No.821208

九番目の熾天使・外伝 ~短編GHOST~

竜神丸さん

邂逅! 闇夜の忍!

2015-12-27 19:22:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6379   閲覧ユーザー数:1202

それは、海鳴市にて突然起こった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ズバァンッ!!-

 

「うわぁ!? な、何だ!?」

 

「車が、いきなり真っ二つになったぞ!?」

 

とある道路では、走っていた車が突然真っ二つになったり…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょ……えぇっ!?」

 

「な、何なんだこれぇ!?」

 

とあるレストランでは、食器や調理器具、食材などが突然空中に浮き出したり…

 

 

 

 

 

 

 

 

-ドガァァァァァァァンッ!!-

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

「お、おい、急に爆発したぞ!!」

 

とあるガソリンスタンドで、謎の大爆発が突然発生したりなど、海鳴市のあちこちで謎の不可思議現象が次々と発生し始めていた。そんな人々の知らないところでは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『『フフフフフ…!』』』』』

 

謎の怪人―――眼魔による暗躍が、密かに始まろうとしていたのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――つまり、今回はその不可思議現象の調査という事ですね」

 

「そういう事だ」

 

楽園(エデン)にて、早速その不可思議現象についての調査任務を行おうと準備を始めていたokakaとディアーリーズ。本来はokakaだけに下された任務なのだが、例の不可思議現象が気になるのか、ディアーリーズも彼の任務に同行する事になった。もちろん、ディアーリーズが気になっているのはそれだけではない。

 

「確か、okakaさんも見た事があるんですよね? 例の……仮面ライダーレイスに」

 

「…あぁ。俺もちょっとばかし、奴に会いたいと思っていたところだ」

 

ディアーリーズが同行する理由……そのもう一つの理由が、仮面ライダーレイスが海鳴市に現れたのが気になったからだ。亡霊のような仮面ライダーがいる事を知り、ディアーリーズも少なからず興味を抱いたのである。okakaもレイスについて知りたい事があった為、今回の海鳴市に向かう任務はむしろちょうど良かった。

 

「それで、向かうのは僕とokakaさんだけですか?」

 

「いや、今回は俺の弟子を一人ほど連れて行く……まぁ、まだルーキー中のルーキーではあるけどな」

 

「え? それって…」

 

「お呼びですか? マスター」

 

「うわっ!? びっくりしたぁ…」

 

その時だ。okakaとディアーリーズの前に、黒装束の上に赤いマフラーを巻いた女性が突然現れ、シュタッと床に着地してみせた。いきなり目の前に女性が現れたのを見て、ディアーリーズは思わず驚きの声を上げる。

 

「アサシン部隊の一員で、俺の弟子の一人だ」

 

「飛川ツバメです。今回はよろしくお願いします」

 

「ディアーリーズです。ディアと呼んで下さい」

 

「さてツバメ、今回はお前も一緒に来い。アサシンとしての初任務だ、存分に働いて貰うぞ」

 

「了解しました。では、すぐに向かいましょう」

 

「あぁ……と言いたいところだが、ツバメ」

 

「はい、何でしょうか?」

 

現れたアサシン―――飛川(ひかわ)ツバメがしゃがんだ体勢から立ち上がり、すぐに楽園(エデン)から出発しようとするのをokakaが制止し、ある事を問いかける。それは…

 

「今回の任務先が何処なのか、お前は分かってるのか?」

 

「…あ」

 

ツバメの動きがピシッと固まる。それを見たokakaは「やっぱりな」と思ったのか、頭を抱えながら大きく溜め息をつく。

 

「…話も聞かずに動こうとするその癖、まだ直ってないのかお前は」

 

「…べ、別にただ向かおうとした訳じゃありませんよ!? ただ、移動しながらも目的地を聞く事くらいは出来るから、そうしようと考えただけであって!!」

 

「はいはい……これから向かうのは海鳴市だ。座標は分かってるだろうな?」

 

「もちろんです、さぁ早く向かいま……あだっ!? 痛ったぁ~……あぁ、まきびしばら撒いちゃったぁ!?」

 

口調は丁寧ながらも、慌てて自分のミスを誤魔化そうとして顔が赤くなるツバメ。okakaから目的地を聞いてからは今度こそ出発しようとしたが、今度はマフラーの先っぽを踏みつけて転んでしまい、その拍子に持ち物であるまきびしを大量に床にばら撒いてしまったりと、連続でドジを連発。それを見ていたディアーリーズは、okakaに小声で問いかけた。

 

(okakaさん……この人、A子さんと同じドジの匂いがするんですけど)

 

(…戦闘訓練は一通り積ませてるから、実戦でなら特に問題は無い筈……けどアイツ、戦闘以外だと何かドジな部分が多いんだよなぁ。何故なのかは俺も知らんが…)

 

