No.730931 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2014-10-18 18:49:26 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1465 閲覧ユーザー数:1327 |
その後異変を感じ取って露天風呂から上がって着替えたリィン達はシュバルツァー男爵たちの元に向かい、セリーヌが男爵たちに事情を説明した。
~温泉郷ユミル~
「では………確かなのかね?その”魔煌兵”とやらが郷に向かっているというのは。」
「ええ、霊気(マナ)の動きを感じる。まだ距離はあるけど確実に近づいてきているわ。奥手にある渓谷道の方向からね。」
シュバルツァー男爵に問いかけられたセリーヌは静かに頷いた。
「チッ、詰めが甘かったな……あんな谷底に落とした程度じゃ仕留め切れなかったってわけか。」
「いえ……あの場合は仕方なかったと思います。でも、どうしてこのユミルに向かっているんだ……?」
悔しそうに舌打ちをしたトヴァルの責任ではない事を指摘したリィンは考え込んだ。
「ひょっとしたら、アンタを狙っているのかもしれないわね。―――”灰の起動者(ライザー)”であるアンタを。」
「ええっ!?」
「リ、リィンさんを……?」
セリーヌの推測を聞いたセレーネは驚き、アルフィン皇女は戸惑い
「……どうやら”騎神”に関係のある話みたいだな。だったら―――やっぱり俺が何とかするしかなさそうだな。」
「兄様……」
リィンの決意を聞いたエリスは心配そうな表情でリィンを見つめた。
「大丈夫だ、エリス。この郷は必ず守ってみせる。そのくらいできなくちゃ、みんなと再会するなんて夢のまた夢だろう。」
「ふむ……どうやら肚を括ったようだな。気力も充実―――完全に調子を取り戻したか。わかった、行ってくるといい。」
「私達は郷の住民たちにいざという時の避難を呼びかけておきましょう。リィン……くれぐれも気を付けるのですよ。」
「はい……!」
「そういうことなら俺も助太刀させてもらうぜ。サラほど頼りにはならんだろうが、後方援護(バックアップ)くらいは務まるはずだ。」
「勿論わたくしもご一緒しますわ、お兄様!」
「トヴァルさん……いえ、心強いです。セレーネもありがとう。それじゃあ俺とセリーヌ、トヴァルさんとセレーネで渓谷に―――」
「……待ってください、兄様。どうか私も同行させて下さい。」
「な……!?」
「エリス……!?」
エリスの申し出を聞いたリィンとアルフィン皇女は驚いてエリスを見つめ
「……わかってると思うけど遊びじゃないわよ?」
セリーヌは真剣な表情でエリスを見つめて忠告した。
「もちろん、わかっています。武は帝国貴族……いえ、今はメンフィル貴族でしたね。シュバルツァー家に伝わる剣術の作法は心得ているつもりです。以前、兄様や姉様にも稽古をつけていただきましたよね。」
「い、いや、それは………」
「エリス……貴女も覚悟を決めたのですね?」
エリスの決意にリィンが戸惑っている中、ルシア夫人は真剣な表情で問いかけた。
「……はい、母様。兄様が道を定めた以上、その背中を護るのは妹の務め。シュバルツァー家の次女として、今この場にはいない姉様に代わり、本懐を果たして参ります。」
「ふふ……二人ともいつの間にか大きくなりましたね。」
「うむ……我が子達の成長、喜ぶべきだろう。―――リィン、連れて行ってやりなさい。その方がお前もそうそう無茶はできないだろう。」
「父様……」
「ふふっ、一理ありますわね。」
「と、父さんっ!?」
シュバルツァー男爵の言葉を聞いたエリスは目を丸くし、セレーネは微笑み、リィンは慌てた。
「なに、エリスお嬢さんならそこまで心配はいらないさ。剣もなかなかの腕前だし、ARCUSも使いこなせる上、魔術も扱える。帝都までの道中、俺と姫殿下も助けられたしな。さすがは聖魔皇女―――いや、若き”剣聖”の妹だな。」
「ふふっ、そうでした。それにリィンさんと一緒なら、エリスも普段以上の力を発揮できるでしょうし♪」
「トヴァルさんに殿下まで……って、どうしてエリスがARCUSを……?」
トヴァルとアルフィン皇女の指摘に困った表情をしたリィンだったが限られた者しか持っていないはずの戦術オーブメントをエリスが持っている事に気付いて首を傾げた。
「あー、実はオリヴァルト殿下から予備のARCUSを預かっててな。筋がいいから道中、二人にも指南しちまったんだ。」
「……………………」
「まあ…………と言う事はアルフィン皇女もARCUSが使えるのですか。」
トヴァルの説明を聞いたリィンは口をパクパクさせ、セレーネは目を丸くし
「ふふっ、アーツの腕前ならエリスにも負けませんわ♪」
アルフィン皇女は得意げに微笑んだ。
「どうでもいいけど、あんまり時間はないわよ?反対するだけ無駄なんだし、とっとと諦めなさいよね。」
「~~~っ~~~……!―――わかった!エリス、力を貸してもらう!ただい絶対に無茶はしないこと!約束できるか!?」
「はいっ……!」
「よし、それじゃあとっとと行くとするか。薬やら、一通り準備を整えたら裏手の渓谷道に向かうぞ。」
その後準備を整えたリィンはトヴァルとエリス、セレーネと共に渓谷道に向かい、かつてⅦ組の仲間達と共に向かった石碑がある広い場所に到着した。
~ユミル渓谷道~
「あれが2か月前の騒動の原因だったっていう石碑か?」
「はい……あの時は大変でした。」
石碑を見つめるトヴァルの質問にセレーネは静かに頷き
「……わずかに精霊の力を感じるわね。今は収まっているみたいだけど。」
セリーヌは集中して石碑の状態を確かめた。
「ああ、そうみたいだ。8年前の事件の原因でもある場所……俺にとって、どうしても因縁を感じる場所だな。」
「兄様…………」
エリスがリィンを心配そうに見つめているとその場に地鳴りがすると共に咆哮が聞こえて来た!
「近い……!」
「―――来たわね!」
敵の気配を感じたリィン達が振り向くと”魔煌兵”が一体リィン達と対峙していた!
「チッ……谷に落ちたダメージは無さそうだな!」
「自己修復能力……伝承にあった通りだわ!」
(……おかしいです。わたくしが戦った魔煌兵も谷底に落ちましたから、後一体いるはずなのですが……?)
トヴァルとセリーヌが警戒している中、違和感を感じたセレーネは眉を顰めた。
「なんとか足止めする!エリス、くれぐれも無理しないでくれ!」
「はい……!」
「よし、一丁やってやるか!」
「行きます……!」
そしてリィン達は”魔煌兵”との戦闘を開始した!
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第310話