No.743824

恋姫OROCHI(仮) 弐章・弐ノ壱ノ参 ~ころ合流~

DTKさん

どうも、DTKです。
恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、38本目です。

駿河編も早?三本目。
展開的には小休止。

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2014-12-15 23:35:20 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3700   閲覧ユーザー数:3250

 

 

 

 

 

剣丞、雫、明命の三人はころと小夜叉と合流するため、馬で東海道を東へと進んでいた。

 

「あとどれくらいで着くのかなぁ?」

「合流できるのは明日になるでしょうね。確か、ころと小夜叉さんが今いるのは…」

 

頭の中に地図を浮かべる雫。

 

「…け、剣丞さん?」

「なに?どうしたの、明命姉ちゃん」

 

そんな雫の言葉を遮るように、明命が少々震えた声で声を発する。

 

「あ、あれって…なんなんでしょう?」

「あれ?」

 

またあれかな?非現代人特有の、視力10.0みたいなやつかな?

そんなことを思いながら視線を前方に向ける、と

 

「……何、あれ?」

 

遠近感がおかしくなるような感じ。

すごく大きいものがあるんだけど、なかなか近付いてこない。

 

「…雫には、何に見える?」

「馬……みたいに、見えますけど…」

 

確かに姿形は馬のように見えるのだが、多分、恐らく、大きさが尋常ではない。

何か世紀末的な突然変異なのだろうか?

 

「た、たた、大変ですよ剣丞さん!あの馬?人を食べてます!!」

「な、なんだってーーー!!!?」

 

目を細めるが、そこまでは見えない。

なんとなく口元に何かあるような無いような…

 

「って、あれが人か!?」

「ど、どどっど…どうしましょうっ!?」

 

雫も慌てふためく。

 

「何かいい策はないの!?」

「しょ、しょんなこと言われても~~!」

 

そうこうする間に、馬と思しき生物は見る見る近付いてくる。

 

「み、明命姉ちゃん、化け物退治の経験はっ!?」

「あるわけないですよー!」

「と、とりあえず、道の脇に…」

 

避けよう、そう言おうとした時、剣丞の目に食われている人の人相が見えた。

その刹那、剣丞は乗っていた馬を飛び降り、向かってくる馬の化け物目掛けて走り出した。

 

「「剣丞さま!」さん!」

 

危険も顧みず、馬の進路上で両手を広げる剣丞。

止められるかどうかなんて関係ない。

止めて、喰われている人物を助け出す。

それしか考えない。

 

何故なら…

 

「ころーーーー!!!」

 

化け物の口にいるのは、彼の大切な人だったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

 

 

 

「気ぼぢ悪い……」

 

ころは酔っていた。

 

襟首を咥えられたまま、百段はガンガン飛ばして走るものだから、その揺れは荒れ狂う海を行く船以上に揺れていた。

 

(気ぼぢ悪いよ゛ぅ……)

 

先程痛めた足のことなど揺れと共に何処かへと放り出され、ころの世界はただただ回っていた。

そこへ…

 

 

「ころーーーー!!!」

 

 

聞き間違えようの無い、愛する人の声がした。

 

「け、剣丞さまーーー!!!」

 

吐き気など吹き飛んだように大声が突いて出る。

 

『!』

 

剣丞、という言葉に反応したのか、百段は耳を左右に動かしながら、わずかに速度を落とす。

 

「下!下!」

 

ころの声に、百段は大きな目を足元へ転ずると、一人の人間が目に入った。

そしてゆっくりとその脚を緩める。

 

ギリギリ、間一髪。

左の蹄が剣丞の髪先を掠めて、止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

世紀末覇王の愛馬みたいな巨大な馬が、ギリギリ、剣丞の鼻先で止まった。

目の前には馬鹿でかいくるぶし?がある。

 

「剣丞さまーー!!」

「はっ」

 

頭上からの声に意識を戻す。

上を見やると、両手をバタバタと振っている、ころの姿があった。

どうやら喰われていたわけじゃなく、服を銜えられていただけのようだ。

 

「降ろしてくれる~?」

 

ころが馬?に話しかける。

と、その声に反応したのか、ゆっくりと巨木のような首を下ろし、ころを地面へと降ろしてくれた。

 

