No.79118

真恋姫無双~薫る空~2話

カヲルソラ第2話!
というか、ここからが第1章と言う感じですね。
今回は薫の曹軍参入までです。

2009-06-15 00:04:06 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:11534   閲覧ユーザー数:9478

第1章・第1節

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

/薫SIDE

 

 

 

 

 

 

【薫】「はぁ……どうしようかなぁ~…」

 

あの尋問から数日。

 

結局、私は帰してもらえなかった。

 

一応素性はわかってもらえたみたいだが、なにせ眠っていたら急にあんなだだっ広い荒野に落ちたのだ。

 

自分が相手の立場でもものすごく怪しむけど…

 

ちなみに今はこの狭い部屋で謹慎中。

 

ていうか、軽く軟禁じゃないのか!

 

と、叫びたいがもうそれはあきらめた。なんせ何かするたびにあの夏侯惇が剣を振り回して襲ってくるのだ。

 

もう、抵抗する気力も体力もない。

 

まぁ、軟禁と言っても寝台やら机やら鏡はあったりするから特には困らないんだけど。

 

ん~~~~っと体を伸ばす。

 

今ここには曹操達はいない。

 

なにやら賊の砦の場所がわかったらしく、そこへ向かっていった。

 

出撃の前に窓から城壁のところでなんか言い合いしているのが見えたが、相手の子が斬られそうにほんとに驚いたなぁ。

 

その後落ち着いたみたいで良かったけど。

 

【??】「司馬懿殿、失礼する。」

 

そう言って入ってきたのは見知らぬ文官。

 

いかにもまじめです!っていう雰囲気の中年。

 

【薫】「ん~~?もう帰っていい??」

 

【文官】「いえ、そうではなくて、こちらを見ていただきたい。」

 

手に持っていた書簡を渡してくる。

 

何かと思い、広げてみてみる。

 

【薫】「…え?なにこれ。…行軍の食料の計算?」

 

【文官】「はい。曹操様より預かってまいりましたので…。それを見て感想を述べよとのことです」

 

【薫】「感想って……私別にまだ仕官したいわけじゃないんだけどな…」

 

【文官】「とにかく、よろしくお願いしますぞ。では」

 

ガチャっと扉を閉め、文官はこの書簡を置いたまま行ってしまった。

 

ふぅと息をつき、それを眺める。

 

【薫】「………は?」

 

そこに書かれていたのは、人数に対し、明らかに少ない食料物資の総量。

 

通常ではありえない数字だった。

 

平時の行軍ならばすくなくともこの倍は必要だろう。

 

しかも驚いたのはそれだけではなく、この案が通ってしまい、現在進行形で行われていると言うこと。

 

こんなものを提出する奴は馬鹿しか居ないと思ったが、それを受理した奴がいるのだ。

 

当然そんな者はあの曹操以外にありえない。

 

これだけの量で砦を制圧し、帰ってくることなど出来るのだろうか。

 

だけど、これはすでに行われているのだから、可能だと判断したんだろう。

 

【薫】「………あ、これ……」

 

ふと気づいた。

 

【薫】「行軍速度をこれくらいで仮定して…………」

 

それはよほど調練された兵でなければとてもだせる移動速度ではない。

 

だが、仮に曹操の兵がそれだけの強行軍を行えたとして。

 

【薫】「そっか…砦を落とすんじゃなくて……………。…すごい」

 

私塾で多少兵法を学んでいたから、ある程度は理解できる。

 

だからこそ、これを提案したもののすごさがわかる。

 

【薫】「こいつ、天才かもしんない…………」

 

そしてそこに書かれていた発案の者の名前を確める。

 

『荀彧』。

 

その者が、先ほど曹操に軍師として仕えることになった。

 

こんな奴がいるのかと関心してしまう。

 

そして、つい自分を比べてしまう。

 

自分ならこの方法を思いついたかと、意味のない妄想に入ってしまう。

 

結論から言えば、不可だ。

 

思いつくわけがない。

 

おそらく最初に用意しろといわれた量があるはず。

 

それだけの量をできるだけ早く用意して、それで終わりだ。

 

思わず、書簡を机の上に放り投げる。

 

【薫】「軍師…かぁ……」

 

 

意識せず、そうつぶやいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

/華琳SIDE

 

 

 

 

【一刀】「いてて…」

 

賊を討伐した後、私達は陳留の街へと帰還していた。

 

一刀が傷を抑えながら馬にしがみついている。

 

