巻き上がる砂煙。
正体はあたりを覆い尽くすほどの騎馬の群れだった。
「な、な、なんだ?」
騎馬の群れは徐々に近づいてくる。
おれは、驚きの余りただぼうぜんと立ち尽くすだけだった。
「華琳さま、こやつは・・・」
華琳「どうやら違うようね。連中はもっと年かさの、中年男だと聞いたわ」
「どうしましょう。連中の仲間の可能性もありますし引っ立てましょうか?」
華琳「そうね・・・けれど逃げ出そうとしないということは・・・仲間じゃないのかしら?」
(な、何の話してるんだ?仲間?引っ立てる?)
「あ、あのぉ~」
華琳「何?」
「君は誰なの?」
華琳「あなたこそ誰なの?人に名を尋ねる前に、まず自分から名乗りなさい」
「あ、ごめん。おれの名前は宮本剣刀」
華琳「・・・?ずいぶん変わった名前ね。私の名前は華琳。ここ陳留で刺史をしている者」
「しし?」
華琳「刺史を知らないの?まったく、秋蘭」
秋蘭「刺史というのは、街の政事を行い、治安維持に従事し、不審者などを捕まえ処罰する務めのことだ。わかるか?」
「なんとなく」
華琳「・・・まぁいいわ。それであなたずいぶん変わった格好をしているのね?どこかの貴族?生まれはどこなの?」
「貴族じゃないよ。生まれは東京」
華琳「東京?秋蘭知ってる?」
秋蘭「いいえ。聞いたことがありません」
(この人たちも東京を知らないのか?しゃべってる言葉は同じなのに)
華琳「まぁとにかく今のあなたが不審者ということは言うまでもなさそうね。春蘭、とらえなさい」
春蘭「はっ!」
「ちょ、ちょっと待てよ!おい!こら待てって!うわぁ~~!!!」
秋蘭「ならばもう一度聞く、宮本お前の生国は?」
「東京」
秋蘭「この国に何をしにきた?」
「分からない」
秋蘭「ここまでどうやってきた?」
「分からない」
華琳「ふぅ~、埒が明かないわね。春蘭」
春蘭「はっ!拷問にでもかけますか?」
「いや、だからなんでそうなるの?」
華琳「ここ陳留で不審者を見つけたからには、放っておくわけにはいかないのよ」
「だから!不審者じゃないって言ってるだろ・・・ってあれ陳留?どっかで聞いたことあるぞ?」
春蘭「覚悟しろこの不審者め!」
「ちょっとうるさいっ!!いま考えてるんだからっ!」
春蘭「な、な、何を~!!貴様~!!」
華琳「春蘭待ちなさい」
春蘭「華琳さま~~」
・・・・・・・・・!!!
「わかった!!三国志だ!すっきりしたぁ~」
秋蘭「なんだその三国志というのは?」
「三国志を知らないの?あの魏とか蜀のやつだよ」
春蘭「はぁ~?なんだその魏、蜀とは?貴様!適当なことを言って逃れようとしてもそうはいかんぞ!!」
華琳「待ちなさい!!・・・なぜあなたが?」
秋蘭「華琳様?」
華琳「魏というのはわたしが考えていた国の名前の一つなの。なぜあなたが知っているの?説明なさい!!」
「だから!三国志に出てくるじゃん!!・・って、えっ、何わたしが考えてたってどういうこと??・・・まさか・・いやでもそう考えたほうがしっくりくるな」
春蘭「貴様!答えろと言っておるだろうが!!」
「わかったからそう怒るなって」
おれは、いま置かれている状況を説明した。
秋蘭「にわかには信じられないが・・・」
「でもそう考えたほうが辻褄が合うんだ」
春蘭「華琳様~、どういうことですか」
華琳「ようするに、剣刀は天から来た遣いなのだそうよ」
「はぁ~?」
春蘭「こんなやつが天の遣いなのですか」
華琳「そっちのほうがわかりやすいでしょ?あなたもこれからは、天の遣いと名乗りなさい」
「よくわかんないけど、まぁいいや。それで」
秋蘭「大きな問題が解決したところで宮本。もっと現実的な話をしていいか」
「あぁ、古書が盗まれたとかいう・・」
秋蘭「そうだ。あの古書はとても大切なものだ。使い方によってはとても危険になる」
