No.772747

艦隊 真・恋姫無双 50話目

いたさん

かなり急な展開かも……

2015-04-22 07:21:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1466   閲覧ユーザー数:1268

【 新たな展開 の件 】

 

〖 河南尹 新城 趙慈拠点 にて 〗

 

夜もかなり更けた……。

 

しかし、城内の広間には、隊長以上の主な者たちが集まり、飲み食いしながらこの宴会を楽しんでいた。 

 

本来は、幾ら収穫があったとしても、ここまでやらないが……獲物が十常侍なら話は別! 大騒ぎの宴会となったのだ!!

 

趙慈の言うことに、涙を流して首を縦に振る者! 

 

今日の『獲物』を誇らしげに眺めている! 

 

規模は……数百人ほど。 

 

ほかの者たちは、割り当てられた部屋の中で、食事をしながら待機中。

 

大広間の所々が破損しているが、廃城を再利用したため、応急処置は施してあるが……資金が無いため本格的な修理は、当分の先の見通しだ!

 

豪華とは決して言えないが……あらゆる山の幸、川の幸を皆で集めて、調理した逸品揃い! 

 

酒も……少量だが寄付してくれた者が居るため、用意ができた。

 

そして、この宴会の『肴』……畢嵐、栗嵩、張恭は、荒縄で縛られ、苦痛に満ちた顔を晒していた! 

 

ーーー

 

趙慈「お前たちの行動、この俺さまの邪眼に見破られたのが……運の尽き! 十常侍ども……観念するんだな!」

 

畢嵐「早よう、解き放てぇ! 無礼者どもぉ!!」

 

栗嵩「わ、我らを何と心得る!? 漢王朝皇帝陛下の側近、中常侍であるぞ! 頭が高い……控えいッ! 控えろぉおおう!!」

 

張恭「い、今なら……寛大な心で許してやろう……! 死罪のところを、無罪じゃぞ!? 分かれば……早よう離せいぃいいいッ!!」

 

ーーー

 

三人は、被害者同然の面構え、上から目線での物言いで話すが、生憎……誰も縄を解こうとする者は居ない。 なぜなら、集まった兵や民たち全てが、十常侍からの強制増収で、地獄の苦しみを味わった者たちばかり!

 

しかし、為政者に直接罵詈雑言を放言する者は居ない。 ……と云うか出来ない。 

 

漢王朝の国教『儒教』には、五常(仁、義、礼、智、信)の徳用により、五倫の関係を維持する項目がある。 その中で、君臣の関係を第一とする。 

 

本来、儒教の教えとは、上が下を慈しみ、下が上を尊敬する互いに思いやる事だった。

 

ところが、儒教の教えを悪用して、次第に下からの忠誠を尊ぶものに、改変して教え、下からの意見は軽く見られるようになった。 だから、民たちは……自分の意見も言えず、限界まで耐えてしまうのである。

 

そのため、漢王朝が良好な時は民が耐えるため反乱が少なく、末期に起こる反乱は、民たちの限度を越えた物ばかりのため、大規模で長く続く傾向だった。

 

ーーー

 

趙慈「ふんッ! こんな時でさえ、威勢が変わらないとは……大した野郎どもだ! 貴様らに対する恨みは、天よりも高く地の底よりも深い! 本来なら、てめぇらを人質にして、金を頂くつもりだったが……気が変わった!」

 

趙慈は……左腕を巻いてる布を外し、畢嵐の頭に乗せる。

 

趙慈「殺して……死体だけでも持っていけば、金になるんじゃねぇかぁ!? 大体、あの乗り物や慌てよう……洛陽でヘマして逃げて来たんだろう! なら、危ない橋を渡るより──死体の方が楽だろうしなッ!」 

 

『───────ッ!?』

 

趙慈「光栄に思いなぁ! 貴様らの命───この『封印されし左腕の力』でぇええええ──ッッッ!!」

 

唐突な行動を起こす趙慈に、十常侍や親衛隊、他の者たちの顔が変わる!?

 

しかし、その直後───趙慈に変化が起きたッ!!

