと思うがいかがかな?」

 

「こら!星煽るんじゃない。」

 

なにやら不穏な空気が漂う中、もう勘弁してください状態の一刀は頭を抱えながら周りへ視線を泳がしていたがあるところで止まった。

 

「あれ?あれは恋じゃないか。なんでこんなとこに居るんだ?おーーい恋。」

 

点心の屋台の前に知り合いの顔を見つけ、これ幸いとばかりに一刀は逃げ出していく。

 

屋台の前で点心をじっと見つめていた赤毛の少女は自分が呼ばれたのに気付き、小走りにやって来る一刀の方を向いた。

 

「?…………かずと?」

 

少女はやって来た一刀を見て小首を傾げていた。

 

「こんなところでどうしたんだ?確か部隊の調練をしているはずじゃなかったっけ?」

 

「やってた……おなか空いた……ちんきゅいないからお金ない……」

 

つまり調練をやってたらお腹が空いたので食事にここに来たが陳宮がいないのでお金がなく点心が買えないということである。

 

 

空を見上げた一刀は太陽が真上に来ているのにを見て昼食の時間だということに気付き、そういえば自分も食べていないことを思い出した。

 

「おっちゃん、肉まん10個。」

 

「へい!ちょっとお待ち。」

 

 

その時、翠達は……

 

翠「一刀の奴、また女にちょっかい出して……あれ?恋じゃないか。」

 

愛紗「翠、知り合いか?」

 

翠「ああ、愛紗達も名は知ってると思うぜ。飛将軍、呂奉先だよ。」

 

愛紗「なに!人中の呂布と謳われたあの呂布かって……ほんとか翠?」

 

翠「ああ、普段はあんなもんだよ。でもその武は確かだぜ、何度か仕合ってみたけど1度も勝てたことがない。」

 

星「ほう、翠ほどの武でも勝てないとは噂は本当のようだな。」

 

 

「へい!毎度有り。」

 

肉まんの入った袋を受け取った一刀はお金を払うと1個取り出し後、袋を呂布に渡した。

 

「ほい、腹減ってるんだろ。食べなよ。」

 

「……ありがと」

 

袋を受け取ると呂布はもきゅもきゅと食べ出した。

 

「もきゅっ、もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……もきゅ?」

 

それを見て癒される一刀であった。

 

 

キィィィーーーン

 

「んっ、なんの音だ?」

 

「ちんきゅーきーーーーっく!」

 

「ぶべらっ」

 

なにやら聞こえてきた音の方向を向いた一刀の顔面にキックが炸裂し一刀は砂煙を上げながら吹っ飛んでいった。

 

 

再び翠達、

 

翠「あいかわらずの威力だな。」

 

星「ほう?中々腰の入ったいい蹴りだ。」

 

白蓮「おい、一刀大丈夫なのか?」

 

 

「こらー、ねねの目がないのをいいことに恋殿を誑かそうとするとは。このっ、このこのこのー」

 

「もきゅ?……もきゅもきゅ……ちんきゅ」

 

蹴りをかました陳宮は吹っ飛んでいった一刀を追って止めを刺し、もきゅもきゅ食べていた呂布はどうやら陳宮に気付いたようである。

 

「あいかわらずだな、ねね。そう言えばあたしも腹減ったな。愛紗、星どこかそこいらで食べていかないか?」

 

「そうだな、そうするか。」

 

「白蓮殿も行くだろう?」

 

「ああ、それはいいけど。一刀はどうするんだ?」

 

翠達はわいわい騒ぎながら恋やねねを連れて近くの食堂に入っていった。

 

 

しばらくして死んでた一刀は蘇った。

 

「つつつっ、ねねの奴少しは加減しろよ。その内ほんとに死ぬぞ。」

 

起き上がった一刀は首をぐるぐる回して異常のないことを確認しながら周りを見回していたが、翠達は居なかった。

 

「皆、どこいったのかな?」

 

「そこの若者よ……」

 

「えっ。」

 

突然呼びかけられた一刀はきょろきょろと周りを見ていたが通りの真向かいの店と店の間に小さな机があり、そこに全身を黒い布で覆った見るからに怪しげな人物が居ることに気が付いた。

