No.82328

さすらいの3人娘

ぴかさん

前作、失われゆく世界で現代へ飛んだ北郷隊3人娘の話です。

真桜は魏の中の好きな子ベスト3に入っているので、頑張って書いてみました。

誤字脱字報告、感想、叱咤激励お待ちしております。

2009-07-03 22:31:59 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:10973   閲覧ユーザー数:8484

夏も本番になり、大地には太陽からの強い光が降り注いでいる。

様々な店から流れてくる音楽に合わせ、セミ達もようやく本番かとばかりに大合唱している。

多くの人で賑わう街の中、一際目立つ3人の女性が居た。

1人は、走る車や店先に置いているテレビを見てなにやらはしゃいでいる。

もう1人は、ブティックなどの店先に飾ってある洋服を見て恍惚の表情を浮かべていた。

最後の1人は、そんな2人の様子を見ながら溜息ばかりをついていた。

そう、あの世界から現代へとやってきた北郷隊の3人娘である。

 

 

真桜「おー!!見たこと無いものばっかりや~!!」

沙和「可愛い服がたくさんあるのー!!」

凪「はぁ~。」

 

真桜や沙和が周りを見ながらはしゃいでいるのを見て、溜息をつく凪。

そんな凪などお構いなく、真桜と沙和は新しいモノを見つけてははしゃいでいる。

 

あの日、状況に流されるままに鏡に触れた3人は、この世界へと来ていた。

しかし、あの時一緒に来たはずの他のメンバーは周りにはおらず、自分たちの格好も変わっていた。

凪は、以前沙和が仕立てて皆に褒められた制服風の格好。

真桜は、いつもの縞模様のビキニの上に短めのTシャツといつもの短パン。

沙和は、一刀に買ってもらったピンクのチャイナドレスだった。

違和感は無いのだが、かなり華のある3人だったため、すれ違う男性のほとんど全員が振り返るという状態だった。

中には声をかけようとする者もいたのだが、そのたびに凪の覇気に気圧されてしまい諦めてしまうのであった。

 

真桜「あれは何やろなぁ~。隊長がいたら教えてくれるんやろうけど・・・。」

沙和「欲しいものいっぱいあるけどお金がないのー。」

 

散々はしゃいだ後で、現状では何も出来ない事を察した真桜と沙和。

凪はようやく気付いたかとばかりに、大きめの溜息を一度吐くと話し出した。

 

凪「2人とも、まずは隊長と華琳様を捜さないと。」

真桜「凪、それは分かるんやけど・・・。」

沙和「何の手がかりもないのー。」

 

2人とて、一刀や華琳にすぐにでも会いたかった。

だが、手がかりも何もないこの状況ではどうする事も出来ない。

凪もそれは重々承知だった。

とはいえ、何もせずに手をこまねいているわけにもいかない。

凪は2人の背中を押し、その場を後にした。

 

真桜「ちょっ、何やあてでもあるんかい?」

凪「いや、ないけど・・・、こっちのような気がする。」

沙和「そんな曖昧な事で隊長に会えるはずないのー。」

 

気を操ることの出来る凪だから、一刀や華琳の気を察知する事が出来るのではと思ってしまう2人であったが、実際そんな非科学的な事があるはずもないので、何のあてもなく歩く凪に不満を言う。

だが、2人にもあてはないのだから、不満を言いながらも凪の後をついて行った。

 

 

沙和「一休みしようなのー。」

 

しばらく歩いていると沙和がそう言いながら近くのベンチに座り込んだ。

 

真桜「せやな。この暑さじゃ休まないと体がもたんで。」

 

そう言って真桜も沙和の横に座った。

 

凪「お2人を見つけたらいっぱい休めばいいだろう。」

 

凪は休む2人を促した。

だが、ベンチに座り込んだ2人はてこでも動かない。

 

真桜「うちの体は凪みたいに丈夫にはできてへんのや。もうちょい休ませてな。」

沙和「沙和もこの暑さでヘトヘトなのー。」

凪「全く・・・。少しだけだからな。」

 

そう言って凪も沙和達の隣に座った。

目の前を歩く人々をみながら、真桜がぼそっとつぶやいた。

 

真桜「平和やなぁ~。」

 

それを聞いて2人も続ける。

 

沙和「みんな好きな格好をして笑顔で楽しそうなのー。」

凪「そうだな。隊長が目指した平和ってこういうモノだったのかなぁ。」

 

3人は一刀の事を思い出していた。

普段はどことなく頼りない感じなのだが、いざという時は誰よりも強く感じた。

常に自分は二の次で周りの事ばかり考えていた。

初めての時も、3人一緒の時も、優しくそして力強く抱いてもらい女性としての喜びを教えてくれた。

そんな事を考えていると、3人の目から自然と涙がこぼれてきた。

 

真桜「なんや~。悲しいはず無いのに・・・。」

沙和「変なのー。涙が止まらないの・・・。」

凪「隊長・・・。会いたいです・・・。」

 

凪の言葉が全てを物語っていた。

3人は体を寄せ合い、声を殺して泣いた。

気になる様子の3人であったが、声をかけるような無粋な人はそこには居なかった。

 

ひとしきり泣いた後、顔を上げ涙を拭いた。

 

凪「泣いても隊長に会えるわけじゃない。さあ、捜しに行こう!!」

真桜「せや!!会ってうちらを置いていった事を後悔させてやるんや!!」

沙和「そうなのー!!会って3人で隊長をヒィヒィ言わせてやるのー!!」

 

決意も新たに一刀捜しを始める3人。

いつの間にか、華琳の事は忘れている3人であった・・・。

 

 

