No.782326

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

soranoさん

第28話

2015-06-08 00:12:09 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1435   閲覧ユーザー数:1331

~カレイジャス・ブリーフィングルーム~

 

 

 

『”戦争回避条約”の救済条約』

 

 

 

 

 

1、アルフィン・ライゼ・アルノール皇女がリィン・シュバルツァーに降嫁する事(正妻、側室、愛人は問わない)

 

 

2、アルフィン・ライゼ・アルノール皇女がリィン・シュバルツァーに降嫁した際、”戦争回避条約”の第3項、第4項、第9項、第10項の条約は消滅し、第5項の条約の内容を変更する(変更部分:内戦に加担していたエレボニア貴族のメンフィル帝国への帰属の不許可を条件付きの許可(条件、爵位を一段階下げる。)に変更。※ただし、”四大名門”は禁ずる)、同時にエレボニア帝国がメンフィル帝国に対する”友好”を示した”証”としてメンフィル帝国は100兆ミラ並びに内戦で荒れ果てたエレボニア帝国に必要な分の支援物資を贈与する

 

 

3、アルフィン・ライゼ・アルノール皇女とリィン・シュバルツァーとの間に産まれて来た子供やその子孫についてはエレボニア皇家である”アルノール家”が望まない限り、エレボニア帝国の皇位継承者の権利は存在しないものとする

 

 

4、アルフィン・ライゼ・アルノール皇女がリィン・シュバルツァーに降嫁した際エレボニア帝国が希望するのならば、メンフィル帝国軍によって爆撃されたバルヘイム宮の修繕費の内、70%をメンフィル帝国が負担する

 

 

5、アルフィン・ライゼ・アルノール皇女がリィン・シュバルツァーに降嫁した際、メンフィル帝国は”クロスベル帝国”とエレボニア帝国との国交回復に協力する

 

 

「ええええええええええええっ!?」

「リ、リィンとアルフィン皇女殿下がけ、けけけけけ、結婚!?」

「しかも爆撃したバルヘイム宮の修繕費の内、7割も負担すると書いてありますわね…………」

「はわわわわわっ!?じゃ、じゃあリィン君はアルフィン皇女殿下と……!」

「え、えーと……な、何て言ったらいいのかな…………」

条約を読み終えたエリオットとマキアスは声を上げて驚き、セレーネは目を丸くし、トワは慌て、ジョルジュは冷や汗をかいて表情を引き攣らせながらリィンとアルフィン皇女を見つめた。

(アハハハハハッ!よかったじゃない♪これで一番の難題だったあのお姫様を簡単にハーレムの一員にできるじゃない♪)

(ふふふ、恐るべきはご主人様の女運ですね。)

(ア、アハハ……確かに。)

(フフ、ある意味リィンらしい解決の方法ね。)

一方ベルフェゴールは腹を抱えて笑い、リザイラは静かな笑みを浮かべ、メサイアとアイドスは苦笑していた。

 

「”戦争回避条約”の内第3、4、9、10項が消滅するとなりますと…………」

「金に関する条約はほぼ全て消滅する上、100兆ミラと支援物資の贈与に加え、バルヘイム宮の修繕費の半分以上を負担するだとっ!?」

「滅茶苦茶簡単だし、凄くお得な条約じゃん!」

「確かにこれなら今すぐ実行できる簡単な条約ね。」

「というか、100兆ミラや支援物資の贈与に加えて自分達が爆撃したバルヘイム宮の修繕費の半分以上も負担するなんて、メンフィルはどこまで余裕があるのよ……」

クレア大尉は真剣な表情で戦争回避条約と救済条約が書かれてある書類を見比べ、見比べていたトヴァルは信じられない表情で声を上げ、ミリアムは目を丸くして声を上げ、セリーヌは静かな表情で呟き、サラ教官は疲れた表情をし

