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ALO~妖精郷の黄昏・UW決戦編~ 第38-7話 人界の守護者

本郷 刃さん

今回も遅れてしまいましたが第7話目です。
他の話しよりも長いですがこれでも纏めた方w

ではどうぞ・・・。

2016-05-16 09:56:43 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:6827   閲覧ユーザー数:6306

 

 

第38-7話 人界の守護者

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

――Final Tolerance Experiment(最終負荷実験)――

 

『東の大門』、三百年以上もの年月にわたり人界と暗黒界を隔て続けてきた巨大構造物の崩壊が始まった。

無限にも等しかったと思われた天命は尽き、大門の崩壊は全アンダーワールドに響き渡る。

大門に浮かび上がったその神聖文字の意味を理解できた者は戦場にただ二人。

闇の皇帝である【暗黒神ベクタ】のスーパーアカウントを利用しているガブリエル・ミラー、

彼と共に暗黒騎士のノーマルアカウントでフルダイブしたヴァサゴ・カザルスだ。

 

 

 

二人は他数名のメンバーと共にアメリカ政府とペンタゴンの要請によって『オーシャン・タートル』へと侵入した。

ラースの内通者からの報告で予てより待機していたところからの出動となった。

内通者自身は信頼できる者ではないが、情報は信用できるものだった。

そして確かに情報通りであり、侵入と目的地への到達は達成できたが、

それまでが情報には無かったものであり、内通者も知らなかっただろうことがあった。

 

行く先々のロックされている扉や防壁に超高度なプロテクトとカウンタープログラムに対策ウイルスが何重にも掛けられており、

作戦のために数台用意していたノートパソコンの内、二台が完全に使えない状態にまでされてしまった。

情報担当のクリッターと呼ばれるメンバーはこれに手を焼き、途中まではその遅さにヴァサゴも苛立ちを隠せずにいたが、

クリッターの必死な形相や時折嘆くような言葉にはさすがの彼もほんの僅かだが同情した。

だがそれも仕方の無いことである、

まさかこれがあの茅場晶彦のエコーが遺したものだとは桐ヶ谷和人(キリト)以外知りえないのだから。

 

軍人である彼らからすれば予定よりもかなり遅い時間での目的地への到達になり、結果的に言えば作戦状況は悪い。

戦闘に関しては押せているようだが、情報戦は相手が圧倒的な有利の状態にあり、総合的に見ればやや分が悪い。

しかし、軍人であり任務である以上は経過も重要だが結果こそが最終目的だ。

クリッターに情報系統を任せ、『ソウル・トランスレーター(STL)』でガブリエルは闇の皇帝ベクタのスーパーアカウントを使い、

ヴァサゴは暗黒騎士のノーマルアカウントを用いてフルダイブした。

 

任務内容は『A.L.I.C.E.』の破壊、あるいは奪取。

しかしヴァサゴは最初から任務の成否を考えておらず、楽しめそうだからであり、VRゲームに深い関わりを持っていたからでもある。

そして指揮を執るガブリエルもまた任務内容を利用して己の欲求を満たそうとしている。

 

少年期である十歳の時に魂というものに興味を持ち、虫を殺戮する実験を繰り返し、

不安定な経済の果てに見据えた不安から将来を誓い合った幼馴染の少女、アリシアを殺害した。

その時に感じた魂の輝きに魅入り、彼女と似通った名を持つアリスを手に入れようと、

そのためにガブリエルはアンダー・ワールドへ降り立った。

 

ガブリエル・ミラーとヴァサゴ・カザルス、いや暗黒神ベクタと暗黒騎士ヴァサゴを迎えた者達は現実世界の映像で見たとおり。

集った十侯と呼ばれる各種族・各組織の長達の前で再臨を宣言し、人界に戦争を仕掛けることを告げた。

その後、幾つかの騒動が起きたことで少しばかり戦力が低下したが、問題はそこではなかった。

暗黒術師のディー・アイ・エルいわく、半年ほど前から各種族・各組織の拠点が人界からの攻撃により大打撃を受けていた。

特に降り立った地である『オブシディア城』に関しては一部が崩壊し、結界が無ければ完全崩壊するほど攻撃を受けている。

今回もその攻撃によって取り逃しを出してしまったほどだ。

 

しかし、時間は限られているのでそれらは放置しておくことにし、全戦力を集めて人界との決戦を優先することとなった。

そして総勢五万にもなる闇の軍勢を率い、いままさに決戦を開始せんとしている。

 

ガブリエル、いやベクタは暗黒術師ギルド長であるディー・アイ・エルが小型のテーブルに設置していった大型の髑髏に歩み寄る。

音声伝達能力を持つ魔法の小道具(アーティファクト)を使い、各将軍達に持たせてある小髑髏へと冷厳たる声を響かせる。

 

「我が闇の国の将兵共よ、貴様らが待ち望んだ時が来た!

