No.759899

艦隊 真・恋姫無双 34話目

いたさん

オリキャラ中心です。

2015-02-21 22:22:52 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1787   閲覧ユーザー数:1577

【 旧友との再会 の件 】

 

〖 益州 漢中付近 にて 〗

 

何進、貂蝉の二人が……距離を開ける。

 

それを見て、一刀達はグッタリとした表情を浮かばしながらも、貂蝉を睨みつけた。 

 

貂蝉「あらぁ~ん? あんまり時間を取らしても悪いわねぇ……早く用件を済ませましょうかぁ? ……………どふふふっ!!」

 

貂蝉は、そんな視線を受けても意に介さず、後ろに立っている4人の艦娘を紹介する。 そして、一刀達も……簡単に自己紹介を行った。 

 

貂蝉「────以上ねぇ! 私達ぃ管理者が建造した、自慢の艦娘なのよぉん! どぉう? 4人ともぉ綺麗なコばっかりでしょ~う!?」 

 

一刀「………あぁ! 俺の仲間達に───負けず劣らずの綺麗な艦娘達だよ!」

 

『────────!?!?』

 

貂蝉「もぅ……相変わらず~上手なんだからぁん? 私ぃが傾国の美女なのぉ分かっている癖にぃ───!!」クネクネ

 

一刀「────ごめん! 訂正だ! 貂蝉は省いてくれぇ!!」

 

 

急にそんな事を云われ、顔を真っ赤にする異国の艦娘!

 

勿論……『同じくらい綺麗だよ!』と言われたような言葉に、恥ずかしがる仲間の艦娘も居るわけで………!

 

ーーー

 

榛名「提督……榛名、感激です!!」

 

霧島「私の想像以上の……評価ですよ!」

 

木曾「フッ……甘いぜ、提督! だが……わ、悪くはない!」

 

ーーー

 

辺りが甘い雰囲気に包まれる中、一刀側から一人の艦娘が進み出て……4人の下へ向かう。

 

長門「───久しいな! サラ!!」

 

サラ「長門……またこうして、お会いできるとは……光栄の至り! 主よ、この再会の導きに───深く感謝致します!!」

 

二人は、旧来の親友のように、互いの出逢いを懐かしむ。 

 

互いの仲間達が首を傾げる中、一刀が近付いて理由を尋ねた。

 

一刀「………二人とも、再会を喜んでいるところを悪いが……事情を話してくれるかい? 君達の再会を懐かしんでいる理由を?」

 

長門「少し長くなるが……いいかな?」

 

一刀「貂蝉や何進大将軍、皆は良いかい?」

 

貂蝉「いいわよぉ! 私も聞きたいからぁん!!」

 

何進「……多少は構わんよ。 だが、あまり長くは困るぞ? 陛下の病が心配だからな。 私の配下も傍に居て、何かあれば連絡をくれるようにしているが………!」 

 

雪風「わ、私も聞かせて下さいッ! 皆さんが……どういう最後をなされたのか……知りたいんです!」

 

響「私もだ! あの大戦に……生き残れた艦として……肝に銘じておきたい! 如何に最後を……迎えたのか?」

 

皆より許可をもらった一刀は、長門とサラに話すように促すのだった。

 

 

◆◇◆

 

【 ちんきゅ怒りの鉄拳(笑) の件 】

 

〖 涼州 漢陽郡 天水 にて 〗

 

 

翠達は、城の中に通され……謁見の間に案内された。

 

馬岱(真名 蒲公英)「お姉様ぁ……大丈夫だと思う? 月(董仲穎の真名)達……私やお姉様の事……覚えてくれているかな? 焔耶みたいに脳筋じゃないから、忘れられる事は無いんじゃ無いかなぁ~とは思うけど……」

 

翠「そんときは、そんとき!! もし……覚えてないのなら、月達に報告だけして、あたしらだけで洛陽に向かうぞ!? ご主人様が、洛陽に向かってるんだ! 覚えている奴が出迎えなきゃ、ご主人様が可哀想じゃないか!!」

 

蒲公英「………ほんとぉは……お姉さまが会いたいだけじゃない~? 勿論、蒲公英も! ご主人様にぃお会いしたいけどねぇ───ッ!!」

 

翠「ば、馬鹿ぁ!! そ、そんなんじゃねぇ……ヤバッ!」バッ!

 

───────ガチャン!