「な、なななななななっ!?」

「うふふ、慌てる必要はありませんわよ、お嬢様?お嬢様はリィン様の重婚を受け入れているのでしょう?それよりもいっそ、アルフィン皇女殿下と共にこの場で結婚してはいかがですか♪」

「シャ、シャロンさん………そんな事を言ったらアリサさんが更に混乱しますよ……」

混乱しているアリサの様子を見て微笑みながらフォローと共に提案をするシャロンを見たエマは冷や汗をかいて苦笑しながら指摘した。

 

「驚いた。本当にリィン、逆玉の輿になるじゃん。」

「阿呆。よく読んでみろ。”降嫁”と書かれてあるだろうが。」

目を丸くしているフィーの言葉を聞いたユーシスは呆れた表情で指摘し

「”降嫁”とは何なのだ?」

「”降嫁”とは皇族や貴族が”自分達より下の身分に嫁ぐ事”だ。この場合はアルフィン殿下が”皇族の身分を捨ててシュバルツァー家の子息であるリィンに嫁ぐ事”になるな。」

「……………」

ガイウスの疑問にラウラは答え、リィンは救済条約の内容を見つめたまま石化したかのように固まり続け

「リ、リィンさん…………」

「アルフィンの気持ちは知っているけど今の状況で喜ぶのは間違っていると思うよ、アルフィン………」

「…………よかった………女神よ、この偶然に心から感謝致します………」

「ムッ………」

頬を赤らめて嬉しそうな表情でアルフィン皇女に気付いたセドリック皇太子は呆れた表情をし、プリシラ皇妃は安堵の溜息を吐いた後その場で祈りを捧げ、エリスは頬を膨らませてジト目になった。

 

「クスクス、貴女の双子の妹だけあって焼き餅な所も貴女とそっくりね?」

「……否定はしません。」

エリスの様子を微笑ましそうに見つめるシグルーンの指摘にエリゼは静かな表情で答えた。

「ヴァイスさんが知ったら、大笑いするでしょうね♪」

「ア、アハハ……確かにヴァイス様ならありえそうですわね。」

「というか確実に彼を羨ましがるのではないかと。」

微笑みながら言ったルイーネの言葉にマルギレッタとリ・アネスは苦笑しながら答えた。

 

「レン姫、失礼ですが本当にこの条約内容をメンフィルは実行できるのでしょうか?100兆ミラのような大金、エレボニア帝国で言えば軽く見積もっても最低10年分の国家予算にはなりますが……」

レーグニッツ知事は戸惑いの表情でレンを見つめて問いかけた。

「うふふ、可能だから書いているのよ?現にさっきの話通り、遊撃士協会には既に100兆ミラを”寄付”したし、エレボニアにもいつでも渡せるように既に用意してあるわよ♪」

「なっ!?」

「さっきの二大国侵攻を黙秘する件か………!」

「……”契約金”を受け取った以上、本部は今回の件に関しては絶対に動かないでしょうね……」

レンの答えを聞いたレーグニッツ知事が驚いている中、トヴァルとサラ教官は厳しい表情で呟いた。

「確かにこの条約なら今すぐ実行できる容易な内容だが…………」

「一体何故この条約を考えたのだい?アルフィンとリィン君の子供やその子孫が持つエレボニア皇家の”皇位継承権”すらも捨てるなんて、正直メンフィルにとっては”利”はないに等しいと思うのだが。」

「………………」

一方アルゼイド子爵は探るような視線でレンを見つめ、オリヴァルト皇子は戸惑いの表情で尋ね、ユーゲント三世は警戒の表情でレンを見つめていた。そしてレンはメンフィルの”利”を説明した。

 

「なっ!?」

「レン姫!それはアルフィン皇女殿下を……エレボニア皇家であるアルノール家を最大限に侮辱する行為だと思われます!」

「―――正直、”人身売買”と言ってもおかしくないわね。というか実際にお金が絡んでいるから、言葉通りアルフィン皇女を”買い取っている”じゃない。まあ、”帝国の至宝”と称されている皇女に付ける値段としては相応しいかもしれないわね。」