決意を新たにはよかったのだが、手がかり一つ無い状況に変わりはなく、一刀の痕跡すら見つける事が出来なかった。

また、初めての場所であったため、同じ場所をグルグル回るという事も何度もあった。

ヘトヘトになりながらも一刀を捜して歩く3人であったが、さすがに体力も限界に近づき、また近くにあったベンチに座った。

 

真桜「なあ、隊長なんて見つからんとちゃうかー。」

 

真桜が弱音を吐き始めた。

それにつられて沙和も話す。

 

沙和「もうヘトヘトで一歩も歩けないのー。」

 

へたっている2人の横で、凪は1人街ゆく人々を観察していた。

そんな中、突然凪が立ち上がった。

そして、人混みの中を駆け出す。

 

真桜「凪!!なんやー!!」

沙和「凪ちゃん、どうしたのー?」

 

急に駆け出した凪を追いかけて2人も駆け出した。

 

凪「今、隊長がいた!!」

真桜「なんやてー!!」

沙和「すぐに追いかけるのー!!」

 

凪の言葉にやる気を出す真桜と沙和。

だが、凪が見たという人影は、人混みの中に消え去り見失ってしまった。

駆けていた凪は次第に歩き出し、しまいには立ち止まってしまった。

それを見て、真桜と沙和も凪の横に来て立ち止まる。

 

凪「・・・・・・。」

 

一刀を見失ってしまったという己の無力感と、もう会えないではという失望感で、凪は立ち尽くしてしまった。

真桜と沙和も、その気持ちが分かるのでどう声をかけて良いか分からずその場で立ち尽くしてしまった。

しばらくそのまま茫然自失状態だったが、真桜が笑顔で話しだした。

 

真桜「まあ、また捜せばええやん。とりあえず、歩こう・・・な?」

沙和「そうなのー。凪ちゃんの視力ならまたすぐ見つけられるはずなのー。」

凪「・・・・・・。」

 

未だ茫然自失の凪を促して、真桜と沙和は歩き出した。

どこへというわけでもなく、ただただ歩いた。

立ち止まっていても現状維持。

なら行動しようというのが北郷隊の鉄則だった。

それを無意識のうちに行っている3人であった。

しかし、現状ではあまりに情報が無く、歩いても無駄に体力を消耗するだけであった。

笑い話をして気持ちを明るくさせようとしていた真桜や沙和であったが、次第に口数は少なくなっていった。

そうこうしているうちに、外はだいぶ暗くなってきた。

ただその分、外灯や店舗の明かりが目立つようになった。

 

真桜「うわあ、むっちゃ明るいやん!!」

沙和「本当なのー!!」

凪「そうだな・・・。」

 

あの世界だとせいぜいろうそく程度だった明かりだが、この世界では蛍光灯があるのでその明るさは比ではなかった。

その明かりが見渡す限りに広がっているその光景が、3人には夢心地に居るような気持ちにさせた。

そして、改めてここは天の世界、北郷一刀の居る世界であると確証を持たせた。

今の3人にはそれだけで充分だった。

 

凪「隊長は必ずいる。」

真桜「せやな。」

沙和「うんうん。」

 

先ほどまでの沈んだ表情はどこへやら。

3人は笑顔でうなずき合った。

とそこに近づく影があった。

 

 

??「あら、あなた達も来ていたの?」

凪・真桜・沙和「!?」

 

聞き覚えのある声がして、3人が振り返るとそこには見慣れた顔があった。

 

凪「華琳・・・さま・・・。」

真桜「大将やー。」

沙和「華琳さまなのー。」

 

華琳の姿を確認して思わず抱き付く3人。

突然の事に驚く華琳であったが、すぐに3人の頭を撫でた。

しばらくして、気持ちが落ち着いたのか3人は華琳から離れた。

そして、華琳以外にもう1人いることに気が付いた。

途端に顔を真っ赤にする3人であった。

 

桃香「華琳さん、そちらの3人は?」

華琳「そういえば、桃香とはあんまり面識がなかったわね。この3人は、凪、真桜、沙和。3人とも魏軍の新兵育成を担当しながら、街の警備隊を務めていたのよ。」

桃香「そうなんだー。私は桃香。よろしくね。」

 

そう言って3人に手を差し出す桃香。

しかし、現状に面食らってしまい、唖然としている3人であった。

 

華琳「さあ、握手くらいしなさい。」

 

華琳に促され、桃香と握手を交わす3人。

だが、心の中では色々聞きたくて仕方ない様子だった。

 

華琳「それじゃ、行きましょう。」

凪「あの・・・行くってどちらへ?」

華琳「私達の住む場所よ。」

 

そう言って華琳は歩き出す。

桃香は、華琳の横に並び談笑をしていた。

3人は唖然としながらも、はぐれてはかなわんと、2人を追いかけるように歩き出した。

 

 

あとがき

 

凪達北郷隊3人娘の話でしたがいかがでしたでしょうか?

3人娘は、凪が真面目に提案、真桜がそれに笑い要素をプラスし、沙和が同調するという雰囲気を感じているのですが、話の中でもそんな感じで会話が進むようになっちゃいました。

違和感ないように努めたつもりですが、違和感あったらごめんなさい(笑

 

最後の部分、桃香と凪達って直接的な接点が無かったと思うので、まずは自己紹介にしてみました。

本当は、真恋姫をまたやってどうだったか確認してからにするべきなんでしょうけど、そこは手抜きです(爆

 

魏の他の者達もこのように再会する方向で考えていますが、細かいシチュはまだ煮詰まっていません。

でき次第ポツポツアップするつもりではいますので、これからもよろしくお願いします。

 

今回もご覧いただきありがとうございました。


 
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