No.750747

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

外伝~アルバレア公爵家の最後~前篇

2015-01-12 00:27:25 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2098   閲覧ユーザー数:1921

~ケルディック郊外~

 

「誰か!この縄を解いて!私はクロイツェン州の統括領主であるアルバレア公爵の夫人ですよ!?」

「グッ……!ユーシス!貴様、こうなる事がわかっていて私達を拘束したのか!?貴様、それでも私の息子か!?皇女殿下!誇りある四大名門のアルバレア公爵家の当主夫妻を拘束した上、他国に引き渡すとは一体どういうおつもりですか!?」

「ううっ……」

「嫌だ……!死にたくない……!」

鉄の十字架に縛りつけられたアルバレア公爵夫人は悲鳴を上げ、アルバレア公爵はユーシスを睨み、猟兵達は表情を歪めたり涙を流したりしていた。

「よくも俺達の大市を……町を焼いてくれたな!」

「アルバレア公爵!とっとと地獄に落ちろ!」

ケルディックの民達は怒りの表情で猟兵やアルバレア公爵を睨み

「…………アルバレア公爵閣下。最後に一つだけ聞かせてくだされ。公爵閣下は儂ら―――民達を一体何だと思っていたのですか?」

目を伏せて黙り込んでいたオットーは静かな表情でアルバレア公爵に問いかけた。

「ええい、黙れ!他国に奪い取られたにも関わらず、それを黙って受け入れた恥知らずな愚民等存在する価値もない!」

「こ、こいつ……!」

「領主様!早くアルバレア公爵達を処刑してください!!」

「…………そうですか。それが閣下の答えですか。―――今までお世話になりました。どうか良き来世を。」

オットーの問いかけに対するアルバレア公爵の答えを聞いたケルディックの市民達は怒りの表情で声を上げ、オットーは疲れた表情で呟いた後その場で帽子を取って頭を軽く下げた。

 

「…………ッ…………!」

猟兵達の様子を見ていたサラ教官は辛そうな表情で唇を噛みしめ

「…………父上…………」

アルバレア公爵の様子を見たユーシスは辛そうな表情で肩を落とし

「…………メンフィル帝国との戦争を回避する条約にアルバレア公爵。貴方と貴方の正妻、そしてルーファス卿の身柄をメンフィルに引き渡し、”アルバレア公爵家”の爵位剥奪並びにクロイツェン州全土や”アルバレア公爵家”の全財産をメンフィル帝国に贈与する内容があります。そして……ルーファス卿はメンフィル帝国によって”既に処刑されました”。」

「姫様…………」

「なあっ!?」

「そ、そんな!?ルーファスが!?」

アルバレア公爵の問いかけに対して身体を震わせながらアルバレア公爵を見上げて真剣な表情で言うアルフィン皇女の様子をエリスは辛そうな表情で見つめ、アルフィン皇女の言葉を聞いたアルバレア公爵は驚き、アルバレア公爵夫人は表情を青褪めさせた。

 

「―――なお、ユーシスさんはユミル襲撃を指示したアルバレア公爵の代わりにメンフィル帝国並びにユミルの領主であるシュバルツァー家に償いをする為に、彼はシュバルツァー家に仕える立場になると共にメンフィル帝国より”男爵”の爵位が与えられ、ケルディックの領主になる事がエレボニア帝国がメンフィル帝国との戦争を回避する条約の内容の一部でもあります。」

「なっ!?ユ、ユーシス、貴様……ッ!我が身可愛さに祖国であるエレボニアを裏切って私達をメンフィルに売ったのか!?貴様、それでも私の……いや、誇りある”四大名門”の”アルバレア家”の一員か!?」

「所詮は下賤な輩が産んだ人間ですわね!ルーファスがあれ程貴方を可愛がっていたというのに、そのルーファスを処刑した国の”狗”に成り下がるなんて!」

プリネの説明を聞いたアルバレア公爵夫妻は怒りの表情でユーシスを貶し

「………………ッ…………!」

「ユーシス…………」

「………………」

「貴方達という人は……!」

辛そうな表情で唇を噛みしめているユーシスをリィンとマキアスは心配そうな表情で見つめ、ツーヤは怒りの表情でアルバレア公爵夫妻を睨んだ。

 

「――――フウ。呆れ果ててものも言えないわね。」

「ええ。―――これより公開処刑を始める!全員、十字架から離れなさい!」

呆れた表情で溜息を吐いたレンの言葉に頷いたサフィナが指示するとアルバレア公爵達を囲んでいたリィン達やケルディックの民達はアルバレア公爵達から離れ

「―――始めろ。」

「ハッ!!」

レーヴェに指示をされた兵士達は何かの液体を十字架やアルバレア公爵に振りかけた。

 

