No.838557 英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク 改訂版soranoさん 2016-03-22 00:12:32 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:971 閲覧ユーザー数:914 |
~空中庭園~
「クッ……全員敗れてしまったか……」
「さすがは”剣聖”カシウス・ブライト……まさかこの状況でありながらこれ程の戦力を温存して、私達への対策にするとはね……レーヴェが同行しなかった事がここで響くとは思わなかったわ……」
戦闘不能になったブルブランは周囲を見回して他の”執行者”達も全員戦闘不能になった事を悟ると唇を噛みしめ、ルシオラは冷静な様子でカシウスに感心していた。するとその時エステル達がその場に駆けつけた!
「え……ル、ルーク兄にレン!?」
「それにリオンさんとソフィもどうしてここに……」
「お、エステル達も来たか!」
「うふふ、みんな、お疲れさま♪」
「フン、ようやく来たか。」
「クローゼ達を拘束する為に攻めてきた”執行者”達は私達が全員制圧したから、もう大丈夫だよ。」
自分達の存在に驚いているエステル達をルーク達はそれぞれ声をかけた。
「へ?”執行者”達を全員制圧したって……ええっ!?」
ソフィの言葉に呆けたエステルだったが目の前で跪いている”執行者”達に気づくと驚き
「王都を攻めていた”執行者”達が全員無力化されているわ……!」
「おいおい……どうなっているんだ!?」
「そう言えばカシウスさんがお前達に頼む事があるから、お前達はレイストン要塞に向かったって話だが……まさかカシウスさんはこうなる事も予想していたのか!?」
アーシアとアガットが信じられない表情をしている中、フレンは驚きの表情でルーク達に訊ねた。
「ああ。王国全土の導力が使えない今の状況で、”結社”は次に何をするかを悟った父さんがその対策の為に俺達をここに配置したんだよ。」
「うふふ、そしてあわよくば襲撃して来た”執行者”達を捕えて”結社”の戦力を大幅に減らそうと考えて、”執行者”達を確実に撃退できるレン達を最後の砦にしたのよ♪」
「………………」
「フッ、さすがはカシウス。もはや奴の先読みの能力は神がかっていると言ってもおかしくないな。」
「つーか、冗談抜きでチート過ぎだろ……」
ルークとレンの説明を聞いたエステルは驚きのあまり口をパクパクさせ、バダックは口元に笑みを浮かべ、フレンは苦笑していた。
「”執行者”達もルークさん達との戦いで満身創痍の状態……拘束して、”結社”の戦力を大幅に低下させる絶好の機会ね。」
「へっ、どうやら年貢の納め時が来たようだな?」
アーシアの意見に続くように勝ち誇った笑みを浮かべて呟いたアガットはエステル達と共に武器を構え
「チッ、舐めやがって……!」
「……気に入らないわね……」
アーシアとアガットの言葉を聞いたヴァルターとユウナはそれぞれ不愉快そうな表情をした。
「……念の為に一応確認しておく。アリシア女王かクローゼの身柄を狙ったのは”教授”の指示か?」
「フフ、そうよ。各地の通信を部分的に回復させたみたいだけど……。どうやら教授はそれがお気に召されなかったらしくてね。あなたたちの苦しむ姿をもう少し見たいのだそうよ。」
「……っ……!ふ、ふざけんじゃないわよ!そんな事のために王都を襲わせたっていうの!?」
「……あの人らしい。」
「フン、悪趣味にもほどがあるぞ。」
ルシオラの説明を聞いたエステルは怒鳴り、ヨシュアは静かな表情で呟き、リオンは呆れた表情をしていた。
「―――で、それを引き受けた”執行者”達がまんまとパパの罠にはまったって事♪”剣帝”はいないようだけど、大方あの浮遊都市の攻略を任されているって所かしら?」
「……ええ、そうよ。―――それよりも、まさかもう勝ったつもりでいるのかしら?」
レンの問いかけに答えたユウナは不敵な笑みを浮かべて問いかけた。
「……どういう意味?」
「うふふ、グランセル市街は未だ猟兵達によって制圧されているのよ?そっちはどうするのかしら?」
ソフィの質問にユウナは不敵な笑みを浮かべて答えた。
「ああ、その事。市街の方なら”パパじゃない別の人”が既に手を打ったわよ?―――ほら、ちょうど来たわよ。」
「えっ……!?」
レンの答えにエステルが驚いて仲間達と共に市街地の方に視線を向けたその時、市街地では驚くべき光景があった。
~グランセル市街地~
「これより人形兵器と猟兵団の掃討を始める!市民の保護、及び正規軍の支援は最優先で行いなさい!」
「イエス・マム!」
市街地ではなんとカノーネ率いる元情報部の特務兵達が市街地で猟兵達との交戦を繰り広げ始めた!
「おいおい、マジかよ!どうして特務兵がいきなり現れやがるんだ!?しかも”結社”の手先を攻撃しているみたいだが……」
特務兵達が交戦を繰り広げ始める一方、茂みでドロシーと共に隠れていたナイアルは驚きの表情で特務兵達を見つめていた。
「うふふ、きっと反省して助けに来てくれたんですよ~♪こういうのって汚名挽回っていうんでしたっけ?」
「汚名を挽回してどうする……。それを言うなら汚名返上だろ。ああ、もうどうでもいい!せっかくカメラが使えるようになったんだ!約束の時間が来るまで撮って撮って撮りまくれ!」
「アイアイサー!」
ドロシーの言葉に脱力したナイアルは気を取り直してドロシーに指示をし、指示をされた交戦の様子をカメラで撮りまくっていた。
~空中庭園~
「と、と、特務兵!?」
「おいおい……何で連中が結社の猟兵や人形兵器と戦っているんだ!?」
「確か特務兵は”殲滅天使”が起こした”お茶会”によって全員拘束されたはずだが……」
特務兵達の登場にエステルとアガットは信じられない表情をし、バダックは呆けた表情で呟き
「……カシウスさんではない人が手を打った……――――まさか、彼らを動かした人物と言うのは……!」
「リシャール大佐か!?」
特務兵達を動かした人物が誰であるかを考え込み、やがて答えが出たアーシアの言葉に続くようにフレンが声を上げたその時!