気絶した一刀を馬に括り付けて持ち帰るはずだったのだが、不運にも縄がほどけてしまったのだ。

 

その結果馬からは転げ落ちてしまい、このザマだ。

 

戦を全て見届けたところまでは見所があると思ったのだが、評価を上げていいのか考え直したほうがいいのか…。

 

【春蘭】「そんなことで痛がっていてどうする!」

 

【桂花】「自業自得よ」

 

二人の毒舌が一刀を責める。春蘭の場合は天然だろうけど。

 

【一刀】「あのなぁ~………」

 

一刀が情けない声で反論ともいえない抵抗をする。

 

こんな姿を曝け出させるも案外楽しいかもしれない。

 

そんなことを考えていると、秋蘭と目が合った。

 

同じことを考えていたようだ。

 

ただ、秋蘭の場合は姉の楽しそうな姿を眺めていたいと言うほうが強いだろうが。

 

ふふっと笑いつつも歩を進める。

 

もうすぐ到着とはいえ、食料はもう尽きている。

 

早くつくことに越したことはない。

 

桂花の立案は結果的には失敗したのだから。

 

まぁ、私もまさか季衣があそこまで大食いだとは思わなかったけど、それはまた別の話だ。

 

今日の夜はきっちりと桂花に”罰”を与えないといけない。

 

……ふふ。

 

【一刀】「華琳?」

 

【華琳】「あら、どうかしたかしら?もう春蘭と桂花の言葉責めは堪能できた?」

 

【一刀】「それ冗談なら最悪だぞ」

 

【華琳】「別にそんなつもりはないけれど?」

 

【一刀】「なら、もっと最悪だ!」

 

【華琳】「ふふふ。それでどうかしたの?」

 

【一刀】「はぁ…いや、あの娘の事どうするつもりかと思ってね」

 

【華琳】「あの娘?………春蘭や桂花に責められていながら他の女を考えるなんて、やっぱり貴方相当な種馬のようね」

 

【一刀】「それはいいから。どうするつもりなんだ?」

 

【華琳】「あの娘というのは司馬懿という者のことかしら?」

 

【一刀】「ああ」

 

【華琳】「そうね…城の文官に試させているのだけど、反応がよければ召抱えてもいいわね」

 

【一刀】「ふむ…」

 

【桂花】「華琳様、司馬懿というのは?」

 

【華琳】「ああ、桂花は知らないのだったわね。一刀と同じように荒野の真ん中にいきなり現れたらしいのだけど、一刀のように天から来たという風評も流せないから処遇に困っていてね。そのまま帰すというわけにもいかないでしょう?」

 

【桂花】「なるほど……では、その者の処遇、私に任せてはもらえないでしょうか」

 

【華琳】「あなたに?」

 

【春蘭】「おい、桂花!貴様、また華琳様に向かって…」

 

【華琳】「いえ、桂花に任せてみましょう。先の失敗の汚名をそそぎたいのでしょう?」

 

【桂花】「はい…。ありがとうございます、華琳様」

 

【春蘭】「華琳様!?」

 

【秋蘭】「姉者。桂花の実力はすでに知っているだろう。それに姉者にこの手の問題は不得手だろう?」

 

【春蘭】「う…むぅ。それはそうだが…」

 

【華琳】「春蘭、あなたには他に任せたい事があるから、そちらをお願いしたいのだけど?」

 

【春蘭】「は、はい!お任せください!」

 

 

 

 

それから、私達は陳留へと帰還した。

 

強行軍だったせいもあり、疲れがたまっていたのだろう。

 

少しこの街を懐かしく感じてしまった。

 

城に戻ると、桂花はすぐに動き出した。

 

それに対抗するかのように春蘭もいつも以上に気合を入れていた。

 

私と秋蘭はとりあえず戦の疲れを残さないために自室へ向かい、休息をとった。

 

季衣は、街で何か散策しているようだ。

 

一刀はといえば…

 

 

 

 

 

 

 

 

/一刀SIDE

 

 

 

 

【一刀】「う~ん………う~ん」

 

早速文字と格闘していた。

 

こちらに来てからまず実感した事、それが言語の違いである。

 

会話は普通に出来るにもかかわらず、文字に関してはまったく読めなかった。

 

小さい頃に英語をみて、適当に線を引いているだけに見えたがまさにあの状態。

 

仕方ないので、出撃の前に華琳にわかりやすい本を選んでもらったのだが…

 

 

