No.736296

寂しがりやな覇王と御使いの兄8話

あなたまさん

マイペースな子初登場?

2014-11-10 04:07:21 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:10899   閲覧ユーザー数:8259

荊州・南陽郡

 

 

洛陽での大事件を耳にした七乃はすぐに美羽捜索と一刀の安否を調べ始める。まさか自分が言った懸念がすぐ起きてしまうとは流石の七乃も予測出来ていなかった。七乃は今すぐにでも南陽から出て自ら捜索に加わりたかったが、美羽の代わりに留守を任せされているのと、慌てても良いこと何も無いと、なんとか心を落ち着かせていた。

 

伝令兵「張勲様!袁術様が曹仁軍の兵士に守られ無事お帰りになられました!」

 

七乃「ほんとですか?すぐ私が迎えに行きます!あなたは隠密を洛陽に放ってください。あと一刀さんの兵さんにはすぐ食事と休息と充分に与えてください」

 

伝令兵「御意」

 

七乃「美羽様・・・いま美羽様の愛の奴隷である七乃が迎えにいきま~~す!」

 

 

七乃はすぐに美羽が居るであろう城門方面まで走り出す。

わがままでお馬鹿な美羽で無くなろうが、七乃にとってはそのような事は些細な問題。賢くなっても、悟らせずに甘やかせばいいと考えていた……

 

 

 

 

その頃美羽一行は予定された経路から外れ、厳しい強行軍を強いられていた。美羽はもちろんの事だが、訓練を積んでいる親衛隊の面々も疲労困憊の様子だった

 

美羽「やっとついたのじゃ・・・洛陽から結構かかったのお」

 

親衛隊「さようでございますな、追っ手を警戒して豫州を迂回して通りましたので、直接南下するより日数がかかってしまいました。袁術様お体は大丈夫ですか?」

 

美羽「妾のことより自分達の体をいたわってたも。夜もろくに寝ずに敵襲を警戒してくれておったじゃろ?南陽の街でゆっくり休んでいってほしいのじゃ」

 

親衛隊「そうですね、すぐに戻り曹仁様・曹操様の安否を確認したいですが、我々も強行軍ですから数日お言葉に甘えさせていただきます」

 

 

昼夜問わず敵の襲撃を警戒しつつ、自分を護りつづけてくれた事に美羽は感謝の念を示す。付き合いが深く、恩人でもある親衛隊の面々を疲れたまま放り出すなんて発想は端から存在しない。主の生死の心配もあるだろうが、疲れきった体では何かあった時に迅速に行動する事が出来ないのをちゃんと勉強して理解しているのだ

 

 

美羽「うむ!それがいいのじゃ!(.....さま~~~)ん?なにか聞こえたかえ?」

 

親衛隊「いえ、我々には聞こえませんでしたが・・・袁術様、城よりもの凄い勢いで走ってくるお方がいますが」

 

どこからか自分を呼ぶ声が聞こえる。美羽と親衛隊は揃って同じ方向を見てみると……両手を思いっきり振りながら激走してくる人物が1人……

 

美羽「おぉ~七乃かの?七乃~~七乃~!妾はここじゃあ~~~!」

 

うっすらと見えたシルエットで七乃だと解った美羽は、七乃に向かって自分はここに居ると叫び返す。

美羽の声はさほど大きくない、常人ならば聞こえない声量なのだが、七乃の耳にははっきりと聞こえた

 

 

七乃「ピク……いま美羽様の天使の声が聞こえた・・・みつけました!みうさまあ~~~~」

 

 

愛しの美羽を発見した事により、七乃の目はハート型となり、美羽までの道を邪魔する者はすべて薙ぎ払って進む。七乃が通った道には……七乃に轢かれた人々が倒れて死屍累々となっている。

 

 

親衛隊「あの~張勲様が住民ふっ飛ばしながらこちらに向かってますが。。。」

 

美羽「あの七乃怖いのじゃ・・・目が血走ってる・・・」

 

七乃「ミウサマー!ココニオリマシタカー ナナノシンパイデ シンパイデ」

 

美羽「ぴぃぃぃぃー(ガクガクブルブル)」

 

 

そんな人を辞めた七乃の姿を見た美羽はと言うと……完全に怯えていた。

しっかりしてからは見せることが極端に減ったが、トラウマを思い出したり怖い目に合うと、泣き虫が再発するのだ

 

七乃「あぁ~美羽様がこんなに怯えて小さくなっちゃってます。みうさま・・・ハァハァ」

 

 

久しぶりに見る美羽のガチ泣きが見れた事で、七乃は恍惚の笑顔を浮かべつつ吐息を荒くしていた。

この場には落ち着かせる役が不在だったので、親衛隊が暴走したままの七乃を止めに入る

 

親衛隊「あの~張勲様?その辺にしておきましょう。袁術様が白目むいております」

 

七乃「やーん白目むいてる美羽様もかわいい~」

 

 

 