ツバメの凄まじいドジっ子ぶりを見て、急に不安を感じ始めたディアーリーズ。ただ、それでも一応okakaの弟子だからか、戦闘訓練はかなり積んで来たらしく、彼女の将来を見込んだ上で、今回の任務を彼女の初陣にさせようと考えていたようだ。

 

「あんな感じではあるが、いずれは化ける可能性も秘めている。いざという時はお前からもフォローを頼む」

 

「…まぁ、それは僕も分かってはいますよ。同じ旅団の仲間ですからね」

 

必死にまきびしを拾い集めているツバメを見ているokakaの姿が、まるで娘の事を思う父親を彷彿とさせていたのだろう。最近、未来からやって来た彼の子供達を見たばかりであるディアーリーズはその事を思い出し、クスリと笑いながらもokakaの頼み事を快く引き受けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、これも拾って……あぁ、こっちにも落ちて……痛ぁっ!? まきびし踏んじゃったぁ!?」

 

「…すまんディア、早速フォローを頼む」

 

「…うん、これは僕も見過ごせませんね。ツバメさ~ん、僕も手伝いますから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後…

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――という訳で、不可思議現象の発生した場所から順に、調べて回ってはみたものの…」

 

「…収穫、まるで無しでしたねぇ」

 

海鳴市に到着した三人は、不可思議現象の発生した場所から順に調査を開始した。okakaは単独で、ディアーリーズはツバメと二人で調査して回ったのだが、何処を調べて回ってもこれといった情報は何も得られないまま、時間だけがどんどん過ぎて行っている。

 

「仕方ない……一旦、何処か適当な場所で休憩しましょう」

 

「そうですね、そうしまし……はわぅ!?」

 

「ちょ、ツバメさ……あいたっ!?」

 

いざ休憩場所を探そうと歩き出したツバメは、歩道に落ちていた空き缶を踏んでまたしても転倒。慌てて彼女を支えようとしたディアーリーズまで誤って一緒に転倒してしまい…

 

「「…あ」」

 

結果、ディアーリーズがツバメを押し倒したかのような体勢が出来上がってしまった。

 

「「す、すみません!!」」

 

慌てて離れる両者だったが、その顔はかなり赤くなっている。たまたま周囲に人がいなかったのは、二人にとっては幸いだった事だろう。

 

「…ん?」

 

そんな時、ディアーリーズはツバメの傍に落ちている物を発見し、それを拾い上げる。紫色の紐で結ばれた、緑色の巻き物だった。それを見たツバメは慌ててその巻き物を奪い取るようにディアーリーズから受け取る。

 

「これ、ツバメさんのですか…?」

 

「え……あ!? はい、私のです、すみません!! あぁ、砂が付いちゃってる…」

 

巻き物に付いた砂を払いながら、大事そうに巻き物を見つめるツバメ。そんな様子を見て、ディアーリーズは問いかける。

 

「それ、大事な物なんですか?」

 

「…はい。父から授かった大切な物で……風魔小太郎が遺したという、秘伝の巻き物。私にとってお守りのような物なんです」

 

「風魔小太郎……え!? それって確か、北條家に仕えていたという忍者の風魔小太郎ですか!? 何故あなたのお父さんが、そんな凄い物を…」

 

「それは…」

 

「それは…?」

 

数秒間の沈黙。そこから、ツバメがゆっくり口を開く。

 

「それは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オークションに流れていたのを、私の父が頑張って手に入れたそうです♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――へ?」

 

「いやぁ、実際にオークションに流れているのを見つけた時は私も父も驚きました! あの伝説の忍者である風魔小太郎の巻き物がオークションに流れてるなんて、一体誰が想像出来ますか? 父が大金はたいて、頑張って巻き物を手に入れました! 父だけでなく私も嬉しかったです! まぁ、そうやって大金はたいた事で色々と苦労したりもしましたが、私も父も特に後悔はしていません! 私自身、子供の頃は忍者にとても憧れていた時期もありましたから!」

 

「は、はぁ…」

 

意外と大した事情でもなかった事が分かり、苦笑いしか出来ないディアーリーズ。そんな彼の表情に、ツバメは全く気付いてはいないのだが。

 

「また凄い事をしたんですね、ツバメさんのお父さんも……そういえば、ツバメさんのお父さんは今どうしていらっしゃるんですか?」

 

「……」

 

「…ツバメさん?」

 

ディアーリーズがそう問いかけた瞬間、ツバメの表情に陰りが見え始めた。それを見たディアーリーズは内心で「しまった、聞くんじゃなかった」と強く後悔したが、ツバメは何とか笑顔を保ちながら口を開いた。

 

「…父は、亡くなりました。私が中学生だった頃に…」

 

「ッ……すみません、無神経でした」

 

「いえ、気にしないで下さい…………うちは元々、私と父の二人暮らしでした。父はある大企業に勤めて、どんどん出世して、私やこの街の為に一生懸命働いていました……けれど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お父さん? …お父さん!! 死なないで、お父さん!!』

 

『ツバ、メ……ごめん、な……お父、さん…もう、駄目みたい……だ…』

 

