No.823360

九番目の熾天使・外伝 ~改~ お正月編その1

竜神丸さん

新年一発目の更新です。お正月はもうとっくに過ぎてるけどな!←

…まぁ、取り敢えずどうぞ。

2016-01-06 15:54:04 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6235   閲覧ユーザー数:1356

2016年、お正月。

 

新年一発目にして、楽園(エデン)ではこれまたぶっ飛んだ企画が始まろうとしていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『新春、OTAKU旅団お年玉争奪戦! はっじまーるよーーーーーーーーーーーっ!!』

 

「「「「イエーーーーーーーーーーーーイ!」」」」

 

「「イエーーーーイ……じゃねーよ!?」」

 

OTAKU旅団アジト楽園(エデン)

 

旅団における精鋭中の精鋭―――ナンバーズメンバーはNo.2からNo.23まで全員、団長室に集合していた。そこでは何故かノリノリでマイクを握っているこなた、ノリに乗ってはしゃいでいる咲良を始めとした子供達、そしてそんなこなた達に新年一発目の突っ込みを入れるawsと支配人の姿もあった。両者共に、いつも突っ込み役ご苦労様である。

 

「おいおい何だ? せっかくのお正月だってのに、いきなり団長室に呼ばれるなんてよぉ」

 

「全くです。せっかく人がお雑煮を食べていたところに」

 

「俺だって、さっさと読書を再開したいんだが…?」

 

「こっちはルカの福笑いで遊んでる最中なんだぜ?」

 

「ちょ、それ僕の顔じゃないですかkaitoさん!? いつの間に作ったんですかそれ!!」

 

「ムグムグ」

 

「おいZERO、お前一人で餅を全部喰おうとしてんじゃねぇ!?」

 

「せっかくアン娘の為に振袖用意したのに…」

 

「まだ眠ぜ、こっちは……ふぁぁ」

 

「…何だろう、猛烈に嫌な予感しかしません」

 

「奇遇だなディア、俺もだ」

 

お雑煮を食べている最中のデルタ、読書中の本に栞を挟んでいる二百式、ルカの顔をした福笑いで遊ぶkaitoに遠慮なく突っ込みを入れるルカ、餅を一人でたいらげようとしているZEROを止めようとする支配人、Unknownに見せてやろうと綺麗な振袖を着ている朱音、未だに眠たそうにしているげんぶ、既に嫌な予感をある程度だが察知しているディアーリーズやokakaなど、反応はメンバーによって様々だ。共通して言える事は、ここにいるナンバーズメンバーは全員、自分達が団長室に呼ばれた理由が分かっていない事くらいだろう。そんな一同の前に、クライシスが突然フッと姿を現した。

 

「全員、集まったようだな」

 

「あ、団長」

 

「クライシス……何の用ですか? 私は早くお雑煮を食べ切りたいのですが」

 

「いや何、せっかくのお正月だ。ナンバーズ全員にお年玉をやろうと思ってな」

 

「お年玉だと!!」

 

「「いや食いつくなよそこ!?」」

 

お年玉。それは新年を迎える際に貰える金品の事。大抵の場合は大人から子供にお金を与えるという風習の方が広く知られている。そんなお年玉という単語を聞いて、普段金欠のokakaが真っ先に反応し、awsと支配人が見逃す事なく突っ込みを入れる。

 

「だが、そのまま与えて終わりというのもつまらんからな……せっかくだ。今からお前達には、あるゲームに参加して貰うとしよう」

 

「…もしかして、それがこなたさんの言ってたお年玉争奪戦ですか?」

 

「その通り」

 

朱雀の問いかけにクライシスが肯定すると、デルタや二百式は面倒臭そうな表情を見せる。

 

「クライシス、流石にそれは面倒なのでやりませんよ?」

 

「右に同じ。申し訳ありませんが団長、俺達はそんなくだらない行事に参加するつもりはありません」

 

「残念だが、全員強制参加でやらせて貰う。これは決定事項だ」

 

