No.818992

艦隊 真・恋姫無双 92話目

いたさん

作者の都合で、義輝記が少し延びます。申し訳ありません。

2015-12-15 13:45:47 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:984   閲覧ユーザー数:846

【 戦勝報告 の件 】

 

〖  司隷 洛陽 都城 謁見の間 にて  〗

 

翌朝………都城では、昨日の白波賊討伐の結果を報告する為、一刀と艦娘、諸侯が登城し、謁見の間に足を踏み入れた。

 

ーー

 

??「~~~~~~~~」ソワソワ ソワソワ

 

??「……………………ギリッ………」

 

??「………ふ、ふふ……ふふふ…」

 

百官「「「「「 ………………………… 」」」」」キリッ

 

ーー

 

そこには、玉座に座り落着きが無い『皇帝』、唇を噛みしめ剣呑な気配を漂わせる『大将軍 何進』、含み笑いを見せる『司徒 王允』の姿が目に入る。

 

しかも……付近を見渡せば、周りに百官が列席。 

 

この重苦しい空気の中を──皆すました顔で立ち並ぶ。 

 

皇帝や上の者が、どのような奇怪な態度を取ろうが……『まず褒める、賛同する、見ない振りをする』のが出世への条件。 決して自分の意見、本能的に出る行動を表してはイケないのだ。

 

ーー

 

雪蓮「(冥琳……なんで正式の謁見でも無いのに、百官が揃っているの?)」

 

冥琳「(正直……臆測しか言えないが……私達の話に対する証人なんだろうよ。 謁見の形を取った北郷に対する審議として……)」

 

ーー

 

桂花「(華琳様…………)」

 

華琳「(………心配しないでいいわよ。 貴女の策通り動いてあげる。 これが私に取っても……飛躍の一歩なのだから!)」

 

ーー

 

諸侯は………この滑稽な謁見に百官の態度を見習い、何時もの定められた場所で、顔を伏せ膝を付けて姿勢を整え、声が掛かるのを待つ事にした。

 

★☆☆

 

何進「今より──昨夜の件で、司徒王允から陛下への奏上があるとの事。 皆、面を上げい!」

 

「「「「「 ──────ハッ! 」」」」」

 

ーー

 

銅鑼の音が鳴り響き、諸侯が顔を上げると………王允が玉座の劉辯に向かい、恭しく一礼をすると、昨晩の話を報告する。

 

ーー

 

王允「陛下に臣、司徒王允が奏上仕る──昨晩、益州州牧『北郷一刀』は、我らが難渋した白波賊を退ける事、無事に成功された様子。 詳細は、北郷からの口上、また後に書面で御報告致します!」

 

劉辯「───!!」

 

何進「では、益州州牧──北郷一刀より報告を!!」

 

一刀「…………はっ!」

 

ーー

 

一刀は、その場に立って白波賊討伐の件を話す。

 

語るのは……『自分達が不覚を取った為……危なくなった事』『その危機に諸侯が救援に駆け付けて、自分達が助かった事』を述べる。

 

そして……『味方の防戦だけで精一杯。 白波賊に策術に嵌まり、後少しで命を落とすところだった』……と強調。

 

『だから、これらの戦勝は一刀達の功では無く──諸侯にある』と感謝の念を込めて、諸侯へ厚く報奨を願いたいと締めくくった。

 

実際、白波賊を破ったのは諸侯の活躍であり、一刀達に目立つ活躍はなかった。 だから、謙遜でも何でもなく……正直に願った訳である。

 

ーーー

 

だが、一刀は───深海棲艦との戦いだけ──全く話していなかった。 

 

劉辯は、北方棲姫と良好な関係を築いている。 ここで話して、その関係を壊したくない。 

 

それに──王允達には事情が分からないし、あえて説明して、興味をもった王允が、深海棲艦と手を結ばれると非常に困るという理由もある。

 

───そして、最も懸念すべし理由が、何進こと『空母水鬼』の存在!

 

一刀達は、この戦いで『中間棲姫』『戦艦棲姫』を二隻撃破した。

 

幾ら……鬼灯……『南方棲戦鬼』と袂を分かつ存在なれど、仲間を撃破した一刀に……良い感情など抱かないのが普通。

 

現に力を貸してくれた港湾棲姫、北方棲姫の表情は………暗かった。

 

ーー

 

 

港湾棲姫『………コウナルコト……覚悟……シテイタ』

 

北方棲姫『オ姉チャン………金糸、銀糸……居レバ……イイ』

 

 

ーー

 

それなのに、一刀が謁見の間に入り、何進の様子を伺えば……不機嫌だった顔が笑顔で見詰められる。 正直……何を考えているのか分からない。

 

一刀達と敵対行動し、深海棲艦から抜けたと表明する『空母水鬼』が、今後どう行動するのか………皆目全く見当がつかない。

 

一刀に力を貸すような行動を示すが、本当に手を貸してくれるのか? 

