No.732058

咎を受けし御使いの最後の旅~二人の御使いと二人の劉備~

ユウヤさん

華琳編終了です
では本編どうぞ

2014-10-23 16:54:05 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2367   閲覧ユーザー数:1861

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 咎を受けし御使いの最後の旅~二人の御使いと二人の劉備~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記憶

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 陳留の執務室、そこで仕事をしていた華琳は夏候淵の緊急の報告を聞いていた。

 

 華琳「張角の正体がわかった?」

 

 夏候淵「はい、どうやら季衣が張角を見かけたことがあるそうで・・・」

 

 華琳「で?どんな容姿なの?さすがにこんな手配書のような姿では無いんでしょう?」

 

 夏候淵「はい。容姿は背まで伸びた長い桃色の髪、おっとりとした顔つきの綺麗な女性とのことでした。旅芸人をしているらしく、季衣曰く結構好きな歌、だそうです。」

 

 華琳「歌・・・?」

 

 夏候淵「ええ、三人組で歌を歌っていたらしいですね。それで桂花に調査を頼んだ所、どうやら歌で兵を集めていたようです。」

 

 華琳「歌で兵を集めてるって、本当にできるの?」

 

 夏候淵「現にこうして大規模な軍勢になっていますので、効果は高いものかと。」

 

 華琳「・・・欲しいわね。その三人。」

 

 夏候淵「華琳様、また悪い癖ですか?」

 

 華琳「考えても見なさい、美しい女性、歌で大兵力を集める才、それも三人。欲しがらない理由がある?」

 

 夏候淵「ございませんね。華琳様ならなおさら。」

 

 華琳「あら、含みがあるわね?」

 

 夏候淵「めっそうもない。ですが手に入れるなら及川辺りには気をつけておかないと・・・」

 

 華琳「沙和たちみたいに取りこまれる・・・か。仕方ないわね。秋蘭、柳琳に調査をさせなさい。桂花は及川の牽制で手いっぱいのはずだから。」

 

 秋蘭「御意。」

 

 華琳からの指示を受け退室する夏候淵を見送りまた机の上の竹簡に視線を移す華琳。現在の自陣営の内容を考えながら農耕に関する報告書に目を通す。

 

 華琳(及川と言う不確定要素のおかげでうまく動けていないわね。全兵力8万の内3万が及川隊と言うの大きい。今はおとなしいけど、何時こちらに牙を向けてくるか・・・)

 

 華琳「はぁ、つっ!?最近頭痛の間隔も短くなっている、これは本格的に医者に診てもらった方がいいわね。確か城下に華陀と言う名医が来ていたはず・・・見てもらおうかしら。」

 

 突如華琳を襲う頭痛、幸い城下に大陸でも名をはせている華陀が来ていると言う報告をつい最近受けていた。手配をしようかと思っていた矢先、今度は荀彧が急報を持って訪ねてきた。

 

 桂花「華琳様!」

 

 華琳「どうしたの?」

 

 桂花「黄巾党の本隊の場所が分かりました!現在兗州、徐州の州境に居るとのこと!!」

 

 華琳「分かったわ、及川隊2万に先行させなさい。私達は少し遅れて出発する。」

 

 桂花「へ?お、大人しく出陣するでしょうか?」

 

 華琳「私は華陀に会ってから出陣するわ。そう言えば納得するでしょう。」

 

 桂花「まさか、お加減が悪いのですか?」

 

 華琳「間隔が短くなっているの。だから、ね?」

 

 桂花「はい、分かりました。」

 

 華琳は荀彧に及川の隊を動かすよう指示し、それを受けた荀彧はそのまま華琳の心配をしながら執務室を後にした。

 

 それを見届けた華琳だが、自身の頭痛がただの頭痛では無い予感がしていた。

 

 華琳(・・・ただの頭痛じゃない。なんなの?何かが頭の奥から飛び出してきそうなこの感覚。痛いんだけど・・・嫌じゃない?早く・・・出て来て・・・)

 

 華琳「かずと・・・」

 

 そう呟いた華琳だったが自分が呟いた言葉の意味を知る事はまだ無かった。いや、呟いた事すら自覚していなかった。

 

 

 

 

 

 華琳は手早く終わらせられる仕事を片づけて城下に来ていた。華陀に会う為である。本来なら呼び出しを掛ける所なのだが華陀自身に予定があり、来られない可能性を考慮しての訪問であった。

 

 華琳「えっと・・・此処が華陀の居る宿ね。店主、居るかしら?」

 

 店主「はいはい。って曹操様!?」

 

 華琳「華陀はまだいるかしら?」

 

 店主「か、華陀さんでしたらまだお部屋ですが。」

 

 華琳「ちょっと会いたいのだけれど、呼んでくれるかしら?」

 

 店主「は、はい!」

 

 華琳(私ってそんなに怖いのかしらね?)

