No.754999

咎を受けし御使いの最後の旅~二人の御使いと二人の劉備~

ユウヤさん

桜楼村へと帰還する一騎一行。しかし村一歩手前で異変に気がつく。
ついに一騎が現代技術を展開する!
では本編どうぞ。

2015-01-31 18:36:51 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1999   閲覧ユーザー数:1646

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 咎を受けし御使いの最後の旅~二人の御使いと二人の劉備~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

襲撃者。一騎の怒り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 桜楼村のある森の入口に到着した一騎一行。しかしそこで村の方で黒煙が上がる。一騎は華琳、春蘭、秋蘭を引き連れ先行し、村に向かった。そこで目にしたものは・・・

 

 一騎「く・・・人かと思えば!」

 

 ザン!

 

 華琳「動く死体とはね・・・は!」

 

 ザン!

 

 春蘭「か、一騎。こいつらはなんなのだ!?」

 

 秋蘭「姉者。説明を受ける前にまずは村を救わねば。」

 

 春蘭「お、応。でぇい!!」

 

 ザシュ!

 

 秋蘭「だがしかし・・・頭を切り落としても口が動いているぞ。気味が悪い。疾!」

 

 ヒュ!

 

 一騎「アンデッド・・・ウォーカー?あまり攻撃は受けないようにな。下手するとこいつ等の仲間入りだ。」

 

 華琳「それはご免被るわ。」

 

 一騎「地面から湧いて来てる所を見ると一概にはそうとは言えないけどな・・・」

 

 四人は森の中で動く死体―呼称をアンデッドとする―と交戦しながら村に向けて馬を走らせる。しばらくすると、森の出口らしき場所が白んで見えた。

 

 華琳「森を抜けるわ!」

 

 一騎「よし、村はすぐそこ・・・な!?」

 

 そこには正しく地獄絵図が広がっていた。村に向けてアンデッド共が向かっているのだ。

 

 一騎「く!華琳、春蘭、秋蘭。一気に殲滅する。やるぞ!」

 

 華琳「ええ、分かったわ。春蘭は一騎と先陣を切りなさい。後ろから私と秋蘭で援護するわ。」

 

 春蘭「はい、華琳様!」

 

 一騎「往くぞ春蘭!はっ!」

 

 春蘭「応!はっ!」

 

 一騎と春蘭は共に馬を走らせる。

 

 華琳「秋蘭は私の取りこぼしをお願いするわ。」

 

 秋蘭「分かりました華琳様。」

 

 そう言って華琳は『絶遠』を構えると、氣を収束し武器に込める。

 

 華琳「ふぅ・・・絶技『斬狩鎌(きりかりがま)』」

 

 華琳は絶遠を振るうとそこから氣によって作りだされた無数の斬撃がクルクル回転しながら一騎達の正面に居る奴らを根こそぎ細切れにしていった。

 

 秋蘭「華琳様、取りこぼしが無いのは仕事をしなくていいと言う事ですか?」

 

 そう言いながらも秋蘭は右へ左へ矢を放ち一つ、二つと敵を確実に屠っていく。ちなみに矢が額に当たると同時に頭が吹き飛んでいるのは氣によって精製された矢だからである。

 

 その頃、一騎達は一瞬で目の前の敵が消滅したのに少しばかり驚いていた。

 

 一騎「華琳容赦ないなぁ・・・一気に100は減ったぞ?」

 

 春蘭「さすが華琳様だな!」

 

 訂正だ。一騎は呆れ、春蘭は平常運転だった。

 

 春蘭「さて・・・貴様と先陣を切るなど夢にも思わなかったが、往くとするか!」

 

 一騎「ああ、そうだな。」

 

 春蘭と一騎はそのままそれぞれの武器を手に取るとさらに速度を上げた。

 

 一騎「まずは氣の技で一つ・・・『鳳凰閃駆(ほうおうせんく)』」

 

 一騎が金政を振り切るとそこから炎の鳥が敵向けて飛んでいき、敵を一瞬で灰になるまで燃え散らして行った。

 

 春蘭「氣をそこまで応用を効かせられるのは仙人の類だと聞いていたのだがな。一騎は本当に強くなった。『剛破魔神剣(ごうはまじんけん)』」

 

 春蘭は馬上から地面すれすれに七星龍牙を振るうと、衝撃波が地面を這いながら敵を吹き飛ばし、ぐちゃぐちゃに打ち砕いて行った。

 

