スカレーは、カモメの背中に乗せてもらいました。
カモメもスカレーも、潜水艦の喜ぶ姿がとても嬉しくて、かける言葉がみつかりません。
潜水艦は、どんどん、ずっと深く、空に潜っていきました。
「ここから先へは、みんなはもういけないわ。ここでお別れです。空の底についたら、夜、暗くなったら、チカチカ光らせて、おやすみでスカレーって言うわ、カモメさん、魚さんたちに、おやすみって言うわ、いい香りのカレーをつくるおにいさんにも、おやすみって言える、迷子になった人を助けたいわ。ありがとう、ありがとう、さようなら、さようなら」
潜水艦の声はきこえなくなりました。
そのほどに、星がまたたきはじめました。
横須賀はすっかり夜になりました。
スカレーはカモメに乗せてもらって、おうちであるカレー屋さんに着きました。
「今日は本当にありがとう、明日もまた遊ぼうね」
カモメたちは海に帰って行きました。
スカレーはおうちに入りました。
スカレーのパパとママは、一日中帰ってこなかったスカレーをとても心配して怒っていましたが、パパとママの顔をみるなりとびついて
「ぼくね、今日、とてもすごい冒険をしたんだよ」とキラキラした瞳をみて、怒る気持ちがすっかり消えて「話は、明日ゆっくりきくから、もう寝なさい」と言いました。
スカレーは部屋に入るとまっさきに窓をあけて、空いっぱいにまたたく星を見上げました。
「チカチカチカとまたたく星は役目を終えた護衛艦や潜水艦がぼくらに信号を送っているんだ。ぼくらに話かけているんだ」
スカレーはふぅっと息を整えると「おやすみー!」と大きな声でいいました。「おやすみでスカレー!」
空の一番奥の方で、チカチカチカとまたたく星が見えました。
スカレーは窓をしめて、ベッドにもぐりこみました。
スカレーは、今夜、どんな夢を見るのでしょうか。
星がまたたく横須賀に、もうすぐまた、朝日がのぼります。
おしまい
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最終章です。