No.753751

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第508話

2015-01-26 00:00:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1421   閲覧ユーザー数:1290

 

同日、12:00―――――

 

近郊都市トリスタ――――

 

トリスタの東側の出入り口付近を守っていた貴族連合軍は空から聞こえてくる駆動音に気付いて空を見上げた。

「なっ――――!?」

「フン、やはり現れたか!」

トリスタの上空に現れたカレイジャスを見た兵士は驚き、隊長は鼻を鳴らしてカレイジャスを睨んでいた。

 

~カレイジャス・甲板~

 

甲板にはヴァリマールとトワを始めとしたA班、そしてジョルジュとシュミット博士がいた。

「定刻を回った―――作戦を開始するよ!」

「はいっ……!」

トワの号令にマキアスは力強く頷いた。

「ヴァリマールも準備はいいか?」

「イツデモ出撃デキル―――!」

「フン、お手並み拝見と行こう。」

「どうか気を付けてくれ。」

「―――伏せろ、みんな!」

何かに気付いたガイウスが警告したその時砲撃が放たれた!

 

「くっ……!?」

「ど、導力砲の長距離射撃……!?」

「―――あちらからだ!」

突然の攻撃にアリサ達が驚いている中、何かを見つけたヴァリマールからリィンの声が聞こえたその時、ゴライアスとケストレルがトリスタの前に着地した!

 

「学生ども、我らが相手になろう!」

「墜ちるがいい、紅き翼!!」

「あの青い機体は……!」

「あ、あれって確か……!?」

「帝国解放戦線の二人が使っていた!?」

「間違いない―――!」

見覚えのある機甲兵達の登場にリィン達が驚いている中、ゴライアスは次々と砲撃を放ち、カレイジャスは移動しながら砲撃を回避していた。

 

「ちょこざいな……!確かこの艦にはメンフィルの技術の結界による防壁も搭載されていたはず……念の為にそれも展開してくれ!」

「はい!」

「―――行くぞ、ヴァリマール!」

「応――――!」

最初の障害を排除する為にヴァリマールは跳躍して飛行し、機甲兵達の前に着地した!

 

「灰色の騎士人形……現れると思っていたぞ!貴族連合の誇りにかけて、ここは絶対に通さん―――!」

「ゴライアスとケストレル―――剛と柔の最新機体で圧倒してくれる!」

「マズイわね……模造品とはいえ騎神を圧倒する力と速度だわ。連携されると厄介よ?」

ヴァリマールの中にいるセリーヌは目を細めてリィンに問いかけた。

「問題はない―――あの二人(”V”と”S”)より練度は低い!押し切るぞ、ヴァリマール!!」

「イイダロウ――――!新タナル”チカラ”存分ニ振ルウトシヨウ!」

そしてヴァリマールはゼムリアストーンによって創られた試作品の太刀を構えて2体の機甲兵達との戦闘を開始した!2体の機甲兵達は能力としてはそれぞれ秀でていたが帝国解放戦線の幹部たちが操縦していた程練度は高くなく、また試作品とはいえゼムリアストーンで創られた太刀は圧倒的な威力があり、ヴァリマールは不利な状況でありながらも苦も無く2体の機甲兵達を戦闘不能にした!

 

「――――うおおおおおおっ!!」

ヴァリマールの一閃により、2体の機甲兵達に無数の斬撃が刻み込まれた後2体の機甲兵達は爆発を起こしながら地面に膝をつき、斬撃によって破壊された部分は地面に落ちた!

「な、なんだとおおおっ!?」

「そ、その剣は一体……!?」

戦闘不能になった機甲兵達からはそれぞれ信じられない様子でいる貴族連合の兵士達の声が聞こえて来た。

 

「やったあっ、リィン君!」

「ゴライアスとケストレルを同時に退けたか。フン、どうやら試作品(プロトタイプ)の手応えは十分のようだな。後は境界面の処理だけか。まったく、あやつがおれば……」

トワ達がヴァリマールの勝利に喜んでいる中シュミット博士はその場から去り

「ちょっと博士!?ああもう……!」

シュミット博士の行動を見たジョルジュは声を上げた後呆れた表情をした。

 

