No.740595 司馬日記50・杏(逢紀)ちゃんの細腕奮闘記1.5hujisaiさん 2014-11-30 13:36:16 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:10602 閲覧ユーザー数:6780 |
7月7日
先の求人により、逢紀が総務室に入職していた。曹休様と詠様の御協議で三国一と生協も不定期に勤務するとのことだ。
メイド事務を担当するとのことであったので絡みは少ないだろうが一刀様の為尽力して頂きたいと激励した。
そういえば久しぶりのメイド事務の採用であった気がする。
7月9日
総務室で大掃除を兼ねた書類整理を終えた後、職員らに再び珈琲を振舞って下さった。
書類や家具の移動を太史慈殿にも手伝って頂いていたが整理が終わると直ぐに自分の執務室へ戻ってしまわれており、一刀様より時間があれば一刀様のお部屋へ来て一服するよう彼女に伝えるよう御指示を受けた。
彼女の執務室へ行ったところ孫策様のみがおられ、一刀様の御伝言をお伝えしたところに太史慈殿が帰ってこられたので再度私の方から説明しようとしたが孫策様に制され、
「いい陽(太史慈)?一刀がね、片付け手伝ったご褒美に一刀の熱くって苦くってどろっとしたのを飲ませたいから今から来なさいですって。…やだ、何かなんて聞かなくてもわかるでしょ?でね陽、仮にも貴女呉の将軍なんだし折角一刀が御指名で口から溢れる程飲ませたいって言ってるんだから、女としてそれなりの格好で行かなきゃ駄目よ?それにね、周りに他人が居ても恥ずかしがったりしちゃ駄目、一刀が貴女に飲ませたいって言ってるんだから。ね、司馬懿さん貴女だって一刀が飲めって言うなら周りに人が居ようが喜んで飲ませてもらうわよね?ほら司馬懿さんだってこう言ってるでしょ?あとね、飲ませてもらう時は跪いて目を閉じて心持ち舌を突き出してそこに一刀にブチ込んで貰うのが作法だから。…ああ、これ呉だけのしきたりだから。だから総務室の人はしなかったの。…夕(魯粛)?うん夕はちょっとまだ日が浅かったから知らなかったのねきっと、ほらほら細かい事は気にしないで一刀の気が変わらないうちにさっさと着替えて行ってらっしゃい!」
と 太史慈殿を急き立てられた。
太史慈殿は何故か赤い顔をして慌てて寝室に引っ込まれると薄手で胸元が大きく開いた服に着替えており、一言私に礼を言うや部屋を飛び出して行かれた。
総務室に戻ろうとし部屋に近づいたところ、
「咽るよ!?絶対咽るよ!?」
「構いません、一息にお願い致します!」
という一刀様と太史慈殿の声が聞こえた後、間をおいて太史慈殿が派手に咽こむ声が聞こえた。
何事かと思い部屋を覗いてみた所、一刀様の前で跪き顔中珈琲まみれにした太史慈殿が居た。
太史慈殿は自身の噴出したらしき(?)珈琲まみれの一刀様のお姿を見るや涙目で謝りながら部屋を駆け出していってしまい、彼女の事も気にはなったが兎も角一刀様のお召し替えを急ぎ御用意した。
するとすぐに渋面を浮べた魯粛が現れ、
「あー遅かったか…一刀様。明日から大規模軍事演習なんですから陽の御機嫌。宜しくお願いしますね」とため息をついて左手の親指と人差し指で輪を作り、右手の人差し指をすこすことその輪に出し入れしてみせた。
その後、『もー雪蓮様、むしろこれが狙いなんじゃないかしらぁ!』と愚痴るように言いながら部屋を出て行ってしまった。
7月10日
魏の総務部の仕事後、御嬢様、郭淮、張郃らと飲みに行った。
とりとめのない話をしていたが『化ければ可愛い女は誰だ』という話になり、どこの誰それだ等と言いあって居たが私にも意見を求められた為蜀の璃々殿はいずれ美人になるのではないかと言ってみた。しかし、皆から『そんな分かりきった事は聞いてない』と鼻白まれ、曰く璃々殿や袁紹殿、袁術殿は『既に化けてしまった』口で、又張勲殿は『化けの皮が剥がれた美人』なのだそうだ。
曹洪様が張梁殿を挙げ、張郃と高覧が文醜殿を挙げたあたりでは非常に盛り上がっていた。
7月14日
月様が体調を崩され、暫く静養する為劉璋殿がメイド長代行をされる事となった。
劉璋殿は職務の重さに非常に不安げな様子であったが一刀様がわざわざ総務室に来られ、月様の品質は求めないので適当でよいと何度も仰られた。
相変わらず一刀様は御優しい。
7月16日
農業に心得があった士載に検討させていた、街道沿いを中心とした屯田制の整備案について軍部及び農政局と会議を行った。
いずれの部局も総論として反対は無かったのだが誰を担当にするかで調整がつかず、軍側代表の諸葛誕殿が