 

もし、本当に味方として参加してくれるのなら、物凄く頼もしい。 その戦力があれば、他の敵対する深海棲艦を抑制する即戦力になるだろう。 

 

しかし………空母水鬼を味方にすれば、左慈達と敵対する可能性もある。

 

左慈や于吉は、打倒空母水鬼を諦めた訳では無く、一刀達の成長が未だ足りない事を知って、表立てしないだけ。 主な艦娘が改二まで進めば、『その戦力で俺達に手を貸せ』と一刀に言ってくるだろう。

 

また、逆に考えれば……鬼灯と空母水鬼の策略という可能性もある。 左慈達が完全に離反した後に、内外からの個別撃破との考え。 そうなれば、管理者の力を持ってしても、防げるかどうかは分からない。

 

一刀『何とか無事に終わらせたら、一度、全員で集って……話し合わなければならないな…………』

 

目の前の報告も──自分達に関わる事だが、一刀としては官職等に未練は無い。 皆が無事で居てくれるだけで構わない。 

 

一刀としては………此方の問題が遥かに……重要な課題だった。

 

ーー

 

一刀「…………以上で御座います」

 

ーー

 

劉辯「──────!」

 

何進「(…………私が側を離れて……見慣れぬ艦娘が増えたな。 だが………一刀は私のモノだ…………)」

 

ーー

 

華琳「(………………甘いわね…………でも、悪くないわ)」

 

桂花「…………………………」

 

ーー

 

雪蓮「(────ふ~ん)」

 

冥琳「…………変わらんな………」

 

ーー

 

月「…………そんな………ご主人様……」

 

詠「べ、別に……アンタの為にやったわけじゃ………」

 

翠「あ、あたしも………別に………」

 

ーー

 

美羽「七乃ぉ~妾も出陣したかったぞぉ?」

 

七乃「私達は残念ですけど~参戦できませんでしたからねぇ。 今、動く訳には行かないんですよ……。 一刀さんには、本当に申し訳ないんですけど……」

 

ーー

 

白蓮「…………一刀らしいや………」

 

ーー

 

「「「「 おおぉ─────っ!! 」」」」

 

ーー

 

 

唖然とする者、納得する者、不思議がる者……と居並ぶ諸侯、百官は其々の反応を示す。

 

だが、一人だけ────嘲笑う者が居たのだ!

 

 

◆◇◆

 

【 王允対冥琳 の件 】

 

〖  洛陽 都城 謁見の間 にて  〗

 

 

王允「ガーッハッハッハッ! 天の御遣い……と名乗る割には、諸侯に助けられて、ようやく面目を保つのか!? 何とも……笑わせてくれる!!」 

 

「「「「 ──────!? 」」」」

 

何進「何を急に言い出される……司徒殿?」

 

王允「ふん………我らを救った力を使えば、半刻も掛からず撃破できる筈。 それが、力の出し惜しみか……諸侯に功を譲る為か──この体たらく振り! 何にしても浅ましい男だ! そうは思われませんか……陛下、大将軍よ!」

 

「「「「「 ───────!?! 」」」」」

 

ーー

 

司徒『王允』が、この場の空気を破るかの発言を放つ!

 

劉辯の顔は、血の気が急に引き真っ青になり、それから直ぐに顔が朱色に染まる。 諸侯の中にも、その発言に腹立つ者も居たが、身分が身分の為、直ぐ様顔を下に向けて表情を隠す。

 

ーー

 

劉辯「─────王『司徒殿、少し待たれい!』───何進?」

 

何進「しかしだな………貴公の御自慢の配下さえ無駄だった……白波賊討伐を成し遂げた事、これは紛れもない事実ではないか? それを、陛下の御前で──賛美ではなく口汚く罵るとは、真に有るまじき行為!!」

 

王允「何を言われるか大将軍、益州州牧が申していたではないか! 諸侯より手助けをして貰ったと。 儂が諸侯の手助けを禁止したのに関わらず、参戦した事、これ漢王朝の権威を蔑ろにする崩壊への序曲よ!!」

 

何進「───その位の事で、この漢王朝が倒れるとお思いかっ!?」

 

王允「………『螻蟻潰堤』……を存じているかな?  大将軍殿……」

 