 

 それから数分後、華陀が宿の店主に連れられて華琳の元へ来た。

 

 華陀「えっと、この街の太守である曹操殿が俺に何か用なのですか?」

 

 華琳「ええ、一寸診察を頼みたいの。これから黄巾党の本隊の討伐に行かなければならないけど・・・ちょっと頭痛が酷くてね。」

 

 華陀「っ!戦争をしに行くのか?」

 

 華琳「貴方の噂は聞いてるわ。貴方は医者。命を須らく救い、守るのが仕事。でも私も為政者なの。賊によって無為に奪われる民の命を守らなければならないわ。それは分かって頂戴。つっ!?」

 

 華陀「ぬ!?大丈夫か!」

 

 華琳「これは本格的に間隔が短くなっているわ。今朝もこれくらいの頭痛がしたの。ただ・・・この頭痛はただの頭痛じゃない気がして・・・」

 

 華陀「・・・わかった。こっちだ。」

 

 華琳「すまないわね。」

 

 こうして華陀に導かれ華陀の止まっている部屋に案内された華琳は椅子に座らされた。

 

 華陀「それでは少し診させてもらう。」

 

 華琳「どうするの?服でも脱ぐ??」

 

 華陀「そのままでいい。俺が見るのは氣だからな。正確には氣の中に巣くう病魔だが・・・」

 

 華琳「へえ、五斗米道とはそう言う医術なのね。」

 

 華陀「・・・じゃない。」

 

 華琳「え?」

 

 華陀「五斗米道じゃない!ゴッドヴェイドー!だ!!」

 

 華琳「・・・えっと・・・ごっど・・・べいどー?」

 

 華陀「ヴェイドー!」

 

 華琳「ごっど・・・ゴッドヴェイドー?」

 

 華陀「おお、さすがは曹操殿。すぐにその発音が出来るとはさすがだ!!」

 

 華琳「お、お褒めに預かり光栄だわ。そ、それじゃあよろしく頼むわね。」

 

 華陀の思いがけない熱血に当てられ圧されぎみの華琳だったが、当初の目的を果たしてもらうべく、診察を促した。

 

 華陀「お、すまない。では診察を始める。・・・・・・む・・・・・・ぬ??・・・・・・これは・・・ここか・・・?いや・・・・病魔にしては・・・・・・・・・これは・・・封印?・・・少し違うな・・・これは・・・意思か?・・・・・・・・・むむむ・・・・・・・・・こいつは・・・」

 

 しばらく華陀は華琳の全体を見渡しながら胸を凝視しだした。

 

 華琳「ど、どこ見てるのよ!」

 

 華陀「む?ああすまない。君の頭痛の原因がその辺りにあったものでな・・・」

 

 華琳「・・・貧乳が頭痛の原因だと言うの!?」

 

 華陀「ち、違う違う!!要するに心の臓、いや、この場合心や魂に近い所と言うべきだ。俺もこう言った事象は初めてだ。病魔の様には黒くなく、それでも病魔のように憑いているような・・・一応、取り除く事は出来るが・・・どうする?」

 

 華琳「・・・よろしく頼むわ。」

 

 華陀「わかった。それでは仰向けでそこに横になってくれ。それと・・・鍼は刺しても問題無いか?勿論痕は残らんのだが・・・」

 

 華琳「鍼治療なの?問題無いわ。やって頂戴。」

 

 そう言って華琳は寝台に横になり目を閉じる。さすがに目を開けてらないようであった。自分の体に鍼が刺さっていくのを想像してしまったようだ。そんな事とは考え及ばず、華陀は懐から裁縫針みたいな金色の鍼を取りだした。

 

 華陀「我が身、我が鍼と一つとなり!一鍼同体!全力全快!必察必治癒!病魔覆滅!げ、ん、き、に、なれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 ピシャーン!!と背後で雷が落ちたような気がしたがそれは気の所為であろう。と言うか病魔じゃないって言ってなかったか?

