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【真・恋姫†無双if】~死を与えることなかれ~13話

南無さんさん

こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
新年明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致します。
挨拶をしたいが為、早めに書きました。
が、今回から暫く神視点?になっております。

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2015-01-03 16:22:54 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:6313   閲覧ユーザー数:5254

「はあああああああ!!!!」

 

 

女はひたすらに敵の将帥を目指し兵を斬り倒していた。

 

多くの兵の命を刈り取った為、構えている剣には鮮血が滴り、

 

彼女が通った道は赤く染まり大地を震撼させた。

 

「小覇王は鬼人」曹兵らが口にする。

 

その圧倒的な武力の前では、如何に曹操の自慢の烈兵とは言え、

 

動揺が広がり士気が著しく低下していた。

 

 

「や、奴は鬼だ…!!」

 

「孫伯符、これ程の傑物とは…!!」

 

「邪魔、退きなさい!!」

 

「ぐわあああああ!!」

 

 

また一人、南海覇王の餌食となり、この世から去っていく。止めを刺した際、

 

返り血が音を立て雪蓮の顔に付着する。しかし、雪蓮は気にする事無く、むしろ

 

舌を這いずり血の味を楽しんでいた。そして、狂気を孕んだ表情に笑みが零れる。

 

その、異端じみた姿に曹軍は畏怖を覚え、思う様に身体を動かせないでいた。

 

 

「どけどけーーっ!!貴様らでは孫策の相手は務まらん!!

 ここは私に任せお前達は直ぐに後退しろ!!」

 

 

味方の窮地を察知してか、はたまた本能からか後方から春蘭が物凄い勢いで到来し

 

雪蓮に対峙した。

 

 

「か、夏侯惇将軍…!!」

 

「何をしている、早くしろ!!」

 

「し、しかし、将軍御一人を残して御下がりするなど…!!」

 

 

恐怖で身体を支配されながらも、曹軍の烈兵らは誰一人も退かなかった。

 

いくら、相手が強大で力量の差が離れていても、将軍を置いて後退する事は出来ない。

 

ましてや彼らも、敵わないのならせめて、命を投げ捨て隙を作り華々しく散り

 

後を託すという士の誇りがあるからである。

 

 

「ここは姉者に任せ後退するんだ。お前達は仮に私と姉者が敗れたら

 死兵となりて華琳様を御守りする役目がある」

 

 

この場に駆けつけた秋蘭もまた、後退しろと促す。

 

 

「しかし、夏侯淵様!!」

 

「誇りも大事だが、それ以前に守るべき人を失えば士ではなくなる。

 今は誇りを優先するのではなく、大局を見定め成すべき事に尽力しろ」

 

「…承知致しました。我等は後退し曹操様を専守致します。

 夏侯淵様、御武運を…!!」

 

「ああ、お前達もな」

 

 

曹軍の兵らは口を噛み締める思いで、後退していった。

 

 

「…さて姉者。念願叶って孫策との一騎撃ちといきたい所だろうが

 二人掛りで攻めるとしようか」

 

「それはダメだ!!と言いたい所だが、この状況では仕方ないな」

 

「ああ。この戦我等の敗戦は濃厚だ」

 

「そういう訳だから二人掛りで行かせて貰うぞ、孫策!!

 卑怯者と言われても結構、私の剣は華琳様の為にある。だから今は最善の方法を選ぶ!!」

 

「…そう……そう」

 

「…む」

 

 

華琳の名を耳にした時、雪蓮の周りに陽炎の様な揺らめきが現れた。

 

そしてその揺らめきが、雪蓮の身を包んでいき、無色透明から

 

徐々に黒い気勢へと変化していく。

 

 

「…そうだわ。私はここで足止めを喰らう訳にはいかない。

 今も一刀は、これも全部、曹操が………」

 

 

次の瞬間、驚くべき事が起こった!!

 

 

「曹操…曹操ーーーーーっ!!!!!」

 

 

雪蓮の咆哮と共に身に纏っていたドス黒い気勢が柱と具現化し空に駆けていった。

 

そして、突如、雨雲が現れ今にも雨が降りそうな

 

雷鳴嘶く戦場へと化してしまった。

 

 

「な、何だ、これは!!」

 

「これは一体…!!」

 

 

 

 

 

所変わって遠くから雪蓮の様子を見詰めていた華琳もまた、

 

驚きの色を隠せなかった。

 

 

「…何、孫策のあの力は!?嫌な予感がするわね、

 我が隊は撤退を止め、春蘭、秋蘭の加勢する!!」

 

「お、お待ち下さい、華琳様!!」

 

 

華琳を諌める様に進言するのは魏の筆頭軍師桂花。

 

彼女は総大将自ら援護に向かうのを下策と思っていた。

 

勝敗は定められたと言っていい状況、ならば主君を逃がすのが得策。

 

雪蓮を足止めしている春蘭、秋蘭も少しでも時をと思い華琳を逃がそうとしている。

 

二人の覚悟を無駄にしない為にも、ここは後退をと何度も言上した。

 

だが、華琳は首を横に振り意志を曲げない。

 

 

「確かに貴女の言う通り、退くが得策、それはわかっているわ。

 けど、私の中に眠る本能があそこに向かえと忠告しているの。

 なら、私は本能に従う。それに、春蘭の下に向かわないと絶対に後悔するから」

 

 

華琳は、危機を察知していた。今、春蘭、秋蘭を助けられるのは自分しかいない。

 

他の将は各々が対峙している呉の将兵に当たっている為、援護は期待できない。

 

更に言えば、何故か華琳は自ら援護に向かわなければならない、そんな気がしていた

 

この断固たる決意に、桂花は屈服する。

 

 