 

月が入って来るかと思えば……開いた扉の外に居たのは………

 

詠「………お待たせしたわね。 私の名前は賈文和(真名 詠)! 主である董仲穎が病で伏せているので……代理で失礼させて頂くわ! 『西涼太守 馬寿成』殿の御息女『馬孟起』殿で……よろしい?」

 

翠「あ、あぁ───馬寿成の娘『馬孟起』だ! 宜しく頼む! あ、あのさぁ……あ、あたしの事……覚えていないか? ほらっ! 桃香様に仕えてた───」 

 

翠は、正式な挨拶も忘れ……詠に話かけるが………

 

詠「…………可笑しな事を言うのね? ボクの奉じる主は、後にも先にも董仲穎ただ一人! 他の誰の下にも仕えた事もないし、貴女とも……顔を合わすのも初めてよ! 冗談を言うより、用件を早く伝えて貰いたいものだわ!!」

 

翠「くぅ───────!」

 

蒲公英「お姉様…………」

 

翠の言葉を───冷たく返す。 

 

詠には、記憶が無いと分かり……落胆する翠。 蒲公英の言葉に強がって反応したものの……記憶が無いと云う事実の衝撃は……少なくなかった!!

 

 

詠「…………何も無ければ、これで謁見を終わらせてもらうわよ! ボクも暇じゃないん『───詠ちゃん!!』─────月ぇえええッ!?」 

 

詠が翠の反応が無い事を確認し、用件は他に無いと判断。 踵(きびす)を返そうとしたら、入って来た扉から───詠を叱る声!

 

月「駄目だよ! 私に用事がある方なら、私に通してくれなきゃ! 兵士さんが私に教えてくれたから……急いで着替えて出てきたんだよ! それなのに、詠ちゃんたら……!! 私に心配掛けたく無いのは分かるけど……」

 

詠「………うぅぅ……ごめん、ごめんね? 月ぇ! だけど……アイツら、何か可笑しいから……気を付けて………」

 

月「心配しないで……詠ちゃん! 大丈夫だから……。 恋さん達にも、来て貰うようにお願いしたから……ね?」

 

詠は謝りながらも月を心配して注意を促すが、月もそれなりの対応をしていた。 董卓軍の誇る猛将達を控えさせていたのだ!

 

そして、威儀を整えて、翠達に向かい謝罪を行う。 先ほどの行動は翠の方が非があるが……詠も対応が性急過ぎた。 

 

その為なのだが……月が顔を翠に向けると───懐かしい言葉を発した!

 

月「───真に、臣下の者が失礼しました! 天水を預かります董仲穎と………! す、翠さん!?」

 

翠「─────!」

 

翠の驚いた顔を見て、月は後悔した。 前の『ご主人様』と一緒に過ごした記憶は……誰もが持っているワケでは無い! 

 

事実……親友であり……一緒に『ご主人様』の傍で奉仕した詠でさえ、忘れている。 覚えているのは、董卓軍では……恋(呂奉先 真名)とねね(陳公台 真名)だけ。 

 

月「あっ! す、すいません! 大切な真名を勝手に呼んでしまっ『ゆ、月ぇえええッ!』────えっ!? じゃあ───本当にぃ!!」

 

蒲公英「たんぽぽも、此処にいるぞぉおおお───ッ!!!」

 

しかし、二人が笑顔で応えてくれるのを見て───月の目から───涙が零れ落ちた。 あの時と……全く変わらない…元気な笑顔を見て!!

 

月は……日頃の振る舞いとは違い、大きな声で呼び掛けた!!

 

月「あ、あぁあああッ! 翠さん! 蒲公英ちゃん!! 覚えてくれていたんですね!! 『ご主人様』の事も、『ご主人様』の名前も!!」

 

翠「ったりめだぁ!! 『北郷』───!!」

 

蒲公英「『一刀』───だよねぇ!」

 

月「良かったぁ! 良かったぁあああッ!!」

 

翠「あたしも嬉しいぜ! ご主人様を迎えてくれる人数が増えてぇ!」

 

蒲公英「やったぁ───ッ!!!」

 

あまりの大騒ぎのため、扉の外に待機していた恋とねねが、顔を覗かせる!

 

恋「…………あっ、翠に……蒲公英!」ヒョコ!