『いや……嫌だよ、お父さん……お父さん!! お父さぁんっ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――勤めていた企業の上層部では、色々と不正が行われていたみたいなんです。その不正を暴こうとしていた父の存在が、上層部にとっては邪魔だったみたいで……父はある日突然、事故に見せかけて殺されました」

 

「ッ……そんな、酷過ぎる…!!」

 

「私は父を殺した奴等が憎かった、報復してやりたいと思った!! けど、相手は権力を握っていて、罪を簡単に揉み消してしまう。私はそんな卑怯な連中に立ち向かえない、無力な自分を恨んだ!! …でも、その上層部の奴等はある日突然、破滅を迎えました。ある一人の男によって、上層部の奴等は一人残らず暗殺されたんです。ニュースでそれを知った時は、私も驚きました」

 

「ある一人の男に暗殺された……もしかして、それがokakaさん?」

 

「…その通りです。あの日、マスターが楽園(エデン)に報告をしていたのを偶然発見し、陰でその時の会話を盗み聞きしていたら、マスターが上層部の奴等を暗殺した事が分かって……私は迷わず、あの人の前に出ました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの企業の上層部は一人残らず抹殺し、奴等が犯した不正の情報も世間に纏めて暴露した。これであの企業はかなりの深手を負った事になるだろう……任務完了だ、楽園(エデン)に帰還する』

 

『あ、あの!』

 

『…さっきから俺達の会話を盗み聞きをしていた娘か。何の用だ』

 

『…お願いがあります』

 

『?』

 

『私を……あなたの弟子にして下さい! お願いします!!』

 

『…へ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「父の仇を討ってくれたマスターに恩返しがしたくて、私はあの人に弟子入りを志願し、アサシンとしての修業を重ねる日々を送るようになりました」

 

「な、なるほど…(思い浮かぶなぁ、okakaさんの呆気に取られた顔が)」

 

いつも通り任務を終えて楽園(エデン)に帰還しようと思っていたら、突然現れた少女にいきなり弟子入りを志願されたokaka。その時のokakaの呆気に取られた顔が容易に思い浮かんだのか、ディアーリーズはまたも苦笑いを浮かべる。

 

「マスターへの恩返しの為に……そして、この街に住む人達が私と同じような目に遭わないよう、法で裁けない悪を駆逐していく為に……私は、一流のアサシンになろうと心に誓ったんです。伝説の忍者として歴史に名を遺した、あの風魔小太郎のように」

 

「そうだったんですか…」

 

「今回の任務だって、この街の人達を困らせている悪を許す訳にはいきません……ディアさん、一緒に悪を懲らしめましょう! この街の人達が、安心して暮らせるように」

 

「…えぇ、僕も協力します。悪を許せないのは、僕も同じですから」

 

ディアーリーズとツバメがガシッと固い握手を交わした……その時だった。何かを察知したディアーリーズは即座にリングをベルトに翳し、魔法陣から取り出したウォーロックソードで斬撃を放射。近くに生えていた街路樹の陰に隠れている何か(・・)を狙うも、その何か(・・)には当たる寸前で回避されてしまう。

 

≪コネクト・ナウ≫

 

「そこだ!!」

 

『うぉ危ねっ!?』

 

「え、ディアさん…!?」

 

「ツバメさん、okakaさんから借りた例の薬品を!!」

 

「あ、えっと、不知火ですね!! 分かりま……うわたぁっ!?」

 

「え、ちょ……ぶふぁっ!? ケホ、コホッ!!」

 

ディアーリーズに言われて不知火入りの小型バズーカ砲を取り出そうとしたツバメ。しかしここでまたしてもドジを発動してしまい、ツバメが落とした不知火入りのサンプルをそこら中に盛大にぶちまけてしまい、不知火が煙幕のように噴出。巻き添えを喰らったディアーリーズまでもが煙たい目に遭わされる中、不知火の効果で透明化していた何か―――眼魔アサルトが実体化し、ツバメの目にも見えるようになった。

 

「す、すみません、ディアさ…ゲホ、ゲホ!!」

 

「ケホ!! いえ、大丈夫です……とにかく見つけたぞ、お前がokakaさんの言っていた眼魔だな!!」

 

『うげ、俺の姿が見えちゃってんの!? こうなったら……逃げるが勝ちぃっ!!』

 

「あ、待て!? ツバメさん、okakaさんに連絡を!!」

 

「は、はい、分かりました!!」

 

≪チェイン・ナウ≫

 

「逃がすか!!」

 

『ぐえぇ!? ちょ、苦じぃっで…!!』

 

「眼魔、観念しろ!!」

 

姿が見えるようになった事で、眼魔アサルトはその場から逃走しようと大きく跳躍。しかしディアーリーズが発動したチェインの魔法で、眼魔アサルトは全身を鎖で拘束されて地面に落下。ディアーリーズが拘束した眼魔アサルトに歩み寄ろうとしたその時…

 