 

趙慈「───がッ! ぐぅーっ! ぐぅうううッ! ま、また邪魔をするかぁあああッ!! や、奴が、くそぉおおおッ!!」

 

───ゴロゴロッ! ゴンッ! ゴンッ!

 

左腕を掴みのた打ち回る趙慈。

 

あまりの奇怪な行動に、血の気が引く十常侍。 

 

畏れ平伏す……その他大勢!

 

 

 

そして………その様子を天井より窺う………明命が居た。

 

 

◆◇◆

 

【 決別 の件 】

 

〖 益州 漢中鎮守府 にて 〗

 

??「あぁ────むッ!」

 

パクリッ! 

 

───ボリボリボリッ!  

 

ムシャムシャ…………ゴックン!

 

??「もぅ……ひとつぅ……? アレ? アレッ!?」

 

─────カタッ!

 

加賀「赤城さん……何をしているの?」

 

赤城「あぁ……加賀さん。 やる事も無いですので……見た通りですよ?」

 

加賀「………どう見ても……『食っちゃ寝しているだけ』のようにしか、思えませんが………」

 

赤城「………正解ですよ? 正解者には、このボーキを上げま──」

 

加賀「赤城さんは……また在庫のボーキを! 幾ら遠征で出ている皆が、資材を持ってきてくれるからと云って、ただ消費するなど! 皆に……申し訳ないと思わないのですかッ!? 扶桑や山城も……頑張っているのに!」

 

赤城「───だけどッ! 私たちのような空母が動けば、弥が上にも(いやがうえにも)資材が消費されるんですよ!? 遠征に出れば……燃料が、演習を行うにしても弾薬、燃料、ボーキが! あの二人が出たなら──尚更ッ!!」

 

加賀「………ですが、レベルを上げないと、私たちは、空母水鬼たちに勝てません! 赤城さんは、座して轟沈する事を選ぶんですか?」

 

赤城「………此処にいる艦が、私と加賀さんだけですよ? 燃料、ボーキ、弾薬、資材……どれだけ消費すると思いますか? 鎮守府の在庫を空にして、次の任務に支障を起こしたら……それこそ、一刀提督や皆に申し訳がッ!!」

 

加賀「……………普通に鍛錬する考えは、無いのですか? 己の技量を高める練習に、資材は……そう必要は無い筈。 無闇に食べ散らかして、ストレスを解放する今の赤城さんより、遥かに有益な考えだと思いますが……」

 

赤城「………………………」プイッ!

 

加賀「それに……食っちゃ寝していると、余計なバルジができてしまいますが? そのために動きが鈍くなり……大破の可能性も確実に増えます!」

 

赤城「────!」

 

加賀「それに……余計なバルジが付いた艦娘を、一刀提督が好いてくれますか? 轟沈したとき───嘆いてくれると思うのですか? 現実は甘くはありません! そんな赤城さんに……一刀提督を任せるワケには行きま───」

 

赤城「────い、一航戦赤城! 出ますッ!!」ガバッ!

 

加賀「最初からぁ───んッ!?」

 

 

 

………ヒュルルル……ルルルルッ!

 

 

 

加賀「外に何か──墜ちてきますッ!!」

 

赤城「─────は、早く向かいましょうッッッ!?!?」

 

ガチャン! 

 

───ダッダッダッダッダッダッ!! 

 

──────ダンッ!

 

加賀「───弾着予測! そこですッ!!」

 

赤城「艦載機のみなさん、用意はいい!? 発──ッ!?」

 

 

\★☆★/───ドォオオオッッンン!!

 

 

赤城「きゃあぁあああッ! て、敵艦載機ッ!?」

 

加賀「そ、空から深海棲艦ッ!? ゆ、油断など───ッ!!」

 

 

ーーーーモクモクモクモクッ!