 

ねね「ぬあぁ──ッ!? な、なんですとぉ───ッ!?!?」

 

翠「元気そうだな! 恋!!」

 

蒲公英「あぁ───恋! 久し振りぃいいいッ!!」

 

恋「………うん!」

 

ねね「くぉおらぁ──ッ! 二人して『ねねの事だけ綺麗に忘れちゃた♪』と薄情な事をほざくつもりですかぁああッ!? そんな奴らには───ちんきゅキックの餌食となれぇーですぞぉおおおッ!!!」

 

翠「忘れてないって! ねねも……久し振り!」

 

ねね「ふ、ふんッ! 久し振りに……してやるですよ! ……二人とも……覚えてくれていて……嬉しい……」

 

蒲公英「うぅ~ん? 何か言ったぁ?」ニヤニヤ

 

ねね「────決闘を申し付けるのですッ!!!」

 

ーーーーー

 

祭りのような大騒ぎになり、続けて待機していた霞達も出てくるが──何の事で喜んでいるのか……分からない。

 

詠「────何なの?」

 

霞「知るかい………」

 

華雄「私としては、月様が御元気なら……それに越した事は無いさ!」

 

詠と霞が顔を見合わせ不思議がり、華雄は一人……満足していた。

 

 

 

◆◇◆

 

【 慈母と歌 の件 】

 

〖 益州 漢中付近 にて 〗

 

長門とサラは、皆の注目を集める中……話を始める。

 

長門「……前の世で、二度も世界を巻き込んだ大戦が、終わりを告げたのは、提督も皆も存じていると思う。 その後……戦で『走狗』だった私達は、不要とされ……解体、転用等されたりして『煮られ』てしまった!」

 

サラ「私も……多数の自国の戦友達……敵国の戦艦だった長門達と共に、実験台へと……されてしまいました。 次の戦の為への布石に………」

 

長門「私は……怯える『プリンツ・オイゲン』、号泣する『酒匂』を抱きながら……己の非力さを噛み締めるしかなかったのさ! ……そんな中だったよ……多数の軍艦達が『歌』へ耳を傾けていた事に、気付いたのは………」

 

サラ「…………私は………悲しむ皆を………救いたかった。 轟沈すれば天国で迎えられる。 だから……怖れる事も、悲しむ事も無いのだと『賛美歌』を歌ったのです。 少しでも……皆の心が安らぐようにと………」

 

長門「お陰で……プリンツも酒匂も……最後を心静かに迎える事ができた! 今も感謝しているぞ! ───あの二人が……この鎮守府に着任していれば、あの時の礼を──それぞれが述べてくれるだろう!!」

 

サラ「ですが……私は、仲間を抱きしめて、慈愛の表情を浮かべる長門に……正直……憧れました。 この方の中には『聖母』が居ると。 私も歌と云うdeception(まやかし)ではなく……一隻ずつ抱きしめてあげたかった!」

 

長門「あの犇めく(ひしめく)艦の中を、短時間で癒やす事など、歌しかなかったさ。 現に……私達も癒やされたしな! サラ……お前の歌は……敵味方を越えて、魂を救ってくれたのだよ!!」

 

サラ「そう言って頂くと……少しは自信が持てます。 ですが……二人が、笑顔で天に帰れたのは、私だけの力では……到底無理でした! 貴女の信頼が励みになったのも、間違い無いと確信しています!」

 

長門「───そんなサラだからこそ、礼を述べる為に近付き、会話を交えて……友となったんだ。 互いに戦う為と生まれた私達が……話せば友になれる! 対話の大切さを教えてくれたのは、サラのお陰でもあるんだ!」

 

サラ「フフフッ! でも、敵国の鋼の武人が……まさか可愛い物好きの女性とは、流石に……驚きましたよ。 こんな方なら、もっと早く出逢えて話せれば……と悔やみましたけど……」

 

長門「────てぇ、提督に前で話すなッ! 恥ずかしいじゃないか……武骨な私が、可愛い物が大好きだなんて……」

 

一刀「そうか……気に留めておくよ! そうか! 可愛い物か……! 近いうちに何か考えておこうか!」

 

長門「き、気に留めなくても……いや! 提督に断りを入れるのは失礼だな! ……楽しみに……している………///////」

 

サラ「良かったですね……長門。 あぁ……その後ですね? その実験は二回も続けられ、私も一回目は耐えれましたが……二回目は無事に済まず……海の底へと眠る事になりました。 主の導きのままに………」

 

長門「………私は……そんな掛け替えの無い3人の轟沈を……見届けた後……静かに眠りに付いたんだ……。 夜中……誰にも看取られず、皆が眠る海の中へ。 ……サラの歌を思い出しながらな……」

 

一刀「………そんな話が……あったんだなぁ……! くっ! め、目にゴミが入ったみたいだぁ! ───ハンカチ、ハンカチ!!」ゴソゴソ

 

長門「………この方が、我等の提督『北郷一刀』殿だ! こんな方ゆえ、私は……私達は……指揮下に入り、提督に仇なす敵に立ち向かっている!」

 

