華琳は楼音を玉座のある部屋ではなく、客人を迎える謁見の間に通しておくよう指示をすると桂花と凪達を連れて謁見の間へと向かっていた所だった。
「それで、その使者とやらに不審なところは見当たらないのかしら?」
「はい、2人とも慌てる素振りなどを見せず静かに謁見の間で待っているそうです。それと2人がこちらに来たと同時に敵軍が動き始めたようですが、相手から戦闘の意思はない…ただ、時が来たと言ってきていると言う事です。」
「天和達の言ってた事はあながち間違いじゃなかったみたいね」
華琳と桂花がそんな話をしながら歩いていると謁見の間へと着き、華琳たちは楼音と重臣の前に座り、桂花や凪達は2人を取り囲むようにしていた。
「お会いできて光栄です。私の名は楼音と申します…今回は私達を面会する機会を与えてくれたことを大変嬉しく思います。」
そう言うと2人は深々と頭を下げた。
「礼には及ばないわ。それよりもここへ来た目的と私たちの目の前にまで進軍して来た目的を教えてもらえるかしら?場合によっては、あなた達の処遇を決めなくてはならないものだからね。」
華琳の問いかけに楼音は一刀達のところへ行った使者と同じ事を訪問した目的として言ったが、その時と違うところは共に来ている重臣の保護と魏の目前にいる兵士たちの保護を申し出て…そして…
「これは我が主、焔王様よりの書状でございます」
楼音が差し出した手紙を受け取り読み始める華琳。
「華琳様、内容は?」
「楼音と言う者が言った事とほぼ同じだけど、もう1つ…謀反人である臨禅を討って欲しいと言ってるわ。引き受けてくれれば、使者であるこの者たちと目前にいる直属の兵たち、そして自分の身と領地を差し出すと…大した覚悟ね。」
その事を後から入ってきた春蘭や霞、流々が聞いていた時には華琳は考えるしぐさを見せていて、その間に楼音が続けるように…
「こちらに向かっている天の御遣い達にも使者を送ってあります。ただ、そちらには臨禅の企みしか伝えてはおりませんが…」
「それなら話は早いわね。この申し出受けてあげるわ。彼らたちが来るまで兵とあなた達は休んでるいいわ。」
そして、華琳や桂花などが王の間に集まってこれからの対応を話し合っている時に一刀を含めた蜀と呉の本隊が到着した。
「お待たせしました!華琳さん!」
「ホントに着いちゃったわね…桃香と一刀の無茶には呆れを通り越して尊敬するわ」
「待たせて悪かったね、華琳。早速だけど…」
「知ってるわ。あなた達の知らない事を付け加えるとなんでも絽漢の臨禅と言う男を討って欲しいそうよ。そうすれば領地や兵たち、そして自分の身を差し出すと言ってるわ。絽漢の焔王と言う者がね。」
一刀が言い終える前に3人が知らない事を告げる華琳。その後に続けるように冥琳が誰かが言おうとしていた事を話し始める。
「焔王と言う者は己の身を差し出すと言ってるわけだが、信じるに値するかどうか…身を差し出すと言っているのだから、このまま使者から情報を聞き出して諸共征伐するという方法もなくはないのだがな。」
「それはダメです!!!仲間の保護をお願いして来てるんですから、なんとかして焔王さんも助ける方法を探すべきです!!!」
華琳たちに呼び出され部屋の前で冥琳の提案を聞いた楼音は反発するために怒鳴り込もうとしたが、それよりも早く桃香が反発していた。
「桃香…そうは言っても実際なにか良い考えはあるの?」
「そ、それは…」
華琳の問いかけに思わずうまく答える事が出来ない桃香だったが、そこへ意外な人物が部屋に入ってくる。
「焔王様を助ける方法ならあります。ただ、それには御遣い様が必要ですが…」
部屋に入ってきたのは10代後半と思われる若い女性でこの時代には珍しい紅い髪に他の武将たちにも負けない露出のある格好をしたとても綺麗な人で…
「えっと…華琳さんこの人は…?」
さっきとは違った姿に戸惑う魏の面々をよそにその女性は話し始める。
「申し遅れました。はじめまして、桃香様。私は焔王様の使者で来た楼音と言う者です。ちなみに楼音は真名です。」
「それで~?一刀が必要って言うのはどういう事なのかしら?」
「絽漢では天の御遣いの事はあまり浸透していません。宗閑や臨禅達のもとにいる者は全くと言っていいほど信じていませんが、逆に焔王様や私を含めた保護していただいた物たちは少なくとも御遣い様を信じているので、そこを利用すれば焔王様を助け出すのは可能かと…」
「そうは言ってもねぇ~どう思う?冥琳?」
雪蓮に話を振られた冥琳は少し考える仕草を見せて…