「な……団長、いくら何でもそれは―――」

 

「参加さえしてくれれば良いのだ。ちなみに不参加を決め込んだりゲーム中にルール違反を犯した場合は、罰ゲームとして男は青いツナギを着たいい男(・・・・・・・・・・・)がいる部屋に、女は台所の黒光りするG(・・・・・・・・・)が大量にいる部屋に自主的に入って貰う事になるが」

 

「「喜んでやらせて頂きます」」

 

「「撤回早ぇっ!?」」

 

速攻で前言を撤回し、参加を宣言したデルタと二百式。しかしクライシスが告げた罰ゲームの内容を聞いて内容は簡単に想像出来たのだろう、他に不参加を決め込もうとしていたメンバー達も全員、嫌々ながらもゲームに参加する事にした。

 

「さて、ゲームを始めるには場所が悪いな……桃花」

 

「畏まりました」

 

クライシスの指示で、後ろに控えていた桃花が一つのスイッチを押す。するとナンバーズメンバー達は一瞬にして転移し、団長室から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――!? ここは…」

 

「…あれ、楽園(エデン)…?」

 

その結果、楽園(エデン)のあちこちのエリアに転移させられたナンバーズメンバー達。先程と同じ団長室には蒼崎とげんぶ、食堂エリアにはokakaとディアーリーズ、廊下エリアには朱音と青竜、地下エリアにはロキとルカ、屋外プールエリアにはmiriや刃、そしてヘリポートエリアにはawsと支配人……といった感じに、全員がバラバラに分かれている。

 

「おいおい、まさか楽園(エデン)の中でやるってのか…?」

 

『半分不正解です』

 

「「!」」

 

ヘリポートエリアにいるawsと支配人の耳に、クライシスの声が聞こえてきた。

 

『現在、ナンバーズの皆さんは楽園(エデン)そっくりの仮想空間内に滞在しています。あくまでデータ空間の中でのゲームになる為、ルール違反をしない限り、今回はどれだけ暴れて頂いても構いません。それでは、ルールを説明します』

 

そこから、桃花によるルール説明が始まる。それを簡潔に纏めるとこうだ。

 

 

 

 

 

 

・現在、エリア内のあちこちに金色、銀色、銅色のボールが大量に隠されている。

 

・そのボールを一つ回収し、ヘリポートエリアにあるゴール地点に入ればクリア。ボールの内側に書かれている金額のお年玉が手に入る

 

・ボールの中に書かれている金額は完全にランダム。場合によっては、金色のボールよりも銅色のボールの方が金額が高い事もある

 

・ちなみに発見したボールが、他のメンバーが強奪する事も可能。探し出したボールを持ってゴールするか、他のメンバーが見つけたボールを奪ってゴールするかは各メンバーの自由である。

 

・ただし、ゲーム中は様々な仕掛けや番人が妨害して来る。戦闘不能になったメンバーは失格となり、エリア内から現実の楽園(エデン)に強制送還される。

 

・もちろん、隠されている状態のボールをテレポートやコネクトなどで取り寄せる行為は禁止。それを行った場合も強制失格となり、お仕置きとして罰ゲームを受ける羽目になる。

 

 

 

 

 

 

「ふむ……つまり俺と支配人の後ろにある、赤い線で描かれたサークルがゴール地点って事か」

 

awsが振り返った先にある赤いサークル。そこまでボールを回収すればクリアという簡単なルールだが……当然ながら、awsと支配人は普段の任務以上に警戒を強めていた。あの規格外な団長が用意したゲームだ。何事も無いままクリア出来るとは到底思えない。

 

『制限時間は約1時間です。当然、時間切れになるまでにボールを回収出来なかったメンバーにはお年玉は渡されませんので、ご了承下さい』

 

「…猛烈に嫌な予感がするぜ」

 

「まぁ仕方ない、腹を括ろう支配人」

 

『それでは、カウントダウンを終えると同時に開始します……5……4……』

 