サラ「………………」

 

長門「……私達を武器とは扱わず、一人の仲間として接してくれる上官。 この素晴らしい提督に出逢え、その身近に接すれる事を……誇りに思う! どうだろう? この提督の下、私達と共に戦ってくれないか!?」

 

サラ「私達が着任した事は……そのために呼ばれたのでしょうね。 必然か偶然か……分かりませんが。 龍驤様に、前世の罪を赦された私は、元より艦隊に参入するつもりでしたよ! 長門が居る───この艦隊に!!」 

 

長門「そうか! ありがとう!! サラが参入してくれてれば心強い!!」

 

二人は、互い握手して───共に戦う事を誓い合った。

 

 

 

◆◇◆

 

【 スチュワートの想い の件 】

 

〖 益州 漢中付近 にて 〗

 

 

スチュワート「…………言っておくけど、私は……まだ協力するか……分からないんだからね! 元『第102号哨戒艇』として……長かったから……出来ればしてあげたいけど……。 この艦隊の司令官を見定めないと………」

 

雷「─────!!?」

 

電「はわわわ!!」

 

スチュワートが、モジモジしながら話を切り出すと……雷と電が急に近付いた! 顔を真っ赤にさせて……珍しく鬼気迫る表情で迫る!

 

雷「ちょっと!! それ本当なんでしょうね!?!?」

 

電「─────なのですぅうううッ!!」

 

驚愕したスチュワートは、慌てて雷と電に釈明する!! 

 

スチュワート「なぁ、何なのよぉ!? 私は元友軍を轟沈させた事はあるけど、アンタ達のような駆逐艦、誤射して轟沈した事なんてないから!?」

 

雷「違うわよ! 名前が『第102号哨戒艇』で間違いないか聞きたいの! 私達……姉妹の仇を取ってくれた艦が、そんな名前だって聞いたんだから!!」

 

その言葉を聞いて……スチュワートの顔色が更に青くなる。 

 

スチュワート「………そうよ。 死に損ないの米国駆逐艦から、友軍に仇なす『第102号哨戒艇』となった……私で間違いないわ! だけど……私は、この手で……何隻も……何隻も!!」

 

電「………それが……戦なのです。 敵味方、オセロのように白黒が変わるゲームみたいなモノ。 いつも悲しむのは……その中に巻き込まれるモノ達なのです。 私達だって、敵と云えども救える命は……救いたいのですよ!!」

 

雷「そうよ! それに、アンタだって……相手を攻撃しなければ、アンタが代わりに轟沈していたわよ? アンタの中に居た仲間と共に! アンタはそれでも良かったワケ!?」

 

スチュワート「──────!」

 

電「今は……ただ感謝させて下さい。 私達姉妹の仇を取ってくれて、ありがとうなのです! そして、今度は───この大陸と司令官や艦隊の為に、力を貸して貰いたいのです! 誰も……悲しむ事が無いように!!」

 

雷や電が言葉を尽くし、世の無常、感謝、協力要請等を説明するが……スチュワートの心は晴れない!

 

スチュワート「………なんでよ……。 なんで……私は、行く先々で歓迎されるのよ。 前の時も……故国に曳航されて帰れば「浮気なお転婆娘」と歓迎されたわ! なんで……誰も……私を叱らないのよ! 怒らないのよッ!!」

 

雷と電は、顔を見合わせて……溜め息を吐く。 

 

すると、一人の人物が二人の肩に手を添え……『御苦労様』と一声ずつ掛けたあと、スチュワートに向かい……語りだす。

 

一刀「──それは、君が任務として、一生懸命働いた結果だからさ! それが、正当に評価された結果だから! それに、向こうでは轟沈と思われたんだよね? それなら除籍処分されるから、正式に帝国海軍の所有になる!」

 

スチュワート「それが………『君は裏切ってない! 立派に任務を全うした《駆逐艦 スチュワート》だよ!』……本当ぅ? 本当に……そう思う?」

 

一刀「君は、自分を恥じていたんだろう? 否応なしに祖国を裏切り、敵国に力を貸して友軍を轟沈させた行為に!」

 

スチュワート「…………うん! うんッ!!」

 

一刀「この艦隊を率いる提督として断言する! 君を侮辱する事は、誰にも断じて許さない! 君は間違いなく──『国に奉じて戦い抜いた軍艦』だ! だから、向こうでも歓迎されたんだよ! 『お帰りなさい!』ってね!」

 

スチュワート「ううぅ……ウワァ──ァアアアン!!」

 

一刀「────大丈夫! 大丈夫だから!!」ナデナデ

 

 

★ーー★ーー★ーー★ーー★

 

始めは、ビッグ Eの為に……司令官を試す試金石で艦隊に入る事を、ワザと濁した。 司令官の行動が……どう動いても……艦隊に参入するつもりだった。

 

理由は、艦娘と着任したから──と、その一点のみ。

 

その後……サラやアリゾナ、ビッグ Eが参加した為と理由を増えたが……ただそれだけだった。

 

ところが、雷や電に──唐突に礼を言われた事から、スチュワートに異変が起きた! 自分の心の片隅に眠っていた劣等感が、襲い掛かってきたのだ! 