 

 華琳「・・・終わったの?」

 

 華陀「ああ・・・どうだ?何か変わった所はあるか?」

 

 華琳「・・・・・・・・・分からないわね・・・別に変った所なんて無いみたいだわ。」

 

 華陀「ふむ・・・憑き物は取れているから、しばらくすれば何かしら変化が出るかもしれん。」

 

 華琳「そう・・・わかったわ。報酬なのだけれど・・・」

 

 華陀「いらん。俺は無償で治療をしている。それに何かしらの改善が見られない以上完全な成功とも言えんしな。」

 

 華琳「私がそれをよしとするとでも?」

 

 華陀「むぅ・・・ならば食料を頼む。数日分で良い。実はそろそろ次の街に行こうと思っていた所でな。」

 

 華琳「分かったわ。今日中に届けさせるから、宿に居なさい。」

 

 華陀「ああ、分かった。それでは曹操殿、息災でな。」

 

 華琳「ええ、ありがとう。」

 

 華琳はそのまま宿を後にして城に戻っていった。城に戻った華琳は文官に数日分の食料(一人分)を宿に居る華陀に届けるように申し渡すと、そのまま執務室に戻っていった。

 

 華琳(これで終わりっと・・・少し散歩でもしようかしら。)

 

 ふと華琳は夜の散歩に出る事にした。

 

 城の中にも川が流れており、うまく木々を茂らせ、それはまさしく森の中にある小川のほとりを再現させていた。華琳が何故かそれを作りたく思っていて、昔からそれを作る為に力を注いでいたのだ。それこそ母の代からそれを頼みこんでまで作った華琳のお気に入りの場所。それでいて心に何かを訴える場所。

 

 華琳「・・・」

 

 華琳は小川を眺めていた。ふと、夜空を見上げるとそこには大きな月が輝いていた。

 

 華琳「・・・大きな月ね。」

 

 誰もいない場所に向けて華琳は言葉を発した。誰に?どうして?華琳はそれを分かっていた。

 

 華琳「貴方は答えてくれないのね。一刀。」

 

 華琳は思い出していた。華陀の治療を終えた後すぐにどう言う状況かは理解したのだが華陀に記憶の事を話しても混乱させるだけと判断したのだ。

 

 華琳「今なら分かるわ、凪が私の所に来なかった理由が。あの時の言葉の意味が。一刀・・・貴方は西の地で誰と居るの?きっとまた誰かをたらし込んでいるのでしょうね。・・・私の事は覚えているの?どうして・・・私の所じゃないの?」

 

 考え出したらきりがなかった。涙があふれて来て止まらなかった。

 

 華琳「一刀・・・かずと・・・かずとぉ!!」

 

 何度も呼ぶが彼は答えない。現在彼は華琳のそばには居ない。それでも彼女は彼の名前を呼び続けた。愛しい男の名前を・・・彼女と彼が出会うのはまだまだ先の話なのだから。

 

 その日の翌日、まるで何事も無かったかのように華琳は黄巾党本隊の討伐に出陣した。

 

 華琳「一刀、私は私の道を往くわ。だから貴方も貴方の道を往きなさい。そして・・・今度は離れてあげないわ。」

 

 それから数十日後、黄巾党の本隊は壊滅。しかし張角達は見つからず、数カ月も行方知れずとの報から、どこかで討たれてしまった。そして誰も気が付かなかったのではないかと言う事になった。

 

 華琳「・・・ふぅ。一刀、うまくやったみたいね。三姉妹を入れてどれだけ増やしたか・・・ちょっと気がかりね。フフフ、一刀、覚悟しておきなさい♪」

 

 三姉妹の行方が分からない時点で一刀辺りがうまくやったと判断した華琳はそう呟いたとかどうとか。

 

 

 

 

 あとがき

 

 

 

 華琳編終了っと・・・

 

 華琳「結局短かったわね。」

 

 ん~、やる事ほとんど無いよね黄巾党編って・・・

 

 華琳「言ってのけたわね。結構気になる所あったと思ったんだけど?」

 

 星を襲ってた輩の事?

 

 華琳「それもだけど・・・ほら、及川側の陣営ってどうなってるの?」

 

 報告したほうがいい?ここで?

 

 華琳「文句言う読者は男なら菊の女なら魅惑の蕾の花が咲くわ。報告しない場合貴方の地の花が咲くわ。」

 

 怖いわ!?えっと・・・及川は総兵力3万は変わらず。陳圭(燈)、陳登(喜雨)を完全に手中に収めてるって所かな。李典(真桜)于禁(沙和)も然り。

 

 華琳「結構あるわね・・・」

 

 華琳側は総兵力6万で側近3人に加え曹家3人娘、許褚(季衣)が味方、典韋(流琉)と徐晃(香風)は未合流、どうするかは未定。

 

 華琳「あら、充実してるわね。ならいいわ。」

 

 さいで・・・では次回は桜楼村帰還からになる。

 

 華琳「一刀・・・鄧艾の陣営はどの程度なのか気になるわね。」

 

 そこは次回のお楽しみ。ではまた次回。せ~の。

 

 二人「「次回も見ないと首を斬る(わよ)!!」」

 


 
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