No.860310

英雄伝説~菫の軌跡~

soranoさん

第96話

2016-07-25 17:36:56 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:722   閲覧ユーザー数:689

 

 

実習内容をこなしていたリィン達は実習内容の一つを用意した依頼者の一人であるゼクス中将に詳しい話を聞く為にゼンダー門に向かってゼクス中将がいる司令室を尋ねた。

 

~ゼンダー門~

 

「よく来てくれた諸君。フフ、集落しっかりと長旅の疲れを癒せたようだな。」

「ゼクス中将、お疲れ様です。おかげさまでしっかりと体を休められました。」

「昨日はお忙しい中、馬まで用意していただいて……」

「なに、さしたる手間でもあるまい。せっかくのガイウスの帰郷だ。あれくらいの配慮は当然だろう。」

「ありがとうございます。士官学院への推薦といい……中将には本当に感謝しています。」

アリサの言葉に答えたゼクス中将の話を聞いたガイウスは会釈をした後ゼクス中将を見つめた。

 

「学院への推薦……?」

「そういえば、ガイウスお兄さんとゼクスおじさんは昔からの知り合いみたいよね……?」

「正規軍中将と北方の遊牧民……いまいち接点が想像できんが。」

ゼクス中将の話を聞いたリィンは首を傾げ、軍人と遊牧民であるゼクス中将とガイウスが知り合い同士である事を疑問に思ったレンとユーシスは不思議そうな表情で二人を見比べた。

「ハハ、無理もあるまい。言うなれば、彼は―――私を救ってくれた恩人でな。」

「恩人……?」

「1年ほど前……私がこのゼンダー門に赴任したばかりの頃の話だ。馬で高原を視察していた所に、狼型魔獣の群れに囲まれてな。そこへ十字槍を持って馬で駆けつけてくれたのがガイウスだったというわけだ。」

「そんなことが……」

ガイウスとゼクス中将の出会いを聞いたアリサは驚きの表情で二人を見比べた。

 

「フフ、あの時は無我夢中でした。」

「いや、見事なものだったぞ。私が魔獣の群れを相手に慎重に間合いを計っていた中……たった一人の若者が颯爽と現れ、あしらってみせたのだからな。」

「と、当時でもまだ16歳くらいよね?」

「……とても真似できんな。」

「うふふ、やるじゃない、ガイウスお兄さん♪」

「はは……さすがガイウスというべきか。」

ゼクス中将の説明を聞いたアリサとユーシスは驚き、レンとリィンは感心した様子でガイウスを見つめた。

 

「ともかく、あれ以来中将には親しくしてもらっている。オレが学院に入れたのも中将の推薦あってこそだろう。」

「フフ、有望な若者に何がしかの道が拓ければと考えてのことだったがな。こうして再会できたこと……嬉しく思うぞ、ガイウス。」

「フフ……オレもです。」

その後リィン達はゼクス中将の依頼内容を聞いた後、達成する為に行動を開始し、ゼクス中将から手配魔獣の特徴やどこにいるかを聞いた後馬で高原をかけて手配魔獣を見つけた。

 

~ノルド高原~

 

「フン、あれが依頼の魔獣か……」

「この時間帯はあの場所に留まっているらしいわね。」

「ああ……今のうちに準備をしっかり整えておこう。」

「ええ。」

「中将の依頼……必ずや成し遂げよう。」

そして準備を整え終えたリィン達は手配魔獣との戦闘に挑んだ!

 

「さあ、一気に行くぞ!!」

仲間達の攻撃力を高める為にリィンはクラフト―――激励で仲間達の闘志を高めると共に攻撃力を高めた。

「セイッ!」

「ハアッ!」

攻撃力が上昇したユーシスとガイウスは手配魔獣を左右から挟み撃ちにして同時攻撃を叩き込み

「燃え尽きなさい―――ファイアッ!!」

アリサは手配魔獣の正面から炎を宿した矢を射るクラフト―――フランベルジュで攻撃した。

「!?」

正面から放たれた矢が頭に命中した事で手配魔獣は怯み

「隙あり!」

アリサと戦術リンクを結んでいるリィンがその隙を逃さず、追撃を叩き込んだ。

「エニグマ並びにアークス駆動――――えいっ!エアリアル!ヒートウェイブ!!」

その時仲間達が手配魔獣の注意を惹きつけている間に二つの戦術オーブメントの駆動を終えたレンは最初に竜巻を発生させるアーツを放ち、続けて地表を高熱で覆うアーツを発動した。すると竜巻のアーツによって炎のアーツが竜巻と一体化して炎の竜巻と化して手配魔獣を襲った。

 