 

 

ーーーーー

 

スチュワートの想い……自己の嫌悪感、忘却された『自分の名前』への虚無感。

 

敵に鹵獲されるならと自沈したのに、『運悪く』救われ、敵国の艦隊へと編入。 そして、新たな名前『第102号哨戒艇』と付けられた。

 

そのため、元仲間の艦隊が……航海中のスチュワートを見て、混乱したと逸話が残る。

 

『私……裏切ったワケじゃない! 鹵獲されたから……こうして戦うしか無いの! それが──艦たる私の宿命だから!!』

 

そう信じて……幾多の戦いに挑み……戦禍を潜り抜けた!

 

その想いを秘めて大戦を乗り切り……故国へと戻る。 

 

長年の過労によ動力源が途中で止まり……他の艦に曳航してもらいながら、やっと帰って来れたのだが……。

 

そこには……自分の名前『スチュワート』を持つ後続の駆逐艦が既に居た。

 

ーーー

 

スチュワート『《エドサル級護衛駆逐艦 スチュワート》です!』 お疲れ様でした! 《DD-224》先輩!!』

 

DD-224『えっ!? わ、私……スチュワート……じゃ?』

 

スチュワート『───既に、大戦中に轟沈したと云う事で……先輩の偉大な名は、私に受け継がれたんです……!』

 

DD-224『────────!?』

 

ーーー

 

こうして…………元スチュワートは、無機質な名前『DD-224』と呼ばれた。

 

 

 

『私の自身の事を……米国市民は褒めてくれた。 だけど……私は国に仇なす艦だったのよ! 友軍の進撃を遮り、作戦を遅滞させ、轟沈もさせた……敵国の狗! それなのに……なんでぇ……なんでよぉ───ッ!!』

 

『私の……本当の名前は《クレムソン級駆逐艦 スチュワート》よ! 祖国の為に戦い、敵国で名前を変えて働く事になろうとも! 私は故国を忘れなかった!! だけど……私の名前は……故国に……もう無いのよ………』

 

その事が、艦娘になって今も───心にあったのだ。

 

★ーー★ーー★ーー★ーー★

 

 

雷や電の励ましは、心に染みた! 

 

だけど………肝心な部分に届かない!

 

自分を卑下する部分に……命中しない!

 

だが……ここの司令官は、的確に劣等感を看破して……スチュワートの悩みを見事に大破、轟沈させたのだ! 

 

自分の名前を認め、働きを認め、理由を認めて……安心感を与えてくれた!

 

だから……スチュワートは、嬉し泣きをしてしまったのだ。

 

ーーー

 

電「流石……一刀さん……なのです!!」

 

雷「………妬けるけど………しょうがないわね!」

 

暁「あ……いいなぁ、頭ナデナデして貰ってる。 う、羨ましくは無いわよ? これでも───レディだもんッ!!!」

 

響「……気持ちは分かる……」

 

ーーーー

 

ビッグ E「スチュワートの質問は、アタシの為に……?」

 

アリゾナ「半分は勿論……ビッグ Eの為だね。 もう半分は……結構本気だったみたい! 結構──気にしていたからね。 それで……どうかな? ビッグ Eは納得したの? あの提督……指揮官に相応しい人物か見極められた?」

 

ビッグ E「…………………」

 

アリゾナ「不満そう……だね。 じゃあ……私に協力してくれる? 私も少し試したいのよ! 話に聞いた──身を挺して庇った覚悟を知りたいの! それに、敵国だった国の艦娘である私達も……大事にしてくれるのかどうかも!」

 

ビッグ E「何を───!?」

 

この後、ヒソヒソと内緒話を始める二人であった。

 

 

 

ーーーーー

ーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとございます!

 

あっちこっちの史実を引っ張り出して、作り上げた話です。 中には『イメージと違うぅうう!』と叫ばれる提督諸氏もいらっしゃるとは存じます。

 

まぁ……作者の独自解釈ですので……お気にされないように。

 

 


 
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