第十一話「勇者気取りの小っちゃなヒーロー達」
鍵の技法を手に入れたタダオ達は春風のフルートを取り戻す為に一路、雪の女王の城である氷の館を目指していた。
『キュアァァァァァァァ!』
「うわっ!」
「ヤバイ、仲間を呼ばれてもうた」
魔物の群れと戦っていたタダオ達だが、あともう少しで倒せる所でスカルサーペントは仲間を呼んでしまった。
『『『『キュアアァァァッ!』』』』
「な、何やて!いくら何でもこのたいぐんはズルイで!」
運悪く別の群れが近くに居たのか、仲間を呼ぶ一鳴きは魔物の大群を呼び寄せてしまったらしい。
「ど、どうするタダオ?」
「ピュイィ~~」
「どうするったって、逃げられんようやから戦わなアカンやないけ」
「コンコンコンッ!」(タダオは私が守ってみせるわ!)
「いくら集まろうとも所詮は烏合の衆、我等の敵ではありませぬ。…とは言う物の、流石にこの数は」
襲い掛かってくる相手を倒していくタダオ達だが、余りにも多い敵に何とかして逃げ出そうと考えていると、突然敵の一角がざわめき出した。
「なんや、一体?」
「コンッ、コンコン!」(気をつけて、タダオ!)
『ギャワ!』
『グアオォッ!』
『キュアア!』
警戒を新たにした瞬間、魔物の何体かが吹き飛び、小さな何かが飛び出して来た。
「おお、あれは!」
「知っとるんか、セイ姉ちゃん」
「はい。あの者達は妖精族の一種、コロフェアリー族です」
《コロフェアリー》
普段は独自の集落に身を潜め、余り外界とは接触をしようとしない小型の妖精族。
その反面、好奇心旺盛な者も多く、時たま妖精の村やドワーフの村などに希少な薬草などを食料などと交換しに来る事がある。
「おお~、小っちゃくてかわいいな~」
「コン?ウ~~、コンコン」(可愛い?う~~、ひょっとしてタダオを誑かすつもりね)
「タ、タマモ。今はそんな事を言ってる時じゃ…」
「わ、私とてもう少し着飾れば」
「セイまで~」
「ピイィ~~」
タダオ達がそんな三文芝居をしていると、剣を持つ者・斧を持つ者・十字架を持つ者・杖を持つ者・四人のコロフェアリーは横一列に並んで喋り出す。
「お前達、暴れる」
「お前達、悪い奴」
「お前達、邪魔」
「お前達、倒す」
「「「「やーーーーー!」」」」
四人のフェアリー達が其々のセリフを口にした後、其々の武器を頭上に掲げて雄叫びを上げる。
「か、かわええ…」
「コ、コン…」(く、悔しいけど確かに…)
「こ、これが人間界で言う《萌え》とか言う奴ですかな…?」
「…皆、今の状況解ってる?」
「ピイィ~~」
「そ、そうやな、こんな事しとる場合やなかった。皆、ワイらも行くで!」
コロフェアリー達に見惚れていたタダオ達だが、スラリンの呟きとピエールの溜息で漸く我に返った。
「ワイらも戦うで!とおりゃあ~~~!」
「コロフェアリーの妖精達よ、我等も加勢するぞ!」
「コンコンコーーン!」(さあ、かかって来なさい!)
