一刀と同様、放浪の旅を続けている華陀たちは西涼にいた。
村や街を回りつつ病人の治療を行っていた三人だったが、その道中である話を耳にした。
馬家の当主、馬騰が病を患っているらしい。
その病状は、決して良くは無いと。
「病魔に苦しめられている人がいると言うのなら、放ってはおけないな」
華陀の結論に貂蝉、卑弥呼共に異論は無く、三人は馬騰の下へと向かうのであった・・・・・・
目的地に着いた華陀たちは、すぐさま城へと向かった。
だが、門番たちは取次ぎすらしてくれなかった。
「おまえらのような怪しいやつらを入れられるか!!」
「どこが怪しい?」
「百歩譲ってお前はいいとしても・・・そこの女の下着を着けたキモい筋肉ダルマ二人は怪しさの塊だろうが!」
「貴様!漢女に向かって何と言う事を!」
「誰がこの世のものとは思えない、大魔王も裸足で逃げ出す化け物ですって~~!?」
「そこまでは言っとらん!」
一触即発な雰囲気になってきた城門前。
「どうかしたの?」
そこにたまたま通りかかった馬岱が、話に入ってきた。
「これは馬岱様。いえ、この医者を名乗る怪しい連中が、馬騰様を治療したいので中に入れてくれと言っているのですが・・・・・・」
「そうなの?だったら断る理由ないんじゃないの?」
「しかし、このような怪しい連中を・・・・・・」
「お兄さん、腕のいいお医者さん?」
「もちろんよん♪」
「だーりんの腕は確かじゃぞ」
「そうなんだ・・・なら、蒲公英が許可するからついてきて」
「馬岱様!?」
「何?蒲公英が良いって言ってるのに・・・不満?」
「い、いえ・・・・・・」
困惑する門番をよそに、蒲公英に案内され華陀たちは城内へ入って行った・・・・・・
馬騰の部屋へと通された華陀たちは、軽く自己紹介をして、すぐ馬騰の診察を始めた。
そのそばには馬岱に加えて馬超の姿もある。
「これは・・・・・・」
「どうした?だーりん」
「かなり凶悪な病魔が巣食っているな。このまま放置しておいては命の危険もある」
「治せるの?華陀ちゃん」
「・・・やってみるさ」
そう言うと華陀は鍼を取り出し、精神集中に入った。
「我が身、我が鍼と一つとなり!一鍼同体!全力全快!必察必治癒・・・・・・・病魔覆滅!げ・ん・き・に・なれぇぇぇぇぇぇぇっ!」
渾身の一鍼を放った華陀だったが、鍼が刺さる前に強力な力で弾き飛ばされた。
「ぐああっ!」
「ふん!」
弾き飛ばされた華陀を見事に受け止める卑弥呼。
「大丈夫か?だーりん」
「ああ、ありがとう。しかし、何て強力な病魔だ。ここまでとは・・・・・・」
冷や汗を流す華陀。
それから幾度も鍼を突き立てようとする華陀だったが、
「ぐはっ!?」
「うあああ!!」
一度も成功する事は無く、卑弥呼、貂蝉に弾き飛ばされた所を受け止めてもらっていた。
「・・・・・・なあ、蒲公英」
「何?」
「あいつら、さっきから何やってるんだ?」
「さあ?」
「さあってお前・・・・・・」
「蒲公英だって分かんない」
状況が分からない馬超と馬岱であった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
華陀は疲労の色が濃くなっていた。
「仕方無い・・・あれをやろう」
「何か手があるの?」
「ああ・・・貂蝉。卑弥呼。俺に力を貸してくれ」
「それは勿論いいけど・・・・」
「どうすればいいのだ?」
「二人とも俺に気を送り込んでくれ。三人の力を合わせて病魔を打ち倒す」
「分かったわん」
「我らの力、病魔に思い知らせてやろうぞ」
二人は華陀の背中に手をやり、気を送り込み始めた。
「はぁぁぁぁぁ・・・・・・」
精神集中を開始する華陀。
その体は徐々に、金色のオーラに包まれ始める。
「ふんぬううううう!」
「ぬふうううう!」
「はああああああ!!」
部屋の中に漢たちの気合が充満していく。
そして・・・・・・
「我が身、我が鍼と一つとなり!一鍼同体!全力全快!必察必治癒・・・・・・病魔よ!光になれぇぇぇぇぇぇ!!」
大きな気柱を上げて華陀の鍼が馬騰に突き刺さり、病魔を文字通り光の彼方へ消し去ったのであった・・・・・・
馬家のその後であるが・・・
華陀たちの力で、馬騰の体から確かに病魔は消え去った。
しかし、気を送り込みすぎたために馬騰の体はまるで力士のように太ってしまったのだ。
動くのもおっくうになり、食っちゃ寝の生活をするようになってしまった馬騰。
この際にと言わんばかりに、家督を娘の馬超に譲ってさっさと楽隠居してしまったのである。
果たして、彼らに治療を任せたのは間違いでは無かったのだろうか?
馬岱は考え込まざるをえなかった・・・・・・
どうも、アキナスです。
久々に勢いで書いてみました。
華陀ももう一人の主人公ですし、貂蝉と卑弥呼も好きなキャラなんで、やっぱり彼らの話ももっと書いていきたいですね。
では、また次回・・・・・・
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