 

 

貂蝉「むふうぅぅぅ~! 何時もより重たかったからぁん、ちょっっと……着地が派手だったようねぇん! あらぁ~ん! お久しぶりぃいいい! わざわざのお迎えぇ、ご苦労様ぁあああん! うふっ!」

 

赤城「………………」

 

加賀「………………」

 

貂蝉「まぁ……ほらぁ、私ぃよ私ぃいいッ!! 三国志のアイドル『貂蝉』ちゃんよぉおん!! …………どうしたのぉ? 町角で鉢合わせになった不倫カップルのような驚いた顔してぇん!?」

 

加賀「…………貴方の登場が……余りに予想外過ぎて……軽く意識が飛んでいただけです!! だいたい、貴方は────ッ!」

 

赤城「例えが生々しいですよ!! もう少し品の良い言い方でもッ!!」

 

貂蝉「ごめんなさいねぇ! 私も今回……急いでいるのぉ! そこに、置いておくわよぉ~御免なさいねぇん! ───ヨイショッオォオオオッ!!!」

 

──────ズドォォオオオオン!!

 

『──────!!!』グラグラグラグラッ!

 

貂蝉「私からの……最後の資材補給分よぉん! これで、急いで新たな艦娘を建造して貰いたいの! 私が……此処に来れるのも……最後になるかもしれないからぁ!!」

 

加賀「どうしてですか───?」

 

赤城「───貂蝉!?」

 

貂蝉「それはねぇ……物凄くぅ……言いにくいけどぉ……私が貴女たち、一刀ちゃんたちの………敵に廻るかも……しれないのぉよ!!」

 

『─────────!!』

 

 

◆◇◆

 

【 宿敵 の件 】

 

〖 河南尹 新城 趙慈拠点 にて 〗

 

趙慈「奴めッ! 俺さまの邪眼に対抗するか!? あ、浅ましい奴め!」

 

趙慈は、左腕を押さえつつ、空に向かい拳を、蹴りを放つ! そのたびに、顔がニヤついたり、驚いたりと百面相を繰り返した!

 

趙慈「デェリャアッ! ふんッ! 致命傷だな! ───! な、何だとぉ!? あ、あれを避けるのかッ!? くぅッ! これきしきの事で、俺さまは───負けんッ!! ごっ! ごふっ!! く、くそがぁあああッ!!」

 

親衛隊「………が、頑張って下さい!」

 

親衛隊「負けるなぁ───ッ!!」

 

畢嵐、栗嵩、張恭「 (;゚Д゚)(゚Д゚;(゚Д゚;) 」

 

ーーー

ーーー

ーーーーー四半刻(約30分)経って……喜劇が終わった。

 

趙慈「ケッ……舐めやがってぇ……これくらいにしてやらぁ………!」

 

顔を真っ赤にして、捨て台詞を吐く趙慈だが……勝利者の余裕にも聞こえ、敗者の負け惜しみにも聞こえる……。 結果は、本人にしか理解できない。

 

趙慈「お…………ッ?」グラッ

 

──────ドタン!

 

趙慈は、その後……床に倒れた! 

 

慌てて親衛隊が駆けつけ、介抱すると……目を開けた。

 

趙慈「…………んッ!」

 

親衛隊「だ、大丈夫ですか………?」

 

趙慈「………フッ! 心配なんて不要ですよ! あんなゴミに……惑わされていた君たちが可哀想でね! 私が『代わり』に出てきました。 あぁ……私は『左腕に封印されていた力』……『残紅』とでも呼んで下さい!」 

 

趙慈は、腕に巻いていた布で、服の汚れを叩いた!

 

趙慈(残紅)「う~ん……十常侍の皆さん……でしたね! 貴方たちは殺さず、私たちの資金難を救ってくれる『天使』として……改めて捕虜になって貰いますよ! 逃げ出すような悲しい真似……しないで頂きたいものですね?」

 

親衛隊「─────?」

 

親衛隊は、趙慈の様子が急に変わって驚いていた! 

 

まず、口調が違う! 話し方も違う! それに……何時も巻いている黄色の布が……外しているッ!

