No.732762

真・恋姫†無双 裏√SG 第12話

桐生キラさん

こんにちは!
Second Generations楽綝伝其一
今回から凪の娘こと凪紗ちゃんの視点です

2014-10-26 17:00:04 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1507   閲覧ユーザー数:1312

 

 

 

 

 

「隊長、こちらです」

 

「あぁ。全員、配置に着け」

 

私は隊員の一人に案内され、許昌の裏通りにある家屋の前へとやってくる。

私の後ろには、約25名にも及ぶ隊員が控えていた

 

「包囲完了しました。いつでも行けます」

 

隊員の一人が私に耳打ちした。私の背後にいた隊員も、そろって頷く

 

「よし、行こうか」

 

私は扉の前で待機している隊員に目で合図する。

隊員はそれを確認して頷き、勢いよく扉を蹴り飛ばした

 

凪紗「警邏隊だ!お前達、全員動くな!」

 

「!?警邏隊のガサ入れ!?テメェら!ずらかるぞ!」

 

私が家屋の中に入ると、中にいたガラの悪い男達が慌ただしく裏口へと逃げようとした

 

凪紗「逃がすな!楽綝隊の名にかけて、一人残らず確保しろ!」

 

『ハ!』

 

私の後ろにいた隊員がぞろぞろと中へ入って行き、屋内を囲むように位置取る。

それと同時に、裏口からも隊員がやってきた

 

「回り込まれているだと!?えぇい!テメェら武器を取れ!ここを突破するぞ!」

 

主犯格らしき男が叫ぶと、ガラの悪い男達が手近にあった物を武器として構え始める

 

凪紗「違法賭博、薬物犯罪、売春、さらには公務執行妨害のオマケもついたか。

刑は軽くはないぞ」

 

「ハッ!知るかよ!ここを抜けりゃ関係ねぇんだからよぉ!」

 

主犯格らしき男が槍を構える。男はそのまま走り、槍を私に突き付けながら向かってきた

 

凪紗「無駄だ」

 

『上段、顔面を狙った突き』

私はそれをしっかり見極め、槍を躱し、そのままその槍の柄部分を握りしめる

 

 

バキッ

 

 

少し強めに握ってやると、木製でできていた柄は簡単に折れ、砕けた

 

「な!?」

 

男は武器を折られた事に驚き、後ろにたじろぐ。

私はその隙を逃さず、男の腕を掴み、地面に組みふした。そのまま腕を脚で固める

 

 

ボキッボゴォッグキッ

 

 

「うごぇっ!」

 

腕、肩、首と関節をきめる。

すると関節が外れる鈍い音と、その痛みにみっともない悲鳴をあげる男の声が響き渡った。男はそのままグッタリとし、気を失ったようだ

 

凪紗「さぁ、次はどいつだ?」

 

私は男から離れ、立ち上がり、残りの悪党共に向かって睨みを利かした。

すると悪党共の何人かは、青い顔をして「ヒィッ」と声を漏らしていた

 

兄さんと咲希姉さん直伝、『最初に無惨なものを見せて、残りを威嚇する』作戦は効果覿面だったようだ

 

凪紗「抵抗しなければ何もしない。大人しく捕まるんだ」

 

私がそういうと、多くの悪党共は武器を捨て、降参の意を示した

 

「ちくしょう!これで終われるかー!!」

 

だが中には、こうして抵抗しようとするものもいた。はぁ、仕方ない…

 

凪紗「隊員は身柄の確保にあたれ。抵抗しないものは丁重に扱えよ。

抵抗するものは…一切の容赦をするな」

 

今回はこの私、許昌警邏2番隊隊長、楽綝こと凪紗がお相手します

 

 

 

 

 

楽綝伝其一

 

 

 

 

 

 

 

兵士「お疲れ様です、隊長!」

 

突入作戦を終え、容疑者の身柄の確保を済ませると、隊員の一人が私に声をかけ敬礼した。

見れば、後ろに控えていた隊員も同様に敬礼している

 

凪紗「あぁ、みんなもご苦労だった。楽にしていいぞ」

 

