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ドラゴンクエストⅤ~紡がれし三つの刻~コラボ版・第十話

さん

スクエア・エニックスのRPGゲーム「ドラゴンクエストⅤ~天空の花嫁~」を独自設定の上、キャラクターを他の作品のキャラをコラボさせた話です。
それが駄目だという方にはお勧めできません。

コラボするキャラクター
リュカ=タダオ(GS美神・横島忠夫)

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2016-02-29 15:27:22 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:802   閲覧ユーザー数:787

第十話「華蝶仮面があらわれた!」

 

タダオ達は妖精の村を離れ、一路西の洞窟へと向かっている。

その洞窟の中で暮らしている、ガイルというドワーフに鍵の技法を授けてもらう為に。

 

「ふひ~、やっと着いたで」

「はっはっはっ!流石はレヌール城解放の勇者、中々の闘いぶりでしたな」

 

洞窟の入口に辿り着いたタダオ達、当然此処に来るまでにはかなりの戦闘を繰り返した。

普段は地中に潜んでいるが、獲物が通りかかると集団で襲いかかって来る「つちわらし」

人面樹の果実で、自ら獲物を求めてさまよい歩く「ガップリン」

同様に、自ら動き回る食肉植物の「マッドプラント」

魔物化したサボテンの「サボテンドール」

ゴーストが、魔王の魔力を受けて進化したと言われる「魔法使い」

そんな中でも、タダオが驚いたのは二種類のスライム。

 

天敵から身を護る為に自らの体を毒化した「バブルスライム」

その強い毒のせいでその体は流体化している。

傷付いた体を癒す為に回復系魔力を身に付けた「ホイミスライム」

体の下部に幾つもの触手を持ち、どういう原理なのか空中に浮遊している。

 

スラリンに聞いた所、スライム族は自らの意思で進化の方向性を決める事が出来るとの事だ。

 

「なら、スラリン達も別のスライムになるんか?」

「そうだね、まだどんな進化をするかは決めてないけど」

「ピイピィ~~」

 

洞窟に入るとそれ程離れてない場所に簡素な扉があり、ノックをすると「どうぞ、お入りなさい」と返事があった為、タダオ達は扉を開いて入って行く。

 

「どなたかな?おお、セイ殿ではないか。久しぶりじゃな」

「…久しぶりです、ガイル殿。あの時はかばって差し上げる事が出来ずに申し訳なかった」

「もう過ぎた事じゃ、何とも思ってはおらぬよ。それよりも今日は…「わあっ!妖精と人間だ!」…人間?」

 

洞窟の中で共に暮らしているスライムが叫ぶ声に気付き、声の方に目を向けると其処にキラーフォックスのタマモとスライムのピエール、スラリンを連れたタダオが腰を屈めてスライムを覗き込んでいた。

 

「ぼ、ボクじゃないよ。春風のフルートを盗んだのはボクじゃないよ!ザイルがやったんだ!…で、でも悪いのはガイルさんを村から追い出した妖精達だ!だからザイルはガイルさんの為に…」

「ダイルよ、其処までじゃ」

「でも!……はい、ガイルさん」

 

スライムのダイルは言葉を続けようとするが、止めろというガイルの目を見てそれ以上何も言えなくなった。

 

「ではガイル殿、やはりザイルがフルートを」

「うむ、あれはあれなりにワシの事を思うてやった事なのだろうが。まったく、ワシは先代への恨みなどとうの昔に捨てたというのに」

「なあ、セイ姉ちゃん。どういう事なんや?」

「さっきから気になっておったんじゃがその子は誰じゃ?何故妖精界に人間の子供がおるんじゃ?」

「ああ、この御仁はサンタローズのタダオ殿。雪の女王との闘いに助力に来て頂いたのです。子供ではありますがかなりの力を持っておいでですぞ」

「ほう、そうか。…ならば」

 

ガイルはタダオに近づき、その肩に手を置くと申し訳なさそうに語り掛ける。

ガイルは言う、かつて自分は簡単な構造の鍵ならば直ぐに開けてしまう「鍵の技法」を編み出してしまった事を。

 

その事が厳格な性格だった先代の長の怒りに触れ、村を追放されてしまいこの洞窟に隠れ住む様になってしまった。

初めの内は先代への恨み事を言いながら過ごしていたが、じきに自分が編み出した鍵の技法の危険性に気付き、その怒りを収めて行った。

だが、祖父思いだった孫のザイルはその怒りを受け継いだまま育ち、今回の暴挙に出たという訳らしい。

 