-トスッ-

 

「う―――!?」

 

「!? ツバメさ…」

 

『おぉっと、動くなよ。動けばこの娘の命は無いぞ?』

 

「ッ!?」

 

謎の吹き矢がツバメの首元に命中し、ツバメは意識を失いその場に倒れ伏した。それに気付いたディアーリーズが駆け寄ろうとするが、それより前に現れた眼魔―――忍者眼魔が倒れているツバメの首元に忍者刀を向け、ディアーリーズがその場で制止する。

 

「ツバメさんに何をする気だ…!!」

 

『安心しろ。お前が邪魔をしなければ、この娘に危害は加えない……最も、この娘は我々が利用させて貰うがな』

 

「どういう意味だ!!」

 

『風魔小太郎に憧れのある人間……それがこの娘だ。この娘を上手く使えば、我々はゴーストを生み出し、英雄の眼魂を手にする事が出来る…』

 

「英雄の眼魂…? 確か、仮面ライダーレイスって人がそんなのを持ってたって、okakaさんが…」

 

忍者眼魔の告げた“眼魂(アイコン)”という言葉に眉を顰めるディアーリーズ。そんなディアーリーズの独り言など知らんぷりな忍者眼魔はツバメを抱きかかえた後、いくつかの眼魔眼魂をその場に投擲。その眼魔眼魂からのっぺら坊のような全身真っ黒の尖兵―――眼魔コマンドが大量に出現する。

 

『とにかく、娘の命が惜しければ我々の邪魔はしない事だな……おい、行くぞ!』

 

『へい!』

 

「ッ…待て!?」

 

『『『『『ウゥゥゥゥゥ…!』』』』』

 

「くそ、邪魔だ!!」

 

忍者眼魔と眼魔アサルトはツバメを連れて飛び去ってしまい、それを追おうとするディアーリーズを大量の眼魔コマンド達が阻む。ディアーリーズはウォーロックソードで眼魔アサルト逹を薙ぎ払う。しかしあまり効いていないのか、眼魔コマンド達は勢いがどんどん強まって行き、ディアーリーズを一斉に取り囲んで行く。

 

「ッ…あまり効いてないのか……なら変身して一気に―――」

 

その時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変身」

 

≪カイガン・レイス! ヒアウィゴー! 覚悟! ワク・ワク・ゴースト!≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その戦士は、再び姿を現した。

 

 

 

 

 

 

-ズバババババァンッ!!-

 

 

 

 

 

 

『『『『『グゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…!?』』』』』

 

「!?」

 

突如、何かが目に見えない速度で次々と眼魔コマンド達を斬り裂いて行き、斬り裂かれた眼魔コマンドは黒い墨のような血を噴出しながら消滅。一気に半分近くの眼魔コマンドが消え去っていく中、ディアーリーズの前にはあの仮面ライダーレイスがガンガンカリバー・カリバーモードを構えて立っている姿があった。

 

「! あなたは…」

 

「眼魔がこんなに発生するとはねぇ……さて、と!」

 

≪アーイ! バッチリミテー! バッチリミテー!≫

 

ディアーリーズには見向きもしないまま、レイスはゴーストドライバーからレイスゴースト眼魂を抜き取り、代わりに金色のゴースト眼魂を装填。トランジェント体となったレイスのゴーストドライバーから、金色と赤で配色されたパーカーゴーストが現れて宙を舞う中、レイスはゴーストドライバーのレバーを引いて押し込む。

 

≪カイガン・カメハメハ! ハワイ! ワイワイ、治めたい!≫

 

レイスは現れた金色のパーカーゴースト―――カメハメハゴーストを身に纏い、仮面ライダーレイス・カメハメハ魂へとゴーストチェンジ。ヤシの木が描かれた仮面を装着し、レイスはガンガンカリバーの刃先を上方向にスライドする。

 

-ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥン…-

 

「よっと」

 

するとそこに、蜂のような姿をした謎のガジェット―――ワスプウォッチが飛来し、変形して槍の先端のような形状になり、そのままガンガンカリバーの先端に合体。ガンガンカリバー・スピアーモードとなり、レイスはその状態からガンガンカリバーの目玉の紋章をゴーストドライバーに読み込ませる。

 

≪ダイカイガン! ガンガンミテー! ガンガンミテー!≫

 

「あ~らよ……とぉっ!!」

 

≪オメガスティング!≫

 

『『『『『グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!?』』』』』

 

レイスはエネルギーの充填されたガンガンカリバー・スピアーモードを突き立て、強力な槍状のエネルギーを眼魔コマンド達に目掛けて放出。眼魔コマンド達は纏めて貫かれ、一体残らず爆散して全滅した。

 

「凄い…」

 

「…ふぅ。さて、ここに本体がいないか…何処にいるのかねぇ?」

 

「あ、待って下さ……あぁもう!!」

 