「――――――」

「「グッ!?」」

「チッ!?」

「キャッ!?」

「―――粋護陣。」

炎の竜巻が消えると手配魔獣は反撃に全身から電撃を発するクラフト―――大放電でリィン達を攻撃し、咄嗟に闘気の結界を展開して反撃を防いだレンを除いたリィン達は全員ダメージを受けると共にマヒ状態になった。

「アークス駆動―――エナジーサークル起動―――これでもう大丈夫よ♪」

手配魔獣の反撃を防いだレンはアークスを駆動させた後前衛のリィン達に治癒フィールドを発生させるクラフトを発動してリィン達が負った傷と状態異常であるマヒ状態を回復し

「えいっ!レキュリア!!」

続けて状態異常を回復するアーツでアリサのマヒ状態を回復した。

 

「ありがとう、レン!そこだ―――たあっ!!」

傷とマヒ状態が回復したリィンは剣を鞘に収めて疾走し、同時に抜刀する八葉一刀流の剣技―――紅葉切りで手配魔獣に反撃を叩き込み

「ハッ、ハッ……セイッ!!」

「竜巻よ―――薙ぎ払え!!」

リィンに続くようにユーシスは連続突きの後に止めの薙ぎ払い攻撃を叩き込む連携技―――クイックスラストで、ガイウスは十字槍を回転させて竜巻を発生させるクラフト―――タービュランスで追撃した。

「えいっ!フレイムタン!!」

そこにアークスの駆動を終えたアリサが敵の足元から炎を吹き上がらせるアーツを発動して攻撃し

「怒りを穂先に変え、前途を阻む障害を貫け―――ロックブレイク!!」

レンが魔導杖にインストールされている特殊魔法を発動し、手配魔獣の足元から鋭利な岩を出現させて手配魔獣の巨体を貫いた。

 

「!?」

巨体が鋭利な岩に貫かれた事によって手配魔獣は怯み

「止めは任せてくれ!風よ―――俺に力を貸してくれ!うおおおおお……っ!」

それを見たガイウスは強烈な威力の攻撃を放って止めを刺す為に跳躍して全身に闘気によって発生した鷹のオーラを纏い

「カラミティ―――ホーク!!」

風を纏った十字槍を構えて空から突撃して十字槍を叩き込んだ。すると手配魔獣を中心に竜巻が発生した。

「――――――!!??」

ガイウスが放った空を制する鷹のオーラを纏った突撃のSクラフト―――カラミティホークによるダメージで蓄積したダメージが限界に来た手配魔獣は悲鳴を上げながら消滅した!

 

「よし……退治できたか。」

「ああ……これで少しは中将に恩返しができるというものだ。」

「フッ、殊勝なものだ。」

「ガイウス、よかったわね。」

「うふふ、手配魔獣も倒した事だし、すぐにでも報告にゼンダー門に戻りましょう。」

手配魔獣の撃破を確認したリィン達はゼクス中将に報告する為にゼンダー門に戻り、ゼクス中将に手配魔獣の撃破を報告した。

 

~ゼンダー門~

 

「あの魔獣を討伐してきたか………ご苦労だったな、諸君。ガイウス、他の諸君にも礼を言わせていただこう。」

「いい風の導きがあったおかげです。」

ゼクス中将の労いの言葉にガイウスは謙遜した様子で答えた。

「フフ、そのようだ。これが今回の報酬となる。受け取ってくれたまえ。」

そしてゼクス中将は報酬であるクオーツをガイウスに手渡した。

 

「ありがたく頂戴します。」

「ふふ、お役に立てて光栄でした。」

「いずれこの門の部隊に討伐される魔獣ではあったがな。」

「いや、随分と助かった。魔獣相手とはいえ、迂闊に軍を動かす事態など起きぬに越したことはない。その意味では大義ある仕事であっただろう。」

「なるほどね……確かにそうかもしれないわね。」

ゼクス中将の話を聞いたレンは納得した様子で頷き

(ゼクス中将……本当にできた人だよな。”隻眼”のゼクスといえばヴァンダール流の剣の達人としても名を知られているけど………)

(ああ、”名将”と呼ばれているのも頷ける。オレの軍人への印象も、最初とは随分変えられた。)

(ふふ、気持ちはわかる気がするわね。)

感心した様子でゼクス中将を見つめて呟いたリィンの小声の言葉に頷いたガイウスの小声の言葉を聞いたアリサは微笑んだ。

 

「ともかく、これで依頼は達成だな。この高原での実習……必ずや諸君の糧となろう。残りの課題もしっかりと成し遂げることだな。」

「ええ、頑張らせていただきます。」

「それでは中将、失礼します。」

その後ゼンダー門を後にしたリィン達は残りの課題の消化を始めた――――

 

 


 
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