「・・・協力しろと?」
華琳「あら?案外ものわかりがいいのね」
「・・・行くあてもないし、そうするしかないよな」
こうしておれは、華琳たちと行動を共にすることになった。
華琳たちと行動を一緒にするようになってから数日経った。
今日は最悪の日だ。
なぜならおれは、今日戦にでなければならない。
戦うわけではないが、戦を経験してなれておくようにとの華琳からの命令だった。
一応武器として刀を貰ったが、使ったことないのに・・・・。
さらに例の刀。持っていると逆に怖い。
戦に行く前に生意気な桂花という女の子がひと騒動を起こし今回の戦の軍師になった。
馬に揺られながら数時間、おれたちは、とある村の近くで戦闘を目撃する。それは何と子供が何十人もの盗賊と闘っていたものだった。
その子のなまえは季衣。素直で優しい子だ。
そしてそのまま季衣を仲間に加えた。
馬に揺られながらさらに数時間。
少し行ったところの砦に盗賊の大群がいるとの情報が入った。
周りの兵士たちの顔が一気にこわばる。
と同時におれは、とてつもない恐怖感におそわれた。
元の世界では、決して味わうことのない恐怖。体が震えた。
そして、戦が始まり、目の前で多くの人が斬り、斬られを繰り返す。
なんども嘔吐しそうになるのを必死にこらえた。足がふらつく。あたまが混乱している。
そしてようやく我に帰ったとおもいきや、人が一人もいない場所にたっていた。
無意識のうちにここまで来てしまったようだ。
「まあいい。殺しなんて見たくないし、ここで静かに終わるのを待とう」
胸をそっとなでおろした。
「なんでこんなことになっちゃったのかなぁ?」
おれは、もらった剣を投げ飛ばした。
「こんなところにいやがったか」
えっ!?一気に血の気が引いていく。
見ると、数十人の敵にあたりを囲まれている。
剣を投げたせいで敵に場所を教えてしまったらしい。
「仲間を呼ばないと!だれかぁーー!!!」
「へっ、だれもこねぇ~よこんなところ」
確かに、戦闘のおとがかすかにする程度だ。かなり遠くにいるらしい。
「たまたまこっちに来て観てよかったぜ。てがらが増えるってもんだ」
こいつらは、確実に俺を殺そうとしている。
手には古びた刀だけ。
「・・・殺される。いやだ、いやだいやだいやだいやだ!!!」
「うるせぇ!死ね!!!」
「うわぁ!!!!」
キュィイイン
「・・・仕方ない、力を貸してやろう」
季衣「お兄ちゃんはどこいったの?」
ようやく戦にけりがついた華琳の軍。
桂花「怖くなって逃げたのよきっと」
秋蘭「まぁ、しょうがないだろう。宮本は戦は初めてなのだから」
華琳「おそらく、どこかにかくれているだろうからみんな探してちょうだい」
しばらくして・・・
「華琳様、見つけました。あちらの岩かげです」
一人の兵が言う。
春蘭「だらしないなぁ、隠れるなどと」
季衣「しょうがないですよ。結構大きな戦だったし」
華琳たち一同は岩かげを目指す。
華琳「剣刀。出てらっしゃい。今回逃げたことは見逃してあげるから・・・・って、剣刀!どうしたの!?」
華琳が叫ぶ。
おれは、立ち尽くしていた。
真っ赤にそまる自分の手を見つめ・・・・・。
(あとがき)
早く書きたいところに行きたかったので、かなり飛ばしました。内容も不一致かも・・・。
でもおかげでやっと展開がかけました。まだ序盤ですががんばります。
桂花とかのくだりかけなくてすいません。
展開的にどうでしょうか?
できればコメントよろしくお願いします。
参考にもしたいのでこういう展開は?みたいなのもよろしくです。
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前回の続きです。
どーぞ。