No.738992

恋姫†無双〜私だけを見てください〜 第5話

マットさん

大変長らくお待たせ致しました。

リアルの生活が大変忙しく、更新を出来ないでいました。

忘れてたって人も、私のことを知らないって人も、是非とも読んでください。

2014-11-23 13:41:35 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2306   閲覧ユーザー数:1941

一刀様の胸の中でしばらく泣いた後、私は気を取り直して一刀様と向き合いました。

 

「……もういいのか、零里?」

 

「はい。もう気持ちもすっきりしました……ありがとうございます、一刀様。」

 

一刀様が私に大丈夫かどうかを聞かれて、私は落ち着きを取り戻した事を一刀様に伝えました。

 

……本当ならもっと一刀様とくっついていたかったのですが、今の状況を考えてやめておきました。また改めてお願いしたいです。

 

「……それにしても、零里ってあんなに強かったんだな。……正直驚いたよ。」

 

一刀様は私の強さを絶賛して、そして驚かれていました。……まあ私が強いのは当たり前ですけどね。私は800億の外史の朱里と『同調』して強さが加算されているのですから、おそらくこの外史内では誰も私には勝てないでしょう。

 

「……ありがとうございます。だって私は御遣いである貴方に仕えて、貴方を守っていくために強くなりましたから。」

 

私は誇らしげな感じで一刀様に言いました。すると一刀様が……

 

「ん?……何だか零里、俺が御遣いとして始めから来ることが分かっていたみたいな言い方だな。」

 

と、聞いてきた時にはびっくりしてしまいました。まさか私が別の世界で一度、一刀様に会っていて一刀様に仕えて、一刀様と共に過ごしてまた一刀様と共に過ごす為に強くなって別の世界である此処にやって来たとは絶対に言えません。

 

「あ、あの……それは……そう!!ゆ、夢で見たんです!!」

 

「ゆ、夢?」

 

私が考えた末に出した言い訳に、一刀様は首を傾げました。

 

「えっと……私が占いを聞いた日に、男の人と一緒に居る夢を見たんです。……その夢の中では私を含めて、民の皆さんも絶え間ない笑顔をしていて、私の隣にいた男の人は、一刀様と全く同じような服を着ていて皆さんの笑顔の源のような感じがして、傍に居る私は『この人の傍に居たらきっと幸せになる』事を考えられるようになって、私も『この人に一生をを捧捧げたい』っておもったんです。……だから私は一刀様の出現を何となく感じていたんです。」

 

「そうなのか。……でも、もしかしたらその男が俺であるとは限らないだけど……」

 

自分の思いつきで言った言い訳に一刀様は納得をして、自分が夢の中の男の人である可能性があると仰いました。

 

「そんな事はありませんよ。……だって一刀様の笑顔を見たらドキッとするんですから///(小声)」

 

私は出来る限り小さい声で言うと……

 

「ん?……何か言ったか零里。」

 

一刀様に聞こえていたようで、一刀様が聞き出してきました。

 

「いえいえいえいえ!!??なんでもないですよ!!?」

 

私はとっさに誤魔化しました。うぅ……恥ずかしいです。

 

その後しばらくすると、民衆の皆さんが先程よりも多くの人を連れて集まって来ました。

 

 

…………………………………

 

集まって来た民衆の皆さんは、何とか立ち上がる様子を見せていますが、その心の中にはまだ賊と戦う事を戸惑っていらっしゃるようです。……これはいけません。こうした僅かな迷いが戦場に出ると、その隙にやられてしまうのですから。……ここはやっぱり一刀様の激励で奮起させないと……

 

「一刀様、民衆の皆さんに一言お願いします。」

 

私が一刀様に一言をお願いすると……

 

「えっ、俺が!?い、いやでも俺、こんな大勢の前で話した事なんて無いし……」

 

と、自分には未経験なので無理と仰いました。……そんな一刀様に私は笑顔で言いました。

 

「安心してください、ただ一刀様がお考えになっている事を皆さんに伝えればいいんですから。一刀様のその言葉に皆さんも、そして……私も付いて行きますから。」

 

「……あぁ。ありがとう、零里。おかげで少し落ち着きがとれたよ。」

 

どうやら一刀様の緊張感をほぐす事に成功したようです。……そして一刀様は私の隣に立って皆さんの方を向き直りました。

 

 

~一刀SIDE~

 

零里に励まされた俺は今、集まった民衆の前に立っている。

 

改めて見るとすごい数の人だ……右を見ても、左を見ても自分の視界に必ずと言っていい程の人の姿が入るのだ。……それだけこの世界の人達は恐怖に怯えて生活を送っているという事だろう。

 

……正直に言ってこんな人達になんて言えばいいのか分からない。

 

俺は元々、こんな恐怖感とは全く縁の無い人生を送るだろうと思っていたんだ。それがどう言う訳か、俺はタイムスリップしてしまい、現れた所が場所が三国志の舞台である中国の三国時代の世界に現れたのだ。

 

……まあ、おそらくこの世界は俺の知っている三国志とは違うのだろうけど。

 