「ころ!」

「剣丞さ…あ痛っ!」

 

立ち上がろうとした、ころが突如うずくまる。

 

「どうしたんだ、ころ!?」

 

慌てて駆け寄ると、足首を押さえている。

 

「見せて」

 

剣丞は屈みこんで、押さえているころの手を解く。

 

「これは…」

 

ころの右足首は拳大ほどに腫れ上がり、色はどす黒く変色していた。

 

「ころ、いったい何が…」

「「剣丞さまー!」さーん!」

 

後ろから雫と明命がやってくる。

 

「お、大きいです…」

 

剣丞を心配して近付いてきた二人だったが、明命は馬のその大きさに驚きを隠せない。

 

「雫ちゃん…?どうしてここに?」

「ころさん!食べられてたのはころさんだったんですか!?」

「いや、食べられてたわけじゃないんだけど…」

「はわっ!こっち見ました!」

 

場が荒れだしたので、ひとまず剣丞が収拾を図る。

明命を紹介しながら、明命に応急措置をしてもらう。

骨に異常があるかもしれないとのことだ。

その間に剣丞は自分たちの目的を話し、そして話題はころと小夜叉へ。

 

 

 

…………

……

 

 

 

「そんなことが…」

 

訪問先の集落で鬼に襲われ、小夜叉が百段を呼び出し、ころを逃がしてくれたらしい。

小夜叉は一人残り、鬼と戦っているようだが、危険な状況であることには違いない。

 

「早く、小夜叉さんを助けに行きましょう!」

 

雫も勇み立つ。

 

「あれ?」

 

と、明命が声をあげる。

 

「どうしたの?明命姉ちゃん」

「いえ、気のせいかもしれないんですけど、なんかこの百段さん、さっきよりも小さくなってるような…」

「え?」

 

そう言われて巨大な馬、百段を見上げる。

あまり変化はないように思えるが…

と、視線を落とす剣丞。

 

「あっ!」

 

何かに気付く。

 

「本当だ、少しだけど小さくなってる」

 

先程、間近で百段を見た剣丞。

目の前にあったくるぶしが、今は胸元にある。

 

「どうしてこんなことが…」

「……もしかして」

 

と雫が発する。

 

「この百段という馬は、小夜叉さんと氣の繋がりがあるのではないでしょうか?」

「あ…」

 

前に剣丞は、百段は瓢箪の中に入っている、と小夜叉に教えられた。

百段が小夜叉と氣などの繋がりがある、あるいは小夜叉の氣で出来ているのであれば、馬鹿でかい大きさも説明がつく。

しかし、ということは…

 

「小夜叉の氣がさっきよりも減ってるってことか!?」

「恐らくは…」

「急がなくちゃ!ころ、行けるか?」

「大丈夫です!」

 

明命に添え木を巻いてもらい、歩けないまでも多少楽にはなったようだ。

 

「それじゃあ、行こう!」

 

剣丞ところは百段に乗り、雫は元の馬に、明命は剣丞の馬と自分の馬を両方とも駆りながら、小夜叉の元へ急ぐことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

…………

……

 

 

 

「――うわっ!?」

 

剣丞は突如、身を投げ出された。

乗っていた百段が消えてしまったのだ。

 

「剣丞さんっ!」

 

後ろを走っていた明命が自分の馬から飛び降り、剣丞ところを抱きとめる。

 

「っぶなかったー!ありがとう、明命姉ちゃん。ころは大丈夫か?」

「あ、はい!大丈夫です」

 

上手く明命が助けてくれたようだ。

 

「大丈夫ですか、ころ、剣丞さま!?」

 

雫も馬を降りて、三人に駆け寄る。

 

「あぁ、大丈夫だけど、これって…」

 

百段が消えてしまったであろう地点に視線を向ける剣丞。

走っているうちにも、どんどんと小さくなっていった百段。

小夜叉と霊的な繋がりがあると思われる百段が消えた。

ということは…

 

「急ごう!」

 

小夜叉の身が、かなり危険な状態にある可能性が高い。

剣丞たちは先程よりも急ぐのだった。

 

 

 


 
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