「セリーヌ!」

「そ、そんな………幾ら何でも酷すぎます……っ!」

「だから相殺される条約内容が金銭が関わる内容が多いのですね………!」

「………………」

「姫様……」

説明を聞き終えたリィンは厳しい表情で声を上げ、ラウラは怒りの表情で反論し、セリーヌは目を細めた後呆れた表情で呟き、セリーヌの言葉を聞いたエマは声を上げ、セドリック皇太子は悲痛そうな表情をし、プリシラ皇妃は厳しい表情でレンを睨み、アルフィン皇女は複雑そうな表情で黙り込み、その様子をエリスは心配そうな表情で見つめていた。

 

「仕方ないでしょう?メンフィルの民達のエレボニア帝国に対する”怒り”を鎮めるにはエレボニア帝国を滅ぼすか、もしくはエレボニア帝国の”誇り”を最大限に汚すかのどっちかなのだから。ラウラお姉さんもさっき見たでしょう?メンフィルの民達の”怒り”を。あの”怒り”をアルフィン皇女の結婚の件以外で穏便な方法で鎮められる方法があるのかしら?」

「それは………………」

「……………………」

レンの指摘に対する反論を持ち合わせていないラウラは複雑そうな表情で黙り込み、アルゼイド子爵は重々しい様子を纏って黙り込んでいた。

「それにエレボニアを救う為に大切な娘をレン達メンフィルが指定する人物とアルフィン皇女の意思を無視して強制的に結婚させる必要があるとはいえ、アルフィン皇女の親であるユーゲント皇帝にとっても、大切な娘の結婚相手がリィンお兄さんなら”色々な意味”で安心できるでしょう?何せ信頼していた家臣――――”鉄血宰相”の息子である事と共に友人関係のシュバルツァー男爵の息子である事に加えて、二人は知らない仲じゃない……というかむしろアルフィン皇女自身がダンスパートナーに指名した上、互いに文通をしていたくらい親しいし♪しかも単身でアルフィン皇女を”パンダグリュエル”から連れ出した恩人でもあるしね♪リィンお兄さんがアルフィン皇女の事をどう思っているかは知らないけど、リィンお兄さんの性格を考えるとアルフィン皇女に対して恋愛感情を抱いていなくても絶対にアルフィン皇女を大切にするだろうし、更にユミルでアルフィン皇女を匿った件も考えると、義理の両親になるシュバルツァー男爵夫妻も間違いなくアルフィン皇女を大切にしてくれるだろうから、本人の意思を無視する強制的な結婚でありながらもこんなにも安心できる嫁ぎ先は他にはないと思うのだけど?」

「…………それは……………」

「だからと言ってリィン君の出自を利用するのは、彼自身に失礼かと思われますが……!」

「そうだよ……!リィンがずっと気にしていた事の一つなのに……!」

「知事閣下……エリオット……俺の事は気にしないで下さい。もう吹っ切っていますから。」

小悪魔な笑みを浮かべるレンに問いかけられたユーゲント三世が複雑そうな表情で言葉を濁している中、レーグニッツ知事とエリオットは厳しい表情で指摘し、二人の指摘に驚いたリィンは静かな表情で答えた。

 

「話を続けるけど、この条約によってエレボニア帝国もその条約に書かれてあるもの以外の”利”を得ることもできると思うわよ?」

「え…………」

「それは一体どういう事だい?」

話を続けたレンの言葉を聞いたリィンは呆け、オリヴァルト皇子は真剣な表情で尋ね、レンはエレボニア帝国の”利”を説明した。

 