 命ある者達を殺し尽くし、奴らの物を全て奪い尽くし、蹂躙してみせよ! 第一陣、突撃開始!」

 

山ゴブリン族五千、平地ゴブリン族五千、オーク族二千、ジャイアント族一千、ダークテリトリーの第一陣が突撃を始めた。

 

 

 

 

人界軍の前方第一部隊中央に整合騎士副長ファナティオ・シンセシス・ツーが部隊を展開し、

右翼へはデュソルバート・シンセシス・セブンが、左翼はエルドリエ・シンセシス・サーティワンが率いている。

 

後方第二部隊の中央に構えるはベルクーリ・シンセシス・ワン、

右翼を任されているのは【無音】の異名を持つシェータ・シンセシス・トゥエルブ、

左翼はレンリ・シンセシス・トゥエニセブンが率いる。

 

そして本陣はアーシン・シンセシス・エイティーとビステン・シンセシス・ナイティーの二人が守護する。

以上が上位騎士達の配置であり、下位騎士達がそれぞれの部隊に配置されている。

 

向かってくるダークテリトリーの第一陣、

ジャイアント族の長であり暗黒界十候のシグロシグが己の部族を率いてファナティオ率いる中央部隊と真正面から戦闘を開始した。

平地ゴブリン族の新たな長となりこちらも十候の一人であるシボリは右翼のデュソルバートの部隊と正面からの衝突となった。

そして山ゴブリン族を率いる新たな長であり十候のコソギも左翼のエルドリエの部隊へと向かった。

 

整合騎士とは一騎当千の人界の守護者である、これが人界人にとっても暗黒界人にとっても共通の見解だ。

しかし、果たしてそうだと断言できるだろうか?答えは否だ。

いつものように暗黒界側での戦闘、守るべきは己の命のみでいつでも撤退できる状況ならば確かに整合騎士達は負けないだろう。

だが、これは戦争である、守るべき人界の民達と共に戦い、遥か後方にはいまもなお守られるべき民達が居る。

退くも逃げるも出来ぬ状況、民達を守りながら戦うことに慣れておらず、死んでいく者達は必ずいるのだから。

それでも、ファナティオとデュソルバートは強力な術と技術を用いて相対する敵に大打撃を与えていく。

 

戦端は確かに開かれたのだ。

 

 

 

戦いが始まった時、第二部隊の左翼を率いる上位整合騎士レンリの姿はそこにはなかった。

彼が居るのは後方の本陣の左翼側、そこにある物資備蓄用天幕の片隅である。

本来ならば第二部隊左翼の最前列にて突破してくる可能性がある敵を屠る役目があり、

命令違反ともとれる無報告の戦線離脱は重罪ともなろう。

だが、それでもレンリは隅で体を震わせてしまうしかなく、彼自身がなんとかしなければならないことなのだ。

 

レンリがこのような状況にあることにも当然だが理由がある。

“失敗作”、彼が守備軍に参加した理由であり、同時に逃げ隠れている理由でもある。

かつての最高司祭であったアドミニストレータによる『シンセサイズの秘儀』によって全ての記憶を失い、

神器の下賜の際『雙翼刃』によって主に選ばれたが強く共鳴したものの『武装完全支配術』を発動できなかった。

アドミニストレータはレンリに興味を無くし、新たに騎士となった圧倒的才能の持ち主であるアリスの存在が彼の存在意義を霞ませた。

レンリは失敗作の烙印を押され元老長であったチェデルキンの『ディープ・フリーズ』術式により、

氷の彫像として永久凍結されることになった。

 

そして五年間という月日が経過し、レンリは目覚めた。

それは後に『セントラル・カセドラル反逆事件』と呼ばれる出来事が終了した直後のことだった。

アドミニストレータらが行ってきた非道の数々と自分達整合騎士の真実が明らかになり、

“レンリ”という存在である自身の過去を思い出した。

 

サザークロイス南帝国出身の天才少年剣士、弱冠十三歳で央都セントリアに上り、

翌年には四帝国統一大会で優勝するという快挙を成し遂げ、整合騎士に取り立てられた。

そんな輝かしいものではない、その大会決勝で自身が成したのは親友を殺してしまうという大罪。

 

レンリは理解した、雙翼刃の武装完全支配術を発動できなかったのは親友を殺したことに恐怖しているからだと、

同時にその時に何かを欠いてしまったからだとも。

整合騎士とはいっても少年であるレンリにすぐさま欠いた何かが掴めることはなく、

それを掴むことができるかもしれないと思い守備軍に参加することを決めた。

 

けれど、命を懸けあうという戦場と指揮官という重圧、そして親友を殺してしまった過去(トラウマ)によって彼は静かに隠れた。

そもそも、レンリ自身は命懸けの戦闘ということそのものが初めてであり、

それらが少年の心にかける重圧は並みのものではなかった。

幾度も心を奮わせようとして持ち場に戻ろうとし、自身を叱咤したがそれでも足は動かない。

そうしている内に離れた場所で爆発音や鬨の声が上がり、戦闘が始まったことを悟った。

失敗作、武装完全支配術を使えない自分が居ても邪魔になるだけだ、そう思い諦めかけた。

 