『はいスタートォッ!!』

 

-ピィーーーーーーーーッ!!-

 

「いや早い早い早い早い!?」

 

「ちったぁ心の準備させろよ!? 全く……ん?」

 

桃花がカウントダウンを終える前に、こなたがちゃっちゃとスタートを宣言してゲームが始まってしまった。それと同時に楽園(エデン)の施設の向こう側から、何かが上空目掛けて打ち上げられる。

 

「何だ? 花火でも上がんのか?」

 

「…いや、あれは…」

 

awsの目に映るは、上空目掛けてヒュルルルと打ち上げられる、骨模様が描かれた全身黒タイツのおかしな男が複数……全身黒タイツ?

 

そこまで特徴を述べている内に、awsは打ち上げられている者(・・・・・・・・・・)の正体に気付く。

 

「…マズいな」

 

「へ?」

 

しかし、気付いた頃にはもう遅かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「イィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」」

 

「ちょ、何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

「何でも良い、とにかく走れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」

 

打ち上げられている者―――ショッカー戦闘員達は上空で数秒間静止した後、人間ミサイルのように猛スピードで飛来し、楽園(エデン)屋外エリアのあちこちに雨のように勢い良く降り始めた。ショッカー戦闘員達が降ってあちこちで爆発が起こる中、awsや支配人、miriや刃など屋外エリアがスタート地点であるメンバーは慌てて今いる場所から駆け出し、屋内エリアに向かって移動を開始するのだった。

 

-ドゴォォォォォォォォォォォンッ!!-

 

「どわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「ちょ、何だぁ!?」

 

「うわ、窓から何か入って来たぁーっ!?」

 

…最も、屋内エリアだけ絶対に安全だとは限らないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ、外がヤバい事になってますね」

 

「あれ、ショッカーの戦闘員か? たく、何でアイツ等が空から降って来る状況になるんだよ…」

 

食堂エリアからスタートしたokakaとディアーリーズは、窓の外から見えるショッカー戦闘員の雨から目を逸らしつつ、食堂エリア内を探索していた。その中で、ディアーリーズは早速冷蔵庫の中に入っていた金色のボールを発見した。

 

「あ、見つけました!」

 

「おい待てディア、そのボールは…」

 

≪ブッブー、ハズレでーす≫

 

「へ……ゴブフゥッ!?」

 

「ほらな、言わんこっちゃない」

 

『あ、申し遅れました。ボールの中にはハズレも存在していますので、ご注意下さい』

 

「さ、先に言って下さいよそういう事は…!!」

 

桃花のアナウンスも時既に遅し。冷蔵庫の中から飛び出したパンチグローブが、ディアーリーズを殴り飛ばしてテーブルに叩きつけた。okakaは既に鷹の目で食堂エリア内にあるトラップを一通り把握している為、そういった場所は避けて探索している。

 

「俺の読みが正しければ……お、見-つっけた」

 

okakaは床を取り外し、その下の穴に隠されていた銅色のボールを発見。触れてもトラップは何も発動する様子が無い事から、この銅色のボールは当たりである事が分かる。

 

「うわ、良いなぁokakaさん」

 

「悪いな。俺は先に行かせて貰―――」

 

 

 

 

 

 

≪エクスプロージョン・ナウ≫

 

 

 

 

 

 

-ズドドドドォンッ!!-

 

「「ッ!?」」

 

その直後だった。okakaとディアーリーズの目の前で爆発が発生し、二人は素早く戦闘態勢に入る。そんな二人の前に現れたのは…

 

「ッ……おいおい、嘘だろ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッフッフッフッフ…」

 

不死鳥のような鎧を纏った金色の戦士―――仮面ライダーオーディン。

 

 

 

 

「ハァァァァァァァァ…!!」

 

海賊風の鎧を纏った亡霊の戦士―――仮面ライダー幽汽・ハイジャックフォーム。

 

 

 

 

「フッ…」

 

