No.753656 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2015-01-25 18:28:24 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:1855 閲覧ユーザー数:1684 |
~カレル離宮・式典の間~
「後は貴様だけか、カイエン公。」
「貴方を守る協力者達は全員戦意を喪失したか、無力化しました。それでもまだ諦めないのですか?」
「”四大名門”の当主であり”貴族連合”の”主宰”ならば自らの罪を認め、潔く縛につくのが貴様の務めだ!」
「ふ、ふざけるな―――――っ!私はオルトロス・ライゼ・アルノールの……エレボニアの真の皇帝の血を引く者だぞ!?忌々しきドライケルスの血を引く者達よりも遥かに高貴な血を引く私に危害を加えていいと思っているのかっ!?」
ヴァイスやアル、リフィアに視線を向けられたカイエン公爵は喚き
「な……っ!?」
「ええっ!?」
「カ、カイエン公が……あの”偽帝”オルトロスの子孫だなんて……」
「…………私達を幽閉の身にし、帝都を制圧した真の狙いはバルヘイム宮地下に封印されてある”災厄”をその手にし、その”災厄”を使ってエレボニアを……いや、世界を掌握する為だったのか……!」
カイエン公爵の声を聞いたレーグニッツ知事やセドリック皇子は驚き、プリシラ皇妃は信じられない表情をし、ユーゲント三世は厳しい表情でカイエン公爵を見つめた。
「――――下らん。民が真に求める”皇”は血統ではなく、民達の生活に考え、民達が住む国の平和を保つ”皇”だ!」
「民達を蔑ろにする所か自らの欲望の為に民達を傷つけた貴様に”皇の資格”はない!」
「え―――――――ギャアアアアアアア――――ッ!?わ、私の腕が……!?」
そしてリウイとヴァイスは同時に剣を振るってカイエン公爵の両腕を斬り落とした!
「カイエン公も拘束して”C”や”蒼の深淵”共々それぞれ艦内の牢屋まで連れて行き、拘禁しておけ!」
「ハッ!!」
ゼルギウスの指示によって兵士達は両腕から血を流して喚いているカイエン公爵を拘束して既に拘束を終えたクロウ達と共にその場から去り
「私の夢が……先祖代々の悲願が……消えて行く……ハ、ハハハハ…………これは夢だ…………夢に違いない…………」
「ごめんなさい、クロウ……こんな結果になってしまって…………”起動者(ライザー)”の”導き手”として失格ね……これならまだエマの方が私より上ね……フフ…………」
兵士達に連れて行かれるカイエン公爵は肩を落として小声でブツブツ呟いて現実逃避を始め、クロチルダは申し訳なさそうな表情でクロウを見つめて呟いた後肩を落として寂しげな笑みを浮かべ
「ち……く………しょう……!お前達との”約束”……果たせなくなっちまったぜ………!………悪ィ……リィン…………トワ…………ゼリカ…………ジョルジュ……ッ!」
「……………………」
悔し涙を流しながら兵士達に連れ去られて行くクロウの言葉を聞いたエリゼは目を伏せて黙り込んでいた。
「―――エヴリーヌ、もういいぞ。セドリック皇子をユーゲント三世達に返してやれ。」
「は~い。」
リウイに視線を向けられたエヴリーヌはセドリック皇子と共にユーゲント三世達の前に転移した。
「え…………」
突然の出来事にセドリック皇子は呆け
「さっさと家族の所に行けば?エヴリーヌ達はお前の事なんてどうでもいいし。」
エヴリーヌは興味なさげな様子でユーゲント三世達に視線を向けて指示をした後その場から離れてリウイ達の元へと向かい
「セドリック!よかった……無事で……!」
エヴリーヌがセドリックの傍から離れるとプリシラ皇妃が駆け寄って涙を流しながらセドリック皇子を抱きしめた。
「―――今更だが一応聞いておく。エレボニア皇帝ユーゲント・ライゼ・アルノール。このような状況になってもなお、足掻くのか?」
「………………そのようなつもりはない。我々も降伏する。私はどうなっても構わん。だが、プリシラ達やレーグニッツには手を出さないで頂きたい。」
「へ、陛下!?」
「父上、一体何を!?」
「リウイ陛下!せめてユーゲント陛下達の命は奪わないで下さい!」
リウイに問いかけられたユーゲント三世が重々しい様子を纏って答えるとプリシラ皇妃とセドリック皇子は表情を青褪めさせ、レーグニッツ知事が必死の表情で嘆願した。
