~司馬懿視点~
「くっ、何てこと!」
陛下と北郷に逃げられたとの報が碧(司馬孚の真名)から届いた
陛下と北郷が事を起こす可能性は考えていた
だから碧を洛陽に残していたのに
最大の誤算は陛下があの呂布を従えていた事
このままでは、劉備や涼州連合が寝返り、私達の敗北となる
今更、洛陽に戻っても終焉を引き延ばす悪あがきにしかならない
残る手立ては、一刻も早く襄陽を落して孫策を捕える
孫策の身柄を盾に立ち回るしか無い
「一刻も早く襄陽を落すわよ!
涼州連合にも奮起するように伝えなさい」
~雪蓮視点~
一刀、良くやってくれたわ!
明命からの報せを受けた正直な感想だった
この戦い、劣勢で落城は時間の問題だった
だが、援軍が来るまで持ち堪えれば良い
「涼州連合も陛下が来れば此方に寝返る
その機に乗じて、我等も出撃して司馬懿を討つわよ!」
~馬騰視点~
「成る程な
これはどうするかは議論の余地は無いな
直ぐに連合の部族長を集めろ」
全く、陛下も無理をなさる
成功したから良いような物の、一歩間違えば御命が無かったぞ
「叔母様~
蒲公英の言った通りじゃない」
確かに今回は言い返せないな
「陛下が到着してからの行動を決めるぞ
司馬懿には極秘にしてな」
~一刀視点~
夷陵を出立して、二日後襄陽に到着した
「よし、一気に馬騰の元まで突っ切るぞ
邪魔して来るのは司馬懿軍だけ
涼州連合は道を開けるよう馬騰に要請してある」
陛下を俺の前に乗せ、一気に突っ込む
「どけ、どけ、どけ~」
一騎当千の武将が邪魔する敵を蹴散らして行く
すると
「私は馬騰の娘、馬超だ
あんたらを案内するように言われて来た」
馬超に付いて行くと
「陛下、よくぞご無事で
我等涼州連合一同、陛下のいかなる命にも従います」
馬騰が陛下に片膝を付いて、頭を下げる
「聞け、司馬懿の兵達よ
私は漢の皇帝劉協
司馬懿は漢の逆賊である
この私の言を聞いて、大人しく投降する者は咎無しとする
しかし、歯向かう者は司馬懿同様、逆賊と見なす」
陛下のこの言葉で全てが決した
司馬懿軍は投降者が続出
司馬姉妹には武の腕が立つ者もいたが、恋、夏候惇、関羽と云った超一流には敵わない
兵は投降、逃走、向かって来たものは討ち取られた
司馬姉妹は全て捕縛された
こうして荊州の戦いは終結した
戦闘が終結して、二日後劉備が襄陽に到着した
ここで主要な将、軍師を集めての会談が行われた
「先ずは私の提案を聞いてください」
と言って、陛下が「天下三分の計」(名前は無かったが)を説明する
「領土の分け方としては漢が司隷から涼州までを治めます
蜀が益州と交州、それに荊州南部を治めます
そして孫呉が他を治める これが領土の分け方です」
これには雪蓮が
「待って下さい!
荊州は今、孫呉が治めているんです
それをむざむざ手放すなんて、承服できません!
これでは蜀だけが得をします!」
この反論に対して陛下は
「いえ、三国全てが代償と得る物が有ります
孫呉は荊州を失いますが、豪族の反乱に気を配る必要が無くなります
豪族が反乱を企んでも同盟関係にあるのですから他の二国が後ろ盾になる事は有りません
つまり領土の安定が得られます」
これには雪蓮も反論出来なかった
「蜀は交州と荊州南部を得ますが、交州は現在荒んでいます
その統治となれば領土が増えても、手間と費用が掛かります
その分の埋め合わせに、比較的裕福な荊州南部を与えるのです
最後に漢は孫呉と蜀の独立を事実上認めるので、孫呉と蜀に対する権威を失います
しかし、司隷から涼州にかけての実質的な統治を取り戻せます
涼州は涼州連合が治めますが」
陛下がここまで説明した所で
「陛下、質問が有ります
荊州北部をどうするのか仰ってません
それに三国の同盟関係を恒久的に継続する為の方策が無ければ、直ぐに戦乱の世が来るやもしれません
例えば孫呉の豪族の反乱を漢、若しくは蜀が扇動して攻め入る などが考えられます」
冥琳の問いに、陛下は
「無論、考えてあります
荊州北部は一刀に治めてもらいます
これは、三国の調停役になって貰う為です」
え?初めて聞いたぞ
「三国の同盟を継続させる方策は簡単です
孫策、劉備、そして私、この三人が一刀との間に子を作れば良いのです
その子達が次期三国それぞれの王となれば、三国の王は兄弟姉妹
おいそれと攻め入る事は、家臣も許さないでしょう」
ちょと陛下、何も聞いてませんよ~!
この提案に雪蓮は笑いながら
「分かりました
孫呉は陛下の提案に賛成します」
劉備は真っ赤になりながら
「蜀も異存有りません
相手が北郷さんなら個人的にも・・・」
二人の言葉を受けて陛下が
「では、これで決定とします」
「一君、O☆HA☆NA☆SHIがあるわ
ちなみに拒否権は無いわよ~」
「一刀さん、私もたっぷりと訊きたい事が出来ました
あ、鞘華さんと一緒で構いませんよ」
鞘姉と静里が黒い気配を出しながら両脇を抱えて来る
俺はそのまま、連行されて”逝った”(字は間違っていない)
荊州北部
これが与えられた領地だ
当然一人では出来ない
しかし、鞘姉、静里、月、詠が来てくれた
氷雨も孫呉から暇を貰い次第来る、と言っている
その事で雪蓮や冥琳にさんざん嫌味を言われた
ちなみに蓮華も来たがっているが、王族なので無理だろう
この面子で統治をし、調整役として三国を回る日々
この平和がいつまでも続けば良い
雪蓮、劉協陛下、劉備は三年後俺との間に出来た子供を出産
三人とも同時期なのは本当に偶然だ
その一年後に鞘姉が、更に一年後に静里が出産した
全て女の子なのは何か原因が有るのだろうか
他にも兆候のある娘がいる
だが全ては語らない
まだ、この世界での生活が続いて行くのだから
~あとがき~
「別たれし御遣い」完結です
最終決戦が殆ど無いのはご容赦下さい
桃香が寝返った時点で、決着はついたも同然でしたから
今作は前作までと違い、難産の連続でした
読んで下さる方、支援を下さる方、コメントを下さる方がいたからこそモチベーションを保ち、完結できました
改めて、お礼申し上げます
さて、次回作はまだ構成が固まっていません
一番、悩んでいるのは鞘華を出すべきかどうか です
強化一刀、静里、プラスαは決定しているのですが鞘華は思案中です
宜しければご意見下さい
新作はゆっくりになるかもしれませんが始めるつもりです
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司馬懿との決着そして・・・