No.734553

ジオング無い、ゲルググ無い、あるのはザクのみ…

enarinさん

○TINAMIへのモデル投稿の当方オリジナル製作ガンプラ、

『MS-06RS-FT シャア専用高機動型ザクⅡ・ファイナルチューンド』
http://www.tinami.com/view/734420

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2014-11-02 15:33:48 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:1252   閲覧ユーザー数:1228

(1年戦争末期のア・バオア・クー工廠 MSドック 第1ハンガー)

 

シャア・アズナブル(以下、シャア):キシリア様から、完成度80%のMS、ジオングを頂いたのだが…、あれがそうなのか?

カザリ=デス(ア・バオア・クー工廠担当メカニック、以下、カザリ):そ、そうであります、大佐!

 

 MSドックの台座には、

 

“未完成の頭部”

“未完成の手らしき物1つ”

 

が置いてあるだけで、他のメカニックの一人も作業をしていなかった。どうやら、うっちゃられた、であろう事は、一目瞭然だった。

カザリ:申し訳ありません!

 

 ズサッ!

 

 そういうと彼は、重力もろくに係っていないであろう部屋で、器用にもダイナミックな土下座をして、シャアに謝ったのでした。

 

カザリ:現状10%未満の完成度で、発進できない状況であります! キシリア様やその部下の視察では、試験型ザクのパーツで偽装してごまかしました! なにとぞ、キシリア様には内緒にして頂きたいであります!

 

 シャアは冷静な顔つきで、この顛末を眺めていたが、改めて、カザリに向き直った。

 

シャア:・・・・・キシリア様からですら、完成度80%のMSの提供を受ける、大事なニュータイプ部隊であるララァを死なせ、エルメスも落とされる始末、私には、文句を言う資格はないよ・・・・・で、私の乗るモビルスーツは、他にまだあるのか? ゲルググは大破し、リックドムは回してもらえず、あると言えば、そういえば、ザクがあったな・・・・・はは、笑えない冗談だ

 

 しかし、カザリの目は、キラリ、と光った。

 

カザリ:大佐、そのことですが、別のハンガーに来て頂きたいのであります!

シャア:?(妙に自信ありげだな…)

 

 シャアは珍しく怪訝そうな顔つきで、カザリのあとをついて行き、ジオング・・のパーツが置いてあった“隣”のハンガーへ移動した。

 

 そこには、『赤いザク』らしきMSが、見た目でも完成度100%でロールアウトされていたのでした。

(1年戦争末期のア・バオア・クー工廠 MSドック 第2ハンガー)

 

シャア:・・・・これは、私のザク・・・・ではないな?

 

 シャアの疑う声にも負けずに、カザリは顛末を説明し出したのでした。

 

カザリ:いえ、元々は大佐が少佐時代に搭乗していた、“MS-06S ザクⅡ”、です。大佐が地球に降りた後、…その…、ザクを要さなくなってから、HLVで打ち上げて輸送船で、ココへ持ってきて貰ったのです。いつか来るであろう、ガンダムとの決戦にも互角に戦えるように、我々の実務の傍らで、少しずつですが、改修作業を行ってきました

 

シャア:あ、その熱弁は悪いのだが、そんな事をする時間と手間と資材があったら、ジオングを…

 

カザリ:・・・・ジオングに要求されるサイコミュ技術、ニュータイプ適正、大出力化、これは、あの時期のココでも、今のココでも、正直無理難題過ぎて、メカニックも途方に暮れていたのであります。勿論、ジオングの事は最優先にはしていたのですが、如何せん遅々として進まない作業のため、途中から、このザクを完成させる事で、ここの全員が一致したのです。ザクシリーズの技術は、ここの全員が熟知しており、ジオングの作業の何百倍も手際よく進められたので…

 

シャアは仕方ないと諦めて、とにかくこのザクの情報を聞く事にした。

 

シャア:わかったよ、とにかくこのザクについて、教えてくれ

カザリ:ありがとうございます! 了解であります!

カザリ:このザクは、先の通り、ベースは大佐のザクⅡS型です。これを、この工廠でまず、高機動型ザクⅡのR-1型に改修しました

シャア:ああ、白狼君が搭乗している、あの空間戦闘専用、つまり、F型ザクの思想で作られた、一部でゲルググをも超えると噂される機体か。確かに私専用のソレはなかったな

カザリ:噂では無いです、確かに初期ロールアウトの機体はまだまだでしたが、現状、ジョニー・ライデン少佐のR-2型や、更に発展させた、ダリル・ローレンツ少尉のリユース・サイコ・デバイス装備高機動型ザク、通称“サイコ・ザク”などは、ガンダムの発展機と、現在交戦中であり、上場の成果を上げつつあります!

