「こっちはいいぞ」
「こっちも大丈夫!」
「それじゃあ、飛んでみよう!!」
カモメ達がロープをくわえてはばたきはじめました。
「うーーーーーーーーーーーーーん」
魚たちも小さなヒレで、少しでも潜水艦を浮かせようと頑張っています。
「みんな、がんばって、もう少しでスカレー!」スカレーは声をかける役です。
「うーーーーーーーーーーー・・・・・・---------ん」
カモメ達の声をききつけて、トンビが群れでやってきました。
みんなびっくりしてしまいましたが、トンビもロープをくわえてはばたきました。
少し、潜水艦が浮きます。
夕日は、海の向こうにとけていき、横須賀の街にあかりが灯りはじめました。
「がんばれ!がんばれ!」スカレーは声の限りに応援しました。
「オーエス・オーエス」ものをロープで引っ張るときのかけ声です。
潜水艦は、少しずつ、海から姿を現してきます。
「オーエス・オーエス」
カモメと魚とトンビの声が一つになった時、潜水艦が海から出てきました。
「わーい、やったー!」スカレーは歓声をあげました。
魚たちがヒレで拍手をしました。小さなパチパチという音が波のあいまに消えていきます。
潜水艦が空を飛んでいきます。
暗くなった空を進む真っ黒な潜水艦に気が付く人は誰もいません。
観音崎にいるパン屋さん家のワンコが、空に向かってワンワンワンと吠えました。そのほかは、波の音が聞こえるほどの静かな夜です。
しばらくすると潜水艦が言いました。
「なんだか、潜る時と同じみたい。ねぇ、きっともう大丈夫よ、ロープを離してみて、私飛べるわ!」
トンビたちが離れていきました。
カモメ達はちょっと心配でしたが、一羽ずつ離れてみました。
ロープがほどけて、はずれても、潜水艦はすいすい空を進めました。
空を潜っているのかもしれません。
「ね、私、大丈夫でしょう?」
つづく
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つづきです。