第35話:トウカジム!力の壁!
「まさか、こんなことになっちゃうなんてな・・・」
草原に寝転びながらクウヤはぼーっと空を見ていた。
彼が何故こうしているのかは、数時間前にさかのぼる・・・・
―――
3日かけてクウヤはトウカシティへ戻ってきた。
目的はモチロン、トウカジムへの挑戦だ。
早速ジムへ向かいセンリに挑戦を申し込むと、バッジの数でクウヤの実力を認めたセンリは快くバトルを受け入れてくれた。
ルールは3対3の勝ち抜き戦だ。
「ザングースいけ!」
「いけ、ピーカ!」
センリはザングース、クウヤはピーカをそれぞれ出した。
先に攻撃したのはでんこうせっかを指示したピーカ。
ザングースはその一撃に耐え抜き反撃のかわらわりを食らわせる。
ピーカは持ちこたえ10まんボルトを放つがかげぶんしんで回避されブレイククローをそのまま受けて倒されてしまった。
「まずは一勝をもらったぞ」
「くっ」
すぐにボールに戻し次のポケモンを出した。
「頼むぞナーク!」
「ビブラーバ・・・ドラゴンできたか。
ザングース、ひっかけ!」
「すなあらし!」
その目くらましが効き標的を見失ったザングース。
その間にナークは地中にもぐりこみ相手の真下へ移動し天井まで突き上げる。
地面に落ちたザングースにりゅうのいぶきでとどめをさし戦闘不能にした。
「やった!」
「よくやったぞザングース。
なるほど・・・あの初心者だったキミはもういない、今いるのはれっきとしたポケモントレーナーのクウヤくんだな!
ならば私もそれに応え本気を出そう!
行け、ヤルキモノ!」
ヤルキモノは出てくるなり激しく動き始めた。
その勢いに屈することなくナークにりゅうのいぶきを指示したが早い動きでよけられ、ソニックブームも耐えられた。
さらにナークより高く飛び上がりみだれひっかきで攻撃してくる。
もう一度ソニックブームを撃ってもまた回避されクウヤは手も足も出ないとパニくってしまいうまい指示をおくれなかった。
上手く技を当てられずナークはヤルキモノにそのまま倒されてしまう。
何も出来なったことによる悔しさに顔をゆがめつつクウヤは最後に、相性の良いアーチで立ち向かう。
「あの時のアチャモがここまでたくましくなったとはな・・・。
だが今のキミで戦えるのか?」
「っアーチ、連続でにどげり!」
にどげりとみだれひっかき、かえんほうしゃとシャドーボール、お互いの技がぶつかり合い相殺しあう。
「そこだ、スカイアッパー!」
「ヤルキモノ、耐えろ!」
スカイアッパーが命中し勝ったと思ったのもつかの間、ヤルキモノはそれに耐え抜きみだれひっかきを的確に当ててくる。
怯んだところにつばめがえしを決められてしまいアーチはなんとか押さえ込もうとしたが、そのパワーに耐え切れず吹っ飛ばされてしまった。
「・・・あっ」
気付いた時にはアーチは、戦闘不能になっていた・・・。
―――
・・・・・そう、クウヤはセンリに敗北してしまったのだ。
ポケモン達を慰めつつクウヤはジムを出て今に至る。
昔から何かあると(何もなくても)空をひたすら見上げる。
星空でも曇り空でも、そこにあるのは変わらない大きく広い天空。
ずっと昔からクウヤは空を見上げると気持ちが落ち着くのだ。
「負けたのって・・・・ラカイとのバトル以来だな。
あんときはオレ、バッジゲットで少し浮かれてたんだっけ?」
そこまでないか、とクウヤは笑う。
今回の敗因は・・・わかっている。
「あせっちまったんだよな・・・。
バトルはポケモンが戦ってるからオレがしっかりしなきゃいけねぇのに、あんなのであせっちまって・・・そんなの、まるで」
クウヤは俯いた。
「まるでオレがポケモンを信用してねぇみたいになっちまうよな・・・。
大丈夫だと思うからこそちゃんとしなくちゃな・・・」
うん、と頷くと勢いよく起き上がり立ち上がる。
ポケモン達は今ポケモンセンターに預け休ませているため迎えに行くためにそこへ向かうのだ。
ついたときには、ポケモンの回復は終わっていた。
「みんな、ごめんっ!」
『!?』
「オレパニくってちゃんと指示できなった!
次からはちゃんとするから!
だから・・・みんな・・・、これからもオレと一緒にいてくれるか・・・?」
突然のクウヤの言動にびっくりしたが、ピーカが先に頷きそれに続けてみんな頷いたりクウヤに飛びついたりした。
それを見て、クウヤは安心して笑う。
「ありがと」
泣きそうになるのをこらえ、ポケモンたちに強く笑顔を向ける。
「次こそおっちゃんに絶対勝つぞ!」
敗北は恥と言い馬鹿にする人も多いが、そもそもなぜそう思われてしまうのだろうか。
そこで全てが終わってしまうわけではない・・・敗北とは、次の勝利への第一歩なのだ。
負けたぐらいでつべこべ言ってては何も始まらず世界も変わらない。
一つ一つの勝敗を受け入れて、人は人を知るのだ。
負けた事のない人も勝てない人もいないのだ、希望を持ち前を向いて次へ先へと進んでいくのだ。
クウヤもまた、この負けを子どもだが子どもなりにしっかりと受け入れて次の勝利のために頑張っていくのだ。
何度でも。
「オレはお前達がいる限り何度だって立ち上がるぜ」
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トウカジム戦、本番への一歩と言ったところかな