 

 シャアは少々眉をひそめた。その“サイコ・ザクのリユース・サイコ・デバイス”が引っかかったのだ。

 

シャア:悪いが、その“サイコ・ザク”のシステムだったら、遠慮させて貰うぞ。確か、その機体に搭乗する用件は、“パイロットの四肢全ての義肢化”だったはずだ。私は、MSのコアユニットになるのは、流石に避けたいのだが…

 

 だが、カザリはどうやら、“違う”、の意思をくみ取れる表情で、シャアに続けて説明した。

 

カザリ:いえ、あの“リユース・サイコ・デバイス”の技術をそのまま、この機体には詰め込んでおりません。フィードバックの能力はまだテスト段階ですが、もっと別の観点から、別のシステムに転用しました

 

 そういうと、横のロッカーを開け、中から、見慣れないヘルメットと、やはり見慣れないノーマルスーツを1セット、取り出しました。

 

カザリ:四肢の義肢化ではなく、大佐の全身の感応波をキャッチする、専用のヘルメットとノーマルスーツを試作しました。エルメスの技術の応用とも言えます

 

 シャアは、不敵な笑みを浮かべました、我がジオン軍の技術も、捨てた物では無い、この絶望的現状で、一途の望みとして、そう感じたからでした。

 

シャア:機体の技術は、その“サイコ・デバイス”を使っているが、ニュータイプ専用の外部受信デバイスが入ったスーツを介して、機体に伝達する、他、“四肢全ての義肢化“、より落ちてしまう部分は、私のテクでカバーしてくれ、そういうことだな?

カザリは、もう泣きそうな顔で、シャアに羨望のまなざしを送った。キシリアには言えなかった、技術者として言いたい事、そのものだったのだ。

 

カザリ:おわかり頂き、感謝の極みであります! まだ試作段階ではありますが、大佐なら絶対に大丈夫であります!

 

シャア:前にもドレンに言った事があるが、私は死ぬために戦場に行くのでは無いぞ?

 

 カザリはホッとした気持ちになり、改めて、落ち着いて、武装の説明をし出したのでした。

カザリ:ベースのR-1型とは、ほぼ全く違った中身にしてあるので、それと連動するような装備を相当量、装備しておきました。まず、ガンダムの高機動性を超える、大出力の『シュツルムブースター』2機、これは先端に、リックドムのビームバズーカの技術を縮小して作った『ビームキャノン』を装備してあります

 

シャア:そうだな、ガンダムの機動性や命中能力を超えるためには、相当量の機動性を確保しないといかんとは、ゲルググの時によくわかったよ

 

カザリ:次に、シュツルムブースターに装着する、『ロングバレルビームライフル』2丁。これはゲルググのビームライフルとビームバズーカの中間の出力のライフルとお考えください。出力はガンダムのビームライフルを超えてます

 

シャア:ゲルググやザクの時もそう思ったが、ガンダムのビーム兵器は驚異だから・・・ん? ビーム斬撃兵器がないぞ? あれはゲルググの時、良いと思ったのだが?

 

カザリ:あの兵器のビーム消費は実は相当量です。大佐、この機体は、正直言うと、接近戦向きではないです。両肩をシールドに変更したのは、ここに強化型ザクバズーカ、強化型ザクマシンガン、ヒートホークを2セットマウントさせるためで、シールドとしての効果は0と思って頂きたいですし、このヒートホークは、ガンダム接触までに使い切って結構だと思ってます。向こうの量産機などが邪魔な時に、思い切って突き刺してそのまま放置して良いと思います

 

シャア:なるほど、そのための大出力ブースターか。合点がいく。いずれにしても白兵戦専用と当初言われたガンダムに白兵戦を挑むのは、確かに野暮だったな

 

カザリ:次に、腰にヒートナイフを2本用意しましたが、これは、宇宙空間での邪魔な物を切り取るために使われるとよいです。所謂、作業用ですね。攻撃なら、突き刺して使い切りでOKです

 

シャア:なるほど、割り切っているわけだな

カザリ:以上が武装の説明です。また、ゲルググとは比較にならない程のGが係ります。お気を付けください。90%の操作はサイコデバイスで出来ます。あとは、大佐を信じます!

 

シャア:ああ、頑張ってみるよ

 

 シャアは真顔で、これまで説明されたモノ全てに目を光らせた。

 

シャア:将来、私が作るような事があったら、このような技術には、“サイコフレーム”とでも、名前を付けようかな…、ふっ、そんな気がするから、怖い物だな、ニュータイプというモノは…

 

 そうつぶやくと、全てのモノを受け取り、ハンガー内部への連絡部屋に向かおうとした。

 

カザリ:大佐なら大丈夫であります!

シャア:そう、信じたいモノだな、いや、信じる事にしよう。色々ありがとう

カザリ:もったいないお言葉であります!

シャア:ところで、あのジオングの残骸、どうするんだ?

カザリ:試作品のパーツなど、飾りであります! 偉い人にはそれがわからんのです!

 

シャア:はは、私はわかったけどね。では!

 

 そういうと、ドアを開け、ハンガーに向かった。

シャア:ガンダム、この生まれ変わったザクで、今度こそ、決着を付ける!

(とあるオフィス)

 

三代目メイジン・カワグチ(ユウキ・タツヤ、以下、ユウキ):・・・・うっ・・・・・

 

 どうやら、今までの顛末は、夢オチだったようだ・・・・・・

 

ユウキ:・・・・はは、7年前に作った、私のザクアメイジングやケンプファーアメイジングのミキシングの塊MSが、あの神聖な1年戦争ラストバトルで出てくる夢を見るとは・・・・。私も少々疲れているらしい・・・・。今日は早めに上がるとしよう・・・・・

 

 そういうとユウキは、新規キットの3D図面が映っていたモニターとPCを消して、書類を引き出しにしまい、オフィスを後にしたのでした。

 

(了)


 
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