 

残紅「『アイツ』のような野蛮な男を、頭に戴けば……纏まる話も纏まらなくなりますから。 天より遣わされた私を、自分の腕に封じ込めるなど……」

 

そう言った後、親衛隊や十常侍に向かい……ニコリと笑い問い掛ける。

 

畢嵐「て、天の御遣いじゃと! 洛陽には……何進大将軍より連れて来られた……御遣いが既に!?」

 

残紅「『天の御遣い』……どうして一人だけと決めつけます? 必要とあれば現れる。 それが私たち……ですよ。 貴方の見た天の御遣いが、どんな者かは興味深いですがね。 もしかすると……私の捜している者かも………」

 

畢嵐「えぇええいッ! どちらにしても、我々を解放するのじゃあ!!」

 

残紅「まぁ……そんな話はいいのです。 どなたか、この十常侍の皆さんを……高額で引き取ってくれそうな、高貴な御方をご存知ないですかね?」

 

回復してからの様子が、すっかり変わってしまった趙慈を見て……周りの者たちは……ただ訝るだけであった。

 

★☆☆

 

畢嵐「な、何を考えているのじゃ! は、早よ縄を解けぇ! 解かんかぁ!」

 

栗嵩「ちゃ、ちゃちゃちゃ茶番じゃ! 単なる茶番に過ぎん!!」

 

十常侍たちは、先程の行為に脅えてしまい、その反動で趙慈に噛みつかんばかりに、声を荒げる! 

 

趙慈……いや、残紅は……ゆっくりと……腰に帯剣していた得物を抜き、抜き身のままで──笑顔で近付く。

 

残紅「ふむぅ……口で説明しても分からないのなら……耳なんてぇ飾りですよねぇ? 貴方のような端正な顔に似つかわしくない! 邪魔な物は、さっさっと斬り落として、差し上げてあげましょうかッッ!?」

 

 

───スッ!

 

畢嵐「ヒャ、ヒャアァアアアア──ッ!」

 

栗嵩「お、おじゃるぅううううッッッ!!」

 

残紅「甘言には傾け、諫言には塞ぐ。 そんな役立たずの物など……斬り捨てしまいしょう! 貴方たちの一物と同じようにぃいいいッ!!」

 

ブンッ! ザ──────ッ!

 

そこへ、張恭が横より口を出した!!

 

張恭「ま、待てぇ! そ、それならばぁ! この周辺に袁術がおる! あ、あの四世三公を輩出した名家! その直系で太守をしておる! あ、あやつに頼めば……莫大なる金、財宝を用意しようぞ!!!」

 

────ピタッ!

 

残紅「……………そうそう、最初からぁ素直に言って貰えばね! こぉんな怖い目に遭わなかったのに。 でも、今度……馬鹿にすれば……どうなるか知らないよ? 私は『趙慈』より気は長いけど……限度があるからねッ!」

 

『ーーーーーーーー!?』

 

残紅は、そう放言して十常侍を唖然とさせ、集まった隊長たちに話だす!

 

残紅「私たちは弱いために、官から税、食糧、果ては家族まで取られました! ですが……明日以降から事態は好転します! 十常侍たちと引き換えに、袁術から大金をせしめ、防備を強化し、皆を幸せにするため!!」

 

『─────────!!』

 

残紅「この地に───独立国家を築くのです!!」

 

『ーーーーーーーーーー!?!?』

 

残紅「………いつまで、この生活を甘受する気ですか? 働けど働けども、暮らしの先が見えて来ない! 『自分たちの幸せ』が見えて来ない! これを、貴方たちは……諦めて子々孫々まで……続けていくのですか!!」

 

『────────!』

 

残紅「そうです! 立ち上がるのです! 立ち上がり……私たちの国を造りあげるのです!! そして───皆さんと同じ、辛いめにあっている者たちを救うのですよ! この私が許します! 天より遣わされ……この私がぁ!!」

 

聞いていた親衛隊が……拍手をして立ち上がるッ! 

 

一部だけ賛同していた者が……徐々に増え、多数が拳を握りしめて振り上げ、賛同の意を表す! それだけ、虐げられていた者が多かった証だ!!