「ティーゼ、ここはどう?」

「うん、この天幕なら大丈夫そうだね、ロニエ。アリス様から預かったこの首飾りを隠すに適していそう。

 物資の守備も任されているし、隠してから入口を守りましょう」

 

そこへ天幕の入り口が開いて若い女性の声が聞こえてきた。

自分を探しにきたのかと思い竦み上がったが、会話の内容からどうも違うと判断する。

二人の会話の中でアリスの名が上がったことに疑問を感じた時、二人の少女がレンリの存在に気が付き警戒し出した。

 

「敵じゃないよ、驚かせてすまない。両手は見せておくから、立ってもいいかな?」

「……はい。あ、き、騎士様! 失礼いたしました!」

「脅かした僕が悪い。それに、僕のような者が整合騎士であっていいはずがない…」

 

最上級の鎧と両腰の神器、縁取りつきの白マント、

胸当ての中央に輝く十字に円を組み合わせた公理教会の紋章、それらが整合騎士の証であることに間違いはない。

 

持ち場を放り出して逃げてきた、最前線では戦闘が始まり死者も出て、自分が指揮する部隊は混乱しているはず。

そうレンリが語ったことに驚いた表情を浮かべた二人の少女、

しかし天幕の天井に空いている月光を入れるための穴から射した光が彼の顔を明らかにしたことで、

赤毛の少女はさらに驚いた様子を見せた。

それが少し気になったが、なんでもないと答えたのでレンリは聞かないことにした。

 

そこで二人の少女、赤毛の娘はティーゼ・シュトリーネン、濃い茶髪の娘はロニエ・アラベルと名乗った。

そう、キリトとユージオの後輩二人だ、志願兵として参加し、補給部隊所属だと言った。

 

「私は騎士様の御事情に何を申し上げることもできませんが、私達は守備軍の一員でありながら、

 前線で戦う力もなくこうして後方に下がっています。

 でも、騎士アリス様から託されたこの首飾りだけは、なんとしても守り抜きたいのです…」

 

アリスの名を聞き、レンリはまた表情に翳りを見せたが、ティーゼは話を続けた。

力がなく、一匹のゴブリンとの戦いさえ覚束ない自分達に手を貸してくれないかと申し出た。

その瞳に確かな光を灯しながら語るティーゼとそれに頷くロニエ。

 

「(僕はこの光を、親友を殺した時に置き去りにしてしまったのかもしれない…)」

 

自分にはない眩しいものを持つ二人の少女を羨ましく思い、しかしそれもまた自身の責任だと考える。

 

レンリはここにいれば少なくともある程度は大丈夫だと告げる。

人界守備軍と第二部隊の総指揮を執るのは騎士長であるベルクーリであり、

万が一にでも敗北することがあれば人界の終わりを意味する。

勝つにしても負けるにしても、戦いが終わるまでここにいる。

近くにいても邪魔はしないから好きにしていいと言う。

とはいえ、ただ一つだけ気になったことがあり、彼女達に聞く。

 

「その首飾りは、どういったものなんだい?」

「アリス様が妹様から出陣前にいただいた手作りの品のようです。戦闘では爆発も起きますから、失くしてしまわないようにと」

 

妹、レンリはそう聞いてアリスにもまた大切な存在がいるのだと解った。

その妹を守り、自分の隣に居る最強の青き騎士と共に戦場を往く、どれほどの覚悟であの騎士は居るのか。

 

レンリにはまだ解らない、だがそれも後僅かな時間のことであった。

 

 

 

 

人界守備軍前方第一部隊中央、整合騎士副長であるファナティオに危機が迫っていた。

彼女が向かってくるジャイアント族に向けて放った先制攻撃、

『天穿剣』による武装完全支配術による陽光の一撃は三体ものジャイアントの天命を全損させた。

しかし、この攻撃こそが危機の引き金となっていた。

 

ジャイアント族族長であるシグロシグはファナティオの攻撃に恐怖した。

狙いを定められ、術の対象にされた瞬間に感じ取ったそれに慄き転倒する。

右耳と髪は蒸発した、同胞の三人部下は一瞬で死んだ、次に狩られるのは自分だと彼は感じ取り、恐怖を覚えた。

 

シグロシグのフラクトライトの中心で“主体”となって築かれている“最強者である”というセルフ・イメージに、

恐怖を覚えて動けないという“状況”が迂回不可能な衝突を発生させ、ライトキューブ内で光量子回路の崩壊が引き起こされた。

フラクトライトの崩壊、それは副作用として彼の人界に対する積年の憎悪が解き放たれることにもなり、それは『心意』となる。

ただ殺すためのもの、『殺の心意』である。

 

シグロシグによる殺の心意はファナティオに届き、彼女の行動を制限させた。

恐るべき速度と勢いでファナティオにまで迫ったシグロシグは言葉とも取れない絶叫を上げながら大鎚を彼女に振り下ろした。

 

「(閣下…)」

 