 一騎「次は魔法をからめて見るか。オ・ルラク・ララック・ライラック。来たれ炎精、風の精。炎を纏いて吹き荒れろ業火の嵐。『炎の竜巻』。固定、注入、魔力解放。『焔帝の一撃(えんていのいちげき)』」

 

 一騎が炎の魔法を金政に注入、魔法剣として使用すると、その炎の竜巻は大魔法『燃える天空』と同等の威力となって敵を今度は塵も残さず、燃え散らす。

 

 春蘭「ぬ!私も負けてられん!はぁぁぁぁ!奥義『輝洸大冷斬』」

 

 春蘭は氣を使った大斬撃を振り下ろすとその斬撃は光り輝き一気に正面の敵を凍らせ、打ち砕いた。

 

 一騎「おいおい・・・教えてないのに氣の応用を使いこなすかよ。さすがだな、春蘭。」

 

 春蘭「そ、そんなに褒めるな。照れるだろう!」

 

 そう言いながら二人は無双を続けた。ふと、一騎が村の入り口に目を向けるとそこには桜楼村の防衛隊が樹を筆頭に奮戦していた。

 

 一騎「春蘭、此処は頼む。俺は防衛隊の援護に向かう。」

 

 春蘭「分かった。気を付けていけよ、一騎。」

 

 一騎「ふ、誰に言っている?」

 

 春蘭「そうだったな。もうあの時の北郷じゃないんだったな。」

 

 一騎「そう言う事だ。」

 

 そのまま一騎は樹の方に馬を走らせた。

 

 春蘭「さて・・・と。灰頭(はいかぶり)、お前は村の中に行け。私はやはり馬上戦より陸上戦が向いている。」

 

 春蘭はそのまま馬を下りるとそのまま村の中に馬を走らせた。

 

 春蘭「さて・・・一騎に任されたこの場所を・・・通す訳にはいかないな。」

 

 春蘭はそのまま村に背を向け動く死体共に向けて剣先を向ける。いつの間にか合流していた華琳、秋蘭も共に村を守る体勢で武器を構えた。

 

 華琳「まったく一騎は本当に愛されてるわね。」

 

 秋蘭「華琳様、我等もその愛している者の一人です。」

 

 華琳「そうだったわね。」

 

 華琳は自分の言った言葉に呆れながら改めて絶遠を構え直すと―

 

 華琳「曹孟徳の名において、妖をこの村に入れさせるわけにはいかないわ。夏候元譲、夏候妙才。分かっているな?」

 

 二人「「はっ!!」」

 

 華琳「ならばよし。これより妖を完全に殲滅する!屠り抜け!」

 

 秋蘭「はぁぁ!!『輝龍咆哮破』!!」

 

 華琳の合図と同時に秋蘭は氣を収束、天へと放つ。それはかつて一騎が使った技。空中ではじけ、大地へと降り注ぎ敵を撃ち抜いて行く。

 

 春蘭「ふぅぅぅぅ。奥義!『月閃滅牙』!!」

 

 春蘭は武器に氣を送り込み、それを放出しながら横薙ぎに振り抜くと、半径200メートルに及ぶ半円の斬撃が敵を容赦なく消し飛ばした。

 

 華琳「二人とも張りきってるわね・・・なら私も容赦はしないわ!」

 

 華琳はそのまま敵陣の一番密集している所に突っ込むとそのまま氣を流し込んだ絶遠を横に振り抜く。

 

 華琳「絶遠が奥義・・・『隔離世(かくりよ)』」

 

 その瞬間、華琳を中心に半径100メートルの敵は文字通り消滅した。

 

 華琳「続けて、『断空』!」

 

 今度は縦に振るうと幅5メートル、長さにして500メートルの正面の空間に居た敵がまた消滅した。

 

 華琳「最後に『慙死(ざんし)』!」

 

 さらに華琳は後ろに飛び退きながら空中で絶遠を横薙ぎに払うと、黒い斬撃が敵に飛んでいき、問答無用に切り刻んでいった。

 

 華琳「さあ、まだまだ往くわよ!」

 

 二人「「はい!」」

 

 こうして、三人は沁達が辿りつく頃には周囲の敵を一掃していたとかなんとか・・・

 

 

 

 

 一騎は春蘭から離れ、樹率いる防衛隊の方へと合流しようとしていた。

 

 一騎「はぁぁ!!」

 

 ザシュザシュ!

 

 一騎「こいつらはおそらく及川の手の者だろうが・・・えぇい!まどろっこしい!!」

 

 ザス!