 

残紅「これは、私が……天の神々より任せられた、大事な戦なのです! 敵する者たちを潰し、壊滅させる! 我々を欺いてきた者たちを! 情けなど無用! 奪い苦しめ……最後は殺すッ! 破壊尽くさん限りぃいにぃぃぃ!!」

 

『────────!!』

 

城内に轟かんばかりに、雄叫びが響き渡る!!

 

残紅「天の御遣いたる──私が付いています! 私の導きで……これから始まるのですよ! 貴男方や同朋を救う為に、親兄弟、子々孫々を守れるための……強き世界の樹立がぁ────!?!?」

 

そう言い出した残紅の目は、扉へと注視される!

 

??「ふふふっ……異な事を言う。 私の覚えでは、そんな戯言を聞いた覚えなど……全く無いんだがな………? 」

 

槍を寄せ、扉の入り口に背を預けながら、一人の武人が呟く。

 

親衛隊「だ、誰だぁあああッ!?」

 

その声を聞き……口角を上げた武人『趙子龍』こと『星』は、顔を残紅に向け、厳かに言い放った!!

 

星「私の知る『天の御遣い』は……無意味な争いを嫌った! ……敵と云えど、やむを得ない事情があれば、己の懐に入れてでも守り抜いたぁ! そんな『天の御遣い』を……貴様が如き悪党が───語るなぁあああッ!!」

 

星は、持っていた龍牙を自在に操り……穂先を残紅たちへと向けたッ!!

 

★★☆

 

残紅「愚かです……。 愚かですねぇ……ククククッ! 『人』如きに……何ができると? この人数に……たった一人でぇ戦いを……挑もうとは!!」

 

星「ほぅ? お前の方こそ……どう見ても、頭がおかしい男にしか見えんがな? この人数で、我が槍を食い止めれるかな!」

 

残紅は、軽く……『ククククッ』と笑いだし───途中で『ハーッハッハッハッハッ!!』と大笑い!! 

 

残紅「………今は、このゴミに憑いているだけでしてね! このゴミの……歪んだ妄想が……私を呼んだんですよ! 『馬鹿にする奴を見返してやる!』『人が驚く力が欲しい!』と! だからこそ、私が来てあげたのに……」

 

星「─────!?」

 

残紅「このゴミは、急に怖くなったのか……それとも別の考えがあってか、私を腕に宿らせたと思い込んでいましたよ。 中から見る、この男の考えは……滑稽であり感心できるモノでしたが……これで役目は終わりですよ!」

 

星は、槍を構え直す! 

 

………先程までは、ただの屈強な男の気配だった。

 

それが───語り出すと、急な圧力、巨大な殺気が───辺りを包み込む!!

 

まるで………金剛たちより感じた、同質の底知れぬ圧迫感を!!

 

星「……貴様……何者だ!?」

 

残紅「私の名は残紅! 遥か先の世で……大海を渡り、巨大な破壊力で……数多の命を破壊したのが私! その後に残るは『赤き血』のみ……然るに『残紅』と! 人如きに名乗るのであれば、この仮の名だけで充分ですね!!」

 

星「────もしかすると……金剛たちと縁のある者か?」

 

すると、今まで……余裕を持って対応していた残紅が、急に目を血走り──星に叫ぶ! 声に殺気を含ませ、かなりの怒り狂っている事が、手をとるように分かるッ!!!

 

残紅「キ、キリ──キリシマァアアアアッ!!! ドコダァア! ドコニイルッ!? イエッ! イエッッッ!!」

 

今まで士気が高かった親衛隊たち、熱狂していた兵たちは、このやり取りで急激に縮まり───今では、恐々と両者の様子を見るしかない!

 

星「………まさかと思えば………! だが、霧島が目的なら、尚更会わせるワケには行かんなッ! 私は生来の天の邪鬼ゆえ、会いたいと云うなら、邪魔をしたくなる性分! 此処で通せんぼしてやろう!!」

 

残紅「キサマァア! シニタイノカァ!!」

 

星「ふっ! 主に出会いもせずに、死に急ぐ馬鹿が何処にいる!? それに、先程から話し方が雑になった! それが、貴様の元の口調か!? 化けの皮が剥がれてきたようだ!! ハーッハッハッハッ!! 」

 

残紅「オノレェ────ッ!! コロシテヤッ───!?!?」

 

~~~~~~~~~~~!