【一刀】「わかるかああああああ!!……がっ!…ぐぁぁ………ゆ、ゆびがぁぁぁ~~…」

 

理解できないストレスの末、ちゃぶ台返しを行おうとしたが、机の重量がそれを許さず左右合計八本の指を同時に突き指してしまった。

 

【一刀】「~~~~~っ!くそぉぉ…」

 

指の痛みを和らげるために腕ごと上下に振る。

 

……他人から見たらへんな踊りにしかみえないだろうな。

 

【薫】「あはははは!!!あんたなにやってんの!?あはははは!!」

 

【一刀】「なっ、お、お前、なんでここに…桂花はどうしたんだよ!……ていうか、今の見たのか…?」

 

【薫】「バッチリね~~♪」

 

Σdと親指を立てる。

 

【一刀】「あぁぁ~~……」

 

【薫】「大丈夫だよ。ちゃんとだまっててあげるから~~~♪」

 

そう言って司馬懿が走り去っていく。

 

【一刀】「絶対言いふらす気だろ~~~!!」

 

扉から半身をだし、叫ぶ。

 

しかし、現実は無情にも一刀の行動の一部始終を広めていく。

 

【一刀】「はぁ~…桂花の奴、なんであいつの事野放しにしてるんだ…」

 

【桂花】「そんなもの、彼女がここに仕官したからに決まってるでしょう。そんな事もわからないなんてやっぱり頭の中に豆腐でもつまってるんじゃないの?」

 

【一刀】「け、桂花!?」

 

今度は背後に桂花がいた。

 

だが、俺が気になったのは、どうしてここにとかではなく。

 

【一刀】「い、今の、聞いてたか……?」

 

【桂花】「は?……聞いてたかって………は!?あ、あんた、まさか私や華琳様のことを卑猥な想像しながら頭の中で犯してたんでしょう!?いやあ!!近寄らないで!!」

 

【一刀】「ば、ばか!でかい声で変なこと言うなよ!そんなわけないだろ!」

 

【桂花】「話しかけないで!!孕むでしょ!?」

 

【一刀】「…頼むから普通にしてくれ…」

 

【季衣】「あ、にいちゃん!…?どうしたの?」

 

季衣…君はすごいタイミングを選んで帰ってきたね。

 

【季衣】「??」

 

 

 

 

 

――――。

 

 

 

 

 

【桂花】「なら、どうしようもなく無知なあなたにもわかるように教えてあげるわ」

 

【一刀】「…そりゃどうも」

 

【季衣】「うんうん♪」

 

季衣はきっと、なんでも楽しめるんだろうな。

 

【桂花】「彼女の事だけど、とりあえずここで勤める事になったわ。文官としてね」

 

【一刀】「とりあえず?どういうことだ?それにあいつにだって家族なり友人なりいるだろうに、そっちはいいのか?」

 

【桂花】「話は最後まで聞きなさいよ、痴漢。彼女の人間関係のほうはすでに手回ししてあるわ。素性が知れても怪しいのは変わらないんだから、とりあえずということよ。本人も納得しているわ」

 

【一刀】「なるほど…でもさりげなく痴漢っていうな。」

 

【季衣】「チカン??」

 

【桂花】「ふん。あんたなんか痴漢で十分よ。それとも精液男のほうがいいかしら?…彼女については後で華琳様からも紹介があるはずよ」

 

【一刀】「どっちもどっちじゃないか……わかったよ」

 

これで司馬懿は華琳の下につくのか。

 

元々登場する時代がめちゃくちゃだが、参入する時期もひどいな…。まぁ、今のところ有名な武将すべて女の子ってことに比べたら………どっちもどっちか。

 

【桂花】「季衣、いくわよ。この部屋にいつまでもいたら子供ができちゃうわ」

 

【季衣】「??はぁ~い。じゃあ、兄ちゃんまたねー」

 

【一刀】「ああ、またね」

 

軽く手を振り、二人を見送る。

 

桂花の話によれば、後で華琳から話があるらしいから、それまでは先ほどの文字の勉強の続きだ。

 

閉じてしまった本をもう一度机の上に広げる。

 

【一刀】「…………」

 

………………。

 

 

 

【一刀】「わかるかああああ!!!ぐはぁ!!」

 

 

本日2度目の8連つき指であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

/薫SIDE

 

 

 

 

【薫】「ってわけで、今日からお世話になります!司馬懿です!」

 

大広間にて、自己紹介および挨拶をする。

 

【華琳】「司馬懿、あなた真名はなんというのかしら?」

 