「これ簡単な事業じゃないのよ、軍の事も農業も土木もわかんないといけないし。でもどうせ秋蘭は(この事業の為に都から)出る気無いんでしょ?じゃあ士載ちゃんか、司馬懿さん。さもなきゃ楓(曹真)つけてくれなきゃわたしだって(長期出張は)やぁよ」
と発言された。公達様が総務側は士載を担当につけると回答され、農政局側の韓浩殿も了承され事業詳細は今後詰める事となった。
会議後、御嬢様が士載に「ごめんね士載ちゃん、軍関係なら本当は私が行かなきゃいけなかったんだけど…軍の長期出張は一刀様の『夜のお手当』が厚めにつくから許してね」と謝られた一方で、公達様にはあんた(私の事だ)本当に諸葛誕に気に入られてんのねと言われた。
『諸葛の狗を得た』とも称される諸葛誕殿の特異な性癖は夙に知られるところであったので公達様の方が気が合われるのではないでしょうかと申し上げたところ、
「あいつみたいな軍部特有の上司部下の体罰プレイ的なノリってあたしちょっと合わないのよねぇ?どっちかって言うとはじめっから最後まで雌奴隷的な扱われ方のがビンビンにクるものがあるのよ、わかるかしら?もうちょっと具体的に言うとさぁ」
と語られ始め、その先は聞き流していたので余り覚えていない。
兎も角、士載には一刀様に御迷惑を掛けるような性癖を覚えないよう注意しておこう。
7月17日
逢紀の推挙で蔡文姫殿が三国一と兼任でメイド業に呼び戻された。また詠様の指示により劉璋殿が代行から降格し、張任もメイド事務を担当し四名協業して事務に当たる事となった。
詠様に御事情を伺ったところ、『劉璋、元々気ぃ弱くて「お茶汲みと抱かれる位しか出来ない」って言ってたのを無理矢理やらしてたんだけどやっぱ無理があったみたいなのよね。とりあえず、心臓強そうで大雑把そうな娘たちに適当にやらしといた方がうまくいくかなって』
との事だ。一刀様の御身の廻りの事であるので余りいい加減では困るのではと申し上げたが、いーのいーの、あんたも余計な口出さないでよねと逆に釘を刺されてしまった。
7月18日
執務中に廊下の遠くの方で鈍い大きな音がしたので音のした場所を探しに行ったところ、大穴の空いた壁の前でうなだれる元譲様とそれに怒りを露わにした文若様、さらにそれを宥める一刀様がいらっしゃった。
子丹御嬢様が何があったのか行き会った稟様に尋ねられると稟様は溜息を吐きながらぼそぼそと何事かを話され、それを聞くや御嬢様も深い溜息を吐いて帰るわよ仲達と部屋へ帰られようとした。
稟様はなんと言われたのか御嬢様に伺ったところ、
「いつも一刀様に主導権取られて悔しかったから、逆に『壁ドン』してみたかったんだって。馬っ鹿らしい…」
と今一度深い溜息を吐かれながら教えて下さった。背後では文若様が「何壁壊してんのよこの脳筋!」等とまだお怒りであったが補修については管理課で対応する為私も執務室に戻ることとした。
7月20日
財政の会議の準備を逢紀らに手伝わせたが、逢紀がうっかり全員の椅子を用意してしまっていた。私が気づくのが遅れてしまい正に一刀様や仲徳様らが入室されようとされ椅子を片付ける暇が無かった為、已む無く仲徳様用の椅子の脚を蹴り折っておき、入室された仲徳様に椅子が壊れていた為一刀様の膝に座られますようお願いした。
仲徳様の頭の上に載っている人形に『ねーちゃん後輩の指導はしっかりしておくもんだぜ』と言われたが、仲徳様はじゃあしょーがないですねーと言いながら一刀様の膝に座られ特に御不機嫌な御様子は無く会議を進められた。
後で逢紀に仲徳様が議長の場合は仲徳様の分の椅子は用意しないようにと注意しておいたが、まだ慣れない者に会議の段取りをやらせる為には、席次表のみならず配置の詳細についても資料を作っておかねばなるまい。
7月21日
別冊阿蘇阿蘇の対談連載に一刀様が御登場なさった。臣下や各寵姫、果ては民草にまで広く深き思いやりの心をお示しになっており、改めて感激した。
一冊は観賞用、一冊は保存用、一冊は後輩等への教導用に購入した。
7月23日
逢紀の部下として許攸という者が総務室のメイドに入職した。
旧知の間柄であるらしい逢紀があいさつ回りで連れて来たので、一刀様の御為に働ける事を喜びに思い一刀様に尽くされたいと訓示した。
しかし許攸が一瞬鼻で笑うような仕草を見せ、それに不忠不敬の心根を本能的に感じ思わず許攸の顔の脇に短戟を突き立て『一刀様の為に働くと誓えないか』と叱咤してしまった。
許攸は涙目で「ち、誓うわよっ!誓うから殺さないでよ!?」と弁解し、逢紀もよく言って聞かせますんでと言い詠様も『ベタベタ媚びろとは言わないけど、普通に君主と陪臣程度の態度は取れるようにしとかないとこいつ(仲達)じゃないけど殺しに来る奴居るわよ。あと仲達もいきなりキレないの』と御注意された。