「お、おのれ……!ええい撤退だ!帝都方面の部隊に合流せよ!」

「は、はッ!」

そして貴族連合の隊長が指示をしたその時、無線機による通信が聞こえて来た。

「―――お、応答せよ、応答せよ!こちら帝都方面部隊!」

「む……!?なんだ、こんな時に!!」

「メンフィル・クロスベル連合軍が両方面より急襲してきた模様!更に防衛部隊にメンフィル兵が紛れ込んでいた為、各部隊は大混乱に陥っている!至急援軍を――――ギャアアアアアアア――――ッ!?」

「な――――おい、応答せよ、応答せよ!クッ……!一体どうやって我らの警戒を掻い潜って何時の間に帝都に……!こうしてはおれん!すぐに帝都防衛の援軍に向かうぞ!」

「ハッ!!」

通信内容を聞いた隊長は顔色を変えた後指示をし、貴族連合軍は慌てた様子でトリスタから撤退して行った!

 

こうしてトリスタに残っていた貴族連合の部隊は撤退していった。その後ヴァリマールから降りたリィンは降下したトワ達A班と合流―――士官学院の裏門へ迂回するカレイジャスとB班を見送ってから、トリスタへと足を踏み入れたのだった。

 

~トリスタ~

 

「ふうっ、なんとか無事にトリスタに入り込めたね。」

「ええ、なんだか静まり返っていますが……」

仲間達と共にトリスタに潜入したリィンは第三学生寮を見上げた。

 

「……はは……懐かしいな。俺達の”第三学生寮”……そうか、本当に―――本当にこの街に帰ってこられたんだな。」

「はいっ……!」

「ホント、久しぶりよね……」

「シャロンやクロウ、プリネ達もまだ帰ってこれてないけど……」

「うんっ……みんな、もうひとふんばりだよ!このまま一気に――――」

「フン、お前らだったか。」

第三学生寮を前にリィン達が決意を改めていると交換屋の店主――――ミヒュトがリィン達に近づいてきた。

 

「ミヒュトさん……!」

「無事だったんですね……!?」

「ああ、お前達もついに帰ってこれたみたいだな。街のヤツラも変わりないぜ。」

ミヒュトが町に視線を向けると市民達が次々と家や建物から出て明るい表情でリィン達に声を掛けていた。

 

「トリスタの皆さん……!」

「お、お久しぶりですっ!」

トリスタの市民達が無事だった事にリィンとトワはそれぞれ明るい表情をした。

 

「いやあ、街の近くでドンパチが始まったからみんなして避難してたんだが……」

「さっき、貴族連合軍が慌てて撤退していったからもしかしてと思って来てみたんだ。」

「しかし、本当によく無事にここまで辿り着いたもんだ。」

「ふふ、ミヒュトさんから聞いた通りでしたね。」

「も、もしかしてトリスタには事前に連絡が?」

市民達の話を聞いてある事を察したトワは驚きの表情で尋ねた。

 

「ああ、トビー―――トヴァルの奴から連絡があってな。そろそろお前らが士官学院を取り戻しに来るだろうから、出迎えてやれってな。」

「そうだったんですか…………どうやらクレア大尉経由で情報が伝わっていたみたいですね。」

「これからいよいよ士官学院に乗り込むんだろう?”トールズ魂”をしっかり見せて来やがれ!」

「はいっ……!」

「ありがとうございます。みんな、万全の態勢で士官学院に突入するぞ!」

「おおっ!!」

その後準備を整えたリィン達は士官学院の前で立ち止まってトールズ士官学院を見つめた。

 

「トールズ士官学院……俺達Ⅶ組も、ここから始まったんだよな。」

トールズ士官学院を見上げたリィン達はそれぞれ士官学院での思い出を振り返った。

「オズボーン宰相が狙撃され、帝都が占領されたあの日から……」

「あれから2ヶ月くらいしか経っていないんですよね……」

「……なんだか、ずいぶんと遠いところまで来た気がするわ。」

マキアスやエマ、アリサはそれぞれ士官学院を見上げて物思いにふけった。

 

「士官学院を―――俺達Ⅶ組の始まりの場所を。何としても、俺達の手で掴みとってみせるぞ!」

「行こうっ、みんな!」

「はいっ!!」

リィンとトワの号令に答えたA班の面々はトールズ士官学院に突入した!

 

 

 

 


 
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