「………わかりました。ですが、御自身の安全を一番にお考え下さいます様、

 お願い致します。華琳様にもしもの事があれば、魏軍にとって再起不能

 真の敗北となってしまいます。それだけは必ず避けなければなりません。

 我ら一同華琳様に尽力致しますが限界がございます。ですから華琳様も

 無理なさいません様、どうか…」

 

「――――わかったわ。それと桂花。私の馬に乗り手綱を引きなさい」

 

「え?あ、はい。かしこまりました。しかし華琳様は…?」

 

「私は貴女の後ろ乗るわ、様は二人乗り、わかったかしら」

 

「は、はい」

 

「それじゃあ、魏の精鋭達よ春蘭、秋蘭の援護に向かう!!神速を用いて急行せよ!!」

 

「はっ!!!!」

 

 

華琳は号令を発し春蘭の下へ向かった。

 

 

 

 

 

「ぐっ!!」

 

「姉者!?」

 

「かすり傷程度だ、大丈夫!!」

 

 

黒い気勢が空に駆けた後。雪蓮は目にも留まらぬ速さで春蘭との間合いを詰めていた。

 

そして、神速の剣術で春蘭を圧倒し、その身に傷を負わせていた。

 

一方、春蘭も口では無事だと固持しているが、表情は険しいものであり正直である。

 

別段、油断して雪蓮との打ち合いに望んだ訳ではない、

 

しかし、春蘭が想像していた以上に雪蓮の武が凄まじかったのだ。

 

 

「くっ!!これでは矢が放てない!!」

 

 

秋蘭は矢を放つ機会を窺い援護しようとしていたが叶わずにいた。

 

二人が離れず、密着し続けていれば、矢を放つなど不可能。

 

春蘭も劣勢を覆そうと距離をとり、秋蘭が援護出来るように離れようとするが、

 

簡単に間合いを詰められ、雪蓮の剣戟を受け止めるので精一杯だった。

 

 

「ぐ、このままだと…!!」

 

「…お前に用はない、夏侯惇。私は一刻も早く曹操の首が欲しいの。

 あの覇道とは名ばかりの汚い女のね」

 

「なっ!!き、貴様、華琳様を侮辱したな。絶対に許さん!!」

 

 

防戦一方であった春蘭が怒りから、雪蓮の剣戟を捌ききり

 

渾身の力を込め薙ぎ払った。

 

 

「貰ったーーーっ!!孫策ーーーーーーっっ!!!!」

 

 

春蘭の大剣が雪蓮に襲い掛かる。だが雪蓮はとある細工を仕掛けて

 

この反撃を読んでいた。それは先程より剣戟の威力を弱めていたのだ。

 

更に、雪蓮は敢えて春蘭を挑発した。

 

華琳を侮辱すれば猪武者の春蘭は必ず挑発に乗る、

 

そうなれば剣戟を弱めた事に気が付かず、一矢報いて来るだろうと予想していた。

 

そして、もう一つこの策に隠されている事があった。

 

それは、怒りで我を忘れた一撃は単調な攻撃になりやすく避けやすい、

 

春蘭を考察していた雪蓮は、

 

十中八九、間髪いれずに薙ぎ払ってくると読みきっていた。

 

 

「甘い!!」

 

 

雪蓮は側転の要領で身体を宙に投げ出し、春蘭の攻撃をかわした。

 

そして、空中で一回転した後、ストンと着地し体勢が崩れている

 

春蘭の息の根を刈り取ろうと、剣を振りかざした。

 

 

「…終わりね」

 

「危ない姉者!!」

 

 

――――ビュン!!

 

 

「ちっ!!」

 

 

そうはさせまいと、秋蘭が矢を放つ。春蘭を助けられるのは私しかいない、

 

誤射する可能性がとかれた今、援護しなくて何になると何本も何本も

 

間髪いれずに繰り出す

 

 

「煩わしい…なら!!」

 

 

雪蓮は矢を弾きながらターゲットを秋蘭に変え懐をめがけ移動を始めるが、

 

向かう際にもう誰も邪魔はされまいと、春蘭の腹に思いっきり膝をいれ

 

暫く動けない様にした。

 

 

「―――――ガハッ!!」

 

 

これを見た秋蘭は激怒し今まで以上の動作で矢を放つ。

 

しかし、雪蓮の身には一向に当たらず、間合いを刻一刻と迫られてしまう。

 

 

「くそ!!何故だ、何故当たらん!!」

 

 

自分の力の無さに激昂する秋蘭。

 

 

「それは、私の武がお前を凌駕しているからよ…!!」

 

 

遂に懐に入られてしまった秋蘭は矢の袖摺節を掴み、直接雪蓮に襲い掛かった。

 

だが、無慈悲にも雪蓮に一矢報いる事は叶わず矢尻を切断されてしまった。

 

 

「まずはお前からだ夏侯淵」

 

「くっ………無念だ」

 

「や…めろ、やめろ孫策ーーーっ!!」

 

 

秋蘭の首に南海覇王が向けられる最中、春蘭が断末魔の叫びを上げる。

 

覚悟を決めた秋蘭は抵抗しなかった。

 

小覇王相手にやるだけの事はやった。ならもう充分ではないか。

 

只、唯一、心残りなのは春蘭と共に夢を見れなくなった事、

 

それ以外何も無かった。

 

 

「さらばだ………姉者」

 

「逃げろ秋蘭!!秋蘭ーーーーーーーっ!!!!!!」

 

 

雪蓮の凶刃を振りかざし息の根を刺そうとした、その時…!!

 

 

「待ちなさい、孫策!!」

 

「――――曹操…!!」

 

 

 

――――――二人の英雄が今、相まみえた

 

 

 

 


 
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