美羽の護衛に就いていた親衛隊一同はこう思った……七乃の美羽への愛情は、一刀が華琳に向ける愛情と似ているのだと……愛が両思い、片思いの差はもちろんあるのだが、親衛隊の心境からすればどっちもどっちなのだ

 

 

 

 

 

 

并州

 

一刀「失礼な!七乃さんより性癖は”まとも”である自信はあるぞ!あくまで華琳に対する愛情は、家族にたいしてものだからな!愛でる対象をいじめることはしないさ」

 

どこかで変態と一緒にされた気がした一刀は憤慨し

 

 

 

陳留より

 

華琳(・・・・なぜかしら、いま誰かの鈍感ぷりにすごくがっかりした気がするのだけれど)

 

秋蘭「華琳様?どうかなさいましたか?」

 

華琳「いえ、なんでもないわ秋蘭」

 

どこかの誰かさんに自分の想いが伝わってなかったような錯覚を覚えた華琳だった

 

 

 

 

 

 

南陽

 

美羽「ッハ!いまなにか聞こえたかえ?」

 

親衛隊「なにか聞こえた気もしますが・・・気のせいだと思います」

 

美羽「そうか~七乃もはやくもどり!ポカ!」

 

七乃「美羽様に頭を優しく叩かれた・・・幸せ~~~!ブシャアアアアー」

 

美羽はなんとか正気に戻ったが、いまだに自分に抱きついたままハァハァ言っている七乃の頭を軽く小突く。そすれば正気に戻るかと思ったのだが、逆に悪化してしまい……今まで見た事が無いほど鼻血が噴射する

 

美羽「な、ななの!?鼻血はだめなのじゃ!?なんでかわからんが、そんなきがするのじゃ!」

 

通常の鼻血と違い、どう対処すればいいか解らずにアタフタしていた美羽の下へ、とある少女が近づき

 

??「は~い張勲さん、とんとんしますよーとんとん~~」

 

七乃「ふがふが、天の国に召されるところでした。どなたか知りませんがありがとございます~」

 

風「いえいえ~お礼なんていいのですよお~それでは風は探し者の途中なのでこの辺で失礼するのです~~あでぃおーすで~す」

 

七乃の鼻血を止め、真名で風と名乗った少女はそのままふらりと居なくなってしまう。

突然の出来事で美羽と七乃は狐につままれたような顔をする

 

 

 

美羽「……のお七乃、いま居たのは誰じゃ?」

 

七乃「誰でしょう?この辺りでは見た事ない子でしたね。それよりも美羽様……ご無事でなによりです」

 

本来この言葉が真っ先に出るはずなのだが、この一言を言うまでにどれだけ時間と人的被害を費やしただろうか……

 

 

美羽「うむ、かずにぃさまの兵達が守ってくれたのじゃ。この者達を城で休ませてやってたも」

 

七乃「すでに準備を命じてあります。美羽様もいまはゆっくり休んでください。かずとさんの安否確認は私が調べておきます」

 

美羽「うむ、では頼むのじゃ七乃。兵達もゆっくりやすんでたも」

 

 

親衛隊の案内は侍女に任せ、自身も疲れを癒すために自室に戻る。

美羽と親衛隊が去ったこの場には居るのは先程と違い、表情を引き締めた七乃だけだった

 

 

 

一刀さん・・・大丈夫でしょうか。なにやら嫌な予感がしてならないのですが・・・いまは報告を待つしかありませんね。そういえば、美羽様が戻ったら読んで欲しいって手紙の内容なんでしょう?戻ったら確認ししませんと一刀さん・・・あなたなら十常侍なんかにやられませんよね……

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「なんか思わず誰もいないのに、突っ込みいれちゃったけど……なんでだろ?なんか言わずにはいれない感じになったんだが・・・」

 

 

洛陽を脱出した一刀が最初に向かった場所は并州五原郡。既に城の中には入っているが、一刀が探している武将の特徴などが解らずにいた。前に暮らしていた外史で姿は見た事は何回かあるのだが、どれも戦場で相対しており、巻き込まれないように遠目での観察だった。唯一間近で見た時は、華琳を助け出す事しか頭に無かったためには観察していなかった。今となってもっと各陣営の人物調べておくべきだったと若干後悔する一刀である。立ち止まっていてもしょうがないため、街をふら付いて情報収集に取り掛かる

 

 

親父「いらっしゃい、兄ちゃん肉まんたべていかないか?俺の作る肉まんはうまいぞ~」

 

一刀「お、まじか。ならおっちゃん1つもらおうか」

 

親父「まいどお!ところで兄ちゃん1個でいいのか?お連れのじょーちゃんが欲しそうにみてるぞ?」

 

一刀「ん?連れ?俺は一人旅でこの并州に来たんだが」

 

親父「そうなんかい?そこのおじょーちゃん知り合いじゃないのか?」

 

一刀「おじょうちゃんってどこに・・・って近い近い!」

 

一刀は肉まん屋の店主が何を言っているのか理解出来ず頭を捻るが、店主が指差す方を向いて見ると、そこには涎をたらしつつ、一刀が持つ肉まんをジーと見ながら接近してきた

 

 