~~~~~~~~~!

~~~~~~~~~~!

 

残紅が、兵や親衛隊を掻き分け、進もうとすると……左右より『煙』が流れ込んでくる!!

 

親衛隊「け、煙!? 火事───ぐぐぅ………げぇえええッ!!」

 

親衛隊「ギモチ悪いぃいいい─────ッ!!」

 

広間にいる者たちは、吐き気を覚えて床に手を付いて……吐き出す!

 

ある者は、ゴホゴホ噎せながら出口を探し、また別の者は、火元を捜す!

 

ーーーーー

 

しかし、その混乱の中………三人の少女たちが入り込む!

 

古い城にて、壁が腐っている場所を、先に見つけた明命が、出入り口として用意。 思春たちは、霧島より渡された『煙幕の素』を、持ってきた『焼け石』に掛けて、発生させていたのだ。

 

ーーー

 

思春「蓮華様! 気を付けて下さい! この『煙幕』は……吸い込むと呼吸困難になる危険な物! 速やかに姿勢を低くして、十常侍たちを連れ出さねばなりません!!」

 

蓮華「こ、これが……策なの?」

 

明命「詳しくは、外で! 私が三人を気絶させますから!」

 

明命は、そう言うと……噎せて苦しむ十常侍たちに、当て身を繰り出し黙らせると、無言で腰をかがめて、抜けてきた壁に向かう!

 

蓮華と思春も、それぞれを担ぎ上げて、脱出を図った!

 

ーーーーー

 

兵士「外だ! 玄関から逃げろぉ!!」

 

残紅「ジャマダァ! ドケェ! ドケェ!!」

 

兵や残紅が星に殺到するが───星は慌てず騒がず、龍牙を操り奮戦する!

 

星「まだまだ、混乱して貰わねば、困るのだ! それッ! それッ!」

 

兵士「ぐはっ!」ザシュ!

 

兵士「い、痛ぇえええッ!!」

 

星は、扉より一歩退き……そこから攻撃する!

 

扉は大人が三人横並びになれば……通行止め。 出入りは狭いのは当然の事だが、ここを上手く使えば、戦う相手も少なくすむ。

 

そこに兵士を怪我をさせて動けなくさせて、そのままにしておく。 また、近寄れば攻撃し、同じ事を繰り返す。 

 

これを三回ぐらいやると、兵士の身体が邪魔になり……外に出るのが困難になった! 

 

丁度……横の壁より三人が走り込んで来た!!

 

蓮華「星ぃ! 十常侍を救出したわ! すぐに離れましょう!!」

 

星「承知! すぐに向かう! 殿は───私に任せて貰おう!!」

 

こうして、星たちは十常侍を救出し、吊り橋を渡って対岸で待つ……金剛たちの下へ───駆け出した!

 

ーーー

ーーー

ーー★

 

残紅「マ、マテェ────ッ!!!」

 

後ろより………悪鬼のような形相の残紅! 剣に血が付いているのは、何人かを犠牲にしてまで、追いついて来たためだろう! その予想を裏付けるかのように、親衛隊の顔が……恐怖に彩られている!!

 

残紅「グホッ! ゼェゼェッ!! ダ、ダジャクナ……ヒトノミダ!! ダガ、カナラズ───キサマ……ニ……カリヲカエスゾォオオオッ!! コノ………サウス……ダコタガァアアア─────ッ!!!」

 

暗い夜空に───響く残紅の絶叫!

 

その言葉の意味を知る者は、付近に誰も……居なかったのである。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

かなり………色々と想定外じゃないかな……と思っておりますが、一応……最初からの構想部分です。 だから……結末もそれなりに考えてあります。

 

霧島さんが出ますからね。 

 

やっぱり……コレを出さないと面白くないかな……と。 

 

また、仕事が詰まり………投稿が遅くなるかもしれません。

 

その時は、どうか気長に……お待ち下さい。

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
14
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択