俺の知っている零里こと司馬懿は俺の世界では男として描かれているのだ。だからこの時点で女の子である零里が、俺の知っていた司馬懿とは違うので俺の知っている三国志の世界とは違うのだろう。

 

と言う事は俺は、「自分の住んでいた時代から単純にタイムスリップをした」と言う事ではなく、「自分の世界とは違う世界に飛んでしまった」ようだ。

 

…………うん、一応考えてみたけれどやっぱりまだ分からない事だらけだ。

 

そもそもどうして俺が選ばれたのか……どうして違う世界に飛んだのか……どうして三国志に登場する司馬懿がどうして可愛い女の子なのか……これから俺はどうすればいいのか……そして俺は元の世界に帰る事が出来るのだろうか

 

はっきり言わせてもらって、分からない事が多すぎて挙げ出したらきりが無い。そんな不安や疑問ばかりのこの世界の中で、俺は零里と初めて出会った。……そして、零里の口から告げられたこの世界の真実。……そして、目の前に存在する救いを求める街の人達。

 

その人達が俺の事を『天の御遣い』とか言う、訳の分からない物として見ている。その目には希望の光がこもっていた気がした。

 

だけど、俺にはこの人達が望んでいるような大層な人間じゃない。強さで言ったら、剣道部に所属していたとは言え……零里と比べたら、全く話にならないだろうし……頭の良さでも、当然足元には及ばないだろう。

 

……そんな俺を『生きる希望』として、この人達は見ている。

 

(こんなにも多くの人が……こんな俺に救いを求めている……)

 

確かに今の俺は、何にも力を持たない弱い人間なのだ。でも……

 

(弱いままで人生を終わらせたくは無いはずだ。俺も、零里も……この街の人だって)

 

一つだけでは、何の力も無い『種子』も『自然の力』があれば、立派な『花』を咲かせる事が出来る。今の街の人や俺は、その『種子』なのだろう。そこに零里と言う『自然の力』が加われば、立派な平和と言う『花』を咲かせる事が出来るはずだ。

 

「(俺もその『花』を咲かせる為にも、今は目の前の事を解決しよう!!)……皆、聞いてくれ!!」

 

俺は出来る限りの大声で言った。……その声を聞き、街の人達が俺に注目する。

 

「俺が皆の言う、天の世界から舞い降りた北郷一刀だ。だけど俺は皆の臨んでいるような力は全く無い。……だけど、皆の平和を守っていきたいと言う気持ちがある。皆は逃げる事を考えていたようだけど、それではいつまで経っても平和なんて訪れはしない!!……逃げた事に成功はしても、またすぐに賊たちは皆の事を襲ってくる……だったら戦って、守り抜けばいい。自分から突き破って行かなければ、何も変わりはしないんだ!!『人』って言うものはいずれ必ず死ぬんだ。どうせ死ぬんなら、誇りも何もかもを捨てて逃げ延びて寿命を迎える様な事はしないで、誇りを胸に込めて大切な物を守って早死にをするんだ!!そして、皆には司馬懿が……『神』が居るんだ。だから何も恐れる必要なんて無いんだ!!……だから皆の大切な物を守るために、俺と零里に……皆の命を預けてくれ!!」

 

俺がそこまで言うと、街の皆は一斉に静まり返り、そして……

 

「「「おおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」」」

 

街の皆が一斉に叫んだ。

 

 

~SIDE OUT~

 

「御使い様の言う通りだ!!俺達は誇りをかけて街を守っていけばいいんだ!!」

 

「こんな所で逃げていたんじゃ、いつまで経っても俺達は助からないんだ。……だったらこっちから目に物を見せてやろうぜ!!」

 

「俺、鎌とか鍬とかを持ってくるよ。そんなんでもいいんだろう。」

 

街の皆さんが結託をして一斉に行動を起こしました。……やっぱり一刀様はすごいです。一言で皆さんをこんなにも動かすなんて。

 

「ふぅ……」

 

一刀様はそう言って肩の力を抜きました。どうやら疲れたみたいですね。……私は即座に駆けつけました。

 

「お疲れ様です、一刀様。」

 

私がそう言うと一刀様が振り向いてくれました。……ああ、やっぱり一刀様はかっこいいです///

 

「あぁ、零里。……なれない事をしてちょっと疲れちゃったよ。」

 

そう言って一刀様は首を回していました。

 

「そんな事ないですよ。この街の人達がこうして戦う事を決めてくれたのも、全部一刀様の素晴らしい演説のおかげですよ。」

 

「よ、よしてよ……照れくさいじゃないか///」

 

私が評価をしたら、一刀様は照れくさそうに俯きました。……はぁ~~……やっぱり、一刀様はかわいいですぅ~///

 

「でも、これからが大変なんだよな。……零里、これからも俺の事を支えてくれよ。」

 

一刀様が真剣な顔つきになられたので、私はすぐに平常心を取り戻しました。

 

「……もちろんです♪……一刀様と私の夢のために、ずっと貴方を支えていきます。」

 

一刀様と私の夢……民の皆さんの平和を築くため。

 

そして、私の復讐を遂げる為に……

 

そう思いながら、私と一刀様は街の人達の準備を待ちました。

 


 
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