No.750827

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

外伝~アルバレア公爵家の最後~後篇

2015-01-12 11:09:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1724   閲覧ユーザー数:1588

 

~バリアハート・クロイツェン州統括領主城館~

 

「え……ユ、ユーシス様……今何と仰いましたか……?」

事情を聞き終えたアルバレア公爵に付き従っていた執事は呆然とした表情をし

「――――アルバレア公爵家はエレボニア皇家が調印した”戦争回避条約”の一部を実行する為に本日をもって”取り潰し”となった。皆、今までよく公爵家に仕えてくれた……アルバレア公爵家を代表し、心より感謝する。」

ユーシスは執事や使用人達を見回して頭を下げた。

 

「ア、アルバレア公爵家が取り潰し!?」

「そ、そんな……!?」

「そ、それでは私達の仕事はどうなるのですか……!?」

「ユ、ユーシス様……仕事を失った私達はこれからどうすればよいのですか……?」

ユーシスの発言を聞いた使用人達は信じられない表情をしたり表情を青褪めさせたりし

「……お前達の今後については、アルバレア公爵家の城館の新たな主となるクロイツェン州の臨時統括領主であるプリネ皇女殿下を始めとしたメンフィルの皇族の方々に嘆願した際に、お前達自身が希望するのならば、引き続き城館の管理の仕事に就いて構わないとのありがたいお言葉を頂いている。引き続き城館の管理の仕事に就くか……新たな職を探すかはお前達の自由だ。」

ユーシスは静かな表情で使用人達を見回して言った。

 

「ユ、ユーシス様……拘束されてどこかに連れて行かれた旦那様と奥様はどうなったのですか!?」

その時執事が血相を変えて尋ね

「…………父達なら先程メンフィル帝国によって処刑され……兄上――――ルーファス・アルバレアも約2週間前にメンフィルに囚われ、処刑された。ユミル襲撃を始めとした今までメンフィル帝国に対して犯して来たアルバレア公爵家の”罪”を償わせる為にな。」

「なっ!?」

「こ、公爵閣下達が……!?」

「そ、そんな……ルーファス様まで……」

ユーシスの答えを聞いた執事や使用人達は表情を青褪めさせた。

 

「ユ、ユーシス様……ユーシス様はこれからどうなるのですか……?」

「……俺は”戦争回避条約”の一文にあったメンフィル帝国とシュバルツァー家に対してアルバレア公爵家の罪を償う為にメンフィル帝国の貴族となり、シュバルツァー家に仕える立場となり……畏れ多くもケルディックの領主を任される事となった。アルバレア公爵家の最後の一人として、メンフィル帝国とシュバルツァー家にアルバレア公爵家の”罪”を償う為にメンフィル帝国による命令を全うするつもりだ。」

「………………」

ユーシスの事情を聞いた使用人達は黙り込み

「―――すまない。せめて退職金を渡してやりたかったが、”戦争回避条約”を実行する為にアルバレア公爵家の全財産はメンフィルに没収されたからそれすらもできん。不甲斐ない俺を許してくれとは言わん……幾らでも罵りの言葉を受けよう。遠慮なく言うがいい。」

ユーシスは辛そうな表情で頭を下げた後使用人達を見回した。

 

「ユーシス………」

「………………」

その様子をリィンやマキアスは仲間達と共に辛そうな表情で見つめていた。

 

「ユーシス様を罵る等……使用人である我々の為にわざわざ事情を説明して恐れ多くも頭を下げて頂いたにも関わらず、そのような厚かましい事はできませぬ。」

「え…………」

その時執事が言った言葉を聞いたユーシスは呆け

「はい……!それにユーシス様は旦那様や奥様に冷遇され、お辛い立場であった事は自分達も知っています。」

「そんなユーシス様を攻める等恥知らずな真似は致しません。」

「それにユーシス様は私達の為にこの城館の新たな主となられるメンフィルの皇族の方達に頭まで下げて頂いたのですから、恩を仇で返すような真似は致しません。私達の為にメンフィルの皇族の方達に嘆願してくれて心より感謝しています!」

「今までお世話になりました!どうかユーシス様もこれからもお元気でいて……ください………っ!」

使用人達はユーシスに慰めの言葉を掛けたり、中には涙を流してユーシスに頭を下げる者もいた。

 

「お前達………………ッ…………!」

使用人達の心遣いに感激のあまりユーシスは言葉も出ず、涙を流して顔を俯かせて身体を震わせ

「ユーシス様……落ち着いたらどうか私にご連絡をお願いします。私は”アルバレア家”に仕える執事。ユーシス様がケルディックの領主となられた際に、私を傍に置いて下さい。」

「アルノー…………ああ……ッ!さっさと領主としての能力を身につけ、プリネ皇女殿下達より領主として任命されてくるから、それまではその時に備えて身体を休めておけ……ッ!」

そしてアルバレア公爵付きの執事の言葉に驚いたユーシスは身体を震わせながら決意の表情で執事を見つめて言った。

 

その後、カレイジャスはメンフィル帝国領となった事で離陸できるようになったバリアハート空港に着陸―――整備や物資などの調達も行った。

 

そしてリィン達は再び出発するまでの間、それぞれ街の様子を確かめながら一時の休息を取ることにしたのだった。

 

 

 


 
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