何進「────!?」

 

王允「『蟻の穴のような僅かな隙間から、頑丈な堤が決壊する』という意味よ。 そもそも……そのような事だから、部下の離反にも気付かず、かのような件を起こしたのだ! 恥を知るがいい──大将軍何進っ!!」

 

何進「──────!!!」

 

王允「それに………諸侯の手を煩わせるなど、天の御遣いとは思えぬ低能振り! 偽の御遣いとの考え………儂は未だに捨ててはいませぬぞ? もし、偽者だった場合……北郷達と大将軍の首………どうなるのやら………」クックックックッ

 

何進「うぐぅぅぅ……………………!」

 

ーー

 

王允は、一刀達を白波賊との討伐を、少人数で向かうように命じている! 

 

だが、それは──討伐の裏に、天の御遣い達を戦死させる事も視野に入れた──王允の罠。 成功すれば白波賊を潰滅、失敗しても一刀達を偽の御遣いと弾劾、連れて来た何進にも責任を連座させて──処刑!! 

 

そんな思惑が隠されていたのだ!

 

だから……一刀が天の御遣いか試す為と説明して、諸侯からの援助を禁止させている。 援軍など寄越されれば、罠が失敗する可能性があるからだ。

 

それが失敗した今、次は……周囲の関係を断ち切る策に切り替えた。

 

北郷本人を取り除くには、支援を決意した諸侯を落として見せしめとし、北郷との間を断ち切る。 関係を切り離した後に、北郷を漢王朝より追放。 命令も罪名も……全ては自分の手の内、如何なる手段を使っても落とすのだ!

 

王允は、その陰謀を自分の胸に奥深く包み隠し、自分を制止しようとする何進を論破し──諸侯へと牙を向けた。 

 

ーー

 

王允「ならば……諸侯に問う。 儂は手助け無用と申し出た筈。 これは、天の御遣いである真偽を確かめる為の行動だと! それが……いつの間にか、兵を率いて参陣する越権行為。 これを………どう説明するのか!?」

 

ーー

 

王允の巨大な体躯と凶悪な人相が相伴い、不気味な迫力を見せる。

 

あの大将軍でさえ………黙らせた王允に反論できる者は居ない。

 

そう思われた時、一人の陪臣が………声を上げた。

 

ーー

 

冥琳「……………私は、袁公路に従う孫伯符配下『周公瑾』と申します。 その件には、私が代表として説明をさせて頂きます。 宜しいでしょうか?」

 

何進「…………許可しよう」

 

冥琳「はっ………簡単に申せば……我ら諸侯、天の意思により集結して、北郷一刀の救援に駆け付けた次第! 北郷一刀が私達に奇譚を現し、天の御遣いの力を示された故、我らは信用をして行動を起こしたからです!」

 

王允「な、何だとぉっ!?」

 

冥琳「司徒王允様は仰られました。 『北郷一刀を、真の天の御遣いか確かめる』と。 しかしながら、司徒王允様は政務に御多忙の身。 ならば、我らが代わりに───真偽を確かめようと考えたのです!」

 

王允「───しかし、お前達だけでは信用にならん! 口裏を合わせて話せば、御遣いの奇跡など幾らでも捏造できる! そのような証言では───」

 

冥琳「成る程───司徒王允様は、漢王朝に関り合いの無い人物から、屈託の無い証言があれば認められる………そう言われるのでしょうか?」

 

王允「その通り! 儂らに関係あれば──必ず関係者に良いように意見を繕う。 完全に関係が無い者からなら………認めてやる!!」

 

ーー

 

王允は、そう言って………ほくそ笑む。

 

『漢王朝の三公で、一番偉い司徒である自分の権力を持ってすれば、洛陽だろうが他の諸侯の民だろうが、無駄な事。 誰も儂の意向に遮る者など居ないのだ!』──と。

 

勿論、一刀に従う者(艦娘)、外史の管理者も疎外、恋姫どころか、その兵士も除外。 まさに……王允の思う状態。 

 

───そう、大陸を支配する漢王朝、その文官最高位を誇る王允に、誰が歯向かう愚か者が居るだろうか?

 

いや、居ない! 居る筈が無いのだ!

 

幾ら、崇敬されて居る身だと言っても、自分の身の方が可愛い!

 

だから、自分の勝ちだ───

 

……………心の中心で、王允が勝利を叫んだ!

 

 

だが、冥琳の考えは───王允の考えを簡単に上回る!

