No.728987

「スカレーの冒険」寿(全5話)

lotus045さん

つづきです。

2014-10-09 21:39:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:567   閲覧ユーザー数:566

「こっちはいいぞ」

「こっちも大丈夫!」

「それじゃあ、飛んでみよう!!」

カモメ達がロープをくわえてはばたきはじめました。

 

「うーーーーーーーーーーーーーん」

 

魚たちも小さなヒレで、少しでも潜水艦を浮かせようと頑張っています。

 

「みんな、がんばって、もう少しでスカレー!」スカレーは声をかける役です。

 

「うーーーーーーーーーーー・・・・・・---------ん」

 

カモメ達の声をききつけて、トンビが群れでやってきました。

みんなびっくりしてしまいましたが、トンビもロープをくわえてはばたきました。

少し、潜水艦が浮きます。

 

夕日は、海の向こうにとけていき、横須賀の街にあかりが灯りはじめました。

 

「がんばれ!がんばれ!」スカレーは声の限りに応援しました。

「オーエス・オーエス」ものをロープで引っ張るときのかけ声です。

潜水艦は、少しずつ、海から姿を現してきます。

 

「オーエス・オーエス」

 

カモメと魚とトンビの声が一つになった時、潜水艦が海から出てきました。

 

「わーい、やったー!」スカレーは歓声をあげました。

魚たちがヒレで拍手をしました。小さなパチパチという音が波のあいまに消えていきます。

 

潜水艦が空を飛んでいきます。

 

暗くなった空を進む真っ黒な潜水艦に気が付く人は誰もいません。

 

観音崎にいるパン屋さん家のワンコが、空に向かってワンワンワンと吠えました。そのほかは、波の音が聞こえるほどの静かな夜です。

 

しばらくすると潜水艦が言いました。

「なんだか、潜る時と同じみたい。ねぇ、きっともう大丈夫よ、ロープを離してみて、私飛べるわ!」

トンビたちが離れていきました。

カモメ達はちょっと心配でしたが、一羽ずつ離れてみました。

ロープがほどけて、はずれても、潜水艦はすいすい空を進めました。

空を潜っているのかもしれません。

 

「ね、私、大丈夫でしょう?」

 

つづく


 
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