鎧とフードを纏った白い戦士―――白い魔法使い。

 

 

 

 

「フゥゥゥゥゥゥ…!」

 

骨の鎧を纏った黒い戦士―――仮面ライダーフィフティーン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四人もの仮面ライダーが、二人の前に姿を現したのだ。

 

「アレは、ダークライダー…!?」

 

「ヤバい奴ばっかり揃ってんなぁ……ディア、ちょいと手を貸せ。流石にアイツ等を一人で対処するのは骨が折れるからな」

 

「まぁ、今はそうするしかなさそうですね…!」

 

≪ドライバー・オン≫

 

『やれやれ、君はいつも大変な状況下にいるねぇ。一城』

 

ディアーリーズはウォーロックドライバーを出現させ、okakaはプロトディケイドライバーを腰に装着。PDからの突っ込みもスルーし、二人は同時に変身の構えを取る。

 

「「変身!!」」

 

≪チェンジ・ナウ≫

 

≪カメンライド・ディケイド!≫

 

ディアーリーズはウォーロックに、okakaはプロトディケイドに変身完了。すかさずプロトディケイドはライドブッカー・ガンモードを構えたままカードを装填する。

 

≪アタックライド・ブラスト!≫

 

「お返しだ……ハッ!!」

 

-ドガガガガガッ!!-

 

「「「ヌグ…ッ!!」」」

 

「ッ…後ろか!!」

 

≪コネクト・ナウ≫

 

プロトディケイドの射撃は幽汽、白い魔法使い、フィフティーンに命中。しかしオーディンだけは瞬間移動で射撃を回避し、それを見たウォーロックは魔法陣から取り出したウォーロックソードを真後ろに振るい、ウォーロックの後ろに立っていたオーディンのゴルトセイバーと刃をぶつけ合う。

 

≪チェイン・ナウ≫

 

「!? うわっと…!!」

 

「フンッ!!」

 

「え、ちょ…アバババババ!?」

 

その時、ウォーロックの右腕に鎖が巻きつき、ウォーロックソードを取り上げてしまった。そこへ幽汽が鞭を使って複数のコマを飛ばし、ウォーロックの装甲に命中させて次々と爆発させていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、冗談じゃねぇぜ……よりによって俺の相手がお前かよ…!!」

 

「ヌゥンッ!!」

 

「ぐっ!?」

 

離れた位置では、プロトディケイドがフィフティーンと鍔迫り合いになっていた。しかし互角に戦っているのかと言うとそうではなく、フィフティーンの黄泉丸がプロトディケイドのライドブッカー・ソードモードを少しずつ押していき、黄泉丸の刃先がプロトディケイドの左肩に届いてしまい…

 

「ゼァアッ!!」

 

「ぐぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

ライドブッカーごと、プロトディケイドの装甲を斜めに斬り裂いた。パワーの強い黄泉丸の斬撃はとても防ぎようが無く、斬り裂かれたプロトディケイドは堪らないといった感じで転がって距離を取り、カードを装填する。

 

≪アタックライド・イリュージョン!≫

 

「「「「「本気出さなきゃマズいなこりゃ…!!」」」」」

 

「フン…」

 

≪キバ!≫

 

分身を生成し、合計五人に増えたプロトディケイドは周囲を取り囲む。それでもフィフティーンは鼻を鳴らしてから平成ライダーロックシードを開錠し、自身の戦極ドライバーに装填してカッティングブレードを倒す。

 

≪キバアームズ! King of Vampire(キング・オブ・ヴァンパイア)!≫

 

「ゼァァァァァァァァァァッ!!」

 

「「うぉわぁっ!?」」

 

「「「ッ…!!」」」

 

出現したキバアームズを装着し、フィフティーン・キバアームズはザンバットソードを構えたままその場で回転斬りを繰り出し、プロトディケイドは二体の分身が斬られて消滅。残る三体は離れた位置から銃撃を放つも、フィフティーンはその銃撃をドッガハンマーで防ぎ、素早く戦極ドライバーのカッティングブレードを倒す。