 

ーー

 

冥琳「私が証人で呼び寄せるのは───地下の牢屋に入っている白波賊! かの者共を、この場に召喚して頂ければ務まります。 彼らは……私達と敵対していた者、この条件に適合する最適な人物達ですよ?」

 

王允「─────ば、ばばぁ、馬鹿なぁぁぁっ!? な、何故………その者が証人になる! 奴等が全員、見たことも無い、名前も知らない天の御遣いを………知っている訳が!?」

 

冥琳「ふっ……御心配には及びません。 私達の報告には既に目を通しておいでかと思いますが、かの者達は奇跡を……いや応なしに味わっているのですよ。 あの戦場に現れた四人の『北郷一刀』によって!」

 

ーー

 

王允は驚愕すると同時に……その絡繰りを見破った! 『北郷一刀が四人現れた』──確かに書面で読んだ記憶にある。 だが、衣服を着替えさせ、それぞれが名乗りを上げれば……簡単に誤魔化が効く。

 

王允は、その事を指摘する為、冥琳に怒鳴りつける!!

 

ーー

 

王允「それは誤魔化す目論みの策だろうがぁ! 如何に『北郷一刀』を名乗ろうが、偽者ならば無駄な事だ! 信用させたいのなら───天の力を示す証言が───」

 

冥琳「ですので……捕虜にした白波賊達へ尋問される事を進言致しました。 地面より兵を出現させる者、素手で武器を所持した者と対峙する者──このような不思議なる者が、何と名乗っていたか?」

 

王允「──────はっ?」

 

冥琳「───その事も………詳細に記載しておきました。 ただ、余りに詳細に書いて、報告の竹簡が足りなくなりそうでしたので、更に細かい字で書かせて頂きましたが………」クスッ

 

ーー

 

王允は───この時になり、自分が嵌められた事を知った。

 

確かに、竹簡を読み時は、細かい文字が読みにくくて時間が掛かる為、飛ばして読む事がある。 今回は、諸侯が手助けしたという事実があるため、此方の言い分が必ず通ると信じていた。

 

だから……大まかな部分だけ読んで、出仕して来たのだが……それが裏目に出た結果である。

 

ーー

 

王允「─────ぬぐうぅぅぅ! だ、だが………あまりに対処が早すぎる! これは、どういう事だ!!」

 

ーー

 

顔を真っ赤にして、羞恥心と怒りに満ちた王允が、冥琳に更なる口撃を始めた。 先の約束は反故には出来ない! ならば、粗を探し……そこから切り崩しを図らんとした。

 

ーー

 

華琳「話に割り込む事、お許し下さい。 陳留太守『曹孟徳』と申します……その件に関しては、私から説明を致しましょう!」

 

ーー

 

ところが………更に曹孟徳が………名乗り出て声を掛けてきた!

 

 

◆◇◆

 

【 覇王の覚悟 の件 】

 

〖  洛陽 都城 謁見の間 にて  〗

 

王允「……………申してみよ!」

 

華琳「はっ………王允様も既に御存知かと思いますが、今の大陸には黄色の布を身に付けた『黄巾賊』と呼ばれる賊が跳梁跋扈しています。 その為、人民どころか牛馬も嘆き悲しんでいると、私の手許にまで報告が…………」

 

ーー

 

華琳の話は……今大陸各地で報じられている『黄巾賊』の事。

 

対処の早さとは………まるで違う内容に苛立ちを覚え、王允は怒鳴ろうとした。

 

ーー

 

王允「それが、何の関係が──」

 

華琳「先の都城の騒ぎで『北郷一刀』の名声は、天の御遣いとして不動になり、漢王朝の守護者と認知されています。 その北郷が敗北すれば、白波賊が余勢で攻め上げ、押さえられた洛陽の民が再び蜂起をするでしょう!」

 

王允「─────!?」

 

ーー

 

華琳が神妙な態度を取りながらも、勝ち気な目で王允を見据えた。

 

突如、話が『北郷一刀』の名前、戦局の状況を語り出した為、王允は口を閉じて黙るしかない。 

 

それに、戦局の状況は………確かに該当する話である。

 

白波賊と洛陽の蜂起は……表と裏で繋がっているのだ。 白波賊の働きにより、動いていたなのは、これまでの調べでも──間違いない。

 

つまり、北郷が『敗北』した場合──華琳の話すような可能性があった!