身動きのできないまま愛しい男を想うファナティオ。

半年前の事件の折、自身のことを女と知りながらも全力で戦ってくれたキリトに応え、

騎士でありながら一人の女としても過ごしてきた。

想いの丈をベルクーリに告白し、彼はそれを受けてくれた。

忙しく僅かな逢瀬だったがそれでも幸せだったこの半年間。

これはそれまで積み重ねてきた知らないことという罪の罰なのだろう。

短い時間でそう思い、凶撃が迫ることを待った……が、それを受けることはなかった。

 

「おぉぉぉぉぉっ!」

 

雄叫びを上げながらファナティオの前に躍り出たのは、

業物の大剣を持つ下位整合騎士であり彼女直属の部下であるダキラ・シンセシス・トゥエニツーだった。

ファナティオの危機を知り、ダキラは怯むことなく殺の心意を纏うシグロシグの攻撃を大剣で受け止めた。

しかし、彼女の大剣では圧倒的優先度に変化したシグロシグの大鎚を受け切れず、一瞬で砕け散った。

だが、ダキラは諦めず即座に残った柄を捨てて両手と兜の額で受け止める。

 

「ぐっ、あぁぁぁぁぁっ!」

「ダキラ!?」

 

大鎚の一撃で瞬時にダキラの両手から肩までの骨を粉砕し、兜も砕け散り麦わら色の短いおさげ髪が露わになった。

例えこの身が朽ち果てようとも、この醜い武器からファナティオ様を守る、守りきれば他の誰かが繋いでくれる。

その意志が、願いが、確かに通じた。

 

――ドォォォンッ!

 

「ゴロディルディッ!?」

「う、あ…」

「ダキラ、しっかりしろ!?」

 

大鎚が根元から何かによって断ち切られ、宙を舞った後に地響きを上げてから地に落ちた。

訳も分からぬ絶叫を上げていたシグロシグもフラクトライトそのものが一時停止したかのように彼も止まる。

ダキラは後ろに倒れかかり、ファナティオが彼女を抱き支えた。

一体何が、そうファナティオが思ったのも束の間、彼女達を庇うように目前に青い鎧の騎士が降り立った。

 

「ユー、ジオ…?」

「はい、ファナティオさん。秘薬です、これを彼女に」

「すまない、助かる! ダキラ、飲めるか?」

 

抱えているダキラの僅かに開いている口にユージオから受け取った薬を流し込む。

ダキラの顔色が良くなり、傷が塞がっていくことを確認して安堵するファナティオ。

 

「ヒト、ニンゲン、ゴロズゴロズゴロズゴロズゴロズ!」

「黙れ」

 

シグロシグは目の前にいる存在が人間だと分かり再び暴走する。

両手を組んで鎚のように振り下ろしたその腕は、

冷え切った声と共に振り向きざまにユージオが振った『青薔薇の剣』によって手首から斬り落とされた。

圧倒的なはずの殺の心意を、それ以上に圧倒的に研ぎ澄ませた心意で斬り裂いたのである。

 

「「「よくもダキラをっ!」」」

 

ユージオの心意に動きを止められたシグロシグに残る【四穿剣】のジェイス、ホーブレン、ジーロが怒りを込めて斬りかかる。

ダキラと共に兄妹も同然にファナティオに鍛えられてきた彼らの怒りは並みのものではなく、

ジャイアント族の長の両腕と胸元をそれぞれが斬り裂いた。

態勢を崩し、片膝を突いたシグロシグの前にファナティオが立っている。

 

不甲斐無い、ファナティオの心中には自分に対するその思いが渦巻いていた。

敵も侮っていただろうが、こちらも相手を侮っていた。

身を竦ませ、動くことがままならなかった自分を救ってくれたのは愛する妹と弟のような存在達と新たな騎士()だった。

ダキラは傷付き、ユージオがダキラと自分を救い、弟のような三人がそれに続いた。

ならば今度は、今度こそ自分が守る番だと決意した。

命懸けで守ってくれたダキラ、彼女に応えるように戦うジェイスとホーブレンとジーロ、

ダキラのことも救ってくれたユージオ、いまなお共に戦ってくれている兵士や民達を守る。

 

ファナティオが空に天穿剣をすっと向けると低い震動音と共に純白の光を剣が纏った。

 

「地の底に帰れ」

 

剣尖から五メル(5m)ほどもある光の刃を振り下ろし、そこからさらに光の刃は伸び続けた。

シグロシグを頭から真っ二つに衰えることなく斬り裂き、ジャイアント族の長は息絶えた。

血飛沫が起こり、光の熱によって焼かれた血の臭いが辺りを包みこむ。

それを見届けたユージオはもう大丈夫だろうと判断し、滑空してきた氷華の背に飛び乗りこの場を後にした。

飛竜に乗り別の場所へ向かったユージオにファナティオは頭を下げ、すぐにシグロシグだった二つの肉塊の間に立った。

 

「第一部隊中央、前進! 敵を押し戻せ!」

「「「「「「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉっ!」」」」」」」」」」

 

