拠点:薫√(その1)
うららかな陽気の中、俺は街にでていた。
別に遊んでるわけじゃないぞ!
これは俺の仕事のうちのひとつだからな。
というのも、俺は華琳からとある草案を任され、そのまま警備の担当になってしまったんだが、俺にそんなものの経験などあるはずもない。
だからこうして警備隊に実際に所属し、その状況を知ろうというわけだ。
そうでもしないと政策なんてとてもじゃないが俺には無理だ。
【警備兵】「おい、新入り!ぼさっとしてないできちんと見回りしろ!」
【一刀】「あ、はーい!」
…ちなみに一番下っ端なんだけどな。
もうちょっと優遇してくれてもいいだろうに……
とか、考えつつ、警邏に回っていると前方に知った顔が。
【一刀】「おーい!薫!」
【薫】「ん~?あ、一刀。どしたの?…って、あ~警備のお仕事だっけ??」
【一刀】「そうそう。どうだ?似合う?」
と、今来ている鎧を見せびらかす。
【薫】「ん~、正直微妙?」
【一刀】「お前…もうちょっと気つかえよ。下っ端だから使い古ししか回ってこなかったんだよ!」
【薫】「それは…まぁ、しょうがないんじゃない。」
薫はそういうと、手元に視線を落とす。
さっきから手に持っていた本を読んでいるのだろう。
【一刀】「なんだ、それ?兵法書?」
【薫】「まぁね~、桂花の補佐しなきゃだし、本格的に勉強しないと。」
こっちを向くことなく、そのまま本を読み続ける。
ん~、こうまで集中していると逆にイタズラしたくなるよね。
なるよね?
なっちゃうよね!
というわけで、なにかもっていなかったかとゴソゴソ。
そして、出てきたのはなんと羽!
羽ペンみたいなやつの少し小さいものだ。
何故そんなものをもっていたか?
さっきまで鳥小屋の掃除をしていたからさ!
何故そんなことをしていたか?
雑用だよ!!
と、そんなわけで手に入れた羽で、薫の首筋に羽を這わせる。
【薫】「ん……何?……んあっ…って、なにすんの!?」
【一刀】「ん、いや、特には」
とっさに羽を隠し、平静を装う。
【薫】「…暇なの?」
【一刀】「そんなはずないだろ!ばっちり仕事中だ」
【薫】「………まぁ、いいけど…」
そう言ってまた本へ視線を戻す。
隠していた羽をとりだし、先ほどよりも慎重に首筋から耳元にかけてなぞる。
【薫】「ん、はぁんっ…って、一刀!!その羽はなんだ!」
【一刀】「うぉ!きづかれたかっ!」
ダダッ
何か言われる、またはさせる前に逃げる!
【薫】「あ、待てええええ!!!!」
【一刀】「待てるかっ、警邏に戻らねば!」
【薫】「仕事を都合よくいいわけにするなっ!!」
ダダダダダダダっ
昼間の街中を駆け回る。
大通りを突っ切れば、今度は路地に入り
【一刀】「くっ、しつこい!」
【薫】「ふん!足であたしに勝とうなんて甘いわ!陳留の赤い彗星とはアタシの事よ!」
【一刀】「お前のどこに赤い要素があるんだ!」
【薫】「ぅ……の、ノリよ!」
路地で振り切れなければ、今度は屋根上へ
【一刀】「くそ!屋根までおいかけてくるか、普通!」
【薫】「フン!白い悪魔をなめないでよね!」
【一刀】「だから、白い要素がどこに……ってさっきとかわってるじゃねーか!」
【薫】「気のせいよ!」
それでもダメなら壁走りでどうだ!!
【薫】「なめんなあああ!!」
【一刀】「うぉぉ!マジか!!」
【薫】「でえええい!!!」
壁をけり、薫がこちらへ飛び込んでくる!
普通なら受け止めてやるところだが、いかんせん足から飛んできているためにそうもいかない。
現代でいうドロップキックだ。
【一刀】「当たるか!」
【薫】「はああ!!」
【一刀】「がはぁ!!」
回避し、薫が目の前を通過すると思った瞬間
薫が体を空中で回転させ、そのまま俺に『コードギ●ス』の『スザ●キック』ばりの縦回転の回し蹴りが炸裂。
ドガッと鈍い音をたてて、地面に倒れる。
【一刀】「ぐぅ…」
【薫】「フッ…あたしにイタズラしようなんてあと5年ははやいわっ!」
【一刀】「ぐあっ…くそー、そのうち絶対負かしてやるぜ!」
薫が俺に背中に座りながら勝ち誇る。
なんの勝負なんだか。
いつの間にかそんな空気なんだから仕方ないだろう!