【薫】「………やっぱ教えないとだめ?」

 

【華琳】「あなたが嫌というのならば別に強制はしないわ」

 

そういわれるほうが余計に断りづらいのを知ってる目だ。

 

【薫】「はぁ~……それじゃ、私の真名は薫って言います。よろしくね♪」

 

【華琳】「こちらこそね、薫。私のことも華琳でいいわ。皆も真名を預けなさい」

 

【季衣】「ボクの真名は季衣だよ。よろしくね、薫!」

 

【秋蘭】「私の真名は秋蘭だ。薫、よろしくな」

 

【桂花】「桂花よ」

 

【春蘭】「むぅ…」

 

【秋蘭】「姉者、華琳様の命令だぞ」

 

【春蘭】「わかっている!…春蘭だ」

 

【一刀】「俺は真名なんてないからな、一刀でいいよ、薫。よろしく」

 

ひとしきり、真名の交換が終わった。

 

何でこんな事になってるのか。

 

まぁ、軽く回想すると―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――数刻前。

 

 

 

 

 

 

 

 

なにやら騒がしいと思ったら、曹操達が帰ってきたようだ。

 

ようやくこの部屋とも分かれられると思った矢先。

 

 

【桂花】「はいるわよ」

 

そう言って入ってきたのは女の子。

 

背は変な帽子で微妙だけど、たぶん私よりも小さい。

 

【桂花】「あなたが司馬懿?」

 

【薫】「うん。そうだけど」

 

【桂花】「そう…」

 

それだけ言うと、今度は机の上においてあったあの書簡を手にとった。

 

【桂花】「これ……読んだ感想は?」

 

【薫】「…………たいした事ないかな。私でもそれの筋道くらい立てられるし…ていうか、これ考えたのあんたじゃないの?」

 

【桂花】「そうよ、まさかこんな題材に使われると思ってなかったけど。」

 

意外な事を言われた。

 

【薫】「え?これってあんたが仕組んだんじゃないの?」

 

【桂花】「私があなたのことなんて、戻ってくるまで知らなかったんだからそんなことできるはずないじゃない。それに私だって軍師として華琳様に仕えるのは先日からだもの。」

 

【薫】「あ、そうなんだ。」

 

【桂花】「それで、あなたに聞きたいことがあるわ」

 

【薫】「聞きたい事?」

 

【桂花】「華琳様に仕える気はない?」

 

【薫】「ない!」

 

【桂花】「な、もうちょっと考えなさいよ!」

 

【薫】「いきなりこんなとこ閉じ込めといて、今度は仕えろってのが無理な話でしょ!」

 

【桂花】「そう……なら、そのこんなとこでの生活がもう少し続く事になるけど…それでいいのね?」

 

【薫】「ちょ、ちょっと!それって脅迫じゃないの!?」

 

【桂花】「これは事実だもの。そうなるのもしかたないでしょ?」

 

少し表情が不機嫌そうになる。

 

【薫】「むぅ…あ、でもほら。私、家族とかいるし」

 

【桂花】「そちらへの手配は済ませてあるわ。」

 

【薫】「根回し早すぎ…」

 

【桂花】「華琳さまの軍師を任されるんだから、当然よ」

 

【薫】「うぅ……もう、最悪…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――というわけだ。

 

ほんとに何でこんなことになったんだか…

 

【華琳】「それで薫には軍師として、桂花の補佐についてもらう事にするわ。」

 

突然華琳がそんな事を言い出す。

 

【薫】「はい??」

 

【桂花】「か、華琳様!?私なら補佐なんて必要ないです!」

 

【華琳】「桂花、あなたは自分から薫のことは任せてほしいといったのではなかったかしら?」

 

【桂花】「そ、それは………わかりました」

 

【華琳】「そういうわけだから、薫。桂花の補佐をお願いね」

 

【薫】「拒否権は…ないのよね……了解」

 

 

 

 

とりあえず、私は華琳のために働く事で、しばらくやっかいになることになった。

 

はぁ…これからどうなるんだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

と言うわけでカヲルソラ第2話でした!

 

まだ最初のほうでそれほど展開がなくてすみませんorz

 

今回はあまり一刀に触れられなかったんで次回はちょっと拠点っぽい感じで一刀メインで進めて行こうと思います。

 

それで黄布までつなげていくつもりですので、また更新はいつになるかワカリマセンがよろしくお願いしますm(__)m

 

 

 

では、また次回で!

 

 


 
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