 

≪キバスカッシュ!≫

 

「「「!? しまっ―――」」」

 

「オォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

 

「「「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」」」

 

フィフティーンはドッガハンマーのトゥルーアイで分身達の動きを停止させた後、そこに容赦なくドッガハンマーを叩き込む。分身達は消滅し、残った本物のプロトディケイドは壁まで吹っ飛ばされるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、別のエリアでは…

 

 

 

 

 

 

「くそ、よりによって俺は一人で行動かよ…!!」

 

Blazは大剣を装備したまま、通路を早歩きで移動していた。今のところ、彼はまだそれらしいトラップや番人には遭遇していない。

 

「冗談じゃねぇ、これならニューやアルト達と一緒に過ごした方がまだマシだ≪カチッ≫って……あ?」

 

突然聞こえた謎の音。Blazは立ち止まって足元を見てみると、そこには「踏んじゃダメ!」とだけ書かれた赤色のスイッチがBlazの右足に踏みつけられていた。

 

「…嫌な予感」

 

-ゴロゴロゴロゴロ…!!-

 

「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」

 

案の定、トラップは発動した。何処からか出現した巨大な岩が、Blazを押し潰すべく物凄いスピードで通路を転がって行き、Blazは岩を破壊するという手段も忘れて大慌てで通路を走る。

 

「えぇい、こなくそぉ!!」

 

Blazは走っている途中で見つけたエレベーターのボタンを押して飛び込み、巨大な岩はBlazが入ったエレベーターをスルーして通路を転がり去っていく。Blazはフゥと安堵した表情で座り込むが、突如エレベーターが地下へと移動し始めた。

 

「…そういやこのエレベーター、何処に繋がってんだ?」

 

Blazの疑問を他所に、エレベーターは地下5階の真っ暗な部屋の前で停止。Blazは不思議そうに思いつつも、ひとまず目当てのボールを探そうとしたが…

 

「―――ッ!?」

 

その時、Blazの全身が震えた。

 

(ッ……この感じは…!!)

 

Blazは自身の右腕を見た。右腕が……否、蒼の魔道書(・・・・・)が震えている。この感覚は、Blazにとって初めてではなかった。

 

(まさか…!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『久しいな、黒き者(・・・)よ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッ!!!」

 

Blazが見据える先に、それ(・・)は立っていた。

 

身に纏っている白い甲冑。

 

頭部の白い仮面。

 

背中に背負った長剣。

 

それらの特徴を持ったその戦士は、Blazにも見覚えがあり過ぎた。

 

「…何でだ……何でテメェがここにいやがる…!!」

 

『貴様こそ何を言う……ここ(・・)がどういう場所か、忘れた訳ではあるまい』

 

「…あぁ、そういう事かよ」

 

ここは楽園(エデン)にそっくりなだけの仮想空間。つまり、自分の目の前にいるそれ(・・)も、所詮はこの空間内にのみ存在出来るデータに過ぎない。しかしそこまでは理解出来たとしても、それでもBlazは全身の震えを止められなかった。

 

それ(・・)は背中の長剣を抜き、両手で持ったまま姿勢を低くしてゆっくり構える。

 

 

 

 

 

 

『我は(くう)

 

 

 

 

 

 

『我は(こう)

 

 

 

 

 

 

『我は(じん)

 

 

 

 

 

 

『我は一振りの(つるぎ)にて』

 

 

 

 

 

 

『全ての“罪”を刈り取り』

 

 

 

 

 

 

『“悪”を滅する』

 

 

 

 

 

 

対峙する両者の周囲で風が起こり、土煙が舞い上がる。

 

 

 

 

 

 

それでもBlazは構えを解かなかった。

 

 

 

 

 

 

構えを解けば、その瞬間にやられてしまうからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『我が名は“ハクメン”……推して参る!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いは、まだ始まったばかりである…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued…

 


 
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