No.731759

戦国†恋姫 の続きを妄想してみた。4

深夜にこっそり投稿。こっそりする必要はどこにもありませんが…。
待っててくださっている方々、第4話お待たせいたしました。
ごゆっくり、見ていってください。
皆様からのご感想をお待ちしております。

2014-10-21 23:19:52 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3008   閲覧ユーザー数:2676

 天下人松平葵の居城である江戸城。その巨大な城の外壁は一面を金で覆われており、外堀も巨大な溝に覆われ天下一の城と呼ばれていた。その江戸城の頂点に葵はいた。夜ということもあり、彼女は寝巻きの薄着を着ており、その服から白い肌が薄っすらと透けて見えていた。

「葵さまぁ~万事上手く言っておりますよ。小波がきっと新田剣丞のしるしを持ち帰りましょう。これで、我らの天下は安泰でございますぅ~」

 そう葵に語りかけるのは、葵の臣下にして愛人である本多悠季正信、通称悠季である。何も身につけていない彼女は、葵にしだれかかり勺をしている。

「えぇ…新田剣丞、本当に目障りな人だったわ。久遠お姉さまが変わってしまったのも、この世界がこんなに乱れたのも…全てはあの男のせい。でも、これで、終わるのね。私が…いえ、松平こそがこの世界を平和にできる唯一の勢力。そして、唯一の統治者です。貴女には感謝してます。」

 葵は悠季を抱き寄せ、唇を奪い押し倒した。

「…葵様ぁ~」「悠季…貴女が紹介してくれた術者。あの者が来てから、私の人生は大きく変わりました。言葉通りにするだけで、連合軍の家族を人質に新田剣丞を孤立させることができたのですから。」

 葵は悠季の胸元に顔を埋め、こう続けた。

「民たちはきっと喜んでくれるわ。松平による…統治と平和を…」

 悠季はとろけた顔で葵に返事をする。

「葵様ぁ~」

「うふふふ…可愛がってあげましょう。私の悠季。」

 葵はその唇をもう一度合わせた。彼女たちは気がついていなかった。彼女らの様子を不気味な薄ら笑いとともに嘲笑う一人の男の存在を…。その男は日本人ではなかった。西洋人のような青い瞳と金髪…だが、その顔はどこか東洋人のようだった。

「ふふふふふ…ふははははは…こいつは良い!人形共が正義の味方面して、ご立派な演説と征服であるが…結局は毒蜜がほしかっただけじゃねか。くくくく…少しあの女に刷り込みをしてやっただけで、こうも上手くいくとは。本当に人間ってやつは御し安い。なぁ~エーリカ?」

 男の目の前には一人の少女が拘束されていた。少女は何も答えず、空ろな瞳を空中にさまよわせるだけだった。

「くくく…苦しいか?エーリカよ?だがな、この俺…フランシスコ・ザビエルを裏切った罪は消滅だけでは許されん。人形の癖に外史の意思に楯突いた報いを…その手で払わせてやる。」

 少女の肩が一瞬震えた。

「くくく…そうだ。あれだけ殺したがっていた新田剣丞を……貴様の手で葬らせてやる。だが、今回はラッキーだ。まさか、あの新田剣丞が…奴の…奴のぉ…くくくくく!我が復讐の対象者であったとはなぁ!」

 その言葉を聴いた少女の目から涙が溢れ出す。しかし、男はかまわず言葉をつむいだ。

「くくくく…いい気味だ。その手で想い人を殺させてやる俺の寛容さに感謝しろよ。あぁ…助けなら来ないぞ。法王庁には、俺を殺し日の本は平和になった。エーリカ・フロイスは暫く布教に専念すると伝えておいてやった。」

 男は大笑いしながら、部屋を出て行った。残されたエーリカの口が微かに動く…「け…ん、す…け…どの…ぉ…。…にげ…て…。わ…た…しの…愛…おし…い方」。エーリカは暗い部屋で泣き続けた。自身の運命を呪って、そして想い人の無事を願って。

???