「うふふ、情報局ならそう言った情報操作もできるでしょう?」

「……確かに可能ですが………」

「実際ヴァリマールは結構目立っちゃったから、情報操作は案外簡単にできるだろうね~。しかもリィンは元々夏至祭の件でアルフィン皇女の婿候補として騒がれていた時期もあった上たった一人でアルフィン皇女をパンダグリュエルから奪還して来たから、その時点でもメンフィルの狙い通りリィンをエレボニアの”英雄”扱いをして、アルフィン皇女が嫁ぐ相手として相応しいという情報操作をわりと簡単にできると思うよ~?」

説明を終えたレンに問いかけられたクレア大尉はリィンを見つめて辛そうな表情をし、ミリアムはリィンを見つめながら推測した。

「……お兄様…………」

「ちょ、ちょっと待ってください!そ、それって……!」

「さっき”殲滅天使”達が話してくれた”鉄血宰相”の計画と結構似ているかも。」

「リィンまで利用するなんて酷いよ……!メンフィルはシュバルツァー家を重要視しているんじゃなかったの……!?」

一方説明を聞き終えたセレーネは複雑そうな表情をし、ある事に気付いたアリサは血相を変え、フィーは真剣な表情で呟き、エリオットは不安そうな表情をした。

 

「シルヴァンお兄様の”代理”で来ただけのレンに文句を言われても困るわよ。文句を言うなら、二人を利用する条約を思いついた”発案者”のエリゼお姉さんに言ってくれないかしら?」

「ええっ!?」

「エリゼ君が発案者なのですか!?」

「なっ!?エリゼ……それは本当なのか!?」

レンの答えを聞いたアルフィン皇女とマキアスは驚き、リィンは信じられない表情でエリゼを見つめて尋ねた。

 

「―――はい。私が発案し、プリネ姫にその案の説明をした後皇族の方達の前で出してくれるように嘆願し、プリネ姫が快く引き受けてくれ、その結果”救済条約”が追加されたのです。」

「プリネさんがですか!?」

「……一体何故そのような案を考えられたのですか?」

エリゼの答えを聞いたエマは驚き、プリシラ皇妃は困惑の表情で尋ねた。

 

「うふふ、わからないかしら?―――リィンお兄さんが大好きなエリゼお姉さんはリィンお兄さんのエレボニア帝国の人々に対する”罪悪感”を少しでも和らげる為にその案を考えたのよ?それにこれなら政略結婚としても成り立つから、エレボニアの面子も守られるでしょう?」

「あ………………」

「エリゼさん……」

「姉様…………」

「全てはリィンの為か………」

「確かに双方に”利”が生じる上、”政略結婚”としても成り立つ事は否定できませんが……」

レンの説明を聞いたリィンは呆け、アルフィン皇女とエリスは辛そうな表情でエリゼを見つめ、ガイウスは静かな表情でエリゼを見つめ、アルゼイド子爵は真剣な表情で考え込み

「―――アルフィン皇女が兄様に懸想していなければ、この条約も提案しなかったと思います。」

「エリゼさん……」

「アルフィン自身の”救済”も考えた上での救済条約か……」

「下手をすれば結婚相手までもメンフィルに決められるかもしれないアルフィンの為にも考えてくれたのですね……」

「……エレボニアの皇として……そしてアルフィンの親としても、お主には礼を言うべきだな。」

エリゼの答えを聞いたアルフィン皇女とオリヴァルト皇子とセドリック皇太子は複雑そうな表情でエリゼを見つめ、ユーゲント三世は重々しい様子を纏って呟いた。

 

「うふふ、アルフィン皇女にとっても悪くない話でしょう?元々リィンお兄さんに恋しているみたいだし、祖国も救える上民達のエレボニア皇族達に対する信頼を回復できるんだから、”皇族の義務”を果たして堂々と大好きなリィンお兄さんの許に嫁ぐだけで、自分が作った失態を帳消しにできるんだから♪」

「そ、それは………………………」

レンに指摘されたアルフィン皇女は言い辛そうな表情で答えを濁したが目を閉じて考え込み、やがて決意の表情になってリィンを見つめた。

 

 


 
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