「安心しろ。エレボニア帝国が滅びてもユーゲント三世を始めとした”アルノール家”の者達に危害を加えるつもりはない上、レーグニッツ知事に関しては本人が希望するのならばエレボニア帝国滅亡後もヘイムダルの知事として続投するつもりだ。」
「…………ならば、私達をどうされるおつもりか。」
レーグニッツ知事の嘆願に対して答えたリウイの言葉を聞いたユーゲント三世は重々しい口調で問いかけた。
「陛下、少々よろしいでしょうか?」
「何だ?」
するとその時ゼルギウスがリウイにある事を耳打ちをした。
「……そうか。ユーゲント三世以下アルノール家の者達並びにレーグニッツ知事。お前達は本日はカレル離宮にて”待機”してもらう。明朝には先程アルフィン皇女率いる”有角の若獅子”達が奪還したトリスタにお前達を送り届ける故、そこで我らがエレボニア帝国全土を完全に制圧するまで待機し、エレボニア帝国全土の制圧が完了し、状況が落ち着けばお前達の”今後”を知らせる。」
ゼルギウスからある話を聞いたリウイは頷いた後ユーゲント三世達を見回して説明した。
「え…………」
「ぼ、僕達をアルフィン達の元に送り届けてくれるのですか………?でも何故明日にですか……?」
リウイの説明を聞いたプリシラ皇妃は呆け、セドリック皇子は戸惑いの表情で尋ねたが
「……もしや彼ら”Ⅶ組”を始めとした士官学院生達の悲願であったトリスタを……トールズ士官学院を奪還した彼らを気遣って、せめて奪還した一日だけは彼らに”エレボニア帝国が滅亡した事を知らせない為”に私達をこの場に留めておくのでしょうか?」
「そうだ。」
「あ…………」
複雑そうな表情をしているレーグニッツ知事の質問に答えたリウイを見たセドリック皇子は辛そうな表情で黙り込み
「………………承知した。敗戦国の皇族である私達やエレボニア帝国滅亡阻止の為に抗い続けて来たアルフィンやオリヴァルト、そして”有角の若獅子”達を気遣っての寛大な心遣い、心から感謝する。」
重々しい様子を纏って黙り込んでいたユーゲント三世はリウイ達に頭を下げた。
「礼は不要だ。俺はトールズ士官学院の”常任理事”の一人としてせめてもの”情け”を与えたまでだ。」
「アル、兵士達に命じて離宮内で今すぐ使える客室を見つけた後そこにユーゲント三世達を案内し、待機してもらっておけ。わかっているとは思うがユーゲント三世達を連れて行くときはくれぐれも手荒な真似はするな。それと可能な限り、ユーゲント三世達の希望にも応えておくように。」
「ええ、わかりました」
ユーゲント三世の感謝の言葉に対して答えたリウイは外套を翻してアルに命令したヴァイス達と共にその場から去り
「私達もいきますよ。―――アイネス、エンネア。デュバリィの事をお願いします。」
「ハッ!エンネア、私はデュバリィを運ぶからお前はデュバリィの武具を頼む。」
「わかりましたわ。全く……相変わらず世話が焼ける”筆頭”ですこと。」
リアンヌは気を失ったデュバリィを背負うアイネスとデュバリィの武具を回収したエンネアと共に去って行った。
「……余達も行くぞ、エリゼ。」
「ええ。……リフィア、頼みがあるのだけど……後で話だけでもいいから聞いてくれるかしら?」
リフィアに促されたエリゼは静かな表情で頷いた後真剣な表情でリフィアを見つめ
「ム?一体何じゃ?」
「……状況が落ち着いた後に話すわ。―――行きましょう。」
そしてリフィアに問いかけられたエリゼは答えを誤魔化してリフィアとその場でまだ留まっていたゼルギウスと共にその場から去って行った。
こうして……メンフィルとクロスベルの連合により、僅か1日で帝都は制圧され……ノルティア州は全面降伏し……サザーランド州も連合軍侵攻に対する領邦軍の防衛部隊の壊滅を知り、自身の敗北を悟ったサザーランド州の統括領主であるハイアームズ侯爵がこれ以上の被害を出さない為にメンフィルに降伏し……残りは未だ降伏の意を示さないラマール州のみとなり、そのラマール州も帝都制圧を果たした連合軍の本隊――――リウイ達やヴァイス達が合流する12月31日に一気に進軍してラマール州全土を制圧し、年内にエレボニア帝国全土の制圧が完了する予定となっていた…………
と言う訳でカイエンはリウイとヴァイスに両腕を斬りおとされましたwwカイエンの出番はこれで終わりで、カイエンの末路についてはエピローグで明かす予定です。まあどんな末路になるかは既に予想できると思いますが(黒笑)
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外伝~果たせぬ約束~後篇