No.860556

Triangle Goddess! 番外編1「料理の腕前」

Nobuさん

今日から本編10話ごとに番外編を書く事にしました。時系列は10話~11話です。

2016-07-27 08:27:58 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:300   閲覧ユーザー数:300

 これは、まだエルダーがアインへリアルになる前のお話です。

 

 テンプレム共和国の町の一角に、ジャンヌ、ゲール、バイオレット、エルダーがいました。

 現在、この4人は店の中で行動しています。

 何故、こうなったのかと言いますと、事は前日に遡ります。 

 

「……ゲール、料理は上手いですか?」

 お昼くらいの時、ジャンヌが妹のゲールにぽつりと聞きました。

「人並み……いえ、神並みには作れますよ」

 ゲールは命を司る女神であるため、料理を作るための食材には常に感謝しています。

 そして、その感謝の気持ちを込めて、ゲールは料理を作るのです。

「一度、食べてみたいです」

「いいですよ。でも、私だけなのは面白くないですよね」

「じゃあ、一緒に料理対決をしない?」

「いいですよ、バイオレット!」

「ついでにエルダーも誘っておかなくちゃね」

 

 翌日、三女神とエルダーは「料理王決定戦」を開催しました。

 この勝負には、審査員としてギルド「WoO」の一員、

 ドロシェナ・メディウム、ジンダァ・スケアクロウ、ネリー・ブリキ、リルト・レオが参加しています。

 採点は一人最高5点、合計で20点満点です。

 ただし、最初に選ばれた人は一人3点、合計12点となります。

 何故ならば、最初に5点を出した場合、それ以上のものが出たら得点の上げようがないからです。

 

 そして、冒頭へ戻ります。

 席に用意されたものは、個人個人で買ってきた食材のみでした。

 全員、やるからには勝つ、という気合が入っていました。

 

 そして、食材の買い出しが終わり、試合が始まりました。

 制限時間は30分……果たして、どんな料理が出来上がるのでしょうか。

 

 そして30分後、皆の作った料理が揃いました。

 順番はくじ引きによって、ジャンヌ→エルダー→ゲール→バイオレットとなりました。

 

「では、わたくしからですね。わたくしが作ったのは、これです!」

 ジャンヌが作った料理は、ハンバーグカレーでした。

 三女神の長女が作っただけあり、見た目はとても美味しそうです。

「中からチーズも出てくるようだな」

「手が込んでいるし、味もなかなか美味い」

「しっかり火を通した玉葱を、煮込んだルーに入れている……」

 

 結果、ジャンヌの得点は、ルールに従い、一人3点の合計12点となりました。

 

「次は俺か」

 エルダーが差し出したのは、少し赤みがかったミートソーススパゲティでした。

 このスパゲティは唐辛子を使ってあり、辛めに味付けしてあります。

「食べる時は気をつけろよ」

「ああ」

 ジンダァがスパゲティを口に運んだ、その時です。

 

「辛っ!?」

「だろ?」

「でも、きちんと旨味も伝わってるぜ。

 俺、馬鹿だから全然分かんないけど……これはこれで、結構美味いぜ」

「暑い時、辛いものを食べると体にいいんだって!

 今の時期だとちょっと早いけど、いいんじゃないかな?」

 

 結果、全員4点を出し、計16点となりました。

 エルダーは「よし!」とガッツポーズをしました。

「さて、次は私ですね。大根とイカの煮物です!」

 ゲールが持ってきた料理は、大根とイカの煮物です。

 これは、どこからどう見ても手間をかけたものでした。

 しかし、それに比例して、食欲が増進されるような良い匂いがしました。

 

 審査員が一言。

「へえ、本当に美味いなぁ」

「流石、料理上手な人間だな」

「でも、どうしてここまで?」

「食材だって立派な命。私はそれを大事にするために、料理を磨いたのです」

 ちなみに、ゲールはこの味を作るために、数百年もかかったらしいです。

「「「「美味い!」」」」

 ドロシェナ、ジンダァ、ネリー、リルトは口を揃えてこう言いました。

 

 結果は……ドロシェナ4点、ジンダァ5点、リルト4点、ネリー5点の合計18点となりました。

 

「これで、私の勝利ですね」

「いえ、まだヴィアがいますよ」

「……」

「さあ、来なさいっ!」

 

「まったく、どうしてみんなあたしをひやひやさせちゃうのよ!」

 最後に、バイオレットが出した料理は……。

 

「……普通の……カレー……?」

 何の特徴もない、ごくごく普通の見た目のカレーでした。

 最後に出したカレーが、こんなカレーとは。

 思わず皆は拍子抜けしてしまいました。

 

 しかし、それは、一口食べた時、覆されました。

 

「……これ……本当に……ただのカレーなの……?」

「最早カレーではない……」

「今まで食べた中で、最高のカレー……」

「……お店でも十分に通用するレベルじゃない?」

 審査員の4人は、あまりの美味しさに今まで見た事のない表情をしました。

 

「……そ、そんなに美味しいんですか……?」

「……食べてみたい……」

 もちろん、ジャンヌ、ゲール、エルダーも、バイオレットが作ったカレーを食べてみました。

 

「「「……美味しい……」」」

 3人は、最早その一言しか言えませんでした。

 それほどまでに、バイオレットのカレーは美味しかったのです。

 

 得点は、文句なしの20点。

 優勝は、バイオレットに決まりました。

 

「まさか、末娘のあなたがここまでカレーを作るのが上手だったなんて」

「カレー以外は、全然ダメなんだけどね」

 バイオレットの料理の腕前は、カレー以外は××料理人と言えます。

 しかし、何故かカレーだけは天才的な実力を見せるのです。

 

「それでも、ここまでカレーを作れるなんて……」

「今度、カレーを教えてくれませんか?」

「……え? まあ、暇な時ならいいけど……」

 

 こうして、三女神とエルダーの料理の腕が分かったのでした。


 
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