ディアーリーズの呼びかけに気付かないまま、レイスはその場から高速移動であっという間に姿を消した。彼ならば眼魔についても何か知っているに違いない。しかし、眼魔達に連れ去られてしまったツバメを放っておく訳にもいかない。ディアーリーズは考えた結果、レイスではなくまずはツバメの救助を優先。忍者眼魔達が逃げた方角へと駆け出して行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、別の場所では…

 

 

 

 

 

「じゃあ、特にこれといった心当たりは無いって事か」

 

「残念だけど、そういう事ね」

 

「ごめんなさい一城さん、力になれなくて」

 

「いや、良いさ。むしろクリスマスの余韻に浸っていたところを邪魔して悪かったな。アリサ、すずか」

 

okakaは翠屋に向かおうとしていたアリサ、すずかの二人から不可思議現象について聞き込みをしていた。しかし二人も特にこれといった心当たりは無かった為、okakaは何も情報を得られずにいた。

 

「そういや二人共、昨日のクリスマスはルカの奴と一緒に過ごしていたようだが……アイツ今どうしてんだ?」

 

「アキヤ? 酒の飲み過ぎで、今頃うちの屋敷で二日酔いに苦しんでるでしょうね」

 

「うぉい、何やってんだアイツ…」

 

「それって、アキヤ君に無理やり酒を飲ましたアリサちゃんが悪いんじゃ…」

 

「…って、お前が飲ませたのかよ!?」

 

「仕方ないでしょ!? 人がせっかく酒を勧めてんのに、アイツ一口も飲もうとしないのよ!? 何かイラッと来たから、無理やりアイツの口に大量の酒をぶち込んでやったわ!!」

 

(どんまい、ルカ…)

 

今頃二日酔いで苦しんでいるであろうルカに、心の中で合掌するokaka。しかし酒を無理やり飲まされても抵抗しなかったルカの自業自得でもある為、okakaはそれ以上考えるのはやめにした。

 

「あ~あ、今年はなのは達も忙しくしてるみたいだし、アイツは結局パーティーに不参加だし、今年のクリスマスは不完全燃焼だったわ」

 

「? アイツって?」

 

「あ、うん。私達が小学生だった頃、同じクラスメイトだった男子が一人いてね? その男子、中学や高校は違う学校だったんだけど、私達と同じ大学に入ったみたいで、大学の入学式で久々に再会したの」

 

「でもそいつ、少し前から全然連絡が取れないのよ。全く、何処で何してるんだか…」

 

「何度も連絡はしてみたんだけど、電話にも出てくれなくて。私達もずっと心配してるんです」

 

「…ふぅん?」

 

少し前から連絡が取れない。何やら事件らしき匂いを嗅ぎ取れたokakaは、その連絡が取れないクラスメイトの男子について、もう少し問いかけてみる事にした。

 

「連絡が付かなくなったのは何時頃からだ?」

 

「ん~……二週間くらい前だったかしら? それより前は普通に電話にも出てたのに、ある日突然連絡が付かなくなったのよ」

 

「そのクラスメイトの名前は?」

 

「その男子の名前は―――」

 

≪okakaさん、聞こえますか!?≫

 

「! 少し待ってくれ」

 

その時、okakaの脳内にディアーリーズの念話が聞こえて来た。

 

≪どうした≫

 

≪ツバメさんが、眼魔達に誘拐されました!!≫

 

≪!? 何だと…!!≫

 

≪すみません、僕のミスで彼女が……今、眼魔達を追跡中です!!≫

 

≪了解した、絶対に見失うなよ?≫

 

「一城さん…?」

 

「すまん二人共、緊急の用が出来た。ルカの事はよろしくな!!」

 

「あ、ちょっと!?」

 

okakaはすぐさま駆け出し、素早く移動を開始。アサシンらしく目に見えない速度で街中を走る途中、同じく街中を駆けているディアーリーズと合流し、二人で共に建物から建物へ飛び移りながら移動する。

 

「okakaさん!!」

 

「ディア、状況は?」

 

「方角はこのまま真っ直ぐです……すみません。僕が隙を突かれた所為で、ツバメさんが…!」

 

「お前の所為ではないさ。とはいえ、アイツを現場に出すのはやっぱりまだ早過ぎたか……だが、何故アイツが眼魔達に…?」

 

「…あの眼魔達、ツバメさんが僕に風魔小太郎の巻き物を見せた後に現れたんです。しかも奴等、彼女の事を“風魔小太郎に憧れのある人間”と言ってました」

 

「風魔小太郎? そういやアイツ、その巻き物をお守り代わりにしてたな……待てよ?」

 

okakaはクリスマス当日、レイスがアザゼル達と戦っていた時の事を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪カイガン・ドレーク! 駆ける大洋! 落とすは太陽!≫

 

『あぁーっ!? アイツ、英雄の眼魂を持ってやがるー!?』

 

『恐らく、フランシス・ドレークの事だろうね。かつてスペインの船を相手に略奪を行い、次第にエリザベス女王にも認められる事になった、イギリスにおける偉人の一人だ』

 

『なるほど、歴史に名を遺した偉人の力を借りるライダーか……面白いライダーがいるもんだな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(―――つまり、偉人に関係する物を使って、何かをしようとしているのか…?)