「楼音と言う者の話が本当であれば、不可能ではないな。早い話が北郷を絽漢に潜入させてしまえばいいだろうな…楼音とともに…どうしても北郷の事が心配ということであれば、それこそ親衛隊でも作って一緒に行かせればいい」
「なるほどね…それならば、私からは秋蘭を一刀に付けるわ。いいわね?秋蘭」
華琳が秋蘭の方に目を向けると秋蘭は黙ってうなずいていた。
「それじゃあ、私たちからは…恋さんにお願いします。ホントは私が行きたいけど…」
愛紗たちは自分がと言う顔で桃香を見ていたが、桃香自身が残念そうに恋を指名すると恋も黙ってうなずいていた。
「うちは…そうねぇ~冥琳行く?」
「ほぉ~てっきり、お前が行くのかと思っていたぞ?」
「そりゃ~あたしが行きたいけど、あたしが行きたい~って言うと冥琳は絶対反対するでしょ?それなら冥琳が行った方が話が早いと思うし~」
冥琳は深いため息をつくと了承するように頷いていた。
「じゃあ、この3人と楼音さんを連れて絽漢に潜入してみるよ。上手くいくようだったら、焔王さんも助けだしてくるよ。」
「あまり大勢で行くよりも知略に優れた冥琳さんと武勇の恋さん、そこに秋蘭さんの少数であれば動きやすいでしょうし楼音さんもいれば問題ないと思います。ですが、焔王さんの救出はあくまで可能であればの話ですよ?」
「わかってるって…無理はしないよ。それじゃあ、俺たちは準備が出来次第行くからあとは任せるよ。」
心配する朱里の言葉だけでなく、その場に居た全員が不安そうに一刀の方を見ると一刀はそれを払しょくするかのように答えて5人は潜入のための支度に入って行った。
「私たちはどうしましょう…?」
「そうねぇ~とりあえず、一刀達が戻ってくるまではいつでも攻める事が出来るように準備しておくことしかできないんじゃないかしら?華琳はどうするの?」
「雪蓮の言った通おりよ。でも、成功させるためにはもう少しいろんな策を練る必要があると思わない?」
華琳が2人に問いかけると桃香と雪蓮は不気味な笑みを浮かべていた。
そして、支度が整った一刀達は絽漢へ向けて馬に乗って出発していった。
その道中で楼音が唐突に言い出した。
「今の内に大切なことを決めておきたいのですが…」
「「「「大切な事?」」」」
「はい、皆さんの立場をどうするべきかと思って…私は焔王様の側近なので、問題ないのですが、御遣い様達はどうしたら良いかと…」
「なるほどな…それは重要だな。ふむ…臨禅の一派とはあまり我らが合う事はないらしいな?それならば、我らは楼音殿の部下と言うことで問題あるまい。もう少し詳しく決めるなら、私が北郷の妻と言う事にでもしておいて、秋蘭殿と恋殿は妹などと言う感じにしておけばいいのではないか?」
「いやいや、冥琳…それはさすがに無理が…」
「一刀の妹か…少し不満だが、まぁこの場はそれで良いだろう。だが、冥琳殿…あまり調子に乗られると…」
言い終える前に冥琳の後ろを走っていた恋が冥琳に本気に殺気を飛ばしていた。
「そこは心得ている。なので、北郷…絽漢に着いたら私たちの相手を頼むぞ?」
深いため息をついている一刀をよそに楼音が話を切り出す
「あの~そんな事を言ってるうちに領内に入りましたが…」
「ここからは敵陣だからね。3人とも頼むよ!」
気合を入れなおす一刀に応えるように3人は頷いて答えていた。
あとがき
恋姫第六話アップです!!!
並行して書いてるときついですね~だけど、やっぱりなんか楽しいです。
2828要素を入れるといいましたが、入れませんでした…ホントすいません。でも、次からはガンガン放り込んでいきます!
と言うかよりも次を書いてる途中ですが、既に俺の持ってる2828要素を爆発させています(笑)
なので、期待している方もしていない方もゆっくりと待って頂けると嬉しいです。
現状…ニート継続中です。そのため時間はあるんですが、作品の中身を決めあぐねているのが今の状況です…どなたかPCゲームを譲ってください(マジで)
参考として色々やった方が良いかなと思ってまして…でも、ニートにゃ買うお金が無いんです…泣
掲載ペースはあまり早くはないですが、それでも良ければ次の話まで待って頂けると嬉しいです。では、第七話も宜しくお願いします。
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第六話アップです!
並行して別作品をいくつか書いてるので、少し他と混乱してます…並行してる作品はこっちで載せる予定はちょっと…
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