押されかけていた中央は息を吹き返し、ジャイアント族を押し返していく。

 

 

 

中央のファナティオが危機に陥っていた同時刻頃、右翼のデュソルバートもまた危機に瀕していた。

最初は下位騎士も加えて順調に戦っていた右翼だったが、

徐々にやられていく人界の民達の姿を目にすることで下位騎士だけでなく上位騎士のデュソルバートも冷静さを欠いていった。

気付いた時には矢は尽きてしまい、シボリ率いる平地ゴブリン族が目前に迫ってきた。

 

そしてデュソルバートとシボリが対峙した。

シボリは精鋭の七匹のゴブリンを連れてデュソルバートに攻撃を仕掛けた。

しかし、デュソルバートはこれまでの戦闘と味方の被害により心身共に疲労が重なっており、

七匹を捨て駒にして攻勢に出てきたシボリに追い詰められかけた。

 

そこへ援護に来たのは戦闘開始直後に話していた若い衛士長であり、彼はシボリに対して勇敢に斬りかかった。

けれど、シボリの前には敵わず、奴の一撃を受けて彼は二転、三転と吹き飛ばされてしまった。

微動にしているからまだ生きてはいるがこのままでは危ない、これ以上民達を傷つけさせるわけにはいかない。

生きて、皆をそれぞれの家族の許へ帰し、自分もまた元の姿に戻れて帰りを待つ妻の許に帰るために。

 

強き意志の元、デュソルバートは神器『熾焔弓』へ呼びかけ、その炎を纏った。

自らに纏わりついていた二匹のゴブリンを焼き殺し、矢を番える動作をすれば紅蓮の矢が形成し、

火の鳥の姿を以てしてシボリに向けて放った。

 

「燃え失せろ」

 

放たれたその一撃はシボリを跡形も無く焼き尽くし、さらに飛び続ける火の鳥はシボリに続いてきたゴブリン達もまとめて焼いた。

 

「敵将、平地ゴブリン族族長シボリ、このデュソルバート・シンセシス・セブンが討ち取った! 右翼、前進するぞ!」

「「「「「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」」」」」」」」」」

 

三百もの平地ゴブリンを焼き尽くしたデュソルバート。

彼に怖れて動けずにいるゴブリン達へ、右翼部隊が反撃を開始した。

 

 

 

エルドリエ・シンセシス・サーティワンは自身に憤っていた。

彼の率いる左翼を襲ったのは山ゴブリン族であったが、奴らはほとんど戦うことをしなかった。

エルドリエ達目掛けて特殊な煙玉を放り投げて撹乱し、部隊の合間を縫って第一部隊左翼を突破したのだ。

突破しきれなかったゴブリンとは交戦しているが抜けた数も相当数であり、現在戦っている数もかなりのもの。

ゴブリンだからと侮っていた結果、第二部隊以降への到達を許してしまった。

急ぎ敵を殲滅し、突破していった大将を討たねばならない。大役を任された師のアリスが少しでも楽をできるように…。

 

だが状況はエルドリエが思っているよりも良くない状態である。

なぜなら、第二部隊左翼はレンリが抜けたことで混乱が起き、辛うじて下位騎士達が押し留めているのだから。

当然、こちらも幾多のゴブリンが突破し、新たな族長になったコソギも突破しており、

山ゴブリン族は百匹以上が本陣まで到達してしまった。

 

 

 

 

様々な複数の叫び声が聞こえ、レンリは開戦から十数分しか経っていないのにと思った。

気が高ぶっているから、近くに聞こえるだけで勘違いのはずだと考える。

しかし、ともに居た二人の少女の会話がそれを気のせいではないと悟らせた。

 

「うそ、煙が……もうこんな後方まで…!?」

「ティーゼ、火は!?」

「火は見えない、変な煙だけが流れて……待って、煙の中からたくさん、人が…」

 

外の様子を窺っていたティーゼの言葉が途切れ、ぎこちない足取りで下がったことでロニエも異常だと悟った。

レンリは外から叫び声が聞こえなくなり、にも関わらず靴ではない足音が聞こえてきたことにまさかと思い、それは的中した。

 

天幕の入り口が乱暴に開けられ、そこからゴブリンが侵入してきた。

ティーゼとロニエに狙いを定め、レンリは戦わなければと思いながらも体が石のように重く動かない。

ゴブリンが一歩、二人に近づこうとした。

 

「はい、それまでです」

「なんだってぇ…」

 

長く言葉を続けることもなく、ゴブリンは背後から腹を剣で貫かれ絶命した。

的確に心臓を貫いた剣でゴブリンを仕留めたのはリネル・シンセシス・トゥエニエイトであり、

すぐに片割れの双子であるフィゼル・シンセシス・トゥエニナインもやってきた。

 

二人はティーゼとロニエと名乗り合い、すぐに移動するよう促したところでレンリを睨みつけた。

自分の持ち場を離れこんなところで何をしているのかと問いかけてきたリネルに関係ないだろうと答え、

ティーゼとロニエを安全な場所まで連れていってくれと言った。

そんな回答にリネルはレンリへ殺気を浴びせたが、すぐにそれを潜めた。

 