 

 一騎はおもむろに地面に剣を突き立てる。集中し、氣を地面へと流し込んだ瞬間地面が揺れた。

 

 一騎「・・・地縛活(ちばくかつ)

 

 地面の中からくぐもったうめき声が聞こえるとぱたりと地面から奴等がわいてくる現象は止まった。

 

 一騎「よし!樹、大丈夫か!!」

 

 樹「た、大将!よかった・・・俺達でもこれ以上は難しかったです!」

 

 一騎「よく耐えた。一部は消火活動か?」

 

 樹「はい。奴等が一斉に出て来た時に地面が揺れて、火薬庫が何らかの原因で爆発したんです。火の気は無かった筈ですが・・・」

 

 一騎「空気や物の配置の条件では自然発火も有りうる。それよりも敵の侵入を許した訳じゃなくてよかった・・・奴等の攻撃を受けた者はいるか?」

 

 樹「はい、それが何か?」

 

 一騎「いや、変化が無いならいい。モノによっては奴等と同じ存在になりかねなかったからな。」

 

 樹「怖い事言わんで下さい!?」

 

 一騎「冗談抜きで・・・だ。叢雲は?」

 

 樹「今は安静にしてもらってます。その・・・」

 

 一騎「何かあったのか!?」

 

 樹「い、いえ!違います!!」

 

 副長「一騎隊長。これですこれ。」

 

 そう言って副長は親指を立てる。

 

 一騎「・・・出来たのか?」

 

 副長「もうすぐだそうです。」

 

 一騎「はは・・・そうか、そうかそうか!!かっ!これは時間をかけてられないな!!父親が出産に立ち会えないなんざ有っちゃいけねぇ!!」

 

 樹「大将・・・」

 

 一騎「それじゃ一気に決めさせて貰う!!このテンションなら大技無詠唱でぶっぱできるぞ!『千の雷』!!」

 

 一騎はそう言うと、本当に大魔法を無詠唱でぶっぱなした。

 

 警備隊「「「「「ええええええええええええええええええええええ!?!?!?!?」」」」」

 

 樹「ああ、大将そう言う人でしたね・・・すごく懐かしいです。はい。」

 

 一騎「ふ、殲滅完了・・・」

 

 叢雲「きゃああ!!」

 

 樹「叢雲!?」

 

 一騎「な!?」

 

 突然響く叢雲の悲鳴に二人は振り向いた。そこには何処から侵入したのか、アンデッドが叢雲を襲っていた。何故叢雲が此処に居るのか疑問が耐えない二人だったが、叢雲からしてみれば正体不明の敵と旦那である樹が交戦中で有れば心配で仕方無かったのだろう。

 

 叢雲「あう!?じゅ、重心が!!」

 

 叢雲は逃げようとしたが、重心がうまく取れなかったのだろう、地面に倒れてしまった。

 

 叢雲「あぐ!?――っ!?お、おなかが・・・!」

 

 樹「む、叢雲ー!!」

 

 アンデッド「あぁぁぁ、がぁぁぁ!!」

 

 叢雲「うぅ、樹、ごめ・・・」

 

 一騎「させると思ったか?残念だな、それは無理な話だ。」

 

 速攻。一騎はアンデッドに肉薄すると同時に抜刀から納刀という動作を一瞬で終わらせ、チン、と言う音と共にアンデッドは体をまるで液状のような血肉に姿を変えた。

 

 一騎「叢雲、無事か!?」

 

 叢雲「た・・・隊長・・・うぅ!あ、赤ちゃん、ウチの・・・赤ちゃんが・・・」

 

 一騎「破水!?このままじゃ!樹!おなかの子供は何カ月だ!」

 

 樹「じゅ、十か月です!」

 

 一騎「緊急オペをする。樹、俺を・・・信じろ。」

 

 樹「た、大将?・・・わ、分かりました。叢雲を・・・子供を・・・お願いします!」

 

 一騎「ああ、藍、茶々丸。緊急オペ用意。」

 

 藍『よろしいので?帝王切開はすぎた技術ですが。』

 

 茶々丸『私もどうかと・・・』

 

 一騎「・・・俺に、見捨てろ・・・と?小さき命を救えん矜持など今すぐ捨てろ。」

 

 二人『『っ!?御意(イエス、マイマスター)』』

 

 一騎は藍、茶々丸をすぐに呼び出し、二人はてきぱきとオペの準備を開始した。しばらくして、華琳達が沁達と共に樹の傍までやってきていた。

 

 沁「樹、どう言う状況だ?」

 