彼等に加勢すべく魔物達へと戦いを挑むタダオ達。
そんな彼等にコロフェアリー達は…
「ん、誰?」
「ん、人間?」
「ん、何故此処に?」
「ん、謎?」
「「「「や?」」」」
「「「ぐふっ(コンッ)!」」」
不思議そうに小首を傾げ、それを見たタダオ達は鼻を押さえて蹲る。
「だから真面目に戦おうよ…」
「ピィ…」
それから何とか落ち着きを取り戻したタダオ達はコロフェアリー達と連携しながら魔物の群れを撃退した。
コロフェアリー達は共闘した事からか、タダオ達を敵とは見なさずに武器を収めて話し掛けていく。
「何故、ヒー達助けた?」
「何故、人間此処に居る?」
「何故、魔物と一緒に居る?」
「何故、妖精と一緒に居る?」
「「「「や~?」」」」
「ま、魔物と戦っとるほうが楽やと思うんはワイだけやろか?」
「…ご安心めされよ。私もです」
「コ、コン」(み、右に同じ)
「もう、何も言わないよ」
「ピィピィ」
そしてタダオ達は何とかもう一度気を落ち着かせ、お互いに自己紹介をする。
「ワイはサンタローズから来たタダオや」
「コンコンコ、…コン」(私はタダオのこ、恋b…仲間のタマモよ)
「ボクはスラリン」
「ピイ、ピエール」
「俺、ヒー」
「俺、ファイ」
「俺、プリー」
「俺、マー」
「「「「やーーーーー!」」」」
剣を持つのが「ヒー」、斧を持つのが「ファイ」、十字架を持つのが「プリー」、杖を持つのが「マー」と名乗った。
「こ、今回はなんとか耐えたで」
「危ない所でしたがな」
「コンコン」(そう何度も萌えてたまるかってのよ)
「それでヒー達はどうして戦いに出て来たの?」
「ピイ?」
「ヒー達、村の勇者」
「ファイ達、村で一番強い」
「プリー達、村が好き」
「マー達、村を守る」
「でも、何時まで待っても春来ない」
「でも、何時まで待っても寒いまま」
「でも、何時まで待っても果物育たない」
「でも、何時まで待っても花咲かない」
「春が来ないの、おかしい」
「春が来ないの、変」
「春が来ないの、困る」
「春が来ないの、何故だか聞きに行く」
「そしたら、魔物暴れてた」
「そしたら、お前達居た」
「そしたら、お前達も戦った」
「そしたら、魔物達倒せた」
「だから、お前達敵じゃない」
「だから、お前達とは戦わない」
「だから、お前達と話する」
「だから、お前達にも聞く」
「何故、人間此処に居る?」
「何故、お前達一緒に居る?」
「何故、お前達仲良くしてる?」
「何故、マー達助けた?」
「「「「や?」」」」
どうやら何時まで経っても春が来ないのを不思議に思った彼等が妖精の村まで理由を聞きに行く途中だったらしい。
「…ボクが話をするからタダオ達は下がってて。春が来ないのは春を呼ぶ神具の《春風のフルート》が盗まれたからなんだ、僕達は春風のフルートを取り戻す為に氷の館に行く途中だったんだよ」
不意打ちを受けて、鼻を押さえている三人を無視しつつ、スラリンはヒー達に自分達の行動の説明をする。
「なら、ヒー達も行く」
「なら、ファイ達も手伝う」
「なら、プリー達も戦う」
「なら、マー達も仲間」
「「「「やーーーーー!」」」」
「お、おう!これからワイたちは仲間で友だちや、よろしくな!」
「タダオ、強い」
「タダオ、優しい」
「タダオ、好き」
「タダオ、友達」
「「「「やーーーーー!」」」」
「ワイ、もうゴールしてもええかな?」
「好きにすればいいよ」
「ピイピイ」
~コロフェアリー達が仲間になった~
=冒険の書に記録します=
《次回予告》
遂に辿り着いた氷の館。
其処に居たザイルは絶対に春風のフルートは渡さんと言いよる。
この分からず屋!こうなったら対決や!
次回・第十二話「氷の館の対決」
もうおしりペンペンでは許さへんで!
(`・ω・)と言う訳で、コロシリーズが一時とはいえ仲間になりました。
コロシリーズは魔物では無く、妖精族の一種という設定です。
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スクエア・エニックスのRPGゲーム「ドラゴンクエストⅤ~天空の花嫁~」を独自設定の上、キャラクターを他の作品のキャラをコラボさせた話です。
それが駄目だという方にはお勧めできません。
コラボするキャラクター
リュカ=タダオ(GS美神・横島忠夫)
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