 

「…あ、見えました!! あそこです!!」

 

「!」

 

二人が目指している方向にある、海鳴大学病院。その屋上に忍者眼魔やツバメの姿を確認し、二人もその屋上へと着地し、忍者眼魔も二人の存在に気付く。

 

『ここまで追って来るとは……そこの少年、俺の警告が聞こえなかったのか?』

 

「ほぉ……つまりお前か。うちの弟子を使って、何かをしようとしてるのは」

 

「ツバメさんは返して貰うぞ!!」

 

『そういう訳にはいかんなぁ……やれ』

 

「はぁっ!!」

 

「え…うぁっ!?」

 

「おっと…!!」

 

忍者眼魔が指を鳴らした瞬間、okakaとディアーリーズの背後から突如ツバメが跳びかかり、二人に向かって攻撃を仕掛けて来た。突然の不意打ちに対応しようとしたディアーリーズだったが、ツバメの無駄の無い動きに圧倒されてしまう。それに対し、ツバメの師匠であるokakaは彼女の繰り出す攻撃を的確に捌いていき、ツバメは後退して忍者眼魔の横へと並び立つ。

 

「私ハ、悪ヲ許サナイ……悪ハ全テ駆逐スル…」

 

「ッ……マズいな、こりゃ」

 

「okakaさん、まさか…」

 

「あぁ、完全に操られてる……全く、あの馬鹿弟子め」

 

ツバメは虚ろな目をしたまま、全身から紫色の怪しいオーラを放っていた。彼女の様子がおかしい事は目に見えて分かり、okakaは厄介そうに一筋の汗を流す。

 

『その娘は理不尽な悪を懲らしめる為に、伝説の忍者である風魔小太郎のような一流の暗殺者に覚醒しようとしているのだよ。それを邪魔するのは彼女に対して酷な事だと、そうは思わないのかね?』

 

「ふざけんなよ……そんなのは本物の強さじゃない、ただのまやかしだ!!」

 

『まやかしかどうか、試してみると良い……やれ!!』

 

「邪魔スル者ハ、私ガ倒ス…!!」

 

「目を覚ませ馬鹿弟子!!」

 

ツバメが再びokakaに襲い掛かり、okakaもそれに応戦。ツバメの繰り出す攻撃を変わらず捌いていくokakaだったが……その途中、ツバメの動きに変化が起こる。

 

「ゼヤァッ!!」

 

「!? ぐぉわっ!!」

 

「okakaさん!?」

 

突如、ツバメの身体能力が急激に向上し、okakaを蹴りの一撃で大きく吹っ飛ばしたのだ。防ごうとした蹴りが想定外の威力だった事に、吹っ飛ばされたokakaは驚愕する。

 

「馬鹿な、何処にこんな力が…」

 

『その力を使い、その娘は悪に制裁を下していく……そうすれば、その娘の悲願は成就する! 邪魔はしないで貰おうか…!』

 

「そういう訳にはいかな…ッ!?」

 

『お前も大人しくして貰おうか…!』

 

『ケッケッケ…!』

 

okakaに加勢しようとしたディアーリーズを、左右から現れた眼魔アサルトが強引に取り押さえる。無理やり抜け出そうとするディアーリーズだったが、眼魔アサルト逹のパワーは想像以上に強く、そこに三体目の眼魔アサルトが現れる。その手には一つの眼魔眼魂を持っており、それをディアーリーズに近付けようとする。

 

『お前も、俺達が支配してやろう…!』

 

「ぐ、離せ!! この…」

 

『『ケッケッケッケ…!』』

 

「ディア…ッ!?」

 

「私ハ悪ヲ倒ス……倒シテミセルッ!!」

 

「ぐぅっ!? くそ、コイツ…!!」

 

ツバメはokakaの腕を両手で掴み上げ、そのまま捻り上げて押さえつける。その押さえつける力はとても女性が出せるようなパワーではなく、okakaは痛みで表情を歪ませる。

 

『無駄な事だ。すぐに貴様等も、その娘と同じように支配してやる―――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい、そこまでだよっと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ズドォンッ!!-

 

『うごわぁっ!?』

 

『『『!?』』』

 

そこに飛んで来た一発の銃撃。それが忍者眼魔の胸部に命中し、他の眼魔アサルト逹も驚愕する。

 

『な、誰だぁっ!!』

 

「!? 今のは…」

 

「まさか…!」

 

okakaとディアーリーズは銃撃が飛んで来た方向へと振り向く。その視線の方向には、給水タンクの上でガンガンカリバー・マスケットモードを構えた仮面ライダーレイスの姿があった。

 

「アイツ…!」

 

『ちぃ、お前も我々の邪魔をするかぁ!!』

 

「おっと! そりゃ当然でしょ…っとな」

 