私がそういうと、隊員は敬礼をやめ、それぞれ楽な姿勢になる。

すると、隊員の一人がプルプルと何かを我慢しているようだった

 

凪紗「ん?どうかしたか?」

 

私は聞いた。いや、聞いておいて、答えはほとんどわかっていた。なにせ、あの人は…

 

張虎「あぁいや、こりゃ失敬!綝お嬢様も、ずいぶんと立派になられたなぁと思われて。

この張虎、嬉しさのあまり目からお酒が…」

 

凪紗「おぉい!それは涙じゃない!酒だ!まったく、本当に酒好きは親譲りですね、張虎さん」

 

私の隊員の一人、張虎さんはおんおんと嘘泣きをしつつ、酒を飲んでいた

 

張虎さんは、あの張遼将軍の一人娘で、私より二つほど年上の女性だ。

張遼将軍に似てふまじ…お酒好きだが、腕は確かで、かつては王異さんと同じく兄さんの部隊で活躍していたらしい

 

張虎「えーやーん。もう仕事終わったんやでさー。な?みんなもこれから飲みに行こ!」

 

凪紗「何いってるんですか!?まだ日の高い内から酒なんて、後で夏侯覇隊長から怒られますよ!」

 

張虎「ふん!はーちゃんなんて、怖ないもん!」

 

秋菜「ほう?そうなのか?」

 

張虎「さぁみんな!事後処理やで!キビキビ働くぞー!」

 

突然の秋菜姉さんの出現により、張虎さんは冷や汗をダラダラと流しながらキビキビと働き始めた。

すごい切り替えの速さだ。流石は張遼将軍の娘

 

凪紗「って、あき…夏侯覇隊長、いつからこちらへ?」

 

秋菜「いやなに、ちょっと様子を見にな。だが、流石凪紗だな。もう鎮圧していたとは」

 

そう言って、秋菜姉さんは私の頭を左手で撫でてくれた。右手には…

 

凪紗「なんで王異さんが引っ張られてるんですか?」

 

秋菜姉さんの右手には、首根っこを掴まれ、ズルズルと引っ張られている王異さんの姿があった。どうやら気絶しているらしい

 

秋菜「なぁに、職務に怠慢な隊員の頭を殴っただけだよ。

さて、私はこいつを連れて先に隊舎へと戻っている。また後でな」

 

凪紗「あ、はい」

 

秋菜姉さんはそのまま王異さんを引きずって城へと戻って行った。

王異さんは相変わらずだなぁ

 

張虎「友紀はアホやなぁ。ウチならもっとわからんように手ぇ抜くのに」

 

凪紗「その呟きが私の耳に入ってる時点で、張虎さんも十分アホだと思いますよ。

おっと、その人達は…」

 

張虎さんや兵士の何人かが、女の子を背負って家屋から出てきた。

みんな、顔色が悪かったり、みすぼらしかったり、虚ろな目をしていた

 

張虎「売春させられてた子やな。むごいもんやで。身も心もボロボロって感じで」

 

恐らく、薬物に手を出してしまったが故に、その中毒性に抗えず、売春する事を強要されたのだろう

 

「くすりぃ…くすりをちょうだい…」

 

背負われていた子が弱々しく呟いていた

 

凪紗「っ!ひどいな…」

 

私は背負われている女の子を直視できず、思わず目を逸らしてしまった。

それと同時に怒りがこみ上げてくる。これが、徐福のやり方。

人の人生を簡単に滅ぼす、悪魔の所業。絶対に、許されるはずがない

 

 

 

 

張虎「あ、そういや今日、双子の誕生日やんな?」

 

事後処理を終え、書類整理していると張虎さんが尋ねてきた。

張虎さん、頼むから見てるだけじゃなくて、仕事も手伝って欲しいな

 

凪紗「はい。と言っても、兄さんは不在ですから、咲希姉さんだけになりますけどね」

 

兄さんは現在、父さんの世界に住んでいる。

兄さんの事だから自分の誕生日を忘れていそうだが、あの世界には兄さんの恋人もいるし、祝ってもらえるだろう

 

凪紗「今晩うちで咲希姉さんを祝うんですが、張虎さんもどうですか?