「ザイルは一度此処に戻って来てワシに言いおった。『雪の女王の手助けで春風のフルートを盗み出せた。これであの村にひと泡吹かせられる』と。あの子は利用されておるだけなんじゃ、それがどの様な結果を招く事になるか気付きもせずに。じゃから頼む!あの子の目を覚まさせてやってくれ、あの子を助けてやってくれ!…お願いじゃ」

 

ガイルは涙ながらにタダオに頼む、そしてタダオは当然笑顔で頷きながらその願いを受け入れる。

 

「任せといてやじいちゃん!ワイとセイ姉ちゃん、そしてタマモたちとでザイルを連れもどして来たる」

「その意気ですぞ、タダオ殿。ガイル殿、その為にも鍵の技法を我等に」

「うむ、鍵の技法は悪用されぬ為に宝玉に込めて洞窟の奥に隠しておる。ワシは最近体の調子を壊しておるのでな、悪いが捜しに行っては貰えぬか」

「承知した、ではタダオ殿、参りましょう」

「おう!行くで、タマモ、ピエール、スラリン」

「コンッ!」(ええ、行きましょう!)

「ピイッ!」

「頑張ろう!」

洞窟の中を進むタダオ達、魔物達はそんな彼らを引っ切り無しに襲って来る。

「スカンカー」が巻き上げる砂煙に視界を奪われるがタダオが放つバギによって砂煙は晴れ、その体はセイの槍に貫かれる。

メラを使って来る羽根と角を持つトカゲ型の魔物「メラリザード」

サンタローズの洞窟にも居たとげぼうずがより強くなった「スピニー」

赤い外皮に覆われた巨大な芋虫「ラーバキング」

 

中々の強敵ぞろいだったが、全員の協力プレイで危なげなく倒して行く。

中でもセイは自分の背中を任せられるという今まで感じた事のない安心感に感銘を受けていた。

 

そして、それを羨ましげに見ているのがピエール。

自分もあの様に闘えたら、自分にも手足が有ったら。

もっと、もっと、タダオの役に立てるのに。

彼は、そう強く願った。

 

そして辿り着いた洞窟の際奥、其処に在った階段を下りると淡い光を放つ宝箱が有り、その蓋を開くと青く光る宝玉が置いてあった。

タダオがその宝玉に触れると宝玉の光はタダオの体に吸い込まれる様にして消えて行き、役目を終えた宝玉はひび割れ粉々に砕け散った。

 

「タダオ殿、鍵の技法は手に入ったのですか?」

「うん。なんちゅーか、呪文みたいな感じやな」

 

 

《鍵の技法》

 

それはいわゆる“解錠呪文(アバカム)”の様なもので自身の魔力を錠に浸透させ、解錠を施すという物だった。

ガイルが伝え聞いたアバカムを独自に再現した為、少しの魔力しか必要としない反面、簡単な構造の鍵しか開けられない。

 

 

「これで氷の館にも入れるんやなセイ姉ちゃん。………セイ姉ちゃん?」

 

セイを呼んでも返事が無い事にタダオが振り向いてみると、セイは部屋の隅に置いてあった宝箱の前に座わっていた。

 

「おお!こ、これは……」

「どうかしたんか、セイ姉ちゃん?」

「いえ、別に…何も……」

 

セイはそう言うが、どうやら宝箱の中身が気になって仕方ないらしい。

 

「むう、これはやはり…」

「セイ姉ちゃん、早く行こや」

「タ、タダオ殿は先に上の階に上がっていて下され」

「セイ姉ちゃんはどうするんや?」

「わ、私は…その……お、お花摘みでござる」

「お花が咲いとるんか、どこや?」

 

花を摘むと言うセイの言葉にタダオは目を輝かせ、花を捜そうとするがそんなタダオにタマモは。

 

「コーーーーンッ!」(このお馬鹿ーーーーーっ!)

 

ガブリッ

 

「あんぎゃあーーーーーっ!な、何するんやタマモーー!」

「コンコンコン!」(いいから早く上の階に上がりなさい!)

「何なんや、何怒っとるんやタマモ?」

 

タダオはタマモに追い掛けられながら上の階に逃げて行き、ピエールとスラリンも不思議がりながらも二人の後を追って行く。

 

「かたじけない、タマモ殿」

 

そうして一人になったセイは、宝箱の中身を手にとって持ち上げる。

それは蝶の姿を模した一つの仮面であった。

 

「ううむ、先ほど見つけた時からよもやと思っていたが見れば見るほど見事な出来だ。この文様、この形、まさに職人の魂が込められているとしか言いようが無い。こんな事をしている場合では……ダ、ダメだ!この仮面が語り掛けて来る声、もはや抗い様が無い……」

 

必死に堪えていたセイだが、我慢の限界と言わんばかりの勢いでその仮面を装備した。

 