『『『グギャアッ!?』』』

 

「うわっとと…!」

 

怒った忍者眼魔が手裏剣を飛ばし、レイスはそれを跳躍して回避。床に着地したレイスはガンガンカリバーで再び銃撃を放ち、ディアーリーズを取り押さえていた眼魔アサルト三体を怯ませ、ディアーリーズが解放される。

 

『おのれぇ……やれ!!』

 

「邪魔スル者ハ、許サナイ…!」

 

「ん? あ~らら、また女の子を使ってるのか。感心しないねぇ」

 

忍者眼魔の命令で、ツバメはokakaを突き放してからレイスに飛びかかる。レイスは彼女の繰り出す攻撃を右手だけで軽く捌き切った後、彼女の右腕を掴んで動きを抑える。

 

「ッ…離セ!!」

 

「そう慌てなさんなって。今助けるからさ……よっと」

 

「アァッ!? ァ……あ…」

 

「! ツバメ!」

 

ツバメを取り押さえたまま、レイスは左手で目の紋章を描く。すると目の紋章がツバメの身体を通過し、邪気が払われると同時にツバメがその場に倒れ伏し、okakaがツバメの傍まで駆け寄る。

 

「ご安心を。一応、眠ってるだけだから」

 

「! レイス、お前は…」

 

「あ、それから」

 

レイスが見据える先に、ツバメが落としたと思われる風魔小太郎の巻き物が落ちていた。レイスはそれを拾い上げて紐を解き、巻き物を開いて中身を見る。

 

「ふぅん、風魔小太郎の巻き物か……ちょうど良い」

 

「! 待って下さい、それはツバメさんの大切な…」

 

「こんな物を持ってるから眼魔に付け狙われるのさ。悪いけど、これはこっちで処理させて貰うよ」

 

レイスはディアーリーズの言葉を強引に遮る形で告げた後、巻き物を床に置いて再び目の紋章を描く。すると巻き物は光り出すと共に煙となって消滅し、煙の中からは忍者を彷彿とさせる群青色のパーカーゴースト―――コタロウゴーストが忍者の構えをしながら出現した。

 

「さぁ来い、風魔小太郎!」

 

レイスの言葉にコタロウゴーストが頷き、レイスのゴーストドライバーに吸い込まれていく。そしてゴーストドライバーから群青色のコタロウゴースト眼魂が形成され、それがレイスの右手に収まる。

 

「! あれが、眼魂…?」

 

「なるほど、あぁやって生み出されるのか…」

 

『その眼魂を寄越せぇっ!!』

 

「やなこった!」

 

忍者眼魔が忍者刀で斬りかかって来るが、レイスはそれすらもヒラリと回避。そのままゴーストドライバーを開いてレイスゴースト眼魂を取り出し、代わりにコタロウゴースト眼魂を装填して閉じる。

 

≪アーイ! バッチリミテー! バッチリミテー!≫

 

「そんじゃ、早速力を貸して貰おうか…!」

 

『させるかぁ!!』

 

再び出現したコタロウゴーストがレイスの周囲を浮遊する中、レイスはゴーストドライバーのレバーを引き、そして押し込んだ。そこへ眼魔アサルト逹が飛びかかるが…

 

『『『グガガガァッ!?』』』

 

≪カイガン・コタロウ! シュシュッと忍べ! 闇夜のシモベ!≫

 

コタロウゴーストは眼魔アサルト逹を弾き飛ばした後、レイスのその身に纏われ、仮面ライダーレイス・コタロウ魂へのゴーストチェンジが完了された。レイスは両手で忍者のポーズを取り、忍者眼魔達と対峙する。

 

「始めるでござるよ……ニン!」

 

『おのれ、調子に乗るなぁ!!』

 

「!? 危ないっ!!」

 

忍者眼魔はポンと姿を消し、一瞬でレイスの真後ろへと出現。ディアーリーズが叫ぶ中、忍者眼魔はレイス目掛けて忍者刀を振り下ろし、レイスを斬り裂く―――

 

-ボワンッ!!-

 

『え……んなぁっ!?』

 

―――事は無かった。忍者刀が当たった瞬間、レイスの身体が突然煙となり、そこには『はずれ』と書かれた紙の付いた丸太だけが残っていたのだ。

 

『変わり身の術か!? くそ、奴は何処に…』

 

「にん!!」

 

『ゴハァッ!?』

 

忍者眼魔が周囲を見渡そうとした直後、いつの間にか真後ろに立っていたレイスが忍者眼魔の背中を蹴り、連続で拳を叩きつけた。そして忍者眼魔が床を転がされる中…

 

-シュゥゥゥゥゥゥ…-

 

トカゲの姿をしたガジェット―――リザードシーバーがレイスの足元に現れ、その場で忍者刀モードに変形してレイスの右手に収まる。レイスは更にガンガンカリバーも取り出し、その柄部分にリザードシーバーを連結させる事でガンガンカリバー・双刃刀モードへの変形が完了。その状態でゴーストドライバーにアイコンタクトさせる。