許攸はまだ不満気な様子であったのでもう一脅し必要かと思ったが、逢紀が『ほらほら、ちゃんとしないと斗詩が来るよ』と言うと途端に分かったわよ、と従う様子を見せた。
一刀様の御推挙なのだそうだが、あの許攸という女は一刀様のお世話をさせるには相当の教育が必要なのではと思われる。
--------------------------------
【杏(逢紀)ちゃんの細腕奮闘記1.5】
「いい月、今度は新人にムチャな事要求しちゃダメよ?適当でいいのよ適当で、アイツだってそれでいいって言ってんだから!」
「で、でもね詠ちゃん、ご主人さまには気持ちよく仕事してもらった方がみんなの仕事もうまくいくと思うの…」
「程度問題!いっくら採用してもすぐ辞めちゃうからしまいにゃ応募まで居なくなっていくら給料積んでも来ないからって雑務のヒラの初任給がよその係長級なんて職場ここしか無いわよ!?」
「けどこないだ司馬懿さんが普通に…」
「アレは変態!真面目そうな顔して頭の中九割、いえ十割アイツの事しか考えて無くて能力の無駄遣いしてる合間に仕事してるような女だから、アレが普通だとは思わないで!何度も言うけどフツーでいいのよフツーで、ちょっと位気に入らないことがあっても我慢するのよ、いい?」
「う、うん…頑張ってみるね…」
「こんにちはー、今日から配属になりました逢紀です」
「こんにちは、よろしくお願いしますね(良かった、普通な感じの人で…)。私は月と申します」
「あーはい、月様存じてますよ。何回かお見かけしまして」
「あ、月でいいですよ。そう言えば逢紀さんに見覚えがあるような…まあそれはさておきまして、お仕事を教えますね」
「はいお願いします」
「(えっと細かい事は言わずに、簡単に言わなきゃ…)お洗濯はこれこれこうして」
「はいはい」
「寝台整備はこういうふうにして」
「ふむふむ」
「お料理はこんな感じで」
「なるほどなるほど」
「お茶出しや掃除とかもかくかくしかじかに」
「はい、よく分かりました!では明日から頑張りますね!」
「よろしくお願いしますね(ほっ…)」
「月さん、ベッドメイク出来ました」
「あ、はい…ではお洗濯を…(敷き布がちょっと曲がってる…でもこれくらいは…)」
「月さんお洗濯干し終わりましたー!」
「ああ…お疲れ様です(うっ…この柄ものは陰干しの方がいいんだけど…)」
「一刀さん、今夜はから揚げだよー!レモンが付いてなかったから探して掛けておいたからね!」
「あー…うん、ありがとね」
「お、御料理ご苦労様です…(ああ…ご主人さまはレモンが無い方が好きなのに…)」
「(へっへー、ちょっといたずらしちゃおっかな)一刀さーん、お茶ですよぉ」
「おっと…ありがとね杏さ…ん」
「ん?んんー?どしたのかな一刀さん?ねぇねぇどうしたのかな?」
「いや…杏さんその服胸元のボタン一個飛んでない?」
「えー?いやぁん一刀さんのえっちー♪(見えない程度にわざと外してるだけだけどねー!)」
「(雛里ちゃんが死んだ魚みたいな目で打ち合わせの番待ってる…それに図面持っててこれから机に広げるだろうから袖机にお茶置いた方がよかったのに…量もちょっと多いし…ああ、言いたい…)」
「いやぁ月さん優しい人でよかったです!これからもよろしくお願いしますね!」
「え、ええ、こちらこそ…(うう…が、我慢しなきゃ…)」
「なんだかんだでもう一週間かぁ。あたしもこの仕事少しは慣れてきたかな」
「(コンコン)あ、あのぅ…」
「あ、はーい?」
「わ、私劉璋と言いますけど…あの、月様が神経性の胃潰瘍になられてしまったらしくて、しばらく私がメイド業の指揮を執らせて頂くことになりました…あの私、今まで月様に御指示されたお茶運びとか、本当に簡単な事しかしてこなかったのでうまく出来るかどうかわからないんですけれど、なんとかよろしくお願いします…」
「あらら、それは大変ですねぇ。あ、ちょうど余りもんで一刀さんに作ったおかゆがちょっと残ってるからそれ持ってきますよ。お腹に優しいからいいんじゃないかな」
「そ、そうですか、それはきっと月様も喜んでくれるんじゃないでしょうか…あ、でも旦那様に余りモノで作ったやつの残りだとは言われないほうが…」
「えー?月さん気ぃ使っちゃう人だから余りもんでって言った方が気兼ねなく召し上がれちゃうんじゃないですか?じゃ、行ってきまーす」
「あ、あの、そこではなくて『旦那様に余りモノで作った』って事の方がですね、あの…ああ、行っちゃいました…」
Tweet |
|
|
58
|
3
|
追加するフォルダを選択
その後の、とある文官の日記です。
総務室入りした杏(逢紀)ちゃんが、まさかの…!?
いつも皆様の御笑覧有難う御座います。