 どこか、中華風の雰囲気を漂わせる巨大な王宮。その一室にこの世のものとは思えない轟音が響く…

「ぶぅるぅあぁあああああ!!!ご~主人様ぁ~!!今ぁ~、愛しの貂蝉がぁ~…帰ったわよ~ん!!ついでにぃ~、下手人もわかったわぁ~ん!!」

 轟音……もとい、貂蝉の声が王宮内に響きわたる。その声は廊下を一直線に進み、玉座の間へと進んでいく。だが…城中の誰も彼も気にすることはなく、またか?っとあきれ顔をしていた。そこに、一人の影が現れ、貂蝉に声をかけた。

「おかえりなさい。貂蝉さん。ちょっと…いいかしら?いい加減、その登場の仕方はやめてくれませんか?心の臓に悪いわ…」「でちゅ!」

 腰に手を当てながら、あきれるようにつぶやく少女は小さい妹の手を引いていた。

「あらぁ~ん。お久しぶりね?平ちゃんに索ちゃん!お元気だったかしらぁ~?」

 クネクネと身をよじらせる貂蝉を冷たい目で見ながら、少女…平はやれやれと笑う。

「お父様をおさがしなのでしょう?お父様でしたら、今…あの方とお買い物に行かれましたよ?」

「あらぁ~残念、入れ違いだったかしら~?でも…そうなのぉ、彼女もう帰る気なのねぇ~?」

 貂蝉の言葉に頷きながら、平は続けた。

「はい。もうすっかりお元気なご様子で…今朝もお母様達と手合わせされていました。今朝も…『剣丞が心配だ。俺はあの世界に戻る!その為の武器探しに付き合いやがれ!』っと、半分無理やりお父様を連れ出されておられました。」

 あはは…っと乾いた笑顔で話す少女に、貂蝉も苦笑いをする。だが、その顔は心底安心した様子であった。

「そう…この世界に運んだ時なんて、半分死人だったのにねぇ~。すぅんごい、回復力だわぁ~!」

「ええ…華佗様も同意見でした。これも、剣丞様へのお気持ちがそうさせるのでしょうか?」

「愛の力かしら?素敵ねぇ~。ねぇ、貴女も…会いたい?剣丞ちゃんに…?」

 貂蝉の問いに平は頬をほんのり赤く染め、こくりと頷く。

「えぇ…そうですね。でも、私たちとの別離は…あの方がご自身で選ばれたこと。私が自分の我がままを通すことなど、許されません。」

 悲しそうにつぶやく平の頭を、貂蝉はやさしく撫でる。

「貴女のその想い、ご主人様もご存じよ?あの子を送り出す前の日なんて、ご主人様…おお泣きだったもの。『オレは…娘の幸せを奪い、甥っ子を地獄へ送り出そうとしている。すまん…剣丞、そして平よ。この無力な親父を許してくれぇ…』って。」

「お父様…が。そうですか…。ありがとうございます、貂蝉さん。先ほどのお父様の言葉を聞けただけで、この関平。救われた気持ちです。それに、二度と会えないと決まったわけではありません。お父様の前例もありますし…ね?」

 力強く微笑む少女に貂蝉はより一層笑顔になり、頷いた。そして、その少女の顔は…関羽雲長の面影を残していた。

 そして、その城下町を一人の男と、二人の女性が歩いていた。女性の片方は関羽雲長愛紗。この国の大将軍にして天の御遣いの伴侶の一人。男の方は剣丞を救った男…北郷一刀その人だった。

「やれやれ、傷が回復したからって…少し無茶しすぎだぞ?」

 一刀は前を歩く女性に声をかけるが、帰ってくるのは「うるせぇ~な!あいつがひどい目に合ってんだ。なにもしてねぇ松平の小娘に好き勝手させてたまるかよ!」っと聞いてくれそうにない。一刀はため息をつきながら、となりを歩く妻に耳打ちする。

「愛紗、君からも止めてやってくれないか?」

 一刀の言葉に対し、愛紗は苦笑いしながらこう返答した。

「されど…ご主人様。私には彼女を止める言葉がありません…私も、いえ私たち妻も…ご主人様が同じ状況に置かれたらきっと同じことをしています。ですから…彼女の剣丞と娘を想う気持ちを大切にしてあげたいのです。」

 やれやれ、とため息をつく一刀であったが、再び視線を女性に移した。

「剣丞と自分の娘のため…か。オレも…分からなくはない…かなぁ。」

 オレも世間的に言うと親馬鹿のようだっと、一刀は自分自身を笑う。

「さぁーてと、ではお嬢さんに合う武器選びに戻ろう。お嬢さん、この先に一軒オレの行きつけの武器屋がある。そこに行ってみよう」

 三人は町の雑踏の中へと消えていった。

 

つづく

 


 
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