意味は俺にもわからん。
【警備兵】「新入り!なにサボってんだ!ちゃんと仕事しろ!」
【薫】「ほらほら、ちゃんと、しごとしなさーい♪」
【一刀】「ぐぅ…絶対まかしてやる…」
で、その後だが、きっちりと今日の事は上に報告されたとの事で…
【華琳】「あなた、やる気あるの?」
【一刀】「…すみません」
偉大な曹操様よりきっちりお説教をもらいました。
だが、この日のおかげでこの陳留の街の地理はものすごく理解できた。
草案を進める事ができたことは収穫と言えるかもしれない。
【一刀】「薫は首筋がよわいのか…」
もうひとつの収穫もきっちり回収しておいた。
拠点:華琳√(その1)
【一刀】「…………」
太陽が真上に昇る頃。つまり正午。
警邏に出ているはずの一刀だが…
【華琳】「……あなた何をして――」
【一刀】「今はダメ!!」
【華琳】「……何してるのよ…」
なぜか、中庭の机の上で小さな木の板を並べている。
いつからしていたのか、もうかなりの数だ。
というより、よくそれだけの数を用意したものだ。
【一刀】「……(プルプル)」
腕が力のはいりすぎで痙攣を起こしたように震えている。
少し気になって眺めてみるが、一刀がしているのはただ板を並べ続けるだけだ。
【華琳】「…………(イライラ)」
【一刀】「…………(プルプル)」
【華琳】「…………(イライライライラ)」
【一刀】「…………(プルプル)」
【華琳】「…………(イライライライライライラ)」
【一刀】「…………ふぅ(*´ー`)」
【華琳】「――――――プチ」
【一刀】「あ、華琳どうし――」
【華琳】「だああああああああああああ!!!」
ガッシャーーン!!!!
【一刀】「アッーーーーーーー!!!!」
華琳が星●徹並のちゃぶ台返しをみせる。
【華琳】「あぁ…すっきりした♪」
【一刀】「お、おま、、何すんだよ!!……ああ、俺の血と汗と涙と魂とその他かけがえのないものの結晶が…」
【華琳】「何を意味のない事をウジウジウジウジウジウジウジウジと!!それに何その達成感に満ち溢れた顔!いい表情すぎるでしょう!大体、あなた警邏はどうしたのよ!」
ビシィ!!!っと指を刺して物申す。
【一刀】「今日は非番なんだよ!!」
【華琳】「…あら、そうなの?」
【一刀】「あぁ…ああ、また一からだ…」
【華琳】「…………」
あんまり落ち込むのでさすがにいたたまれなくなって来た。
【華琳】「わかったわよ、手伝うわよ!それでいいのでしょう!」
【一刀】「おう!華琳はゴールのほうから頼むよ」
【華琳】「??…ごーる?どういう意味?」
【一刀】「ああ、ええと、終わりのほうから…ってか、まぁ、そっちのほうから頼む。」
【華琳】「まったく…」
……………。
【秋蘭】「ん?華琳さま?なにを―――」
【一刀&華琳】「今はダメ!!」
【秋蘭】「は、はい…」
……………。
【桂花】「華琳様ー、あ、かりんさ――」
【秋蘭】「待て、桂花!」
【桂花】「ちょ、ちょっと秋蘭?何を…」
【一刀&華琳】「………………(プルプル)」
【桂花】「え、え?なにあれ?どうなっているの?」
【秋蘭】「私も聞きたいくらいだよ…」
………。
【華琳】「(こっちが行き止まりだから、そろそろ曲がらないとまずいわね……。ああ、でも一刀があそこに向かうから…)」
【一刀】「(…そろそろ数も減ってきたな…。ん、華琳あんなとこにいるのか…仕方ない。少し軌道修正するか)」
二人の集中力がゴゴゴゴゴゴゴという効果音が聞こえそうな域にまで達してきた。
【桂花&秋蘭】「ゴ・・・ゴク」
その光景に思わず息を呑む二人。
【華琳】「(……よし、このまま直線で向かえば繋がるわ)」
【秋蘭】「もうすぐ完成だな…」
【桂花】「そのようね…」
桂花と秋蘭はすっかり華琳に用事があったのもわすれて見入っていた。
カチ。
【一刀】「よ……っっしゃあああああ!!」
【華琳】「……やったわ…」
まるで大陸でも制覇したかのような達成感。
【薫】「うっひゃああああ!!!ごめんて、春蘭!!まさかあんなとこでおし●こしてるなんておもわないじゃん!!」
【春蘭】「きさまああああああああ!!!ベラベラしゃべるなあああ!!」
【桂花】「嫌な予感が…」
【秋蘭】「私もだ、桂花…」
【薫】「きゃあああああああ!!!」
【春蘭】「しねえええええええええええ!!!」
ガッシャーーーン!!!
【一刀&華琳】「アッーーーー!!!!!」
【春蘭&薫】「ア……」
突進してきた二人によって大陸制覇ははかなくも散った。
【華琳】「あ…あはは……あはははは……あはははははは!!!!………春蘭!!!!!薫!!!!!」
【春蘭&薫】「は、はいいいいい!!」
【一刀】「…………orz」
この後、薫・春蘭の二人がどうなったかは……想像にお任せしよう。
あとがき
更新遅くて申し訳ないです(´・ω・`)
とりあえず今回は僕の好きなキャラ二人の拠点でした。
ネタの乏しいので、かなり時間かかると思いますが、また次回もヨロシクお願いしますm(__)m
次誰にしようかなぁ…
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カヲルソラ第3話です。
今回は拠点風?みたいな小ネタです。
短めですが、どうぞ(`・ω・´)