ていうか、どうせ張遼将軍も来ますし、ご一緒しましょうよ」

 

張虎「オカンが行くって事は、夕飯ウチが用意せなアカンのか。

だるいな。うん、今日は寄らせてもらうわ!」

 

張虎さんは張遼将軍と一緒に住んでおり、ご飯も交代で作っているんだとか。

ただ、張遼将軍は【晋】によく来るので、夕飯はほとんど張虎さんが作っているらしい

 

秋菜「ただいま。ん?霰(しゃん)がここに居るのも、ずいぶん珍しいな」

 

仕事部屋の扉が開かれ、秋菜姉さんと王異さんが入ってきた。

秋菜姉さんは別段変わった様子はないが、王異さんは…

 

霰「友紀…一体何があったんや」

 

グッタリしていた

 

友紀「霰か…お前は仕事サボるなよ…」

 

霰「お、おう…あ、はーちゃん、今日の誕生会、ウチもご一緒させてもらうわ」

 

秋菜「そうか、では書類は全て友紀に任せて、我らは上がるとするか」

 

友紀「はぁー!?この量一人!?お前達だけ酒飲めて私だけ仕事なんて不公平だろ!」

 

秋菜「お前がサボって昼間から飲むのが悪いのだろうが。

それに、これはもともとお前の仕事だ。今まで溜めてきたツケが来たのだよ」

 

王異さんの目の前には大量の書類仕事が残されていた。

こんなにも残しておくなんて、いつからやってなかったのだろう

 

友紀「だ、だからって、何も今日じゃなくても…せっかくの誕生会なのに…」

 

秋菜「なら、さっさと終わらせて合流すれば良いだろう。

ふふ、待っているぞ。では凪紗、霰、行こうか」

 

秋菜姉さんは上着を取り出し、早々に部屋から出て行ってしまった。

霰さんもそれについて行く形で部屋を出た

 

友紀「ちっ!ああいうところは、兄にそっくりだな」

 

凪紗「あの、大丈夫ですか?」

 

友紀「ん?別に気にしなくていいぞ、凪紗。お前は姉とは違って優しいな。

ま、確かに自業自得なんだ。しっかり片付けて、早めにそっちに合流してやるよ」

 

そう言って、王異さんは私の頭を少し撫で、仕事に取り掛かった。

私は一言「頑張ってください」と言うと、王異さんは手を上げて応えてくれた。

私はそれを確認し、少しだけ罪悪感を覚えながらも、部屋を出た

 

凪紗「………」

 

部屋を出たところで振り返り、扉を見つめた

 

凪紗「………あ、すごい。本当に朝には終わってる」

 

友紀さん、やればできるのになぁ

 

 

 

 

『誕生日おめでとう!!』

 

咲希「ありがとう、みんな!」

 

それから程なくして【晋】に着き、誕生会が始まった。

ここには兄さん以外の【晋】の家族が全員と、華佗さんと華雄さん、霞さんと霰さん、音々音さん、それに北郷さんと翠さんと璃々さんも来てくれた

 

 

 

雪蓮「いやぁ、咲夜ももう16?月日が経つのはあっという間ねぇ」

 

咲夜「そりゃ、私らも歳取るわけだ」

 

秋蘭「お前らのその発言も、年寄りじみてきているぞ」

 

悠里「いやいや!まだまだこれからですって!あたし達まだ若いっすよ!」

 

凪「いや、若くはないと思うけど」

 

母さん組は母さん組で固まり、何やら楽しそうに談笑していた。

昔は父さんを取り合った仲らしいけど、仲良いよなぁ

 

 

 

詠「最近、あの時の面子が集まる事が増えてきたわね」

 

月「だねー。でも、みんな変わらないよね」

 

霞「いやいや、うちから見たら、月と詠、めっちゃ変わってんで!