 

王允は、更に続けるように目で命令する。

 

華琳は、『それでは……』と口を開き──続きを語った。

 

ーー

 

華琳「後は……お解りかと。 幾ら外の壁を強化しても……内外で呼応すれば、不落を誇った洛陽の都城でも簡単に落ち、洛陽という要を失った漢王朝も、滅亡の道を辿るのは道理かと……愚考致した次第」

 

王允「だ、だが………黄巾賊が何の関係が………」

 

華琳「ここまで説明して、御理解されないとは残念です。 柱石を失いし我らが……黄巾賊の歯止めを食い止めれるでしょうか? そうなれば……大陸は蹂躙、我らも漢に忠義立てし、城を枕に討ち死に……!」

 

王允「────!?」

 

華琳「そうなれば──司徒王允様は、後の世に『愚挙を犯した宰相』と残りましょう。 しかしながら──この曹孟徳、末席に繋がるも漢王朝の臣! その結末が理解できた故、北郷救援の準備を行った訳で御座います!」

 

王允「う………ぐぅ…………っ!? な、ならば………儂に………何故、報告をしなかったのだ!」

 

華琳「如何なる理由かは分かりませんが、北郷憎しと思われる王允様に申しても、どうしようもない事。 ならば、この責を私が預かるとし……皆に準備を願い出たまで。 ………この度の責は全て、この曹孟徳にあり!」

 

王允「─────っ!」

 

華琳「もし、北郷達と大将軍を処罰するなら──先に、この曹孟徳にこそ罪がある事は明白! どうぞ──先に処罰を下して頂きたく!」

 

ーー

 

これで、王允の反論の余地が無くなる。 自分の漢王朝を守る為に行った『策』が、逆に漢王朝崩壊、大陸の暗黒時代に突入させる『御膳立て』だった事に気付き……今頃になり慌て出す始末。

 

そんな王允の側に、何進が近付く。

 

ーー

 

何進「王允殿………この者の申し分、実に最もな事ではないか?」

 

王允「だか………しかし、しかしぃ! 法を破れば、後に続く者が現れるぞ? そうなれば、漢王朝の未来は……どうなるというのだっ!?」

 

何進「司徒殿……漢王朝を支えるのは貴方達では無い! この大陸の民の力あって事こその我らだと、何故気付かぬ! その民に慕われる北郷に、諸侯や陛下が靡くのは当然の事だぞ! 無論……私もだがな………」 

 

王允「………ぐぐぐぐぐぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

何進「───司徒殿は知らないようだが、洛陽の民、益州の民は──北郷に絶大な信頼を抱いている。 それを不信感で抹殺などと愚策を犯せば、自分の首を絞める行為となるぞっ!? それでも良いのかぁあああっ!!」

 

劉辯「───王允っ!!!」

 

ーー

 

怯む王允へ──何進が言葉鋭く突込み、劉辯も睨み付ける!

 

更に周りの百官からも冷ややかな目を向けられ………王允の言葉は、しどろもどろになる。

 

百官を集めたのは、『王允が御遣いを弾劾し、漢王朝の規律を厳守した』と発言した旨を、洛陽内に広まるように仕掛けたのだが──対応を間違えれば、逆に自分の失言を洛陽中に散蒔きかねない!

 

ーー

 

王允「…………さ、宰相として、国の大事を預けるに試さなければ、見えない事がある。 儂とて、憎くて行う訳では無い。 国の大事ゆえに、見極めなければならんのだ。 念には念を入れてな………」

 

何進「では………司徒殿は認められるのだな。 『北郷一刀は、天の御遣いである』と………? 周公瑾の証人も居る事だ……証拠も充分であろう!」

 

王允「そ、それは───」

 

何進「ならば───曹孟徳を処罰して、己の愚策を認めよ。 その後は………どうなっても知らんぞ?」

 

王允「わ──わかったぁ! 認める! 北郷一刀達を天の御遣いと──認めるっっっ!!!」

 

ーー

 

こうして、王允の謀は潰える。

 

そして、一刀の希望の通りに……諸侯に褒美が下賜される事になった事は言うまでもない。

 

その後は滞りなく進み、劉辯からの労いの言葉を掛けられ、何進の閉会の言葉により終了………解散となった。

 

今回、様々な思惑が入り交じった報告の場は、各々の目的……運命に導かれて役割を果たした。 これが、後々どう動くかは……誰にも分からない。

 

ただ言えるのは………正史とは、また変わった様相を見せる事になるだろう……この物語である。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!

 

次は『義輝記』をと宣言したんですが、疲労とネタが浮かばず………時間がかなり掛かりそうです。 今月末までは、何とか出したいと思っていますが。

 

そのため、三日前から『艦隊~』の方に手を付けて、代わりに出させて貰います。 

 

ですので、『義輝記』は、もうしばらくお待ち下さい。

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
11
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択