 樹「敵は殲滅完了ですが・・・叢雲が・・・敵の攻撃を避け損ねて転倒して・・・叢雲は身ごもってて・・・」

 

 沁「な!?それじゃあいつは何をしてるんだ!?」

 

 樹「俺は・・・大将を信じてます。あの人なら叢雲も子供も救ってくれます。」

 

 沁「そ、そうだな。あいつは何だかんだ言って何をしてでも誰かを救おうとする奴だ。」

 

 樹と沁はそのまま一騎の方を見て、ただじっと信じて待つことにした。

 

 一騎「準備は?」

 

 藍「滅菌結界設置完了。同時に除菌済みオペ器具、機材設置完了。」

 

 茶々丸「薬品調合完了。緊急ですので全身麻酔します。バイタルチェック、オールグリーン。」

 

 一騎「これより帝王切開を決行する。各々、集中を乱すな。」

 

 二人「「はっ!」」

 

 こうして、一騎による帝王切開が開始された。正直外で見ている面々は一騎が刃物を叢雲のおなかに入れて切り始めた瞬間動揺が広がったが、樹、沁、華琳が黙って見ているのを見て、一様に落ち着きを取り戻した。

 

 一騎は赤ん坊を取り上げて閉腹作業に移るが、気が気では無かった。本来なら聞こえてきてもおかしくない鳴き声が・・・産声が上がらない。焦りながらも確実に縫合作業を終わらせ、そこに治癒術式を編み込んだ符を張り付けて作業を終了させる。

 

 一騎「藍、赤ん坊は!」

 

 藍「お願いします、泣いてください。どうか・・・お願い!」

 

 赤ん坊「・・・・・・」

 

 一騎「だ、だめ・・・なのか?」

 

 赤ん坊「・・・ああ゛、んあああ!んあああ!!」

 

 藍「あ、あぁ・・・よかった・・・」

 

 一騎「・・・はぁ、本当に良かった。」

 

 その後、赤ん坊は樹に手渡され、急きょ叢雲と樹は白魔館の一室を割り当てられそこでしばらく家族水入らずで過ごすことになった。ついでに一騎から育児休暇を命令として言い渡され、鍛錬以外で武器を握ることを禁じられた。

 

 さり気に二人は話だけ聞いていた異世界の一騎の家を始めて訪れたのだったが、それは別の話。

 

 そして夜も更け、桜楼村の出入口付近。一騎は月を眺めていた。

 

 華琳「・・・一騎。一人でどうしたの?」

 

 一騎「華琳か・・・いや何、及川の事を考えていた。」

 

 華琳「貴方の悪友だと聞いてるけど?」

 

 一騎「ああ・・・今俺はあいつを殺したいほど怒っている。俺の部下を、俺の家族を傷つけようとした。現に叢雲は傷付き、子供まで命の危険にさらされた。無論乱世だ。そう言う事も有るだろう。だが・・・それでも抑えられない激情と言う物も有る。」

 

 華琳「藍達がすぐに各地に旅立っていったのはそれが理由?」

 

 一騎「・・・ああ。そうだ。少なくとも俺や俺に賛同してくれる奴等の領地を荒させないための措置を講じる為に行かせた。しばらくセイバーとアーチャーも各地で情報収集に当たってもらう事になった。」

 

 華琳「そう・・・」

 

 一騎「明日・・・早速だが軍議を開く。華琳には俺の側に居てもらうが・・・良いか?」

 

 華琳「もとよりそのつもりよ。何があっても離れてやるもんですか。」

 

 一騎「ありがとう。」

 

 こうして夜は深くなり、一騎と華琳は共に家路へ着く。一騎と華琳の覚悟は強く、重い。故に強固で強大である。これから始まる群雄割拠の時代は正しく人魔大戦の様相を模し始めていた。

 

 

 

 

 あとがき

 

 

 群雄割拠の始まりとなりますこれからのお話。

 

 取り上げた赤ん坊は今後出番はほとんどありません。むしろ一騎の怒りを出させる為の布石でしか無かったですね。

 

 さて、怒った一騎が藍に申し渡したのは何なのか。茶々丸に命じた事とは?

 

 次回にそれを書ければと思っています。

 

 さて、次回。一騎陣営で開かれる軍議、決まる方針。それぞれがそれぞれの任務の為に動き出す。『大方針』

 

 それではまた次回にお会いしましょう。

 

 え?ゲスト?いえいえ、皆さん忙しそうなのでしばらくは有りません事よ。

 


 
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