どんだけええ女になってんねん!」

 

音々音「霞の言う通りですぞ。なんと羨ましいことか…」

 

恋「ねねも大人っぽくなったよ。ね、セキト」

 

セキト「わん」

 

華雄「というかセキト長生きだなオイ」

 

あちらは、父さんが言うところの元董卓組の面々が集っていた。

昔、いろいろあったらしいが、それでも彼らは今を生きて、楽しんでいるようだ

 

 

 

華佗「なぁ零士、一刀。結婚生活とはどういうものなんだ?」

 

零士「おや、華佗が珍しい事を聞いてきたぞ」

 

一刀「結婚生活かぁ…俺も零士さんも、尻に敷かれてますよね…」

 

男組は男組で何やら話し込んでいた。

そう言えば、華佗さんと華雄さん、あれからどうなったんだろう?

 

 

 

翠「そういや、猪々子は最近、斗詩と婚約したんだよな?」

 

猪々子「おう!もう斗詩の可愛さったらねぇよ!斗詩はあたいの嫁!」

 

流琉「あ、それじゃあやっぱり猪々子さんが旦那さんなんだ」

 

こちらでは面白い組み合わせの三人が談笑していた。

そう言えば、流琉さんも綺麗なのに、特別異性と仲の良い人は父さん以外にいないよなぁ。

まさか流琉さん、猪々子さんみたいに季衣さんと一緒になったりして

 

 

 

璃々「あれ、今日友紀ちゃん来てないんだ」

 

霰「書類仕事に追われてますわ。ありゃ徹夜でやらな終わらんのとちゃうかな」

 

璃々さんと霰さん…共に元司馬昭隊のお二人。

璃々さんは確か、あの隊の最年長という事もあり、顧問のような立場にあったと聞いた。

霰さんは隊の一番槍。突撃力が誰よりも凄まじいと聞いている。

あの二人と友紀さんは、かつて兄さんを支えていたとか

 

 

 

秋菜「ほらこれ、姉者がずっと飲みたがっていたお茶っ葉だ。これを買うのは苦労したぞ」

 

蓮鏡「私からはこれよ。呉の職人が作った首飾り。綺麗でしょ!」

 

悠香「あたしは凪紗ちゃんと一緒に買ったティーセットだよ!大事に使ってね!」

 

凪紗「咲希姉さん、誕生日おめでとうございます」

 

咲希「ありがとう、お前ら!」

 

私達姉妹はそれぞれ咲希姉さんにプレゼントを渡していた。

咲希姉さんはプレゼントを受け取ると、とても嬉しそうに笑って見せた

 

凪紗「あ、咲希姉さん、兄さんの様子はどうですか?」

 

私は別の世界にいる士希兄さんの事が気になり、咲希姉さんに聞いてみる。

現状、士希兄さんと連絡が取れる人間は咲希姉さんしかいないからだ

 

咲希「士希?あいつなら泣いてるぞ」

 

蓮鏡「は?なんでまた?」

 

咲希「さぁ、詳しくは知らんが、向こうでも祝ってもらったみたいだぞ」

 

悠香「まさかにぃに、祝ってもらえた事が嬉しくて泣いてたりして」

 

秋菜「ふむ、兄者の事だから、自分の誕生日を忘れていて、そこを突かれてサプライズ、なんてことになっているのではないか?」

 

凪紗「あぁ、はやてさん、そう言うの好きそうでしたからね」

 

なんで泣いてるかは分からないけど、祝ってもらえたのなら良かった

 

 

 

 

凪紗「結局、友紀さんは来ませんでしたね」

 

秋菜「みたいだな」

 

そしてしばらく経ち、誕生会はお開きとなった。

私は片付けを手伝いつつ、開くだろうと思っていた店の入り口の扉を見つめていた

 

凪紗「あの、流石に悪かったんじゃ…」

 

私がそう言うと、秋菜姉さんは小さくため息を吐いていた

 

秋菜「……今度、奢ってやるさ」

 

秋菜姉さん、なんだかんだ優しいよなぁ

 

凪紗「ふふ、そうですね。その時は私も付き合います」

 

友紀さんの事だ。なんだかんだお酒を奢れば、機嫌を直してくれるだろう

 

 

 

そう、この時の私はそう思っていた

 

 

 

だけど、この直後に事件が起きてしまったのだ

 

 

 

馬超将軍を狙った暗殺事件が………

 

 

 


 
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