???「.....んん?」

 

一刀「そんなどうしたの、なにか問題?みたいな顔されても」

 

???「.....ジー」

 

もしかして、この女の子がおっちゃんが言ってた子かな?めっちゃ欲しそうに見てるからこの子に間違いなさそうだ

 

???「.......グゥ(おなかが鳴る音)」

 

空腹でお腹を鳴らしつつ、欲しいなと訴えてくる。悪くないはずなのに、なぜかもの凄い罪悪感が沸いてくる。でも自分も空腹だからそれを気にせず食べようとするが……

 

???「......」

 

頂戴……と捨てられた子犬のような瞳で一刀を見つめてくる。これを直視してはいけないと瞬時に判断し、その子が居ない方角に体を向けるが、それを上回る速度で一刀の前に回りこむ少女。そしてとうとうその無垢な瞳を覗いてしまう。

 

 

それだけでも理性が揺らいでいるのだが、更にその少女は胸の前で手を組み、涙を浮かべながら上目遣いを繰り出す。その少女の愛らしさに毒された周りの住民から責める視線が次々と一刀に突き刺さる。何も悪い事はしてないはずなのに、お前が悪いと責められているようでいたたまれなくなる。

 

そんな一刀に向けてトドメの一言が……

 

 

 

 

 

 

???「......おなかすいた....」]

 

一刀「あーもう!仕方ない。ちょっと齧ったけどこれ食べる?」

 

???「パァァァァ!コクコク!」

 

とうとう一刀は折れ、買ったばかりの肉まんをすべてその少女に渡す。受け取った瞬間にパクパクと食べ始め、リスのように口いっぱいに頬張り、幸せそうにしている。食べ始めてから背後がパー!と光輝いてると錯覚する程嬉しさ表現してる。

 

そんな愛らしい少女を見てとうとう一刀も、見惚れ癒されている自分に気がつく

 

???「もきゅもきゅ.....んん?」

 

一刀「ッハ!俺はどうしてたんだ・・・いつの間にか20個あの子にあげてた……なんて恐ろしい子だ」

 

???「....おなかいっぱい」

 

一刀が与えたすべての肉まんを食べ終え、ようやく満足したようだ。

 

 

一刀「それはよかった・・・ところできみはだれだい?」

 

???「......恋」

 

一刀「ん?それ真名だよね?いいの?」

 

恋「......コク、お前いいやつ...だから恋と呼んでいい」

 

一刀「ありがと、じゃあ俺のことは一刀と呼んでくれ」

 

恋「わかった....一刀....じゃあね」

 

 

ほほえみながら軽く手を振って走っていく恋

はあぁぁぁぁ~やばい、やばいよあの子・・・華琳大好きの俺がこれほど揺らぐとは……あれ、そういえば前の外史で手だしたの華琳だけじゃないよな・・・ってことは、華琳とあの子を一緒に愛でてもなんの問題ないはず!これは浮気にはならないよね……?

 

貂蝉が聞いてたら怒りそうな考えなのは否めないが。。。

 

 

一刀「って!真名以外の名前きいてない!財布は軽くなるし、目当ての子にはあえないし・・・」

 

恋と名乗った少女に夢中で、本来の目的である聞き込み、ご飯代などをすべてふいにしてしまい思わずその場に崩れ落ちる一刀。

 

一刀が崩れた落ちた丁度その時、五原郡に住む住人が慌てて駆け込んできた

 

 

住人「大変だ!匈奴の連中が攻め込んできたぞ!」

 

親父「まじかい!数はいくつだんだ」

 

住人「噂だと1千だというぞ、自警団は逃げ出したらしいだ!」

 

親父「1千だって・・・いますぐ逃げる準備しねえとだ」

 

 

 

住人が知らせて来た内容は、漢民族からは異民族と選定されている匈奴軍の強襲だった。

 

五原郡には軍隊は無く、自警団を編成しているのだが……その自警団は命惜しさに我先にと逃げ出してしまった……それを聞いた一刀はゆっくり立ち上がり、住民が知らせてくれた内容を刻み込み、敵の進軍路目指して歩き出す。

 

 

このやり場の無い怒り・むなしさ・空腹感をすべて匈奴の軍にぶつける為に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恋「グゥゥ.....少し食べたりなかった……刀にまた買ってもらう。一刀どこいったのかな?トテトテ」

 

 

そして……一刀の目的である少女が自ら近寄ってくるのが解るのは、もう少し後の話しになる

 

 

 

 

オマタセシマシタ予定の2時ほど寝落ちしたので遅れてしまいました。

并州五原郡と宣言してたのでまずはこの人~恋ちゃん編です

 

 

なんかおかしな人物が一人いる?そんなのしりませんなあ~袁家の普通の絡みでしたから問題ナイデスヨネ?

 

 

さて親衛隊の一人は牛金に決めました。ほかにしっくりくる史実の魏武将から選出して決まったら紹介しますwジンマルさん、提案ありがとうございます!

 

 

 

現代の及川編最近忘れてましたが続き・・・いりますか?


 
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