「とんだ腰抜けですが、上位騎士であるからには何らかの強さがあるんでしょう。最上位騎士殿の後輩に感謝するんですね」

 

最上位騎士とはユージオで彼は半年前まで学院の練士だったことを思い出し、ティーゼ達が後輩なのだとわかった。

そしてリネルの言葉がどういう意味なのかと思い顔を上げた時、移動しようとしていたところにフィゼルが報告してきた。

ゴブリンが十匹来たと、二人はすぐに始末してくると言い、ティーゼ達に待機を命じた。

 

だが、リネルとフィゼルが去ってすぐに天幕の布を鎌で引き裂いてゴブリンが侵入してきた。

飛び退いたレンリだが動けず、ティーゼとロニエも体を震わせながら柄に手を添えている。

篝火が部屋を照らし、レンリの姿を露わにしたことで先程とは違う上級ゴブリンは彼が騎士であり将軍首だと理解し、迫る。

けれど、その前に立ち塞がった者が居た。

 

「騎士様、これを持ってお逃げください! ロニエ、ここは私が…!」

「ティーゼ!」

「行って! 騎士様をやらせてはいけないの!」

 

アリスから預かった首飾りをレンリに渡し、ティーゼは剣を構えながら間に立ったのだ。

震えながらも、親友と人界の希望でもある騎士レンリを守るために、

初恋の人はいまも同じこの戦場の何処かで戦っているなら自分も戦わねばと、

憧れで初恋の人の最も大切な人から預かった首飾りを渡してなるものかと、

初恋の人と似ているこの騎士の少年をあの時みたいに苦しませたくないと、

ティーゼは守るためにここに在る。

 

「ぐ、ひ…?」

「え…?」

 

だからこそ、目前で鎌を振り上げていたゴブリンの頭部が横向きにずれていき、死んだことに呆然とした。

天幕の中を光のような物が駆けたことは気付いたけど何かは分からず、けれどそれがレンリの手に収まったことは最後に分かった。

ゆっくりと立ち上がり、彼はティーゼの手を包みこんだ。

 

「ありがとう、キミ達のお陰で大切なことを思い出せた。これはキミ達の手で騎士アリスに渡して」

「っ、はい。助けてくださり、ありがとうございます。騎士様」

「二人はここで待っていて。すぐに終わらせてくる」

 

恐怖はまだある、それでも戦える。レンリは彼女達から教え、与えられた“勇気”を振り絞り天幕を出た。

現れた二匹のゴブリンを殺し、すぐに離れたところに居たゴブリンも打ち倒した。

 

神器『雙翼刃』は極薄い鋼鉄の二枚の投刃、現代で言えばブーメランと呼ばれるものだ。

それを縦横無尽かつ自由自在に投擲することで空間的かつ瞬間攻撃力では神器中最大の攻撃力を誇る。

 

「僕の名はレンリ、整合騎士レンリ・シンセシス・トゥエニセブン! この首が欲しければ、その命を投げ出してかかってこい!」

 

高らかに名乗り上げ、十数匹ものゴブリンと戦闘を繰り広げたレンリはほぼ全ての相手を倒した。

しかし、この攻撃にて弾かれる音がし、

なんとか雙翼刃は戻ってきたが現れたゴブリンは容姿・装備共にいままでとは段違いだと判断した。

そのゴブリンはまさしく山ゴブリン族族長にして十候の一人のコソギであった。

 

戦い始めた両者だが、レンリは苦戦を強いられた。

ゴブリンの持つ暗黒騎士から盗んだ技術で作った試作の山刀によって攻撃は防がれ、

雙翼刃の弱点である“音”を聞きとられたこともあり奇襲は為らず、武器が軽く攻撃も軽いと指摘された。

そして整合騎士の割には聞いたほどじゃないと言われる。

 

「そうさ、僕は失敗作の騎士だ。だけど、失敗作なのは僕であってこいつじゃないんだ!」

 

二枚の投刃を構え、迫るコソギを気にも留めずにレンリは僅かな時間だけ瞳を閉じた。

瞼を開いた直後、凄まじい熱風のような剣気が放たれた。

 

「飛べ、雙翼! リリース・リコレクション!」

 

放たれた二枚の投刃をコソギは山刀で弾いたが二枚は墜落することなく空へ駆けあがり、螺旋の軌道を描いていきやがて触れ合った。

その瞬間、二枚の刃は一つとなって空中を飛翔する。レンリは右手をそっと天に掲げ、ゆっくりと振り下ろした。

 

「お前の戦争はここまでだ」

 

一対となった雙翼刃の一撃はコソギを山刀ごと縦に割り、その命を絶った。

ゴブリンの中では極めて高い知力を誇ったコソギであっても、なぜレンリに敗れたのかが解らなかった。

 