 

周りは人通りが多く騒がしい為そんな離れたところにいる人の声が聞こえるとは思えず、まさなと思いつつその人物を見ているとこちらにこいとばかりに手招きしだした。

 

えっ、俺?っと自分を指差すとこくこくと頷いたので一刀は通りを横断して近寄った。

 

「察しの悪い奴じゃのう。呼ばれたらさっさとこんかい。」

 

「はあ、どうもすみません。」

 

なんで俺がとは思いつつも、声の感じから老人と思える相手に素直に謝る。

 

「まあ、ええわい。若者よ、お主尋常ならざる力を秘めておるの。それも運命を変えうるほどの、いや既に1つ変えておるか。」

 

「えっ、ど、どういうことですか?」

 

運命を1つ変えたと言われ心当たりのある一刀は内心ドキッとしていた。

 

そう本来の歴史では反董卓連合の戦いで董卓は孤立無援であったのを一刀は馬騰、劉備、公孫賛を味方に引き入れていたのである。

 

老人?は一刀の問いに答えることなく続ける。

 

「運命とは例えて言えば黄河や長江のような大いなる流れ。人の力で容易に変えられるものではないし変えてはいかんのじゃ。」

 

「ちょっと待ってください。俺は運命なんてものは信じない。それを肯定したら人の決断や努力というものを意味の無いものにしてしまう。その人の未来はその人が決めるんだ!」

 

「ほほほ、中々言うの。じゃが、先のことを知った上でそれを変えようとするのはずるくないかの?」

 

「えっ!なぜそれを……確かにずるいかもしれません。でも董卓が本当に暴君なら本来の運命を迎えても自業自得ですが、月は・この世界の董卓は善政を敷く善君です。洛陽の民だって救われています。なら彼女を助けてもいいはず。」

 

「ほほほ、それだけかな?」

 

「うっ、全て御見通しなんですね。あなたは何者なんですか?……確かに今回皆を味方に引き入れたのは月達を助ける為もありますが翠達、馬一族を救う為でもあります。」

 

「惚れたか?じゃがそれは許されることと思っとるのか?」

 

「許される許されないは関係ないっ!あんないい奴らが不幸になるなんて俺は認めない。全力で抗ってやる。」

 

「ほほほ、お主の覚悟はわかった。もう1度は天も許そう、しかし3度目は天も許すまい。3度運命を変えた時、お主は破滅する。努々忘れぬことじゃ。」

 

一刀は老人?を睨み付けていたが後ろより声を掛けられそちらを振り向く。

 

「おい、一刀。なにしてんだ?」

 

「んっ、なんだ。翠か。」

 

「なんだとはなんだ。それよりこんな何も無いところでなにしてんだ?」

 

「何も無いってこの人と話していたんだけど?」

 

「はあ?この人ってだれもいないぞ。」

 

「えっ」

 

翠の指摘に驚き、老人?の方に振り返るとそこにはだれもいなかった。

 

「そんな……あれは夢?……」

 

 

<あとがき>

 

どうもhiroyukiです。

 

更新が遅れてすみません。

 

引越ししたばかりでネットがまだ繋がってないんです。

 

今回のはネット喫茶からやってます。

 

繋がるのが8月中旬ぐらいになるのでそれまではネット喫茶からの更新になりそうです。

 

さて今回、一刀の運命に関することが出てきました。

 

魏√みたいですけど少し変えて回数の制限を設けてみました。

 

これにより歴史を知っているという優位性を少し落としてみた訳です。

 

つまり今回の反董卓連合以降で一刀がその歴史知識を使って歴史を変えるのは後1回しかできない、

それをやぶれば自身の消滅を招く訳です。

 

今後一刀は結末を知っていても手が出せないというジレンマに陥ることになりその一刀の苦悩をうまく表現できるかそこがこの作品の肝になるのではと思っています。

 

では、また来週お会いしましょう。

 

PS 上記に書いた理由によりコメントに対する返事が遅れることになりますがご容赦ください。


 
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