「この匂いは確か……」

「油……それも可燃性の高いのだね。」

風によって匂って来た液体の匂いを嗅いだガイウスは眉を顰め、フィーは真剣な表情で呟いた。するとその時松明を手に持つ兵士達が現れ

「松明……?一体何の為に……?――――!!」

「火!?ま、まさか……!」

「”火刑(かけい)”か――――!」

松明を見て何かを察したジョルジュは血相を変え、セレーネは表情を青褪めさせ、ラウラが厳しい表情で声を上げたその時、兵士達は松明を十字架の足元に次々と投擲した。すると油をかけられていた十字架やアルバレア公爵達は勢いよく燃え始めた!

 

「ガアアアアアア―――――ッ!?」

「イヤアアアアア――――――ッ!?」

「熱い!熱いよ―――――ッ!?」

「ウアアアアアア――――ッ!?」

炎に包まれたアルバレア公爵夫妻や猟兵達は悲鳴を上げ

「これが怒りに満ちたメンフィルの”裁き”か…………」

「よりにもよって”火刑”とは……ユミルとケルディックに火を放った猟兵達やそれを指示したアルバレア公爵にとっては”因果応報”になりましたな……」

「怒りに満ちたメンフィルは”ここまで”するのですね……」

その様子を見守っていたクレイグ中将やナイトハルト少佐、クレア大尉はそれぞれ重々しい様子を纏って呟いた。

 

「”火刑”だなんて、ルーファスさんの時と比べるとあまりにもむごすぎるわよ……!」

「い、幾ら何でもこんなの酷いよ……!」

「公開処刑でよりにもよって”火刑”をするなんて……でも考えてみればユミル襲撃の際に火を放ち、更にケルディックの”焼討ち”を行ったアルバレア公達に対する相応しい”報復”ね……」

「”目には目を歯には歯を”という諺のように……”火には火を”と言う意味で”火刑”にしたのでしょうね……」

アリサとエリオットは辛そうな表情をし、セリーヌとエマは複雑そうな表情をし

「確かにアルバレア公はケルディックを焼くように指示したけど、だからと言ってこんな余りにもむごい処刑をするなんて酷すぎるよ……」

「……だが、民達にとってはこの処刑法が最も効果的のようだったみたいだね。」

悲痛そうな表情をしているトワにアンゼリカは重々しい様子を纏って指摘した。

「え…………あ……………」

アンゼリカの言葉を聞いたトワはアルバレア公達が焼かれている事に喜んでいる風に見える民達を見て悲しそうな表情をした。

「ざまあみろ、アルバレア公爵!」

「そのまま地獄の業火に苦しみながら死ね――――ッ!!」

「…………チッ、趣味の悪い殺し方をしやがって。”紫電”が先走らないといいが…………」

市民達の様子や燃え続けるアルバレア公爵達を見回したアガットは舌打ちをして不愉快そうな表情をした後サラ教官に視線を向けていた。

 

「…………ッ…………!」

「……サラ…………」

「………父……上…………う……く……ッ!」

「ユーシス………」

燃え続ける猟兵達を見て唇を噛みしめて辛そうな表情をするサラ教官をフィーは心配そうな表情で見つめ、地面に崩れ落ちて声を押し殺して涙を流すユーシスをミリアムは心配そうな表情で見つめた。

「……ッ……!くそおおおおおおっ!!」

「リィン…………」

「………………」

そして空を睨んで声を上げるリィンを見たゲルドは辛そうな表情をし、シグルーンは目を伏せて黙り込んでいた。

 

こうして……アルバレア公爵夫妻は北の猟兵達と共に処刑された。処刑されたアルバレア公爵夫妻の遺体はプリネ達の配慮と手配によってアルバレア公爵家の墓に丁重に埋葬され……それらをリィン達と共に見届け、プリネ達に感謝の言葉を述べた後ある嘆願をしたユーシスは”アルバレア公爵家の子息として”の”最後の務め”を果たす為に予め元アルバレア公爵家の城館であった建物の前に集まらせた使用人達の所へと向かい、事情を説明した。

 

 

 

と言う訳でアルバレア公爵達はよりにもよって炎に焼かれて処刑されました(黒笑)焼打ちを行ったアルバレア公爵達にとってまさに相応しい報復だと思います(黒笑)なお、今回のイベントのBGMはVERITAの”真実の記憶”だと思って下さい


 
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