雙翼刃はそれぞれ片翼を無くした二羽一対の鳥達から生まれた神器、失くした親友との思い出があったからこそ、

自分はこの神器に選ばれたのかもしれないとレンリは考えた。

そこへ戦闘を終えたリネルとフィゼルがやってきて、上位である彼に皮肉交じりの指示を求めてきた。

ティーゼ達の安全を確認し、侵入してきた敵達が全て倒されたことも報告され、

二人に礼を告げてから自分の部隊である第二部隊右翼へ戻るように指示し、自身も左翼に急いで向かった。

 

こうして、親友という片翼を失っていた少年は勇気を取り戻したことで再び舞い上がった。

 

 

 

レンリが戦い始めた頃、その先の本陣中央でも突破したゴブリン達との戦闘が行われていた。

けれど、他の場所とは違いこの場では速やかに掃討が行われている。

 

「うん、ゴブリンだけど指揮官がいないみたいだ、別の場所かな? どう思う、テン」

「左翼側から来たからそっちなんじゃないか、シン」

 

本陣を守るは見習い騎士であるリネルとフィゼルと同じく、

双子の少年兄弟であるアーシン・シンセシス・エイティーとビステン・シンセシス・ナイティーの二人。

先程、左翼を突破して本陣の左側からゴブリン族が襲撃してきた、

火は上がらずに煙だけ見えたので何かの道具を使われたと判断している。

 

「とにかく殲滅だ、急ごう」

「被害が大きくならない内になんとかしようぜ」

 

二人は駆けだし、ゴブリンに殴りかかった。そう、殴りかかったのである。

 

『比翼』、元々は両手用手甲型の神器であったが長らくその使い手は現れなかった。

そんな折、東帝国にて無手で戦う双子の兄弟が頭角を現してきた、それがアーシンとビステンである。

二人一組で息の合った戦いをする彼ら、ある日に建設中だった建物の崩壊事故に巻き込まれ、

アーシンは右腕を失くし、ビステンは左腕を失くした。

二人はお互いを庇いあうように生活していき、片腕が無いハンデの生活を送りながらも戦いの腕前をあげた。

そんな二人に公理教会は目をつけ、両手手甲型の神器をそれぞれの腕に取りつけて神聖力で動くようにした。

それが二人の整合騎士にされた経緯である。

そして比翼、この神器は一対の腕に見えるような最硬度の鉱石から作られており、

手甲を製作したのもまた双子の鍛冶師だったが彼らは完成と共に息を引き取った。

 

そんな神器を扱う双子の彼らは最高のコンビネーションで以てゴブリン達を殴殺していく。

言葉ではなくアイコンタクトで連携し、フォローし合って連撃を重ねていき、次々とゴブリン達は倒れていった。

そして忘れてはいけないのは彼らが騎士であること、剣を使っていないからと武器を振りかぶるゴブリンだが。

 

「「はっ! せいっ!」」

 

比翼によって粉々に砕かれ、時には騎士剣を揮って斬り裂く。

そう、彼らは整合騎士であるから剣技もまた達人なのだ。まぁゴブリンには何を言っても無駄かもしれないが。

 

時には並び立ち、時には背中合わせに、時には離れてそれぞれで戦う。

間もなくして、本陣に乗り込んだ山ゴブリン達はほぼ壊滅し、そこへ小さなお客さんがやってきた。

 

「上位騎士様、この二人を補給部隊で保護してください」

「別任務中に襲われちゃいましたのであとをお願いします」

「「私達は右翼に戻りますね」」

 

自分達よりも少し年下の双子の騎士、

リネルとフィゼルがティーゼとロニエを連れてきて簡単な説明をするとそのまま去っていった。

なんだったんだと顔を見合わせてから苦笑し、

やってきた同年代らしい少女達を補給部隊に預けて残りのゴブリンの掃討を再開した。

 

 

 

 

「二人とも怪我はないかい?」

「はい、大丈夫です」

「騎士様に助けていただきましたから」

 

補給部隊にいる女性から大事がないか尋ねられ、二人とも大丈夫だったと伝えた。

 

「その制服、北帝国修剣学院のものだな。私は昨年の卒業生なんだ。名をソルティリーナ・セルルトという」

「ティーゼ・シュトリーネン初等練士であります! セルルト流の方とお会いできて、光栄です!」

「同じく、ロニエ・アラベル初等練士です! あの、もしかしてセルルト様はキリト先輩を傍付きに指名しませんでしたか?」

「そうだが、まさかキリトの傍付きなのか?」

「はい! ティーゼはユージオ先輩の傍付きなんですよ!」

「キリト先輩は主席、ユージオ先輩は次席だったんです」

「そうか、彼らが主席と次席に……ふふ、確かに彼ら以外には為りえないな」

 

かつてキリトが傍付きを務めた次席上級修剣士でもあったリーナとの思わぬ出会い。

戦闘中でなければ語らうのだがこれ以上はと思い、とりあえず仕事に移ろうとした。

 

「白イウムの娘どもだぁっ!」

 