 

≪ダイカイガン! ガンガンミテー! ガンガンミテー!≫

 

音声が鳴り響く中、ガンガンカリバーに巨大手裏剣のようなエネルギーが纏われていく。

 

「一気に決めるでござるよ……ニン!!」

 

≪オメガカッター!≫

 

『『『ギャァァァァァァァッ!?』』』

 

『お、お前達ぃーっ!?』

 

巨大手裏剣となったガンガンカリバーを投げつけ、眼魔アサルト逹は三体纏めて爆散し、本体である眼魔眼魂も一斉に消滅。その後、戻って来たガンガンカリバーをキャッチしたレイスは忍者眼魔を見据える。

 

『お、おのれ、こうなれば……ここは撤退だ!!』

 

忍者眼魔は分身の術を繰り出し、八体の分身が出現。忍者眼魔の分身逹は一斉に、海鳴大学病院の屋上からバラバラに逃げ出して行く。

 

「!? アイツ、逃げる気か!!」

 

「あぁ、心配ご無用……分身の術」

 

≪ダイカイガン! コタロウ!≫

 

レイスはガンガンカリバーを放り捨て、再びゴーストドライバーのレバーを引いて押し込む。その後、レイスは忍者のポーズを取ったまま…

 

「「「「「「「「ニン!!」」」」」」」」

 

「!? ふ、増えたぁ!?」

 

「おぉ…変わり身の術に続いて、今度は分身の術か」

 

レイスも同じように分身を生成し、合計で八人のレイスが一斉に跳躍。レイスの分身逹も一斉に跳躍し、忍者眼魔の分身逹目掛けて飛び蹴りの体勢に入り…

 

≪オメガドライブ!≫

 

「「「「「「「「だりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」」」」」」

 

一斉にライダーキックを発動。バラバラに逃げた忍者眼魔の分身が次々と撃ち破られていき、そして残った最後の一体もトドメのライダーキックを炸裂させられた。

 

『ば、馬鹿な…ヒギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!??』

 

忍者眼魔が爆発し、一人に戻ったレイスが海鳴大学病院の前に降り立って着地。その近くには忍者眼魔の本体である眼魔眼魂と手裏剣が落ち、眼魔眼魂は粉々に砕け散って跡形も無く消滅するのだった。

 

「ふぅ……一丁上がりっと」

 

「二度も助けられちまったな、仮面ライダーレイス」

 

「んあ?」

 

そこに、後を追いかけて来たokakaとディアーリーズが駆け寄って来た。ディアーリーズの背中には未だ眠っているツバメがおぶられている。

 

「えぇっと……誰アンタ等?」

 

「俺はokaka、OTAKU旅団って組織に所属している」

 

「僕はディアーリーズです」

 

「まずは礼を言わせて貰おうと思ってな……うちの弟子を助けてくれて感謝する。ありがとう」

 

「あぁ、そんな事? 良いよ別に。俺はただ眼魂が欲しかっただけだし……ちなみにこのコタロウ眼魂、悪いけど俺が貰っとくよ。その娘がまた眼魔に狙われちゃいけないし」

 

「…眼魂、と言ったか。それは何なんだ?」

 

「眼魂ってのは、えぇっと…」

 

レイスは取り出したドレークゴースト眼魂を二人に見せる。

 

「簡潔に説明すると、英雄や偉人の魂がコイツには宿っている。俺は今、この眼魂をいっぱい集めて回っているのさ。もう既にいくつか持ってる」

 

「ほぉ? 英雄や偉人の、ねぇ…」

 

okakaは興味深そうにドレークゴースト眼魂を見つめた後、ある事を思いついた。

 

「なぁ、レイス。一つ提案があるんだが…」

 

「ん?」

 

「もしアンタが良ければ、俺達OTAKU旅団に協力して欲しい。この街では今も多くの眼魔が暗躍している。俺達は眼魔を退治出来て、アンタにはその眼魂集めを手伝う。悪い条件じゃない筈だ―――」

 

「あぁごめん、それ無理」

 

「「…へ?」」

 

okakaの提案に、レイスはいともあっさり断ってしまった。okakaとディアーリーズは思わず変な声が出る。

 

「俺、他人の力は借りない主義なのよ。だから誰かに力を貸す事も無い……んじゃそういう事で、バイバーイ」

 

「あ、ちょっと待…」

 

ディアーリーズが呼び止める前に、レイスは透明化して姿を消してしまった。okakaも鷹の目で周囲を探るが、既にレイスの気配はその場から消えてしまっていた。

 

(鷹の目でも見失うとはな……だが、眼魂とやらの生み出し方は分かった。後は…)

 

「…コイツさえ覚醒してくれればな」

 

okakaは取り出した『GHOST』のカードを見つめる。そのカードは今も色の存在しない、モノクロ状態のまま変わらないのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END

 


 
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