「フフ、その通り。」
レイスの声がどこからともなく聞こえた後、”執行者”達の両方の側面からシード中佐とかつて身に纏っていた黒い軍服を来たリシャール、そしてエステル達の背後の上空からジークがそれぞれ”執行者”達に強襲した!
「っ!?」
「チイッ……っ!?」
「キャッ!?」
「くっ!?」
シード中佐達の強襲をそれぞれ受けた”執行者”達が怯んだその時、女王宮からレイスが現れて瞬時に”執行者”達に攻撃した!
「爪竜斬光剣!!」
「「キャアッ!?」」
「グアッ!?」
「グッ!?」
レイスの剣技によって巻き起こった大爆発を受けた”執行者”達はそれぞれふっ飛ばされた!
「やあ、みんなご苦労だったね。」
「ルーク達もご苦労だったね。お陰で”執行者”達が隙だらけになって奇襲も容易に成功したよ。」
「シード中佐にレイシス王子殿下……!それに貴方は……!」
シード中佐とレイスは親し気にエステル達に声をかけ、驚きの表情で二人を見つめたアーシアはリシャールに視線を向け
「おいおい……」
「フッ、特務兵達が現れた時点でまさかとは思っていたが……」
「リ、リ、リ……リシャール大佐っ!?」
懲役中の身であったリシャールの登場にアガットは信じられない表情をし、バダックは目を丸くし、エステルは驚きのあまり声を上げた。
「はは……久しぶりだ、エステル君。今の私は、階級を剥奪された服役中の国事犯にすぎない。大佐と呼ぶのは止めてくれたまえ。」
「や、止めてくれたまえって……」
「フフ、カシウス殿から話には聞いていたが私も最初は驚いたよ。だが、君が戻って来てくれて本当に心強いよ。」
リシャールの答えにエステルが呆れている中レイスは苦笑しながらリシャールに視線を向け
「……ありがたき幸せ。」
レイスの答えを聞いたリシャールは口元に笑みを浮かべて答えた。
「も、もう何がなんだか……」
「僕たちが知らない間に事態が動いていたみたいだね。」
一方その様子を見守っていたエステルとヨシュアは苦笑し
「クッ……この絶好のタイミングで”剣聖”を継ぐ2人と姫殿下の兄君でもある”リベールの若獅子”の増援か……!」
「ふふ……少し遊びすぎたようね。」
更なる援軍の登場にブルブランは唇を噛みしめ、ルシオラは自分達に勝ち目がない事を悟られないようにいつものように静かな笑みを浮かべていた。
「フッ……こちらとしては助かったがね。………さて、どうする。”身喰らう蛇”の諸君?この期に及んで我々とやり合うつもりはあるかな?」
「ルーク達との戦いで敗北した事に加えて私達の奇襲を受けた事によって君達はもはや満身創痍の状態だ。五体無事で帰還したいのならば陛下やクローディアの身は素直に諦めて撤退する事をお勧めするが?」
そしてリシャールとレイスはそれぞれ”執行者”達を睨んで問いかけた。
「……チッ……」
「……気に入らないわね……ユウナ達がここまでやられて、黙って帰ると本気で思っているのかしら?こうなったらパテル=マテルを呼んで―――」
二人の言葉にヴァルターが表情を歪めて唇を噛みしめ、不愉快そうな表情をしていたユウナが呟いてパテル=マテルを呼ぼうとしたが
「止めたまえ、ユウナ。我らは機を逃したのだ。これ以上拘るのは美しくないだろう。」
「女王陛下と姫殿下の確保も可能ならばという条件よ。二人とも、ここは引きましょう。」
「フン……仕方ねえな。」
「……………」
ブルブランとルシオラの説得によってヴァルターと共に納得し、パテル=マテルを呼ぶことを止めた。そしてブルブランはステッキを構えてヴァルター達と共に消えようとしていた。
「それでは諸君……我々はこれで失礼しよう。だが次なる試練は君たちの前に控えている。気を抜かないようにしたまえ。」
「次なる試練……」
「な、なによそれ!?」
「ふふ……すぐに分かるでしょう。それでは皆様、ご機嫌よう。」
エステル達に捨て台詞代わりに忠告を告げた執行者達は去って行った。
「あ……!」
「退いてくれたか……」
執行者達が撤退した事にエステルは声を上げ、ヨシュアは安堵の表情で溜息を吐いた。
「ふむ、これで猟兵どもも市街から撤退を始めるだろう。深追いができないのが残念だがまあ、贅沢は言うまい。」
「うん……って、それよりも!どうして大佐がこんな場所にいるわけ!?服役中じゃなかったの!?」
リシャールの意見に頷いたエステルだったが、すぐにリシャールがいる事に疑問を感じてジト目で訊ねた。
「だからもう大佐ではないんだが……まあいい。」
「とりあえず今はこの混乱を収めることが先決だ。君たちも手伝ってくれないか?」
「う、うん……それはもちろん。」
「まずは消火と怪我人の手当てをする必要がありそうですね。」
こうして……”結社”による王都侵攻作戦は辛くも食い止められた。エステル達は、軍の部隊と共に消火と混乱する市民へのフォローに回り……その内に、連絡を受けて駆けつけた他の仲間達とも合流する事できた後一通り落ち着くと謁見の間に集まった……………
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第84話