そこへまだ生き残っていたのか、それとも新たに突破してきたのか、どちらにしてもゴブリンがやってきた。

数は十を超えており、さすがにリーナ一人では二人を守りきれない。

二人に救援を頼み、ここは一人で持ち堪えようと考えた時だった。

 

「セルルト、無事か!」

「ゴブリン、この数は厳しいな…!」

「リーバンテイン殿! バルトー殿!」

 

駆けつけてきたのは同期であったウォロ・リーバンテインとゴルゴロッソ・バルトーの二人だ。

三人共に実力は申し分ないが実戦経験はなしであり、これが初めての戦いになる。

しかし、周囲に援護に入ってくれるものがいない今、自分達が二人の少女を守らなければならない。

卒業した先輩としての意地もあった。

 

「殺して喰っちまおうぜぇっ!」

「一番乗りだぁっ!」

 

十数匹ものゴブリンが五人目掛けて殺到する、寸でのところでそれは降りてきた。

 

――ドンッ!

 

衝撃音と共に両者の間に砂煙が立ち込める。

突然の出来事にゴブリン達でさえ動きを止め、立ち込めていた砂煙の中に人影が見えるために誰しもが警戒する。

その時、人影が動いて何かが振るわれる音がし、直後に戦闘にいたゴブリンの頭が首から離れて地に落ち、

巻き起こる突風により砂煙が払われた。

 

「僕の先輩と後輩はやらせない。ここで斬らせてもらうよ」

「ユージオ、先輩…?」

 

現れたのは青き鎧を纏いし整合騎士団最強の騎士、最高司祭カーディナル直属最上位騎士。

 

「先輩方に一匹回します、ここで確実に戦うことを覚えてください。ティーゼとロニエも先輩達の戦い方をよく見てね」

 

その言葉を言い終わってすぐ、ユージオは最も近くにいたゴブリンの首元を掴み上げ、リーナ達の傍に放り投げた。

そして抜き放っている青薔薇の剣を使い、次々に斬り裂く。

 

「す、凄い…」

「ユージオ先輩、あんなに強いんだ…」

 

ティーゼとロニエはユージオの圧倒的な強さに驚きながらも、すぐにリーナ達の方に目を向けた。

リーナ、ウォロ、ゴルゴロッソは学院時代の知己ということもあり、ファナティオの指導下で連携を学んだ。

それを活かし、確実に攻撃を与えていく。

ウォロがハイ・ノルキア流奥義の《天山烈波》を放ち、剣で防御したゴブリンは剣を粉砕されて肩を裂かれてよろめき、

その隙にリーナが剣と鞭による連撃を決め、ゴルゴロッソが強力な一撃を放ったことでゴブリンは息絶えた。

 

「さすがですね、初めての実戦では十分な手並みですよ」

「ユージオ、その、キミは…」

「最上位騎士殿!」「ご無事か!」

 

やや混乱しているリーナがユージオに話を聞こうとした時、上位騎士であるアーシンとビステンが駆けてきた。

彼らはゴブリンの掃討中に飛行中の飛竜からユージオが降りたことに気付き、急ぎやってきたのだ。

 

「アーシンとビステン、だったよね。僕は問題無し、五人も大丈夫だ。どうやらいまので最後だったようだよ」

 

“最上位騎士”という言葉にティーゼ達は驚愕し、目を見開いた。

その様子にユージオは苦笑したが、あとで説明しようと判断する。

 

「ティーゼ、ロニエ、先輩達も話はあとで。もう大丈夫だとは思うけど、一応警戒は緩めないように。

 アーシン、ビステン、そろそろアリスが行うから僕は行く」

「「気をつけて!」」

「「ユージオ先輩、頑張ってください!」」

 

ティーゼとロニエにも声をかけられ、ユージオは笑みを浮かべながら駆けだした。

上空から愛竜の氷華が並行して飛び、その背に向けて跳び上がり手綱を握ってアリスの許へと向かった。

 

人界の守護者である整合騎士達は確かなその実力を存分に揮った。

 

No Side

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

あとがき

 

長くなりましたが書きあげることができました、丁度いい区切りがなくてここまでで纏めちゃいました。

 

だからと言って次回が極端に短くなることもないと思いたいと自分で考えていたり(苦笑)

 

さて、遊撃担当のユージオの活躍によりダキラ生存ですw

 

今回のユージオの行動は『第二部隊中央』→『第一部隊中央(ダキラ救出)』→『第一部隊左翼(エルドリエ状態確認)』

→『第二部隊左翼(ゴブリン掃討援護)』→『本陣急行(ティーゼ達救出)』→『アリスの許へ』という感じです。

 

そして半オリキャラ化させたアーシンとビステンはこんな感じになりました、格闘キャラを人界側にもほしかったのが本音w

 

レンリも原作とは少し違う感じの理由で覚醒させられたので満足です。

 

それでは次回もお楽しみに・・・・・・。

 

 

 

 

追伸

アバターの募集は次回投稿までが締め切りとなります、まだの方はお早目にお願いします。

 

 

 

 


 
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