「でゅわっ!!」

「セイ姉ちゃんおそいなぁ。そんなにキレイなお花なんやろか?」

「コ~~ン…」(この鈍感…)

「 !! タ、タダオ!!」

「ピイッ!」

 

タダオ達がセイが来るのを待っていると魔物達が大挙して襲い掛かって来て、すぐさま迎え撃とうとすると何処からともなく怪しげな笑い声が響いて来た。

 

「はーーっはっはっはっは!」

 

「な、何や?何の声や?」

「可憐な花に誘われて、美々しき蝶が今、舞い降りる!我が名は華蝶仮面!今だ春の訪れぬ大地に美と愛をもたらす正義の化身なり!」

 

ぶっちゃけ、先ほどの仮面を装備したセイである。

 

 

《華蝶の仮面》

 

誰が作ったのかは謎で、高い守備力の他にステータスをアップさせる効果もある。

(一部マイナス)

 

守備力+22

力+5

素早さ+10

かしこさ-10(笑)

 

 

 

「どうしたどうした、お前達の力はその程度の物か?」

 

華蝶仮面(セイ)はタダオ達を取り囲む魔物の群れに飛び込むとあれよあれよと言う間に次々と駆逐していく。

 

「コ、コンコンコン…」(な、何アイツ。ひょっとしてあれで変装してるつもりなの…)

「み、みたいだね…」

「ピィ~~」

 

「な、何や。誰やあの姉ちゃん!カッコええなーーっ!!」

「コンッ!?」(嘘っ!?)

「嘘っ!?」

「ピイッ!?」

 

どうやらタダオだけは華蝶仮面の正体に気付かないらしい。

まるでヒーローを目の前にした子供の様に瞳をキラキラ輝かせながら華蝶仮面の闘いを見ながら応援をしている。

やがて、魔物が一掃されるとタダオは華蝶仮面に駆け寄り笑顔で見上げる。

 

「スゴイな~、華蝶の姉ちゃん強いな~、カッコええな~」

「はっはっはっはっ!そなたも鍛練を怠らなければ直ぐに強くなれますとも」

「ホンマか?」

「勿論ですとも。では、さらばだ少年!また何処(いずこ)かで会おうぞ」

 

そう言い残し、華蝶仮面は走り去って行った。

タダオの憧れの眼差しと、タマモ達の生温かい視線を背に受けながら……。

 

 

 

 

「お~~い」

 

迷路になっている洞窟を回り込んで来たのかセイは別の方向から駆けて来た。

 

「あっ、セイ姉ちゃん。今、華蝶仮面っていうスゲーカッコええ姉ちゃんが居ったんやで!」

「むむ、それは残念。是非とも私も見たかったですな」

「うん、カッコよくてキレーやった。あ、もちろんセイ姉ちゃんもキレーやで」

 

 

ニッコリ

 

バキューーンッ

 

 

タダオの無邪気な笑顔はセイのハートを直撃した。

ぬいぐるみ装備の為、その攻撃力は会心の一撃級だったりする。

 

「だ、大丈夫かセイ姉ちゃん?」

「な、何のこれしき……」

 

直撃を受けたセイは膝から崩れ落ち、

 

「タ、タマモ、しっかり!」

「コ、コン…」(な、何よこれしき…)

 

余波を受けたタマモも(うずくま)っていた。

 

 

 

「ともかく、これで氷の館へと入れますな。さあ、急ぎましょう」

「え?ガイルのじいちゃんにあいさつはええんか?」

「そんな暇はありませね。一刻も早く春風のフルートを取り戻さくては」

「うん、そうやな。分かったで、急ごうやセイねえちゃん」

 

こうして何とか鍵の技法を手に入れたタダオ達は春風のフルートを取り戻す為に雪の女王が居る氷の館へと進むのであった。

 

 

=冒険の書に記録します=

《次回予告》

 

手に入れた鍵の技法、後は雪の女王を倒して春風のフルートを取り戻すだけや。

氷の館に向かっとる最中にモンスターが呼んだ敵に囲まれてもうた。

そんな時、ワイらの前に現われたのは……

 

次回・第十一話「勇者気取りの小っちゃなヒーロー達」

 

「タダオ、強い」

「タダオ、優しい」

「タダオ、好き」

「タダオ、友達」

 

「「「「やーーーーー!」」」」

 

「な、何やコレ。コレが萌えるっちゅー奴か?」

(`・ω・)と言う訳で今回も正式メンバー版とは違い、かなりギャグ色が強かったでしゅ。

そしてピエールにはナイトフラグが完全に立ちました。

 

それにしても《華蝶の仮面》。

一種の呪いのアイテムですね。

(((( ;゚д゚)))ガクガクブルブル

 


 
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